Always Essay ゆるゆるな日々 vol.1

  • 次号
  • バックナンバー
Always Essay ゆるゆるな日々

神様、ご縁をありがとう!

鈴木さちこ

旅行中に神社があれば立ち寄り、スタンプラリー感覚で御朱印を集める程度だった私。それが、神社に強く惹かれていくきっかけとなったのは、平泉寺白山神社の参拝がきっかけだと思う。七年前の春、福井駅から、えちぜん鉄道に揺られて終点の勝山駅へ。さらにバスで15分。目の前に広がる深い杉の森に足を踏み入れる。境内は苔の絨毯に覆われ、凜とした空気の中、鳥のさえずりと木々の葉が重なり合う音くらいしか聞こえない。吸い込まれそうな御手洗池の透明感と輝き。ほかに参拝者の気配もなく、異次元の世界に迷い込んでしまったような感覚に陥った。「ここには絶対、神様がいる」と何度呟いたことか。全身が何かのオーラに包まれる神秘的な体験。それからというもの、私は神社めぐりの旅をするようになった。
強烈な雨女のせいか、お伊勢参りでは「みそぎの雨!」と笑ってしまうくらいの豪雨で、修行のようだった。出雲大社を含む出雲地方全体には、明るいパワーを感じた。熊野三山では「鈴木姓」のルーツを知り、御岳山では宿坊を体験。神社ごとに個性はそれぞれ、神様も異なる。その中で自分の肌にぴったりとくる神社は、ピンとくるから不思議だ。何度も訪れて、日々の生活でも常に意識するようにしている。
六年前に、神社めぐりのコミックエッセイを出版した。翌年にいまの夫と出会い、結婚、出産とジェットコースターのような展開だった。仕事と旅ばかりしていた私に、神様たちが協力して授けてくださったご縁なのかな?と、想像すると嬉しくなる。
ある朝、三歳の息子を自転車に乗せて保育園に向かう途中のこと。神社の鳥居を通り過ぎたとき、「ママ、ここに神様がいるんだよ。手をパンパンってするんだよ」と教えてくれた。園のお散歩で、長い石段を登ってお参りしたらしい。これから毎年少しずつ、息子とともにお礼参りの神社旅をするのもいいかもしれない。「神様、今日もよろしくお願いしますね」。朝の空気がいつもよりも清々しく感じられて、私はペダルを強く踏んだ。

すずき・さちこ

1975年東京生まれ。旅好きのイラストレーター•ライター。
「きのこ組」「うちのごはん隊」などのキャラクターを手がける。著書に『電車の顔』『日本全国ゆるゆる神社の旅』『住むぞ都!』『路面電車すごろく散歩』ほか。

Always Essay ゆるゆるな日々 vol.1

  • 次号
  • バックナンバー