ALSOK セキュリティコラム

子どもたちのインターネット事件〜情報モラルとは〜

子どもたちが楽しみにしていた夏休みが始まりました。街中では、子ども同士で集まって遊んでいる姿をよく見かけるように。ショッピングをしたり、おしゃべりをしたりといつもより活き活きとした顔が印象的です。私にもそんな時代があったな・・・と思いつつその様子を見ていると、楽しそうに話している子どもの手には携帯電話が。確かに最近、帰宅途上でよく見かける塾帰りの小学生たちも首から携帯電話をぶら下げています。きっと、塾の行き帰りなどが心配で、お子さんに携帯電話を持たせる保護者の方が増えているのでしょう。ここ数年で小学生、中学生でも携帯電話を所持する率が徐々に高くなっており、高校生にもなるとほぼ全員が所持しているそうです。子どもにとっても携帯電話は手放せない存在になりつつあるのでしょう。ただ心配なのは、それに伴い、携帯電話やパソコンなどを利用したインターネット犯罪に子どもが巻き込まれるケースも年々増加していることです。最近では、子ども向けにフィルタリング機能を強化した携帯電話が普及していますが、反面、フィルタリング機能が付いていない、またはそれを利用していないお子さんも多いようです。親子で決めたルールどおりに利用していたはずでも、いつのまにか実情に合わなくなってきたり、忍び寄る魔の手によって子どもが犠牲になったりするケースがあとを絶ちません。「情報安全教育は、学校で教えてくれているから」ではなく、今一度、インターネット利用時に潜む危険についてお子さんと一緒に考え、お子さん自身の意見を聞きながら、改めてルールを決めてみませんか。

そこで今回は、子どもたちを取り巻くインターネット事情と、そこに潜むワナについて事例を交えながらご紹介したいと思います。是非、参考にしてみてくださいね。

1. 情報モラルを知る

皆さんは、小さい頃に親御さんから、善悪の判断やこういうときはどう行動したらよいかなどを知らず知らずのうちに日常生活の中で学んでいませんでしたか?道徳を単に一般的な規律としてではなく、自己の生き方と連動させながら具体的にどういうときにどうあるべきかを考える力を身につけさせていく、これがモラル(道徳)教育です。家庭での「情報モラル教育」も同様です。「どうせ顔が見えてないし」「本名を明かしてないし」など、ちょっとだけのつもりの興味本位でアクセスした先に危険が潜んでいること、ネットワーク上でのコミュニケーションの正しい取り方など、子どもがトラブルに遭う前に、生活の中で起こりうるシーンを交えながらきちんと教えておかなければなりません。インターネットの利用の仕方についてルールを決め、そして困ったときにはすぐに家の人に相談するという約束をしておきましょう。

2. 子どもが遭遇するインターネット被害

警視庁の少年相談窓口には、子どもたちのインターネット被害について、さまざまな相談が寄せられています。そこで、その一部を紹介します。

  • 自殺サイトで知り合った相手とメールのやりとりをしている
  • アダルトサイトに年齢を偽って登録してしまい、利用料金を請求されてしまった
  • 知らない人から来たメールに返信してしまい、トラブルになってしまった
  • プロフィールサイトで「アルバイト募集」の書き込みを見てアクセスした少女たちが、風俗の仕事を斡旋され稼働させられた
  • ゲームサイトで知り合った男性と会った少女が暴行を受け、さらに脅迫を受けた

“単なるゲームサイトで遊んでいるだけだから安心“ではありません。インターネットを利用したゲームサイトのほとんどは、見知らぬ相手と情報をやりとりする機能があり、誰でも簡単に書き込みが可能です。「悪口を書き込まれた」「実名を公表されてしまった」などのトラブルに巻き込まれる前に、お子さんがいつもどのようなサイトを閲覧しているのか、お子さんとコミュニケーションをはかりながら確認することが重要です。

3. フィルタリングサービスを利用して子どもを守る

フィルタリングサービスとは、子どもに好ましくないサイトの閲覧を制限するサービスです。お子さんがどのようなサイトを見ているか、保護者の方が把握することが困難な場合も、最初から好ましくないサイトを一律にシャットアウトすることで、携帯電話を持つ子どものトラブルを未然に防止することが可能です。なお、フィルタリングには「ホワイトリスト方式」と「ブラックリスト方式」の2つの方式があります。

【(1) ホワイトリスト方式】

携帯電話会社が健全と認定したサイトだけを閲覧できるようにした方式
★閲覧できるサイト★
・公式サイトのうち通信事業者が認定したサイト
(例)学習系サイト、情報系サイト(お天気・ニュースなど)、子ども向け着信メロディ・待ち受け画面サイト
★閲覧できないサイト★
・非公式サイト
・公式サイトのうち通信事業者が認定したサイト以外のサイト
(例)掲示板、ブログ、SNSなどのコミュニティサイト

【(2) ブラックリスト方式】

フィルタリングサービス事業者が健全でないと判断したサイトを閲覧できなくする方式
★閲覧できるサイト★
・すべてのサイトのうちフィルタリング事業者が健全でないと指定したサイト以外
★閲覧できないサイト★
・すべてのサイトのうちフィルタリング事業者が健全でないと指定したサイト
(例)不法サイト、成人向けサイト、ギャンブルサイト、出会い系サイト、 不特定多数参加のコミュニティサイト
お子さんに合わせていずれかの方式を選択し、有害サイトから子どもを守りましょう。

4. お子さんと一緒に家族のルールづくり

携帯電話やインターネットの使い方について、まず親御さんが関心をもつことが重要です。よかれと思って持たせた携帯電話で、子どもが思わぬトラブルに巻き込まれるといったことがないように、子どもと一緒に考え、我が家流のルールづくりを心がけましょう。

★ポイント★
・携帯電話を持つ目的・用途をはっきりさせる
・子どもの意見も尊重しながら、ルールは家族みんなでしっかり話し合って決める
・子どもから携帯電話の利用状況を報告させ、定期的にルールを見直す
・携帯電話やインターネット利用時の危険性について、常に意識させる
また、自分がトラブルに遭わないようにするのはもちろんのこと、インターネット上の書き込みやメールのやり取りなどで、友達を傷つけるような使い方はしないように教えることも大切です。さらに、インターネットはリビングなど親の目の届くところで利用する、トラブルに巻き込まれたら必ず身近な大人に相談するなど、想定されるシーンを盛り込みながら、子どもにも分かりやすいルールを決めましょう。

いかがでしたか。子どもは純真無垢な上に、好奇心も旺盛です。それが仇となって事件に巻き込まれないように、日頃から家族間で携帯電話やインターネットの利用方法について、気軽に話し合える環境づくりを心がけましょう。