「健康寿命」を守る人

株式会社白寿生科学研究所
代表取締役
原 浩之さん
「現代は〈人生100年〉と言われるほど寿命の長い時代です。私たちは健康寿命を100歳に近づけ、すべての人が健康で長生きできる時代をつくりたいと思っています」 力強く語る原さんの言葉には、現在の日本の課題が端的に表れている。
厚生労働省によると(*)、日本人の平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳。それに対し、健康寿命は男性が約72歳、女性が約75歳に留まる。この差は、何を意味するのか? 「高齢になるほど、寝たきりや認知症などの要介護状態の人の割合が増えるからです。現在は多くの人が、人生の最後の10年ほどを、医療や介護が必要な状態で過ごしています」
*厚生労働省「令和4年の健康寿命値について」
白寿まで健康に過ごしてほしい
〈健康寿命〉とは、心身ともに健康上の問題がなく、自立して生活できる期間のこと。つまり、平均寿命と健康寿命の差は、健康に問題があり、介護やサポートを必要とする期間を示していることになる。
「最終的には医療のお世話になるとしても、その期間を10年から5年に、5年から3年に減らしていけば、医療費の削減にもつながります。一人ひとりが健康で長生きすることは、社会にとってもプラスになる。私たちの目標は、その健康寿命を平均寿命に限りなく近づけること、最終的には100歳まで健康でいられる社会を実現することです」
そのために、白寿生科学研究所の取り組みは多岐にわたる。医療分野への貢献から食品開発、そして地域コミュニティの形成まで。
健康で長生きできる生活を守りたい
その出発点は、創業者の一念にあった。
「創業者である祖父・原敏之は、働き過ぎて体を壊した母を健康にしたい一心で、当時まだ知られていなかった理学療法を志しました。体のつらさから、〈長生きなんかしなきゃよかった〉と嘆く人がいなくなるように・・・そんな願いを込めて開発されたのが、日本初の家庭用電位治療器〈ヘルストロン〉です。後に頭痛、肩こり、不眠症、慢性便秘の症状に対する緩解効果を厚生省(現・厚生労働省)から認められ、以来半世紀以上にわたり、多くの方の健康をサポートしてきました」
もちろん健康を維持するためには、不調の改善だけでなく、バランスの良い食事や運動習慣などの健康知識も欠かせない。全国450か所に展開する〈ハクジュプラザ〉は、販売だけではなく健康教育の場としても活躍している。
「社員に売上のノルマはありません。会社の都合で商品を売るのではなく、お客さまに寄り添い、本当に必要とされているものを提供することが大切だからです。お客さまにとってのハクジュプラザは、ヘルスアドバイザーに質問したり、お客さま同士で交流できる情報交換の場です。そこで得られるお客さまの声は、私たちの研究開発に活かされています」
100年企業としての責任を果たすために
白寿生科学研究所は、2025年で創業100年を迎える。
「この100年で積み上げた最も大きな財産は、膨大なユーザーデータです。この情報を医療研究や地域支援に役立てていくことが、これからの企業としての使命だと考えています。AI診断への活用や地域福祉への貢献など、すでに始めている挑戦もあります。海外への展開も考えているので、まだまだ足を止める暇はありません」
エネルギッシュに目を輝かせる原さん。その前向きさと、健康の秘訣を伺った。 「何事も食わず嫌いしないことでしょうか。食べ物だけじゃなくて、知識もです。どんどん新しいことにチャレンジして、良いと思ったことを取り入れています。みなさんも、好奇心を持ってどんどん挑戦してください!」

地元の自治体と連携して、さまざまなイベントを実施することも。



















