企業の情報は狙われている!情報漏えいの動機・手段・被害・対策を解説

ハッキング
2026.02.26

企業が保有する情報は、営業秘密や顧客情報、技術ノウハウなどの重要な情報資産であり、これらが漏えいすると、企業は競争力の低下や法的責任、ブランドイメージの毀損といった深刻な損害を被る可能性があります。情報漏えいを防ぐためには、リスクアセスメントに着目し、適切な対策を講じることが重要です。

本記事では、企業の情報漏えいの実態と被害事例、実効性のある対策について詳しく解説します。

目次

あらゆる理由で情報を盗もうとしている人や組織がいる

企業の機密情報のイメージ

企業が保有する情報は、さまざまな目的を持つ攻撃者から狙われています。以下では、情報窃取の主な動機について解説します。

営業判断・技術情報の収集

競合他社が自社の優位性を確保するために、他社の営業戦略や技術情報を不正に入手しようとするケースがあります。特に技術革新が激しい業界では情報窃取のリスクが高く、新製品の開発計画、製造技術、研究データなどが標的となります。これらの情報が漏えいすると、競争優位性の喪失や売り上げ・利益の減少につながるおそれがあります。

経営判断・価格交渉情報の窃取

企業の経営計画や財務情報、価格設定の根拠となるデータも重要な標的です。M&Aの交渉内容や契約条件などが漏えいすれば不利な立場に立たされ、経済的損失を被るおそれがあります。価格交渉の材料となる原価情報や利益率が外部に知られると、適正価格での取引が困難になり、収益性も大きく損なわれます。

個人情報の取得と不正利用

顧客や従業員の氏名、住所、電話番号、家族構成、クレジットカード情報などは、犯罪組織にとって金銭的価値を持つ情報資産です。窃取された個人情報は詐欺行為や不正利用に悪用され、闇市場で売買されることもあります。近年は、マイナンバーや医療情報といった機微情報や要配慮個人情報を狙った攻撃も増加しています。

企業の評判を下げる目的

競合他社や利害関係者が、標的企業の評判を意図的に損なう目的で情報を窃取するケースもあります。内部資料や電子メールを不正に入手し、文脈を無視して公開することで企業の信頼性を失墜させる悪質な行為です。一度公開された情報は瞬時に拡散され、ブランドイメージに深刻なダメージを与えることがあります。

金銭目的

企業の機密情報を窃取したうえで、情報を公開しない代わりに金銭を要求するランサムウェア攻撃が多く発生しています。攻撃は組織化されており、高度な技術を駆使して標的を狙います。さらに、窃取した情報を闇市場で売却して利益を得る犯罪も確認されています。

内部不正

従業員や退職者による内部不正も、情報漏えいの大きな原因となっています。不満を抱いた従業員が報復目的で情報を持ち出したり、転職先で有利な立場を得るために営業秘密を持ち出したりするケースがあります。

サイバー攻撃の踏み台化

サイバー攻撃では、企業のシステムが別の組織への攻撃の踏み台として利用されることがあります。不正侵入した企業のネットワークやサーバーを経由して第三者を攻撃することで攻撃元を隠し、追跡を困難にする手法です。踏み台にされた企業は、直接的な被害を受けるだけでなく、他社への攻撃に加担したとみなされ法的責任を問われるリスクもあります。

国内で発生した情報漏えいの事例

近年の国内では、内部不正・ランサムウェア・委託先経由など多様な経路で情報漏えいが発生しています。例えば、国内通信大手では元派遣社員が2013~2023年に928万件の個人情報を不正に持ち出し、2024年に有罪判決が言い渡されました。大手飲料メーカーではランサムウェア攻撃によって最大約191万件の漏えいの可能性を公表し、その後約11万5千件の漏えいを確認しました。医療機関では大学病院がランサムウェアにより患者約1万人分の個人情報を外部に窃取され、医療機器保守用VPNが侵入経路と確認されています。

企業が情報収集される主な手段

企業が情報収集される手段は、大きく分けてOSINT・SIGINT・HUMINTの3つに分類されます。

OSINT(公開情報から収集)

OSINT(Open Source Intelligence)は、インターネット上の公開情報を収集・分析して情報を得る手法です。企業サイト、プレスリリース、SNS、求人情報、公開資料などから活用技術や事業計画を把握します。一見無害に見える情報でも、複数の情報を組み合わせて分析することで、企業の機密情報を推測することが可能になります。

SIGINT(通信傍受、電子信号の解析)

SIGINT(Signals Intelligence)は、電子信号や通信内容を収集・分析して情報を得る手法です。無線通信の傍受、ネットワークトラフィックの監視、電子メール通信の傍受などが含まれます。暗号化されていない通信は容易に傍受されて内容を解読されるリスクがあり、暗号化通信でも通信パターンやメタデータから重要な情報が推測されるおそれがあります。例えば、会議室に盗聴器を仕掛けて機密会議を録音したり、通話内容を傍受したりする行為は、SIGINTに分類される場合があります。近年は、スマートフォンをマルウェア感染させ、マイクやカメラを遠隔操作して盗聴・盗撮を行う手口も確認されています。物理的な盗聴器だけでなく、デジタル機器を介した盗聴にも警戒が必要です。

HUMINT(人を介して情報を収集)

HUMINT(Human Intelligence)は、人を介して直接情報を収集する手法です。内部関係者と接触して機密情報を聞き出したり、偽装した身分で施設に潜入し情報を窃取したりします。人間の心理的弱点を突くため、技術的対策だけでは防ぎきれない脅威となります。

情報を持ち出されることによるリスクと対策

企業の収益低下のイメージ

企業の情報は、設備や資金と並ぶ重要な経営資源です。顧客データや技術ノウハウなどの情報資産は、企業の競争力を支える基盤であり、適切に保護する必要があります。情報が流出すると、経済損失だけでなく長年築いてきた信用や市場地位を失い、事業継続そのものも危機に陥ります。情報資産の保護は、単なるコンプライアンス対応ではなく、企業の持続的成長を実現するための経営課題です。

機密情報・ノウハウの流出による競争力の喪失

先述したように、機密情報やノウハウが流出すると、企業が長年培ってきた競争優位性が失われ、収益性も大幅に低下します。特に独自技術に依存する企業の場合、中核技術の流出は致命的となり、新製品の開発計画の漏えいは機会損失を招きます。対策として、アクセス権限の最小化、重要データの分類、持ち出し制限、アクセスログ監視、退職者のアカウント管理が重要です。

情報漏えいによる法的リスク、損害賠償などの対応費用が発生

情報漏えいが発生すると、個人情報保護法違反による行政処分に加えて、顧客や取引先から損害賠償請求を受ける可能性があります。漏えいした件数や内容次第では賠償額が数億円規模に及び、企業の財務状況に深刻な影響を与えます。訴訟対応のための弁護士費用や和解金も負担となるため、情報管理規定やプライバシーポリシーの整備、情報の暗号化、委託先の管理、サイバー保険などリスク移転の検討が重要です。

取引先からの信頼関係の失墜、ブランドの毀損

SNSなどの普及により、情報漏えい事故を起こすと瞬時に拡散され、企業の信頼性は大きく損なわれます。顧客離れや既存取引の解約、新規契約の獲得困難、さらには採用への悪影響も生じます。ブランドイメージの回復やコンプライアンス体制の再構築には多大な時間とコストが必要です。ISO/IEC 27001等の情報セキュリティの認証取得、インシデント対応チームの設置(個人情報保護委員会への報告、顧客への通知、専用窓口等)などにより、普段からの体制整備が欠かせません。

営業停止、事業継続への影響

重大な情報漏えいが発生すると、企業は営業停止や業務を中断せざるを得ない場合があり、取引先や顧客の信頼低下から契約解除につながり、売上の減少を招くことがあります。さらに、所管官庁による業務改善命令や検査・報告徴求、行政指導・罰則、損害賠償請求への対応が必要となり、企業の経営資源を大きく消耗します。こうしたリスクに備えるためには、バックアップやシステム冗長化、重要システムのネットワーク分離、BCPの策定・訓練など、日頃からの体制強化が不可欠です。

不正アクセス、二次被害の発生

情報漏えいをきっかけに、さらなるサイバー攻撃を受けるリスクが高まります。漏えいした認証情報を悪用した不正アクセスや情報窃取、システム破壊、顧客情報の不正利用などの二次被害も発生するおそれがあります。被害拡大防止には、多要素認証の導入、EDR・UTMによる侵入検知、ID管理や認証基盤の強化が重要です。

情報漏えい対策を効果的に機能させるポイント

情報漏えい対策を効果的に機能させるためには、技術的対策と人的対策を組み合わせた総合的なアプローチが必要です。従業員教育と運用ルールの徹底、近年の事例を踏まえた重点対策、外部専門機関との連携が重要になります。

従業員教育と運用ルールを徹底する

従業員のセキュリティ意識と倫理観の向上は重要な予防策になります。年に1~2回、情報漏えいのリスクと対策に関する研修を実施し、適切な行動を促します。あわせて運用ルールを明確化し、機密会話を避ける場所や重要書類・デバイスの保管方法など、具体策を周知徹底しましょう。

近年の傾向を踏まえた重点対策を行う

リモート保守機器の設定見直しや委託先管理の徹底に加え、安全なバックアップを残し、ネットワーク機器設定の定期点検を実施しましょう。

外部の専門機関とも連携する

高度化・多様化する脅威には、社内のみでの対応には限界があります。外部の専門機関と連携することで、セキュリティ診断や脆弱性評価から自社の弱点を発見することが可能です。インシデント発生時も専門家との連携体制を整えておくことで、迅速かつ適切な初動対応で被害拡大を防ぎます。

企業のリスク管理に役立つALSOKのサービス

ALSOKでは、企業の情報資産を守るための包括的なセキュリティサービスを提供しています。物理的なセキュリティ対策からサイバーセキュリティまで、多様なソリューションで企業のリスク管理を支援します。

事件・事故対策

物理ペネトレーションテスト

ALSOKの物理ペネトレーションテストは、警備現場で培った豊富な経験と実践的な知見により、サイバーセキュリティリスクを実証的に評価します。これにより、不正侵入や重要データの窃取などの物理的脅威や脆弱性を検証し、実効性の高いセキュリティ対策の構築を支援します。

機械警備

ALSOKの機械警備システムは、24時間365日監視し、不正侵入や火災などの異常発生時にはALSOKが駆けつけて対応します。夜間や休日など無人となる時間帯の施設を確実に守り、異常を早期に感知し適切に対処することで、不正侵入による情報窃取を防止します。

防犯カメラ・監視カメラサービス

ALSOKでは、高画質のカメラで施設内外を24時間監視できる防犯カメラ・監視カメラシステムをご提供しています。不審者の侵入や従業員の不正行為を抑止する効果があり、異常発生時の事実確認や複数拠点の状況の一元管理にも役立ちます。

出入管理・入退室管理システム

ALSOKの出入管理システムは、1扉の簡易な出入管理システムから大規模ビルに対応したシステムまで豊富なラインナップを揃えております。また、顔認証をはじめとする非接触認証システムも提供しており、なりすましやICカードの偽造による不正侵入の防止に貢献します。

常駐警備・施設警備

訓練を受けたALSOKの警備員が常駐し、施設規模や運用に応じた警備体制を構築します。来訪者の確認や巡回監視、緊急時対応などを行い、総合的なセキュリティレベルの向上に貢献します。

盗聴器・盗撮器探索サービス

ALSOKでは、専門機器を使用して不審電波がないかを確認する盗聴器・盗撮器探索サービスを提供しています。盗聴・盗撮による情報漏えいを未然に防ぎ、安心して重要な会議や商談を行える環境を確保します。

災害対策

BCPソリューションサービス

ALSOKのBCPソリューションサービスは、BCP(事業継続計画)の策定から運用・訓練・見直しまでをトータルサポートします。災害現場で培った知見を活かし、突然発生する災害から情報資産を守るための体制構築を支援します。

まとめ

企業の情報資産は、競合他社や犯罪組織、内部不正など多様な脅威に備える必要があります。自社のリソースだけでは対応が困難な部分については、専門機関と連携しつつ対策を強化しましょう。
情報漏えい対策は、サイバーセキュリティとフィジカルセキュリティの両面から総合的に取り組むことが重要です。どちらか一方に偏った対策では、もう一方の弱点を突かれて情報が漏えいするリスクがあるため、企業の情報資産を多角的に保護する体制の整備が求められます。さらに定期的にリスク評価を実施し、新たな脅威に対応できる柔軟な体制を維持していくことが、企業の情報資産を守る鍵となります。