通り魔に遭遇した時の対応は?防犯対策について解説
縁もゆかりもない人を無差別に襲う通り魔。
法務総合研究所研究部がまとめた殺人事件の動向によると、通り魔殺人事件の平均認知件数は年6.5件で、多いときは年間10件以上に達することもあります。[注1]
突発的な事件を予防するのは困難ですが、通り魔の心理や、万一遭遇した場合の対処方法をしっておけば、被害を最小限に防ぐことが可能です。
今回は、通り魔の心理や遭遇したときの対応方法、効果的な防犯対策についてご説明します。
[注1]法務総合研究所研究部報告50
通り魔の心理を知る
通り魔事件の被害に遭わないためには、通り魔を起こす犯人の心理を知り、行動パターンなどを読み解く必要があります。
ここでは通り魔事件を引き起こす犯人の心理について、3つのポイントにまとめました。


1人の集まる場所を狙う
通り魔事件を起こす犯人の多くは、家庭や社会などに対し、長期間にわたって不平や不満を抱いている傾向にあります。
理想の自分と現実の自分に大きな乖離があり、その原因は自分ではなく、他人のせいと思い込みます。
その結果、他者や社会に対する恨み・不満が鬱積し、社会を構成するすべての人間に敵意を向けるようになります。
実際、通り魔事件を起こす犯人は「誰でもよかった」と供述するケースが多く、特定の誰かではなく、手にかける人数を重視していることが伺えます。
たとえば2008年に東京・秋葉原で起こった「秋葉原通り魔事件」は、とくに人通りの多い日曜日の歩行者天国が現場となっています。
2過去の事件を模倣する
センセーショナルな通り魔事件はテレビなどで大々的に取り上げられ、犯人のくわしい手口も報道されます。
もともと他者や社会などに強い憤りや不満を持つ人間は、大量殺人を成し遂げた人間に崇拝や称賛の念を抱きやすく、他の事件がきっかけになるケースもあります。
3自らの命を絶つことを目的としている
通り魔事件は自分の境遇に不満を抱くあまり、他者への怒りとともに、大きな絶望も感じています。
しかし、自らの手で命を絶つことに抵抗や恐怖を感じるため、通り魔事件や大量殺人を犯して死刑を求刑されることを望んでいる節があります。
自分の身を守らなくて済むぶん、行動に歯止めが利かず、一度犯行に及んだら目的を達するか、物理的に抑え込まれるまで凶行を続ける傾向にあります。
通り魔に遭遇したときの対応


通り魔事件は場所や状況を問わず、ある日突然発生します。
いつもの通学・通勤中に、突然通り魔に襲われる可能性もありますので、万一通り魔に遭遇した場合の対処法をあらかじめ覚えておきましょう。
ここでは通り魔に遭遇したときの対処法を6つご紹介します。
1その場から逃げる
危険を察知したり、目の前で異常が発生したりしたら、とにかくその場からすぐに離れることが大切です。
いつもの日常が目の前で突如崩れると、脳の認知が遅れ、その場に呆然と立ち尽くしてしまいがちですが、一瞬の判断の遅れが命取りになります。
頭であれこれ考えるより先に体を動かすことが、命を守る行動につながります。
2犯人に背中を見せない
危険を感じたらその場から離れることが大切と説明しましたが、逃げる際は犯人に背を向けないことが重要です。
通り魔は逃げる人ほど追いかけて手にかける傾向がありますので、犯人が目の前にいるときは後ずさりしながら離れるのがベストです。
元警察官の方は、通り魔に遭遇したときの対処法を「クマに遭遇したとき」に例えており、相手の動きを注視しながら遠ざかるのが基本としています。
通り魔事件を起こす犯人は、他者や社会に対する怒りと憎しみに駆られ、本能のまま人を襲っていますので、同じく本能で行動するクマに見立てて対処すると、ターゲットになる確率を下げられるかもしれません。
3具体的な言葉で助けを求める
通り魔に襲われたときは、自分ひとりで何とかしようとせず、周囲に助けを求めることが大切です。
助けを呼ぶときは、「警察を呼んでください」など、具体的な言葉でSOSを伝えましょう。 ただ悲鳴を上げているだけでは、周囲の人も何が起こったかわからず、適切に対応することができないからです。
とはいえ、突発的な事件に遭遇すると、なかなか的確な言葉を発するのは難しいので、日頃から万一の場合に備えてシミュレーションしておきましょう。
4建物の中に避難する
通り魔は特定の人間を追いかけ回すのではなく、自分の視界に入った人を無差別に襲撃します。
屋内に逃げ込むと出入り口が限られて危険と思われがちですが、建物の中に逃げ込んで犯人の視界から外れる方が逃げ切れる確率が高くなります。
5緊急時には服やバッグを振り回す
犯人との間合いが近い場合や、小さな子ども連れのときは、とっさに逃げたり、隠れたりするのが難しくなります。
そんなときは、緊急時の対処法として、手持ちのバッグや、脱いだ上着を振り回し、少しでも犯人をひるませましょう。
バッグや上着がない場合は、靴を脱いでヒールの部分で応戦するのも有効です。
ただ、これらの対処法は最終手段であり、かつ一時的な効果しか見込めません。
逆上した犯人に追い回されることも考えられますので、一瞬の隙を作ったらそれ以上深追いはせず、すぐさまその場から逃げ出しましょう。
とっさの判断で服を脱いで振り回したり、靴を脱いで応戦したりするのは難しいので、助けの求め方同様、日頃から練習しておくことをおすすめします。
6重いorかさばる荷物は迷いなく捨てる
荷物は通り魔から身を守る道具として使えますが、逃げるときは重い荷物やかさばる荷物は足手まといになります。
通り魔から逃げられると判断した場合は、いざというときに振り回せる軽いバッグ以外の荷物は迷いなくその場に投げ捨て、なるべく身軽な状態で行動しましょう。
とくにお子さんがいるご家庭では、通学中に通り魔に襲われた場合を想定し、日頃からランドセルを置いて逃げることを教えておくことが大切です。
日頃から実践したい防犯対策
通り魔事件はいつ、どこで発生するか想定できないため、常日頃から防犯対策を心がけておく必要があります。
ここでは日常生活で実践できる防犯対策を5つご紹介します。
1人の多い場所では周囲に注意を払う
犯罪は夜道や一人歩きのときに起こりやすいと思われがちですが、不特定多数の人をターゲットにする通り魔は、日中や人通りの多い場所でも犯行に及びます。
とくに大量殺人を目論んでいる犯人は、人の多い場所を犯行現場に選びやすいので、人通りのあるところほど周囲に注意を払うことが大切です。
2動きやすい服装を選ぶ
タイトなスカートやヒールの高い靴は行動に制限がかかりますので、いざというときにすばやく動けるよう、行動しやすい服装を選びます。
また、派手な服装は視界に入ったときに目に付きやすく、ターゲットに選ばれやすいので注意しましょう。
3「ながら歩き」をしない
歩きながらスマホを操作する、イヤホンで音楽を聴く、携帯で話すといった「ながら歩き」をしていると、周囲への注意力が散漫になりがちです。
周囲で通り魔事件が発生しても、目や耳から情報が入りにくく、逃げ遅れてしまう可能性が高くなりますので、「ながら歩き」は厳禁です。
4通勤・通学ルート上にある避難場所をチェックする
通り魔に襲われたときは建物の中に逃げるのがポイントですが、パニックになると極端に視界が狭くなり、周囲の建物が目に入らなくなるおそれがあります。
通勤・通学中に凶行に遭った場合に供え、日常的に利用するルート上にある避難場所をあらかじめチェックしておきましょう。
近場に交番があればベストですが、コンビニやスーパーといった店舗もとっさに逃げる場所として有効です。
5防犯アイテムを持ち歩く
外出するときは、周囲に危険を知らせる防犯ブザーや、犯人をひるませることができる催涙スプレーなどの防犯アイテムを持ち歩く習慣をつけましょう。
いずれも押すだけで作動しますが、事前にシミュレーションしておくと、突発的な事件でも冷静に対処することができます。
いざというときのためにALSOKの防犯サービスを利用しよう
通り魔は時間帯や場所を問わずに発生する突発的な事件なので、未然に犯行を回避することは困難です。
通り魔に遭遇したときの対処法や、日頃の防犯対策をしっかり実践し、万一の場合に供えましょう。
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