さすまたとは?防犯に活かす正しい使い方や訓練方法について解説
本記事では、さすまたの基本的な役割から正しい使い方、種類・選び方、注意点、訓練方法まで詳しく解説します。
大切な命を守るための防犯グッズのうち、不審者・侵入者への「時間稼ぎ」に適しているのが、さすまた(刺股、刺又)です。学校や店舗、施設など不特定多数の人が集まる場所では、不審者による侵入事件が後を絶ちません。こうした治安情勢のなかで、施設の防犯対策としてさすまたをはじめとした護身用具の配備が進んでいます。ただし、効果的に機能させるためには、正しい使い方や適切な訓練が欠かせません。
【この記事で分かること】
- さすまた(刺股)とは何か、目的と防犯上の役割
- 不審者対応時の正しい使い方とやってはいけないNG動作
- 施設や用途に合ったさすまたの種類と選び方
- 実践的な訓練の進め方と定期的な実施の重要性
目次
さすまた(刺股)とは?教職員や店舗スタッフが不審者対応で使う防犯ツール
さすまた(刺股、刺又)とは、叉護杖(さごじょう)とも呼ばれ、長さ2~3メートル程度の柄に大きなU字型の金具がついた護身用具です。不審者を捕まえるための道具ではなく、U字部分で相手の身体を壁や床へ押し当てることで動きを封じ、警察が到着するまでの時間を稼ぐことを目的としています。学校や保育施設、店舗、オフィスなどさまざまな施設で広く導入されており、教職員や店舗スタッフが使用する護身・防犯ツールとして位置づけられています。
古くは室町時代に使用された武器にルーツを持ち、江戸時代の捕物や町火消の道具として用いられたことでも知られています。
文部科学省の「学校安全の推進に関する計画に係る取組状況調査(令和5年度実績)」によると、さすまたは全国の学校のうち92.2%に配備されています。
また、警察庁によると、2025年における学校を対象とした侵入窃盗の認知・検挙件数は、前年と比較すると悪化傾向にあります。学校荒らしや施設への不法侵入は引き続き社会的な課題であり、こうした背景からさすまた・盾・ネット発射機などの防犯設備を配置し、不審者対策を継続する必要があります。
参考:文部科学省×学校安全「学校安全の推進に関する計画に係る取組状況調査(令和5年度実績)」
警察庁 犯罪統計資料(令和7年1~12月【確定値】)
さすまたの目的は「時間稼ぎ」
江戸時代の捕物のイメージ等から、さすまたは「不審者・侵入者を取り押さえるもの」と誤解しているケースがあります。
しかし、さすまたは相手を凶行に走らせないための威嚇や、警察が到着するまでの時間稼ぎのための道具であり、相手を捕まえるためのものではありません。警察庁の「令和4年版 警察白書」によると、令和3年(2021年)の110番通報後の現場到着時間(リスポンス・タイム)は、平均8分24秒でした。この8分24秒の間、身を守り、生徒や従業員、お客様の命を守るための道具として、さすまたがさまざまな施設に配備されています。
さすまたの正しい使い方
さすまたを有効に活用するためには、「胴押さえ・袈裟押さえ・足押さえ」の基本動作を習得し、複数人で役割分担して正しく使用することが重要です。単独での使用や誤った動作は、かえって危険を招くリスクがあります。
本章では、学校や施設の職員など複数人で対応する場面を想定し、相手との距離を保ちながら安全に時間を稼ぐ使い方を解説します。
胴押さえ・袈裟押さえ・足押さえの3つの基本動作
さすまたで相手をけん制する時の基本動作は、胴押さえ・袈裟押さえ・足押さえの3つです。さすまたのU字部分の先端はゴムでできており、滑り止めの役割を果たすため、うまく壁に押さえつけることで、不審者の動きをけん制できます。相手を壁やコーナーに追い詰めるようにさすまたを使用しましょう。
その他、相手が床に倒れた場合は、距離をとって床に押さえつける方法もあります。さすまたの長さは2~3メートル程度あるため、相手の凶器が届かないところから、安全に相手の動作を制限することができます。
しかし、無理に相手を制圧しようとするのではなく、あくまでも警察・警備員が来るまでの時間稼ぎとしてさすまたを使用しましょう。
1人ではなく大勢で囲むように使う
さすまたを使ううえで大切なのが、1人で犯人に立ち向かってはならないという点です。さすまたは長物であり、不慣れな方には取り扱いが難しく、特殊警棒のような防犯用品と違って小回りも効きません。怪我をさせられるリスクも高まりますし、さすまたを犯人に奪われてしまい、より対処が困難になる可能性もあります。原則として、1対1で不審者に相対することは避けましょう。複数の教員・職員・従業員で連携し、大勢で囲むようにさすまたを使うのが理想的です。1対1だと壁や床がなければ確保が困難ですが、複数のさすまたで囲むことで、相手の動作をより制限しやすくなります。また、不審者にとっても相手が複数であれば威嚇効果が高まり、凶行に及びづらくなります。これからさすまたを導入する場合は、複数人で対応することを想定して、必ず複数本用意しましょう。
距離感・角度のコツ
さすまたを使用する際は、柄の長さを活かして1.5~2メートル程の距離を保つことが基本です。近づきすぎると相手に柄を掴まれたり、攻撃を受けたりするリスクがあります。押し当てる角度は、水平よりも下向きにすると動きを制限しやすくなります。さらに、壁や柱などに追い込みながら押し当てると、より高い効果が期待できます。
やってはいけないNG動作
さすまたは、「押し当てて固定する」ためのものです。押したり引いたりを繰り返すだけでは効果がないため、相手を押さえてしっかりと固定することが重要です。高く構えすぎる、振り回すといった行為は、周囲を傷つけるおそれがあります。また、単独で突進するとさすまたを奪われたり負傷したりする危険があるため、複数人で対応しましょう。
実際の現場では、文章や図だけでなく専門家による指導が安全性を高めます。
ALSOKでは、学校・教育施設向けの防犯コンサルティングサービスを提供しています。さすまたの使い方や設置方法も含め、施設の実情に合わせた安全対策をご提案します。
さすまたの種類と選び方
さすまたの主な種類には、アルミ素材、スチール素材、伸縮式、足用などがあります。素材や形状により特徴が異なるため、使用者の体力や設置場所、対応人数に合わせて最適なものを選ぶことが重要です。
アルミ素材
アルミ素材のさすまたは、軽量で錆びにくいことが最大の特徴です。軽いため、力に自信のない女性や高齢者の方でも比較的使いやすい点に優れています。学校や保育施設、幼稚園などへの設置に適しており、持ち出し時間を短縮できるという利点もあります。
スチール素材
スチール素材のさすまたは重量と強度がある分、押し当てた際の安定感が増します。一方で扱うには力が必要なため、単独よりも複数人で使用することが前提です。商業施設やオフィスビルなどスタッフが連携できる環境や、出入口付近、廊下への設置に適しています。
伸縮式
伸縮式のさすまたは、使用しない場合はコンパクトに縮めて収納できるため、保管場所を取らないという利点があります。そのため、小規模施設のような限られたスペース、複数本の備え付けが推奨されるオフィスや商業施設への設置に向いています。使用前に伸ばす動作が必要なため、使い方に慣れておくための定期訓練が欠かせません。
足用
足用のさすまたは、相手の足の動きを封じることに特化した製品です。不審者の逃走や接近を防ぐための足止めとして使用することで、移動を制限しながら時間を稼ぐ場面に適しています。特に病院や介護施設、福祉施設では、患者や高齢の利用者が多く行き来しているため、足用さすまたで足止めすることで安全に対応できる場合があります。通常のさすまたと併用することで、より高い効果が期待できます。
さすまたの購入場所と費用相場は?
さすまたはECサイトやホームセンター、防犯用品専門店などで購入が可能です。価格帯は製品の素材・形状・メーカーごとに異なり、2,000円~20,000円程と幅広いラインナップがあるため、施設の用途や予算に合わせて選定することをおすすめします。
さすまたを活用する際の安全上の注意点
さすまたは、護身・防犯目的の範囲内で使用することが法的にも求められます。正当な理由なく相手を傷つけた場合は傷害罪に問われる可能性があり、周囲の利用者への安全確保と役割分担による二次被害防止も不可欠です。
護身具としての役割
さすまたは、不審者を捕らえるものではなく、不審者から遠ざけるためのけん制や、安全確保の目的で使用するものです。相手を正当な理由なく傷つけたり、必要以上の力を加えたりする行為は避け、正しい理解のもとで運用することが重要です。
使用時の安全確保・二次被害防止
さすまたの使用時は、柄や先端部が周囲の人に当たらないよう、背後や側面の安全を確認してから動作することが基本です。また、不審者対応と避難誘導を1人でこなすことは困難なため、事前にさすまた担当と避難誘導担当を決めておきましょう。役割分担をしておくことで、パニックや転倒などの二次被害防止につながります。
防犯対策としてのさすまたの活用法
さすまたは設置場所の工夫、他の防犯グッズ、定期的な訓練の実施という3つの要素を組み合わせることで、防犯対策としての効果を最大化できます。
配置場所・保管方法のポイント
さすまたは、緊急時にすぐに使える場所への設置が重要です。不審者が侵入しやすい出入口や玄関、廊下、またスタッフが常駐している事務室や受付付近などに配備することで、迅速な対応へとつながります。壁掛けホルダーや専用ラックを使って壁面に固定することで、安定して取り出しやすくなります。
他の防犯グッズとの組み合わせ
さすまたはあくまでも不審者の動きを抑えるためのツールであり、単独の対応では限界があります。そのため、ネットランチャーや防犯ブザーなど他の防犯グッズや、監視カメラ、入退室管理などのシステムを組み合わせることで、不審者の侵入を抑止する効果が期待できます。
定期的な訓練の実施
防犯対策においてもっとも重要なのは、器具を備えるだけでなく、実際に使える状態にしておくことです。さすまたは取り扱いが難しいため、自治体や企業の講習会に参加し、正しい使い方を習得することが必要です。また、あらかじめ学校、店舗、オフィスの侵入経路を想定した実動訓練を定期的に実施することで、緊急時でも冷静に対応しやすくなります。
さすまたを活かすための訓練方法
さすまたの訓練は、基礎動作の習得、ロールプレイング形式の実践練習、定期的な繰り返しという三段階で進めることが効果的です。訓練を積み重ねることで、緊急時に適切な行動がとれるようになります。
基礎訓練メニュー
訓練の第一歩は、持ち出し、構え、押し当て、移動など基本的な動作を確実に習得することです。「持ち出し訓練」では保管場所から素早く取り出して構える動作を確認し、「構え訓練」では正しい持ち方や姿勢を身につけます。「押し当て訓練」や「移動訓練」では、適切な距離感と力加減、立ち位置を習得します。日頃から繰り返し訓練することで、緊急時にも落ち着いて対応できる体制づくりにつながります。
実践的なロールプレイング訓練
基礎動作を習得した後は、不審者侵入を想定したロールプレイング訓練を行います。複数名がチームとなって1人が不審者役を演じ、残りのメンバーがさすまた対応・通報・避難誘導の役割をそれぞれ担当します。訓練後は振り返りを行い、動作や連携面の課題を共有し、改善につなげることが重要です。
訓練の頻度
さすまたの訓練は、年2回以上の定期実施が推奨されます。例えば、学校においては、年度初めや学期の変わり目など、教職員・スタッフの入れ替わりに行うことで、基本動作の定着につながります。また、外部講師による実践訓練や、警察署と連携した防犯訓練への参加も有効です。全スタッフが参加することで役割分担の共通理解を深め、緊急時の連携精度を高めることができます。
児童・生徒を守るために学校の安全対策を
防犯カテゴリの製品の中でも、さすまたは不審者・侵入者の動作を制限し、警察が駆けつけるまでの時間を稼ぐことに長けています。不審者・侵入者への対応だけでなく、日常的な施設管理や教職員・スタッフへの教育まで、多面的な視点から防犯体制を構築することが、学校や施設における安全確保の根幹となります。大切な命を守るため、さすまたをはじめとした防犯用品の導入・整備を進めましょう。
ALSOKでは学校を対象に、さすまたの使用練習も含めた、「学校 防犯コンサルティング(SSTS)」を提供しています。
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学校をまるごと守る、学校安全の主治医
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さすまたは、不審者との距離を保ちながら動きを制限し、警察が到着するまでの「時間稼ぎ」のための防犯グッズです。学校や店舗、オフィスなど多くの施設で導入されていますが、効果を発揮するためには正しい使い方の理解が欠かせません。使用時は、不審者へのけん制と自身の安全確保を目的とし、適切に活用することが重要です。さらに防犯カメラなど他の防犯対策と組み合わせ、実践的な防犯体制を整えることが安全確保につながります。





















