ALSOKアンケート

<第2回>担任の先生に聞く、小学生の防犯に関する意識調査
児童への声掛けや連れ去りなどの被害が集中しているのは春から夏にかけて子どもだけで行動する機会が増える夏休みは要注意!インターネットのリスク教育は3年生以降に本格化指導内容は「個人情報や写真の公開について」が最も多い

<2017年7月>

ALSOK(本社:東京都港区、社長:青山幸恭)は、2004年より実施している、全国の小学生を対象とした出前防犯授業「ALSOKあんしん教室」を実施したクラスの担任教諭を対象に、小学生の防犯や生活に関する記入式アンケート調査を実施し、「第2回担任の先生に聞く、小学生の防犯に関する意識調査」として、以下の通りにまとめました。

調査期間:2016年4月1日から2017年3月31日まで
調査対象:「ALSOKあんしん教室」を実施した全国の小学校のクラス担任教諭
調査方法:アンケート用紙に記入していただいたものを、ALSOKにて集計
回答数:700人

約4割の先生が、児童たちの危機意識が高まっていると感じている

クラス担任の先生に、現在担当しているクラスの児童たち自身の「安全・安心」への危機意識の変化について聞いたところ、昨年(42.7%)とほぼ同率の41.7%の先生が、児童たちの危機意識向上を感じていることがわかりました。

重大事件が発生した地域ほど危機意識の高まりが顕著に表れている

本アンケートの調査期間直前の2016年3月末頃、約2年前に連れ去りに遭い、行方不明になっていた埼玉県朝霞市の女子中学生が保護された事件があり、メディアで大きく報じられました。
この事件の舞台となった埼玉県に勤務する先生の回答結果を抽出して見てみると、「児童の危機意識が高まっている」と回答した先生の割合が他の地域に比べて2割ほど多くなっていました。

また、「以前(昨年)と比較して、児童の防犯意識を高めるような授業をしてほしいという保護者からの要望は高まっていますか?」という質問に対しても、埼玉県では他の地域に比べて「高まっている」と答えた先生の割合が多くなりました。

犯罪の発生によって、周辺地域の児童や保護者の危機意識に変化が表れている様子が見てとれる結果となりました。

防犯ブザーの所持率は学年が上がるとともに減少

防犯ブザーの所持率について尋ねたところ、低学年では半数以上のクラスで、全員の児童が防犯ブザーを持っていましたが、中学年に進級すると、所持率は4割を割り込み、学年が上がるにつれて所持率が下がる傾向となりました。
自治体によっては小学校入学時に、全員の児童に防犯ブザーを配布していますが、日常生活を送る中で風雨や衝撃にさらされて壊れたり、紛失してしまうことも少なくないようです。
子どもに危害を加えようとする人は、ほかの大人に気付かれることを嫌います。大きな音を出す防犯ブザーは、子どもでも相手をけん制できる上に、被害を未然に防ぐ抑止効果が期待できます。保護者は定期的に、防犯ブザーが壊れたり、音が小さくなったりしていないか確認するようにしましょう。

危険な目に遭った児童がいると回答した先生は約1割危険を回避するには、日頃から誘い文句へ対応する訓練を!

現在担当しているクラスの中で、過去に声かけや連れ去りなど危険な目に遭った経験のある児童の有無について聞いたところ、「過去に危険な目に遭った児童がいる」と回答した先生は、約1割(9.7%)でした。

「危険な目に遭った児童がいる」と回答した先生のうち、4割は「声掛けにより連れて行かれそうになった」(44.1%)という事例であり、その声掛けには、「迷子の犬を一緒に探して」「駅まで案内して」など、子どもの親切心につけこむ「親切系」の言葉が使われることが多いようです。

ALSOKでは、犯行の際によく使われるとされる誘い文句のパターンを、「興味系」、「ハプニング系」「親切系」「困惑系」の4つに分類し、注意を呼び掛けています。いざという時に対応できるよう、できるだけ多くの事例を児童に示して、自分だったらどうすればよいかを考えさせる訓練を、学校や家庭で日頃から行うようにしましょう。

興味系

「ペットを見せてあげる」、「タレントにならない?」など、子どもの興味、好奇心をそそる手口

ハプニング系

「お母さんが病院に運ばれたから、一緒に行こう」など、子どもを動揺させて平常心を奪う手口

親切系

「迷子の犬を一緒に探して」、「駅まで案内して」など、子どもの親切心につけこむ手口

困惑系

「雨が降ってきたので家まで送ってあげる」など、子どもが困っているところにつけこむ手口

児童への声掛けや連れ去りなどの被害が集中しているのは春から夏自由な時間の増える夏休みも要注意

現在担当しているクラスに、危険な目に遭った経験のある児童がいると回答した先生に、被害に遭った時期、時間帯、場所を聞いたところ、時期は、新生活シーズンである「4月から6月」(30.9%)と、夏休みに入る「7月から9月」(26.5%)でした。時間帯別にみると、保護者の「旗振り」など、大人の目が少なくなる「下校中」(38.2%)、「外出中(日没前)」(36.8%)に被害が集中しています。

まもなく夏休みに突入します。夏休みは子どもが自由になる時間が増えることに加え、日没時間も比較的遅いことから、外で過ごす時間が増えたり行動範囲が広がったりしがちです。

なるべく一人では行動しない、常に防犯ブザーを携帯する、危険な場所(※)には近づかないといった約束を、この機会に改めてしておきましょう。

※危険な場所

例えば、人があまり通らない薄暗い道や木が生い茂った公園など、「まわりから見えにくい場所」で「誰もが入りやすい場所」は、子どもを狙う人物がいても怪しまれず、助けを呼んでも分かりにくいです。また、駐車場は、車にひかれるリスクはもちろんのこと、無理やり車に連れ込まれる恐れもあります。これらの場所には近づかないよう話しておきましょう。

子どもだけで留守番する機会が増える夏休み前には留守番する前の約束「いいゆだな」など事前に親子で確認を!

共働きの家庭や核家族化の進行により、子どもだけで留守番をする機会が増えました。
担当しているクラスの中に、過去に留守番中に不審者が訪問してきたり、不審な電話がかかってきたことがある児童の有無を聞いたところ、8人に1人の先生(13.5%)が不審な電話や訪問者が来たことがある児童がいると回答しました。

留守番中の子どもを狙った犯罪を防ぐには、犯行者に「子どもひとりで留守番していることを悟らせない」ことが大切です。そのためには、学校や外出先から家に帰るとき、すなわち「留守番する前」から気をつけておくべき約束があります。ALSOKでは、この約束を「いいゆだな」という覚え言葉にして小学生に教えています。

また、低学年のうちは、カギの使い方が不慣れなため、玄関扉の開錠に手間取ってしまう子も多いです。玄関先で手間取っていると、これから留守番するということが分かってしまったり、背後が無防備になるため犯行者が近づいてきても気が付きにくいなどの問題が生じます。留守番を任せる前には、カギの開け方の練習をしておきましょう。

子どもだけで留守番する時の約束

  1. 家のカギを見せない(これから留守番をすることが悪い人にわかってしまうから)
  2. 家の周りをよく見る(悪い人が隠れていた場合に、押し入りされることを防ぐため)
  3. 郵便受けをチェック(郵便物があふれていると、留守だと思った空き巣に入られるかもしれないため)
  4. 誰もいなくても「ただいま」と言う(家の中に誰かいるんだなと思わせるため)
  5. 中に入ってすぐ戸締り(悪い人が家の中に入ってくるのを防ぐため)

留守番中の訪問者や電話には一切対応させないというのも一つの方法ですが、子どもの成長段階や家の設備などの状況に応じて、ある程度の対応を子どもに任せてみてもよいでしょう。訪問者や電話に対応する際に気をつけるべきポイントは以下のとおりです。

「子どもだけで留守番」不審な訪問者対応のポイント

  • 一人で留守番していることを悟られないようにする
  • 絶対に玄関の扉を開けない
  • インターホン越しに話す

「親は今、手が離せないので、また後で来てください」と、一人で留守番していることを悟られない対応をさせることがポイントです。過去には宅配業者や点検業者になりすまして押し入った事例があるので、どのような理由であっても絶対に玄関扉を開けてはいけないことを念入りに約束しておきましょう。訪問者の姿が確認できる「カメラ付きインターホン」や、身の危険を感じたときに緊急通報をし、ガードマンの駆けつけ要請ができる「ホームセキュリティ」といった防犯設備を導入しておくことも、留守番を狙った犯罪の予防や抑止に有効です。

「子どもだけで留守番」不審な電話対応のポイント

  • 一人で留守番していることを悟られないようにする
  • 個人情報を伝えない
  • 早めに丁寧に電話を切る

「親は今、手が離せません」、「折り返し連絡するので連絡先を教えてください」など、親の不在を悟られない対応をさせるようにしましょう。また、家の住所や家族の名前など個人情報を尋ねられた場合は絶対に伝えないように約束しておいてください。通話が長引いてしまうと不要な情報を口にしてしまう恐れがありますので、しつこい相手には「忙しいので失礼します」と言って丁寧に電話を切るように教えておきましょう。

9割近い先生が以前より必要性を感じている低学年では昨年より多くの先生がインターネットのリスク教育を実施

インターネットのリスクについて、以前より教育が必要と感じるか聞いたところ、86.6%の先生が、以前よりインターネットのリスクを子どもに教える必要性を感じていることが分かりました。実際にインターネットのリスク教育をしているのは、学年が上がるほど高い傾向となりましたが、昨年と比べると、低学年で増加している傾向が見てとれました。

2017年5月に内閣府が発表した「低年齢層の子どものインターネット利用環境実態調査」によれば、6歳では69.8%、9歳になると89.9%の子どもがインターネットに接続できる機器を利用していることがわかりました(0歳から9歳までの平均は7.4% )。こうした実態からも、幼いうちからインターネットに関する教育が喫緊の課題となっていることが読み取れます。

【参考】子どものインターネット接続機器の利用率いずれかのインターネット接続機器を利用している比率内閣府「低年齢層の子どものインターネット利用環境実態調査」(2017年5月)より抜粋

インターネットのリスク教育3年生以降に本格化指導内容は「個人情報や写真の公開」についてが最も多い

インターネットのリスク教育をすることがあるか質問したところ、低学年では2~3割程度でしたが、3年生になると6割以上に上がり、6年生になるとほぼすべての先生が指導をしていることが分かりました。独立行政法人国立青少年振興機構「青少年の体験活動等に関する実態調査(平成26年度調査)」によれば、小学校2年生で15.5%だった携帯電話またはスマートフォン所持率は、小学校3年生になると27.1%に上昇することがわかりました。親のスマートフォン等を使っている子どもも多いため、インターネットのリスク教育を早くからしたほうがいいと考える先生は多いようです。

指導している内容は、「個人情報や顔写真の公開・送信」が最も多く、「指導している」と答えた先生のうち7割以上の先生が指導していました。次いで、「ネット内いじめ」「著作権などのルール・マナー」の順となりました。

夏休みのインターネット利用時の注意点

自由な時間が増える夏休みは、自由研究などの宿題をインターネットで調べたり、ネットゲームを楽しんだり、休み中に会えない友達とメールしたりと、インターネットを利用する機会が増えることが予想されます。
インターネットの世界は進展が早く、大人でもその変化についていくのは容易ではありません。まして子どもは、インターネットを介したサービスの詳細な仕組みや、様々なところに潜む罠、メディアとしての影響力の大きさなどを知らずに利用している恐れがありますので、特に注意が必要です。
子どもにひとりでインターネットを利用させる際には、フィルタリングなどの安全策を講じるとともに、次の3点についてしっかりと話し合ったうえで利用させるようにしましょう。

  • 教える
    インターネットに潜むリスクや守るべきマナーについて教え、十分に理解させる
  • 約束する
    利用時間・利用方法など、家庭内でのルールを決めておく
  • 確認する
    ルールが守られているか定期的に確認し、子どもの成長に応じてルールを変更する必要があれば更新する