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開業資金は?資格は?飲食店事業計画の立て方と注意点

開業資金は?資格は?飲食店事業計画の立て方と注意点
2020.08.21

さまざまな理由で、飲食店の開業を検討している方は数多くいらっしゃるでしょう。しかし同時に、飲食業を新規開業し長く継続していくことは大変だと聞いたことはありませんか?
早々に店をたたむような事態を避けるために、開業前には入念に準備を行いましょう。
そこで今回は、飲食店を開業する前にはどのような計画を立てるべきか、またその際どのような点に注意を払って計画すべきかについてご紹介します。

飲食店の開業動向

飲食店の開業動向

日本国内で、どのくらいの数の飲食店が開業し、どのような業態での新規開業が多くなっているのでしょうか。統計調査などをもとに、飲食店開業の状況についてまとめました。

1.上昇傾向の開業率と廃業数

平成18年から21年にかけての事業所新設存続廃業数集計結果によると、この期間に新規開業した飲食店の数は「75,154店」です。また、中小企業庁の調査によると、開業率は1997年から上昇傾向となっており、飲食店の市場規模拡大が伺えます。
しかし、同じ期間内に廃業した既存飲食店の数は「164,404店」となっています。新規開業する店舗よりも、廃業する店舗の数が実に2.2倍近く多いというシビアな結果です。
この数字だけを見ても、飲食店を開業後に長く続けることのハードルの高さが分かります。

2.飲食店開業にあたり押さえたい、「人気の高い業態」とは?

飲食店の開業にあたり、どの業態を選択するかお悩みの方も多いでしょう。2019年に新規開業した飲食店の業態別の傾向を見ると、外国人観光客を意識した和風カフェやお茶カフェが新業態として目立っています。また、2019年を象徴するブームと言って良いほどの人気を呼んだタピオカドリンクの店も数多く開業しました。

しかし2020年を迎え社会情勢も一変したため、今後は流行を追うよりは根強く人気があり手堅いイメージの食材や料理を取り扱う店舗が多くなると考えられます。実際に、早期の廃業が少ない飲食店の業態として「日本料理店」や「うどん・蕎麦店」、「寿司店」などが挙げられています。この理由には、時期による流行や味の好みなどに集客が左右されにくい点が指摘されています。

コンセプトや開業資金など、事業計画の作成

コンセプトや開業資金など、事業計画の作成

飲食店の新規開業準備に取り掛かる前に、開業する店舗のコンセプトや経営理念などを明確にしておく必要があります。必要となる資金やその内訳も、あらかじめ打ち立てておいたコンセプトに基づいて設定することで現実的な具体化が可能となるでしょう。

1.コンセプト設計のポイント

店舗コンセプトの設計において前提となるのは「経営理念」です。経営理念を先に設定しておき、それに基づいて店のコンセプトを設計しましょう。
経営理念とは「飲食店を開業すると決めた理由」です。たとえば「食で地域を豊かにしたい」「お客様がくつろげる場所を作りたい」など、どうして飲食店を始めると決めたのかが分かる言葉を簡潔にまとめると良いでしょう。その上で、経営理念に沿って継続的にどのような経営を行っていきたいかを「ビジョン」としてまとめます。

コンセプト設計とは「ビジョンに沿う店舗にするため『何』を『どんな場所』で、『誰に』『どのくらいの費用で』提供するか」など、お店の概要を具体化することです。
経営理念やビジョンをしっかり立て、それに沿って店舗のコンセプトを練っていくことで、店舗の特徴や経営にも一貫性が生まれます。

2.必要な開業資金を検討する

新たに飲食店を始めるためには、開業資金が必要です。それをどのような手段で調達し、自身でもどのくらい準備しておくべきかきちんと計画を立てましょう。

10坪(約33㎡)ぐらいの小規模店舗でも、ローコスト住宅の建物部分を1軒新築するぐらい(約1,000万円)の開業資金が必要と言われています。もちろん、立地や店内設備などにこだわればそれ以上かかる場合もありますし、居抜きなどで費用を抑える工夫をすればもう少し抑えられる場合もあります。

融資を受けることで開業資金を調達する方法はありますが、その場合も自己資金(手持ちのお金)はある程度準備しましょう。自己資金が少なすぎると、融資の審査をクリアできない可能性が高くなってしまいます。可能であれば開業資金の総額のうち、半分から3分の1ぐらいは自己資金とすることが望ましいでしょう。

開業時に必要となる資金として、お店の場所を確保する費用(物件取得費用)や、設備の設置・改装の費用(工事費)をイメージできる方は多いでしょう。しかしその他にも、経営を軌道に乗せるまでの家賃や人件費、必要経費なども余裕を持って用意しておく必要があります(開業費)。

3.具体的な事業計画の策定

店舗に限らず何らかの事業を始める際には、事業計画を必ず策定しましょう。開業後の事業を円滑に進めるために必要であることは勿論ですが、開業費の調達手段としても事業計画書が非常に重要となるからです。

開業費を自己資金だけではなく、その他の資金調達手段と組み合わせて賄うことを検討している方は多いと思います。なかでも、日本政策金融公庫の創業融資や、国や自治体の助成金・補助金を活用することを考えているという方はかなりいるでしょう。
なお、助成金・補助金は原則として「後払い」扱いとなるため、開業前に資金を受け取って開業のために使うことはできません。純粋な開業資金として受け取れるのは、「前払い」扱いとなる創業融資に限られることとなります。

創業融資を受ける際には「事業計画書」を必ず提出する必要があります。その審査内容に応じて融資の可否および金額が決定されますので、開業費調達のためにも事業計画書の作成は必ず実施しましょう。日本政策金融公庫の創業融資を申し込む場合は、専用の事業計画書フォーマットに記入のうえ提出します。

もちろん資金調達のためだけではなく、開業後の事業をスムーズに進めるためにも事業計画書は開業に備えて必ず作成しましょう。

具体的な開業準備

具体的な開業準備

コンセプトが明確になり資金計画が定まったら、具体的に開業に向けて行動すべきことをまとめておきましょう。

1.利用できる補助金・助成金について調べ、必要なら申請を

飲食店の開業には、先にもご紹介したように日本政策金融公庫などが取り扱う開業資金の融資制度があります。それに加え、開業する地域によっては飲食店の開業に補助金や助成金の制度を設けている場合もあります。

補助金や助成金は、融資と異なり返還の義務がありませんが、受給には一定の条件をクリアすることが必要です。開業に際しそれらの条件を満たせるかどうかを確認し、目処が立つなら申請をしましょう。

助成金は比較的受給のハードルが高くないと言われていますが、助成金より金額が高いことの多い補助金は、受給条件が複雑で審査に通る確率も低めです。特に補助金の場合は事業計画書の内容が審査通過に大きく関わるため、現実的かつ独自性の高い事業計画書を作成し提出することが求められるでしょう。

2.店舗物件を探す際のポイント

物件を探す際は立地の良さや交通の利便性などに気を取られがちですが、それ以外にも見ておきたいポイントがあります。まずは店舗のコンセプトを振り返り、そのコンセプトにマッチした集客を行える環境かどうかという点です。たとえばコンセプトがビジネスマン向けの店であれば、働き盛り世代がランチタイムや仕事帰りに通りかかる環境が適しているなどです。

また毎月かかる経費として、家賃も慎重に考慮の上物件を探さなければなりません。飲食店の経営上、適正な家賃の目安として知られているものに「売上の10%未満」という基準があります。事業計画を策定する際に「1日あたり10万円の売上」を予想した場合、ひと月の営業日数を25日とすると1か月あたりの売上は「250万円」となります。この場合、家賃「25万円未満」の物件を検討することが適正と言えるでしょう。

開業資金を抑えて設備の整った物件に入居したいなら、始める業態に合う設備や内装がすでに揃った「居抜き」として活用できる物件を探すことも1つの手です。

3.開業時に必要な資格を取得しておくこと

飲食店を開業する際には、最低限2つの資格が必要となります。1つ目は「食品衛生責任者」、2つ目は「防火管理者」です。
食品衛生責任者資格は、開業する都道府県で実施している講習を受講することで取得が可能です。ただし、調理師または栄養士の有資格者の場合は受講免除で取得できます。

防火管理者資格も、開業する地域で消防署が行っている防火管理講習を受講することで取得できます。なお、防火管理者資格が必須となるのは、30人以上の収容が可能な飲食店に限られます。とはいっても、将来的に移転などによる規模拡大の可能性を視野に入れているなら、取得しておいた方が良いに越したことはないでしょう。

4.保健所・消防署への届け出

税務署への開業届や、社会保険・雇用保険・労災保険の加入といった諸手続きは、どのような業種においても開業時に必要です。これらに加えて飲食店の場合は、保健所での「食品営業許可申請」と、消防署での「防火管理者選任届」の手続きが必要となります。なお、防火管理者選任届は30人以上を収容できる店舗を開業する場合にのみ必要です。

保健所への届け出は店舗が出来上がる10日前ぐらいまで、消防署への届け出は営業を始める日までに済ませましょう。
また、深夜(0時以降)に酒類の提供を予定している場合は、警察署に「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」を出します。こちらは、営業を始める日の10日前までに提出が必要です。

まとめ

今回は、飲食店を開業する際にどのような計画や準備が必要で、どんなポイントを押さえると良いかについてご紹介しました。
「飲食店を経営してみたい」と、多くの方が1度は思い描いたことがあると思います。しかし、長く続けにくい業種の代表的存在としても挙げられやすいのが飲食店です。開業後早めに経営を軌道に乗せ、長続きさせるためには入念な準備と綿密でぶれない事業計画の策定が重要です。きっちりと事業計画書を作っておき、それを自身で理解した上でビジネスを実践することは必須とも言えるでしょう。

開業に際して国や自治体からの補助金や助成金を受給したい場合にも、事業計画書は受給審査に大きく関わります。
「経営理念」「コンセプト」「資金や収支計画」が具体化できたら、それらを盛り込んだ事業計画書を作り、その内容を自身の言葉で説明できるようにしておくと良いでしょう。

次の記事では飲食店の開業にあたって必要なことをご紹介します。準備すべきことを順序立てて説明しますので、開業をご検討中の方はぜひご参考にしてください。