全館空調とは?種類やメリット・デメリット、導入を後悔しないための確認事項を解説

住宅設備 2025.06.27
全館空調

近年、住宅の快適性向上を目的として全館空調システムの導入を検討される方が増加しています。しかし、導入には高額な費用がかかるため、種類やメリット・デメリットを十分に理解して検討することが重要です。
本記事では、全館空調の基本的な仕組みから種類別の特徴、導入のメリット・デメリット、後悔しないための確認事項を解説します。全館空調の導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

全館空調とは

全館空調とは、家全体の温度と湿度を一つのシステムで管理する空調設備です。通常のエアコンは各部屋に設置して個別に温度設定を行うのに対し、全館空調では機械室や天井裏、床下などに専用のエアコンが設置され、ダクトや配管を通じて家全体の環境をコントロールすることが可能です。また、換気機能も併せ持つことが多く、新鮮な外気を取り入れながら室内環境を最適に維持します。

全館空調システムの種類

全館空調システムには複数の方式があり、住宅の構造や予算、求める機能に応じて最適なシステムを選択できます。主要な方式として、ダクト方式、エアコン方式、床下冷暖房方式の3つが挙げられます。

ダクト方式(天井吹き出し方式)

天井吹き出し方式

ダクト方式は全館空調の中でもっとも一般的なシステムです。天井や小屋裏に専用のエアコンと換気扇を設置して、空調室をつくります。空調室で温度調整された空気は、ダクトを通じて各部屋の吹き出し口から送風されます。ダクト方式の特徴は、均一な温度管理が可能で、換気機能も同時に備えていることです。また、室内にエアコン本体がないため、インテリアデザインを損なうことがありません。初期費用は高額ですが、長期間の使用を考慮すると効率的なシステムといえます。

エアコン方式

エアコン方式

エアコン方式は市販のエアコンを活用した全館空調システムです。室内に市販のエアコンを1~2台取り付けて、家中に空調を循環させる仕組みとなっています。エアコン方式の利点は、導入コストが比較的低く、既存住宅への後付けも可能な点です。また、故障時の修理や交換も一般的なエアコンと同様に行えるため、メンテナンス面でも利便性があります。ただし、完全な温度均一化は難しく、エアコンから離れた場所では温度差が生じる場合があります。また、エアコン本体が室内に設置されるため、デザイン面での制約もあります。

床下冷暖房方式

床下冷暖房方式

床下冷暖房方式は、床下に設置した空調機を用いて家中の空調を調整する方式です。床下空間を利用して温度調整された空気を循環させ、床面から室内に空調効果をもたらします。また、小屋裏冷房と床下暖房を合わせて空調をコントロールする方法もあります。床下方式の特徴は、足元から温めることで効率的な暖房効果が得られることです。一方で、冷房効果は他の方式と比較してやや劣る傾向があります。また、床下空間の湿度管理が重要で、適切な防湿対策が必要となります。

全館空調のメリット

全館空調システムの導入により、快適性の向上から省エネ効果まで、従来の個別空調では実現できない多くのメリットを得られます。

室温が快適な温度で安定する

全館空調の最大のメリットは、家全体の室温が快適な温度で安定することです。室温が夏や冬も快適な温度で保たれ、各部屋間の温度差がほとんどなくなります。廊下や洗面所、トイレなども含めて家全体が均一な温度環境となるため、移動時の温度変化によるストレスがありません。特に高齢者にとっては、ヒートショックのリスクを大幅に軽減できる重要なメリットとなります。冬場の入浴時や夜間のトイレ利用時も、急激な温度変化を避けることができ、健康面での安全性が向上します。

空気がきれいな状態を維持できる

全館空調システムのうち、換気機能のあるモデルであれば、常に新鮮な外気を取り入れながら室内の空気をきれいな状態で維持させることが可能です。高性能なフィルターシステムにより、花粉やPM2.5、ハウスダストなどの微細な汚染物質も除去できるため、アレルギー体質の方や小さな子どもがいる家庭では特に大きなメリットとなります。また、室内で発生する料理の臭いや生活臭も効率的に排出され、家全体の空気環境が良好に保たれます。

開放感がある間取りになる

全館空調の導入により、各部屋に壁掛けエアコンを設置する必要がなくなります。壁掛けのエアコンが必要ないため解放感のある間取りになり、インテリアデザインの自由度が向上するでしょう。リビングダイニングなどの広い空間では、エアコンの存在感に邪魔されることなく、開放的で洗練された空間デザインが実現できます。

全館空調のデメリット

全館空調システムには多くのメリットがある一方で、導入前に理解しておくべきデメリットも存在します。

空気が乾燥しやすい

全館空調は、常に換気が行われている状態になるため、室内が乾燥しやすい傾向にあります。特に冬季は外気の湿度が低いことから、乾燥による肌荒れや喉の不快感、静電気の発生などの問題が起こることがあります。加湿器の使用や洗濯物の室内干しなどの対策を施すほか、加湿機能付きの全館空調システムなども選択肢になるでしょう。

急な温度調整は難しい

全館空調システムは家全体の温度を緩やかに調整するため、エアコンやヒーターと比較すると急激な温度変更が困難です。個別のエアコンであれば数分で体感温度を変えられますが、全館空調の場合、設定温度の変更から実際の温度変化までに時間がかかります。そのため、突然の来客や体調の変化に対して、即座に温度調整ができないことに不便さを感じるかもしれません。

建物の気密性や断熱性が必要

全館空調システムの効果を十分に発揮するためには、建物の高い気密性と断熱性が不可欠です。古い住宅や断熱性が低い建物の場合は、なかなか室温が変わらず電気代がかかりやすくなります。そのため、導入前に建物の性能評価を行い、必要に応じて断熱改修工事を検討することが重要です。

故障した場合すべての冷暖房が止まる

全館空調は、基本的に一つのシステムで家全体をカバーするため、故障したときは家の冷暖房がすべて止まってしまうおそれがあります。特に真夏や真冬に故障した場合はリスクが大きく、生活や健康の維持が難しくなるケースも考えられます。対策として、修理期間中の代替手段の確保や、緊急時の対応計画を事前に検討しておく必要があるでしょう。また、修理費用が通常のエアコンに比べて高額になることが多いことにも注意が必要です。

固定資産税が上がる可能性がある

全館空調の設置によって、固定資産税が上がってしまう可能性があります。ダクト方式のように天井に埋め込むタイプは建築設備とみなされ、建物の評価額が上がるため、固定資産税の増額につながります。ランニングコストを検討する際は、税負担の増加を想定した計画を立てることが重要です。

全館空調の導入を後悔しないために確認するべきポイント

全館空調システムの導入は高額な費用がかかるため、運用コストや維持管理に関してしっかりと事前確認することが重要です。

電気代はどれくらいかかるか

電気代

全館空調システムの運用において、電気代は重要な検討要素です。全館空調は24時間稼働させることが多いため、一部の部屋のみでエアコンを稼働させる場合と比較すると、電気使用量は増えるといえます。ただし、システムの種類や建物の断熱性能により、実際の電気代は変動します。導入前に、建物の条件に基づいた電気代シミュレーションを業者に依頼し、年間の光熱費を把握することが重要です。

寿命はどれくらい持つか

全館空調システムの寿命は、設備投資の回収期間を計算するにあたって重要な要素です。一般的に寿命は10~20年といわれていますが、使用状況などによって変動し、定期的な保守点検とメンテナンスを行うことで寿命を延ばすことも可能です。また、メーカーや機種により長期サポートの内容が異なるため、部品の供給期間や技術サポートの継続期間を確認しておくと良いでしょう。

カビ対策は必要か

全館空調システムは、換気が行われることにより室内が乾燥しやすいため、湿度は低くなりやすいです。しかし、壁の内部に結露が発生したり、湿度の調整がうまくいっていない場合に、ダクトにカビが発生するおそれがあります。全館空調を導入する際は、抗菌・防カビ処理を施したシステムの選択や、定期的なダクト清掃、適切な湿度管理などの工夫を検討することが必要です。

掃除の頻度はどれくらいか

全館空調システムの性能や寿命を保つには、定期的なメンテナンスが不可欠です。業者の保守点検とは別に、月1程度でフィルターや床吹き出し口の掃除を行うと良いでしょう。メンテナンスを怠ると、システム効率の低下や故障リスクの増加につながります。メーカー推奨のメンテナンスのタイミングを把握しておき、必要に応じて専門業者による詳細点検を受けることが重要です。

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