フェーズフリーとは?「備えない防災」の意味と商品・グッズの選び方
本記事では、フェーズフリーの定義、従来の防災対策との違い、5原則と4つのカテゴリ、そして家庭での具体的な始め方まで、詳しく解説します。
内閣府が2025年に実施した防災に関する世論調査によると、家庭で3日分以上備蓄している人の割合は、飲料水が69.8%、食料品が59.8%、携帯・簡易トイレは27.2%にとどまり、備えが十分とはいえない実態が明らかになりました。子どもや離れて暮らす高齢の親を守りたいと感じながらも、防災の準備は後回しになりがちです。そこで、普段使いのものを災害時にも活用する「フェーズフリー」の考え方が注目されています。
【この記事で分かること】
- フェーズフリーの定義と従来の防災対策との違い
- フェーズフリーを支える5原則と4つの価値提供カテゴリ
- 自宅で今日から始められる具体的な導入方法
- フェーズフリー商品・グッズの選び方
目次
フェーズフリーとは?「備えない防災」という新しい防災の考え方
フェーズフリーとは、日常時・非常時という社会の状態にかかわらず普段利用する商品やサービスによって、日常生活の延長で無理なく防災に取り組む考え方です。普段使っている生活用品をそのまま災害時にも活用するため、従来のように専用の防災用品だけに頼るのではなく、日常品と必要な備蓄を組み合わせて備えられる点が特徴です。
フェーズフリー(Phase Free)の意味と読み方
フェーズフリーは、英語表記で「Phase Free」です。フェーズは日常時と非常時を分ける「区切り」を意味し、フリーはその区切りを「なくす」、あるいは「解放する」という意味を持ちます。つまり、「いつも」の日常生活にも、「もしも」の非常時にも役立つものやサービスを指す概念です。
従来の「備える防災」との違い
従来の防災用品は、非常時に備えて用意し、普段は倉庫や押し入れにしまっておくことを前提として設計されています。一方、フェーズフリー商品は、日常生活で当たり前に使いながら、災害時には防災用品としての価値を発揮する点が大きな違いです。
| 項目 | 従来の防災用品 | フェーズフリー商品 |
|---|---|---|
| 保管方法 | 専用の収納スペースにしまう | 普段の生活空間にそのまま置く |
| 使用頻度 | 災害時のみ | 日常時・非常時の両方 |
| 管理の手間 | 期限切れ確認や入れ替えが必要 | 日常使用の中で自然に更新される |
| 心理的ハードル | 「備えなければ」という義務感 | 「欲しいから使う」という満足感 |
「備えない防災」と呼ばれる理由と誕生の背景
フェーズフリーは、2014年に防災の専門家である佐藤唯行氏が提唱した概念です。佐藤氏は、防災用品が日常生活の中で優先度が低くなりがちという課題に着目し、専用品を新たに揃えるのではなく、普段の生活用品に防災の価値を持たせる発想に至りました。2018年12月には一般社団法人フェーズフリー協会が発足し、認証制度や普及活動を通じてこの考え方を広めています。
フェーズフリー理解を深める「5つの原則」と商品カテゴリ
フェーズフリーには、商品やサービスが満たすべき「5つの原則」と、日常と非常時で役割が移り変わる「4つのカテゴリ」があります。原則とカテゴリを押さえると、フェーズフリーへの理解が深まり、商品やサービス選びの判断基準が明確になります。
5原則(常活性・日常性・直感性・触発性・普及性)とは
フェーズフリーの5原則は、商品やサービスが日常時・非常時の両方で価値を発揮するために欠かせない共通の判断軸です。
| 原則名 | 定義 | 使用例 |
|---|---|---|
| 常活性 | どのような状況でも変わらず使えること | 日常時も非常時も使えるモバイルバッテリー |
| 日常性 | 普段の生活の中で心地よく使えること | 非常時は寝袋として使えるクッション |
| 直感性 | 使い方が誰にでも分かりやすいこと | 計量カップ代わりに使える目盛り付き紙コップ |
| 触発性 | 使うことで安全や防災への気づきを促すこと | 最新の地図や非常時の避難ルートを提示する通信機能付きカーナビ |
| 普及性 | 誰もが気軽に利用でき、広められること | トレーニングルームやプールを併設する余熱利用施設 |
参考:INTERNAVI フェーズフリーデザイン事例集
足利市 新クリーンセンター整備
価値提供の4カテゴリ(A〜D)と身近な具体例
フェーズフリーの商品やサービスは、日常時と非常時でどのように役割が移り変わるかによって、4つのカテゴリに分類されます。
| カテゴリ | 定義 | 具体例 |
|---|---|---|
| Aカテゴリ | 防災及び特定の職業・趣味などで日常的に利用している | ヘルメットやキャンプ用のコンロ |
| Bカテゴリ | 利用方法を提案することで価値を提供 | 長期保存が可能な水や食品 |
| Cカテゴリ | 日常時も非常時も同じ価値を提供 | 通勤用の歩きやすいビジネスシューズ |
| Dカテゴリ | 日常時とは異なる価値を非常時に発揮する | 車(PHV・V2H) |
自宅で今日から始められるフェーズフリーの具体例
フェーズフリーは、特別な準備をしなくても、日常の生活用品を見直すだけで今日から始められます。買い物や収納のやり方を少し変えるだけで、無理なく備えを整えられます。ただし、フェーズフリーだけですべての備えをまかなうのではなく、品目によっては専用の備蓄も組み合わせながら備えることが大切です。
| カテゴリ | 商品例 |
|---|---|
| 食品・飲料 | 缶詰、レトルト食品、水 |
| 電気・灯り | モバイルバッテリー、ポータブル電源、LEDランタン |
| 調理・熱源 | カセットコンロ、ガスボンベ |
| トイレ・住まい | 簡易トイレ、多機能クッション、アウトドアグッズ |
| 移動・外出 | 歩けるビジネスシューズ、車(PHV・V2H) |
食:ローリングストック(缶詰/レトルト食品/水)
ローリングストックは、日常的に消費する食品や飲料を少し多めに備え、使った分を補充しながら備蓄する方法です。特に水は日常利用分だけでなく、災害時に備えた一定量の備蓄も確保しておくとより安心です。
- 缶詰・レトルト食品・レトルトごはん・パスタなどの乾麺・水などを、普段より少し多めに購入する
- 普段の食事で消費した分だけ買い足す
- 賞味期限切れを防ぎつつ、常に一定量の非常食が家にある状態を保つ
電気・灯り:モバイルバッテリー/ポータブル電源/LEDランタン
モバイルバッテリーやポータブル電源、LEDランタンは、普段は外出時のスマートフォンの充電やキャンプ、車中泊で活用でき、停電時は照明、情報収集、通信手段を確保する重要な備えとなります。日頃から充電状態や動作を確認し、特にポータブル電源は家族の人数や使用用途に応じて容量を選びましょう。容量は、スマートフォンの充電、照明、情報収集機器など、非常時に使いたい機器と使用時間の確認したうえで選びましょう。非常時にすぐ持ち出せる場所に置いておくと安心です。
調理・熱源:カセットコンロ/ガスボンベ
カセットコンロとガスボンベは、鍋料理や普段の食卓で日常的に活用しながら、停電やガス停止時には温かい食事を確保する手段になります。ガスボンベは日常的に使用しながら、製造時期や使用期限、保管状態を確認し、使用した分を適宜補充しましょう。
トイレ・住まい:簡易トイレ/多機能クッション/アウトドアグッズ
トイレは、備えが特に手薄とされている品目の一つです。内閣府の調査では、3日分以上の携帯・簡易トイレを家庭で備蓄している人は27.2%にとどまり、飲料水や食料品に比べて低い割合でした。車内やキャンプなどのアウトドア時に使用できる簡易トイレや、普段はスツール代わりになる簡易トイレなどであれば、フェーズフリーとして取り入れられます。一方で、災害時に必要となる数量を考慮すると、携帯・簡易トイレは専用備蓄も併せて準備しておくことが望ましいでしょう。
また、クッションとして普段使いをしながら、非常時には寝袋になる多機能クッションなどもあります。寝袋やテント、ランタンといったアウトドア用品も、そのまま避難生活の装備として役立ちます。
移動・外出:歩けるビジネスシューズ/車(PHV・V2H)
普段の通勤・通学で使う靴を、長距離を歩いても疲れにくい一足に変えるだけで、徒歩帰宅時の備えになります。
また、プラグインハイブリッド車(PHV)やV2H(Vehicle to Home)機能を備えた車は、普段は走行用の燃料・電力を使いながら、停電時には家庭への給電が可能です。車を「走る蓄電池」として活用する発想も、フェーズフリーの一つの形です。
フェーズフリー商品・グッズの選び方
フェーズフリー商品・グッズを選ぶ際は、「非常時だけでなく普段も使いたいか」を基準にすると失敗しにくくなります。認証マークや品質、多用途性、収納性も合わせて確認すると、より確実な選定ができます。
「非常時だけでなく、普段も使いたいか」で選ぶ
続けられる防災でもっとも重要な基準は、日常生活での満足度です。しまい込む前提の防災用品は使う機会が少なく、いざというときに存在を忘れてしまう可能性があります。選ぶ際は「普段の生活でも使いたいと思えるか」を基準にすると、自分に合った備えを見つけられます。
フェーズフリー認証マークを目印にする
一般社団法人フェーズフリー協会は、日常時と非常時の両方で価値を発揮できるかを評価する「フェーズフリー認証制度」を運営しています。認証マークを目印にすると、フェーズフリーに対応した商品やサービスを選びやすくなります。
品質・多用途・収納性で選ぶ
価格や見た目だけでなく、次の観点を満たしているかを確認すると、長く使い続けられるフェーズフリーを選べます。
- 日常でも使う頻度が高いか
- 非常時の役割が明確か
- 長期間使い続けられる耐久性・品質があるか
- 置き場所を取らず、普段の生活空間にそのまま置けるか
- 家族全員が直感的に使い方を理解できるか
フェーズフリーのメリットと注意点(デメリット)
フェーズフリーは、手間・コスト・収納スペースの負担を軽減できる一方で、日常使いによって在庫減少や、品目によっては専用の備蓄が必要になる点には注意が必要です。
メリット:手間・コスト・収納の負担が減り、QOLも上がる
フェーズフリーは、日常時と非常時を切り離さず、普段の暮らしの中で無理なく備えを取り入れるという考え方です。専用品だけを多くそろえるのではなく、日常で使うものを非常時にも活かすことで、管理の手間や保管スペースの負担を抑えやすくなります。また、普段使っているものが災害時にも役立つため、防災を「コスト」ではなく、日常生活の質を高める「価値」として捉えられる点も大きなメリットです。
注意点・デメリット:フェーズフリーだけで万全ではない
フェーズフリーは日常的に使いながら備える方法のため、災害が発生したタイミングによっては、必要な在庫が十分に確保できていない場合があります。そのため、フェーズフリーの考え方を取り入れていたとしても、水や携帯・簡易トイレなどは、一定量を専用の備蓄として確保しておくことが大切です。また、ハザードマップの確認や避難場所・避難経路の把握など、災害時の行動に関する備えは、家庭で準備しておく必要があります。
ALSOKのサービスで日常の防災対策を
家庭での対策に加え、より安心を高めたい場合はサービスの活用も有効です。ここでは、日常の防災対策に役立つALSOKのサービスをご紹介します。
ALSOKの防犯・防火・防災グッズ
ALSOKでは、日常生活の中で無理なく取り入れられる防犯・防火・防災グッズを取り扱っています。日常時から非常時に役立つアイテムを幅広く取り揃え、ご家族の安全・安心をサポートします。大切な家族と暮らしを守るために、今できる備えを始めてみませんか。
ALSOKのホームセキュリティ
フェーズフリーの考え方は、防災用品だけに限りません。日常生活の中で継続的に利用しながら、暮らしの安全・安心を支える仕組みを取り入れておくことも大切です。
住まいの安全対策についても、非常時だけを意識するのではなく、普段の暮らしの中で無理なく備えておくことで、より安心な生活環境づくりにつながります。ALSOKのホームセキュリティ「HOME ALSOK Connect」は、「セルフセキュリティ」と「オンラインセキュリティ」の2種類から選べます。セルフセキュリティは、お手頃価格でホームセキュリティを導入でき、もしものときはALSOKへ駆けつけを依頼することができます。
オンラインセキュリティは、異常発生時にはALSOKが駆けつけて適切に対処します。
スマートフォンで警備の開始・解除ができるため、外出時や避難時も警備をセットすることが可能です。
在宅中や就寝中も24時間365日見守り、一戸建て住宅はもちろん、共同住宅にも設置可能なため、防犯・防災対策として導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
フェーズフリーとは、日常時と非常時の区別をなくし、普段使う生活用品を防災にも活かす考え方です。専用品だけに頼らず、日常生活で使うものを上手に取り入れることで、5原則と4カテゴリを軸に無理なく備えを続けられます。日々の暮らしを快適にしながら、同時に家族の安全を守る防災対策として取り入れてみましょう。
フェーズフリーに関するよくある質問(FAQ)
Q:フェーズフリー商品はどこで買える?
A:フェーズフリー商品は、スーパーやホームセンター、アウトドア用品店、インターネット通販などで購入できます。また、フェーズフリー認証を取得した商品は、フェーズフリー協会の認証商品一覧サイトから探すこともできます。
Q:お金をかけずに始められる?
A:今ある日用品の選び方や買い方を見直すことから始められます。たとえばローリングストックは、普段使う食品を少し多めに買い、使った分を買い足す方法です。
Q:フェーズフリーがあれば防災グッズはもう不要?
A:フェーズフリーがあっても、防災グッズは不要にはなりません。水や携帯・簡易トイレなど、専用の備蓄をあわせて用意することが前提です。フェーズフリーは防災グッズを置き換えるものではなく、備えの負担を減らしながら補い合う考え方です。





















