建設現場の事故・リスクとは?想定されるリスクと必要な安全対策

建設現場の事故・リスクとは?想定されるリスクと必要な安全対策
2026.06.24更新(2021.03.11公開)

本記事では、建設現場で想定される事故・リスクとともに、事故の発生要因と取り組むべき安全対策について解説します。

建設現場においては高所作業や重機の使用機会が多い分、万全な安全管理のもとに作業が行われています。しかしそのような状況でも、労働災害の発生率が高いのが実情です。事故が発生すると、作業員の生命・健康に直結するだけでなく、工期の遅延や会社への信頼失墜にもつながります。現場の安全を守るためには、発生しうるリスクを把握した上で、管理組織全体で体系的な対策を講じることが求められます。
この記事では、建設現場で起こり得る事故のリスクについてご説明するとともに、事故の発生要因などを鑑みた事故防止のための安全対策についてご紹介します。

目次

建設業における労働災害(事故)の発生状況と現状

建設業は労働災害による死傷者数がもっとも多い業種の一つです。厚生労働省によると、死傷災害の全体数は増減を繰り返しながらほぼ横ばいを続けており、建設現場での事故がなかなか減らない状況であることが分かります。2025年は前年と比較すると減少傾向にあるものの、全産業に占める割合は依然として高く、継続的な対策強化が求められています。

建築業における労働災害(死傷災害)発生状況(事故の型別)のグラフ
建築業における労働災害(死亡災害)発生状況(事故の型別)のグラフ

出典:厚生労働省「令和7年における労働災害発生状況(確定)」

令和7年の全産業における労働災害死亡者数は700人、そのうち建設業は214人で全産業の約31%を占めています。また、令和7年の建設業の死傷者数(死亡者数に業務が原因で負傷や疾病を負った労働者数を足したもの※新型コロナウイルス感染症へのり患による労働災害を除く)は13,437人でした。前年の13,849人から減少傾向にあるものの、年間1万人以上の作業員が何らかの労働災害を経験しているのが実態です。
事故の型別にみると、建設業の死亡災害では「墜落・転落」がもっとも多く91人を占めており、次いで「挟まれ・巻き込まれ」「崩壊・倒壊」「激突され」「交通事故(道路)」「飛来・落下」が続いています。これらは建設現場特有の作業環境に起因するものが多く、現場ごとのリスク評価と予防措置が不可欠です。

建設現場で想定される6つの主な事故・リスク事例

建設現場で想定される6つの主な事故・リスク事例

建設現場で起こり得る主な事故には、墜落・転落、崩壊・倒壊、交通事故、激突され、飛来・落下、挟まれ・巻き込まれがあります。建設現場は常に危険が混在する環境であるため、事故・リスクが発生する要因や事例を理解することで、より効果的な予防策の実施につながります。

①墜落・転落

高所作業の機会が多い建設現場では、転落や墜落などの落下事故のリスクが非常に高くなっています。現に、建設業での死傷事故の原因としてもっとも大きなものが、高所からの墜落・転落です。
実際に発生した事故では、トラックの荷台上で積み込み作業を行っている際に荷崩れによって作業員が落下し、負傷した事例などが挙げられます。足場の上で荷物の受け渡し時にバランスを崩し、落下して怪我をした例もあります。

②崩壊・倒壊

埋設物の掘削時における溝や法面などの崩壊、あるいは工事中の建造物の倒壊などに作業員が巻き込まれる事故も想定されます。
民家の解体作業中に突然作業中の壁面が崩壊し、負傷者を出した事例があります。また、狭小地でブロックを積む作業を行っていた作業員が、ブロックの倒壊に巻き込まれた事故の例もあります。

③交通事故(道路)

建設現場敷地からの車両の出入りや、建設機器・建材などを自動車で輸送する際などには、道路交通事故の発生に注意が必要です。
実際に、橋梁改良工事の現場で道路を通行中の自動車にはねられるケースや、作業に従事する作業員を送迎中の自動車が事故を起こすなどの事例があります。

④激突され

大きく重い機械や建材を吊り上げたり、移動させたりする機会の多い建設現場では、それらの機械や建材が作業員に激突することで事故が生じる可能性もあります。
建設現場で木の伐採を行っていた際に、伐採する方向を誤ったため木に激突される事例や、大型建設機器の稼働枠内で作業を行っていた作業員が、建設機器の稼働部に激突された事例などがあります。

⑤飛来・落下

建材や機器・道具類の落下や飛来による事故も想定されます。建設機器で吊り上げて移動させていた建材が落下し、それに作業員が接触したことによる負傷の事例があります。また、建設現場で足場を組んで作業していた際、上の階層での作業に用いる建材を誤って落下させ、下層での作業員が怪我をした事例も報告されています。

⑥挟まれ・巻き込まれ

機器や自動車での作業時に起こる挟まれや巻き込まれも、建設現場で頻発する事故の一つです。ドリル作業中に指が巻き込まれて刃で怪我をしたケースや、現場での自動車作業におけるバック時、後方不注意で別の作業員が壁と自動車に挟まれ怪我をした例などがあります。

なぜ建設現場で事故が発生するのか?5つの要因

建設現場での事故は、作業員個人の問題だけでなく、環境、管理、設備、季節など複合的な要因によって引き起こされます。そのため、各要因を体系的に把握することが重要です。

①作業員の意識的要因

作業員の注意力・集中力の低下や、事前の点検を確実に行わなかったなど、各作業員の意識面が事故を誘発してしまうケースです。

②作業現場の環境整備不備要因

落下の危険がある高所の作業場に手すりを設置していなかったり、足場が確実に組み立てられていなかったりなど、作業環境が正しく整備されていないことにより現場の安全を損ねていたケースです。

③管理的要因

作業員の体調管理がきちんと行われていないケースや、人手が足りていない状況で各作業員に無理な作業をさせていたなどのケースです。激務による疲労が蓄積し、高所作業中に何らかの理由で落下事故が発生した事例もあり、人手不足が指摘されている昨今においては看過できない要因の一つといえます。

④機器・道具的要因

機械や道具の欠陥や不備、劣化などによって事故が誘発されるケースです。機械や道具の標準化が行われていないことや、適切に点検・整備が行われていないこともこれに該当します。

⑤季節要因(事故発生率の高い時期)

建設現場で起こる事故は、季節・時期によって発生率が変動します。夏季は気温が上昇して熱中症リスクが急増するほか、集中力・判断力の低下により事故が発生しやすくなります。一方、冬季は路面凍結による転倒や車両のスリップ事故が増加し、防寒具による動きの制限も事故リスクを高める要因となります。
また、工期が集中する年度末や繁忙期は、作業員の疲労が蓄積しやすい時期です。疲労状態では注意力が低下し、ミスが増加する傾向があるため、特に慎重な安全管理が求められます。

事故を防ぐための基本!現場で徹底すべき「安全作業」「安全注意事項」

安全作業の定着には、ルールを守れる状態を設計する環境づくりが重要です。安全を最優先とする文化を組織全体に根付かせ、KY活動を継続することが事故防止の基盤となります。

安全作業を定着させるためのポイント

作業員の安全意識が低いと、ヒューマンエラーやルール違反による事故が発生するリスクが高まります。重要なのは、社内研修や外部研修などを通じて作業員の安全に対する意識を高め、それを「文化」として現場に根付かせることです。すべての作業員が常に危険と隣り合わせであることを強く意識し、安全第一で作業を行える環境を整えましょう。
また、安全管理は単にルールを守らせるだけでは十分ではありません。誰もが安全に作業できる環境や仕組みを整え、「守らせる」のではなく「守れる状態を設計する」ことが事故防止につながります。

KY(危険予知)活動とは?建設現場における重要性

KY(危険予知)活動とは、作業開始前にその日の作業内容や現場に潜む危険を作業員全員で確認し、対策を共有する取り組みです。リスクアセスメントと混同されがちですが、リスクアセスメントは工事開始前に作業全体の危険性・有害性を洗い出し、リスクに対する評価・対策を行うものです。一方、KY活動は「その日・その場・その作業」に着目した危険予知活動であり、日々変化するリスクへの対応を目的としています。リスクアセスメントと併用することで、より効果的な安全管理が可能になります。

KY(危険予知)活動 リスクアセスメント
目的 その日・その場・その作業に潜む危険を作業員全員で共有する 作業全体に伴うリスクを体系的に洗い出し、低減する
タイミング 作業開始前や朝礼時 工事計画時、必要があれば随時
実施者 職長・現場作業員 現場管理者・安全担当者・職長
対象 当日の具体的な作業内容 作業全体の工程、設備、作業環境
実施方法 「どんな危険があるか」を全員で話し合い、その場でできる対策を共有する 危険源を特定し、リスクの大きさを評価する リスクに対する対策・改善を行う

朝礼やKY(危険予知)活動で共有すべき安全注意事項の例

朝礼やKY活動は、安全情報を共有する重要な機会です。形式的な実施で終わらないよう、具体的なチェック項目を設けることが有効です。

正しい服装・保護具(ヘルメットや安全帯)の着用

ヘルメットは、あごひもの締め付けや内装の状態を確認し、正しく着用します。高所作業では墜落制止用器具(安全帯)を適切に使用し、安全靴や保護手袋、防塵マスク、保護眼鏡なども作業内容に応じて着用しましょう。また、服装は機械への巻き込みを防ぐため、だぶつきのない状態に整えることが重要です。

現場の整理整頓(5S)と安全な動線の確保

5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)は、安全作業の基本です。資材や工具の放置は転倒事故の原因となるため、作業後は所定の場所へ片付け、通路を確保しましょう。また、床面の油や水を除去するとともに、重機と作業員の動線が交差しないよう、動線設計を維持することが重要です。

重機・建設機械の作業前点検と立ち入り禁止区域の遵守

重機や建設機械は、使用前にブレーキや操作レバー、ランプ類、燃料などの始業前点検を実施し、異常があれば使用を中止して報告します。また、クレーンや掘削機械の作業範囲には立ち入り禁止区域を設け、区画ロープや安全標識で明示しましょう。作業時は誘導員を配置し、オペレーターと作業員の合図確認を徹底する必要があります。

建設現場で想定される「事故以外」の重大なリスク

建設現場では事故のほかにも、資材や重機の窃盗・盗難、情報端末の紛失・情報流出、自然災害による工期遅延、現場内でのハラスメントといったさまざまなリスクが存在し、これらも事業継続に深刻な影響をもたらします。

資材や重機の窃盗・盗難

建設現場には高価な資材や重機が数多く保管されているため、夜間・休日の無人時間帯を狙った窃盗被害が全国的に発生しています。たとえば国土交通省関東地方整備局は、発電機、敷鉄板、電線、門扉、建設機械等の盗難事例を公表しています。建設現場では多くの作業員が入れ替わり作業を行うほか、屋外の現場では関係者以外の者が立ち入りやすい環境となっている場合もあり、盗難リスクが高まります。一度の被害で数百万円規模の損害になることも珍しくなく、工期の遅延や追加調達コストの発生にもつながります。

情報端末の紛失・情報流出

建設業においてもIT化が進んでおり、業務用スマートフォン、タブレット、ノートパソコンなどの情報機器を用いた連絡業務や図面確認、施工管理が普及しています。情報セキュリティリスクへの対応が不十分だと、これらの情報端末を紛失したり盗難に遭ったりすることで、顧客情報や設計画面などの機密データが外部に流出するリスクが想定されます。

自然災害による工期遅延・被害

作業時の事故ではなく、地震や台風、大雨、落雷、噴火などの自然災害による被害リスクも存在します。これらの自然災害は、工事の中断や資材の損傷、足場の倒壊などを引き起こす可能性があります。特に近年、気候変動の影響による異常気象が増加しており、ゲリラ豪雨や強風による現場作業の中断が頻発しています。その結果、工期遅延や資材調達の遅れといった影響も深刻化しています。

現場内でのハラスメント問題

作業時の指導や管理、もしくは作業員同士の人間関係に起因するハラスメント(嫌がらせ)も、発生しうるリスクの一つです。作業現場の特色上、複数の業者が元請・下請というそれぞれの立場で参加している構造が問題を複雑化させる要因となります。ハラスメントは被害者の心身への悪影響だけでなく、離職率の上昇、生産性低下、さらには会社としての法的責任も問われます。

組織として取り組むべきリスク管理・セキュリティ対策

従業員個人の意識に頼るだけでなく、リスクアセスメントの制度化や適切な人員配置、物理的なセキュリティ設備の導入といった組織的な対策を組み合わせることが、安全・安心な作業現場体制の構築につながります。

リスクアセスメントの徹底

リスクアセスメントとは、職場のリスク要因を見つけ出してそれを取り除いたり、低減したりするための取り組みを指す言葉です。具体的には、潜在的なリスクの洗い出しを行い、リスクの程度を見積もって対策を検討します。対策がまとまり次第、それを現場で実行する手順となります。

余裕を持った人員配置と適正な管理

人員不足が要因と考えられる事故の事例も、数多く報告されています。特に、建設機器や車両を用いて作業を行う際、誘導員の不足による事故の発生も問題視されています。作業員の管理体制を整えるとともに、余裕を持った人員の確保と配置を徹底することが必要です。

監視カメラや入退場管理システムの導入

適切な労務管理の徹底と、作業員が安心して働ける職場環境を整える上で、監視カメラや入退場管理システムの導入が効果的です。
監視カメラの設置は、作業現場における労働災害の防止や、万が一の事故発生時における状況確認(安全管理)に寄与します。また、ICカードや生体認証を用いた入退場管理は、人員の正確な出入りや滞在時間を把握し、適正な労務管理の土台となります。またこれらは、夜間・休日の防犯対策や、第三者の不正侵入・内部不正のリスク低減といったセキュリティ強化にもつながります。

万が一、建設現場で事故が発生した場合の対応手順と影響

万が一、建設現場で事故が発生してしまった際には、被害拡大を防ぐために「誰が」「何を」するかを事前に決めておくことが重要です。迅速かつ正確な初動対応は、二次被害を防ぎ、その後の影響を最小限に抑えます。

事故発生時の初動対応ステップ

建設現場で事故が発生した場合、迅速かつ適切に初動対応を行わなければなりません。

ステップ1:救命活動・救急要請と二次被害の防止措置

まず事故発生場所への立ち入りを禁じ、現場付近の作業員を退避させます。稼働している機械があれば停止させましょう。この対応で被害拡大を防ぐとともに、二次被害を食い止めます。
同時に現場の状況を把握し、負傷者がいれば救助を行い救急要請します。この救助活動においても、安全な場所で行わなければなりません。並行して現場責任者や上司へ「第一報」を正確に報告します。
救急車を待っている間にも、救命処置と応急手当をします。特に負傷者に意識がない場合には、人命を最優先に行動しましょう。
なお、こういった事態に対応できるよう、あらかじめ救急措置やAED(自動体外式除細動器)の設置場所・使い方を習得しておく必要があります。
救急車が到着したあとは、負傷者に付添人を必ず同行させ、会社へ経過報告させるようにしましょう。

ステップ2:事故現場の保全と調査への協力および必要書類の準備

事故現場は片付けず、そのままにしておく必要があります。災害調査時の重要な証拠物件となるため、立ち入り禁止とし調査を受けられる状況にしておくことが必要です。
調査が始まると、警察や労働基準監督署の聞き取りへの協力を求められます。この際さまざまな書類を提出する必要があるため、それらも準備しましょう。

【災害調査時に必要な書類(新規で作成するもの)】

  • 災害速報
  • 災害までの経過を時系列順に記録した書類
  • 現場写真とそれを説明するための文書
  • 被災者および会社名と会社概要、職長や作業責任者が確認できる書類
  • 事故現場の見取図

リスク発生後に課されるペナルティや影響

万が一事故が発生してしまうと、関係者への損害賠償だけでなく、企業活動そのものに重大な影響が及ぶこともあり得ます。
保険会社との契約料金の値上がり、再発防止のための費用増等の企業自体への負担だけにとどまらず、事業の発注者から指名停止措置を受けることや現場監督に過失責任が問われることなども予測されます。
そして何よりも、企業そのものの信用を著しく低下させ、顧客が離れていくことにもなり得ます。リスクの発生はなんとしても未然に防ぐという意思のもとに、安全管理を徹底しましょう。

建設現場の安全と防犯をトータルサポートするALSOKのサービス

ALSOKでは、建設現場のリスク発生を未然に防ぐためにさまざまなサービスをご提供しています。

防犯カメラ・監視カメラ

ALSOKでは、高画質のカメラで建設現場を24時間監視できる防犯カメラ・監視カメラサービスをご用意しています。屋外・屋内に設置したカメラ映像を通じて、作業中の事故や不審者の侵入、ハラスメント問題の抑止・記録に活用できます。さらに、ALSOKが映像を保管・管理する「ALSOK画像クラウドサービス」も提供しております。クラウドに映像を保存するため、期間が決まっている建設現場でも、レコーダー不要で管理や運用の手間を省けます。

常駐警備

ALSOKでは、建設現場向けの短期常駐警備(人的警備)にも対応しています。建設現場では敷地内への不審者の立ち入りのほか、車両出入時の安全管理や火災・設備不良等による事故の未然防止も求められます。豊富な実績とノウハウを備えたALSOKの警備が、安全に働ける現場づくりをサポートします。

出入管理

ALSOKの出入管理システムは、小規模(1扉)から大規模な現場まで柔軟に管理ができるよう、豊富なラインナップを揃えております。また、顔認証をはじめとする生体認証システムも提供しており、ICカードの偽造やなりすましによる第三者の侵入防止に役立ちます。

災害対策

ALSOKでは、突然発生する災害に備えた備蓄品、災害を想定した訓練、BCP策定の支援、安否確認サービスといったさまざまな災害対策をご提供しています。
平時から十分な備えを行い、災害時に迅速に対応できる体制を整えておくことが重要です。

まとめ

建設現場では、転落・墜落などの労働災害だけでなく、盗難や情報漏えい、ハラスメントといったさまざまなリスクが存在します。これらの事故やトラブルを防ぐためには、KY活動やリスクアセスメントの徹底、適切な人員配置、監視カメラ・入退場管理などの対策を組み合わせ、現場全体で「守れる環境」を設計することが不可欠です。
労働災害の防止はもちろん、多様なリスクにも備えながら、すべての作業員が安全に働ける現場づくりを実現しましょう。