終活詐欺とは? 高齢者を狙う5つの手口と家族でできる対策
「終活を進めたいけれど、悪質な業者にだまされないか心配」「離れて暮らす親が怪しいセミナーに行っていないか気になる」——そう感じて検索された方もいるのではないでしょうか。
終活への関心が高まる一方で、その気持ちにつけ込む詐欺や悪徳商法にも注意が必要です。判断力の衰えや孤独、お金への不安といった高齢者特有の心理を悪用する手口は巧妙化しており、家族が気づいたときには大きな被害が出ていることも少なくありません。
この記事では、終活詐欺の特徴やよくある手口、実際に起きている被害事例、そして本人・家族それぞれができる対策をご紹介します。
【この記事で分かること】
- 終活詐欺とはどのような詐欺で、なぜ高齢者が狙われやすいのか
- 警察庁・国民生活センターの統計から見る被害の実態
- 終活詐欺によくある手口5つと、実際の被害事例
- 本人・家族ができる対策と、困ったときの相談先
目次
終活詐欺とは
終活詐欺とは、葬儀やお墓、相続、資産整理、遺品整理など「終活」に関連する話題を入り口に、高齢者から金銭や財産をだまし取る詐欺・悪質商法の総称です。
法律上の正式な分類名ではなく、特殊詐欺(オレオレ詐欺や預貯金詐欺など)や、特定商取引法で規制される訪問販売・訪問購入のトラブル、消費者契約法上問題のあるセミナー商法などが、「終活」という共通のきっかけでくくられたものと理解しておくとよいでしょう。
なぜ終活が詐欺のターゲットになりやすいのか
終活が詐欺の標的になりやすい背景には、いくつかの構造的な要因があります。
① 大きな金銭が動くテーマであること
終活には預貯金の整理、不動産や土地の処分、相続、葬儀費用など、まとまった金額が関わる場面が多くあります。悪質な業者にとっては「大きな金額を動かせる機会」として見られやすいテーマです。
② 高齢者が抱えやすい不安につけ込みやすいこと
国民生活センターは、高齢者は「お金」「健康」「孤独」という3つの大きな不安を抱えやすいと指摘しています。悪質業者はこれらの不安を言葉巧みに煽り、親切な態度で信用させてから、年金や貯蓄、貴金属などの財産を狙う傾向があります。
③ 死後や万一の備えという「話しづらさ」
終活は家族間でもデリケートな話題であるため、契約内容について身近な人に相談しにくいという心理的なハードルがあります。この「相談しづらさ」自体が、被害の発覚を遅らせる一因になっています。
④ 一人暮らしで相談相手が少ないこと
一人暮らしの高齢者は日中自宅にいることが多く、訪問や電話による勧誘を直接受けやすい状況にあります。また、日頃から相談できる相手が身近にいないと、契約内容を十分に検討する前に話を進めてしまったり、後から「おかしい」と思っても誰にも言えずに抱え込んでしまったりすることがあります。
高齢者の被害はどのくらい多いのか
実際の被害規模を、公的機関の統計から見てみましょう。
終活詐欺に特化した公的統計はありませんが、高齢者が詐欺の主要なターゲットとなっている実態は各種データから見て取れます。警察庁の発表によると、令和7年の特殊詐欺全体における高齢者(65歳以上)被害の認知件数は14,273件で、法人被害を除いた総認知件数に占める割合は51.3%で、総被害額に占める割合は全体の59.2%(841.1億円)に達しています。手口別では、預貯金詐欺の98.8%、キャッシュカード詐欺盗の98.9%が65歳以上の被害者であり、高齢者を狙った詐欺被害の深刻さがうかがえます
また、消費生活相談全体を見ても、高齢者の存在感は大きくなっています。国民生活センターによると、2024年度の全国の消費生活相談件数は約91万件で、契約当事者の年代別では70歳以上の割合が2015年度以降で最高の26.2%となりました。高齢者が関係する相談としては、訪問購入(事業者が自宅を訪問して品物を買い取る取引)に関するトラブルも多く寄せられています。訪問購入そのものは適法な取引形態ですが、一部では強引な勧誘や不当な買い取りなどの問題が発生しており、関連する相談では契約当事者の約8割を60歳以上が占めるとされています。
これらの数字からも、終活世代である高齢者が消費者トラブルや詐欺被害のターゲットになりやすい実態がうかがえます。
出典:国民生活センター「2024年度 全国の消費生活相談の状況」
終活詐欺のよくある5つの手口
ここでは、終活詐欺として報告されることが多い手口を5つご紹介します。
① 終活セミナー詐欺
終活に関心のある高齢者を「無料セミナー」という名目で会場に集め、特典やプレゼントで警戒心を解いたうえで、高額な葬儀プランや関連商品を契約させる手口です。会場の雰囲気に流されて契約してしまい、後で連絡しようとしても業者と連絡が取れなくなるケースが報告されています。
② 訪問購入トラブル(訪問買取)
「不要品を買い取ります」と訪問してきた業者に、売るつもりのなかった貴金属や着物まで強引に買い取られてしまうトラブルです。国民生活センターには、訪問購入に関する相談がここ数年増加傾向で寄せられており、契約当事者の年代では60歳以上が大半を占めています。終活で身の回りの品を整理しようとしたタイミングが、悪質業者にとって狙いやすい機会になっている点に注意が必要です。
③ 葬儀・お悔やみ詐欺
生前に取り決めた葬儀プランとは異なる高額な料金を、葬儀後に遺族へ請求する「葬儀費用詐欺」や、新聞のお悔やみ欄の情報を悪用し「故人に負債がある」などと偽って遺族から金銭をだまし取る「葬儀・お悔やみ詐欺」があります。遺族が精神的に動揺している状況につけ込む、悪質性の高い手口です。
④ 原野商法の二次被害
過去に原野商法(将来値上がりすると偽って二束三文の土地を売る商法)の被害に遭った人に対し、「その土地を高く買い取る」「より良い土地に交換できる」などと持ちかけ、新たな高額契約を結ばせる二次被害が問題となっています。終活を機に過去の不要な土地を整理しようとした人が、再び標的にされる構図です。
⑤ 資産整理・身元保証サービスをめぐるトラブル
身寄りのない高齢者を中心に需要が高まっている、身元保証や死後の事務手続きを代行するサービスをめぐっても、契約内容や料金についての説明不足、解約時に預託金が返金されないといったトラブル相談が増えています。サービス自体は適正に運営されている事業者も多いものの、内容を十分に理解せず契約してしまうケースが課題となっています。
終活詐欺の被害実例
ここでは、公的機関の注意喚起などで見られる内容をもとに、終活に関連して起こりやすい被害のパターンを紹介します。いずれも、特定の個別事案ではなく、典型的なケースとして整理したものです。
事例1:終活セミナーからの高額契約
終活セミナーに参加したところ、当初の案内にはなかった高額な葬儀プランや仏壇・墓石の契約を勧められ、その場の雰囲気で契約してしまった。後日冷静になって解約を申し出ようとしたが、業者と連絡が取れなくなっていた。
事例2:身元保証サービスの契約トラブル
一人暮らしの高齢者が、入院時の保証人や死後の事務手続きを代行してくれるという身元保証サービスに申し込んだ。契約時の説明では基本料金のみと聞いていたが、実際には追加サービスの利用ごとに高額な料金が発生する内容だった。解約を申し出たところ、預けていた預託金の一部しか返金されなかった。
事例3:資産整理を装った接近と信頼関係の構築
「資産整理や終活のお手伝いをします」と名乗る人物が高齢者の自宅を継続的に訪問し、世間話や手土産を通じて信頼関係を築いたうえで、資産状況を聞き出し、不動産などの高額な契約へ誘導した。一人暮らしで日常的に会話する相手が少なかったことも、相手を信用してしまう一因になったと考えられます。
いずれの事例にも共通するのは、「親切な態度」「時間をかけた関係構築」「契約を急かす雰囲気」によって、冷静な判断をする時間や機会が奪われている点です。
終活詐欺から身を守るための対策
本人ができること
- その場で契約しない
「今日だけ」「今契約すれば特典がある」といった言葉で急かされても、いったん持ち帰って検討する - 複数人で確認する
契約書や勧誘内容について、家族や知人に見てもらう、または一緒に話を聞いてもらう - 業者情報を自分で確認する
会社の住所、連絡先、実績などをインターネットなどで事前に確認する - 不審に思ったらすぐに相談する
少しでも「おかしい」と感じたら、契約前に必ず誰かに相談する
家族ができること
- 終活について早めに話しておく
日頃から終活や資産について話す機会を持っておくことで、突然の契約や不審な動きに気づきやすくなります - 定期的に連絡を取る
離れて暮らしている場合、電話やメールでこまめに様子を確認することが、変化への気づきにつながります - 「迷惑じゃないか」という親の気持ちに寄り添う
高齢者の多くは「子どもに迷惑をかけたくない」という思いから、トラブルを一人で抱え込みがちです。「困ったときはいつでも相談してほしい」と、日頃から伝えておくことが大切です。
困ったとき・被害に気づいたときの相談先
少しでも不審に思ったら、一人で判断せず、早めに次のような窓口へ相談しましょう。
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」
お住まいの地域の消費生活センターを案内してくれる全国共通の窓口です - 警察相談専用電話「#9110」
緊急性のない相談に対応する、警察の総合相談窓口です - 地域包括支援センター
高齢者の生活全般について、福祉的な視点からも相談に応じてくれます
被害に遭った場合の主な解決手段
すでに契約してしまった場合でも、あきらめる必要はありません。取引の形態や勧誘の内容によっては、契約の解除・取消し・返金請求につながる可能性があります。まずは契約書、見積書、領収書、広告、勧誘時のメモや録音などを残したうえで、早めに相談することが大切です。
クーリング・オフ制度
訪問販売や訪問購入など、特定商取引法の対象となる取引では、法律で定められた書面を受け取った日から原則8日以内であれば、書面または電磁的記録により無条件で契約を解除できる場合があります。訪問購入では、この期間中は売却した物の引渡しを拒むことができるため、貴金属や遺品などをすぐに手放さずに済む可能性があります。なお、通信販売には原則としてクーリング・オフ制度はありません。
契約の取消し・無効の主張
たとえば、「今契約しないと間に合わない」「これで将来の不安はなくなる」などと不安をあおられた、重要事項について事実と異なる説明を受けた、不利益な事実を意図的に告げられなかった、といった場合には、消費者契約法に基づいて契約の取消しを主張できる可能性があります。消費者契約法は、不実告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知、不退去や退去妨害などによる不当な勧誘から消費者を守るための法律です。
消費生活センター・行政への情報提供
悪質な勧誘や高額請求が疑われる場合は、消費者ホットライン「188(いやや!)」に相談すると、最寄りの消費生活センター等につながります。消費生活センターでは、契約内容の確認、クーリング・オフや取消しの助言、事業者との交渉の支援、必要に応じた関係機関の紹介などを受けられます。また、相談情報は被害の拡大防止や行政による調査・処分につながることがあります。
弁護士・司法書士への相談
すでに支払ってしまった、相手と連絡が取れない、返金交渉が難しい、契約書の有効性そのものを争いたい――こうした場合は、弁護士や司法書士への相談も有力です。法テラスは、法的トラブルの総合案内所として、適切な相談先の情報提供を行っており、収入や資産などの条件を満たせば、無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替制度を利用できる場合があります。
家族の見守りを仕組み化する
終活詐欺を防ぐうえで大切なのは、「本人の注意」と「家族の気づき」だけに頼らず、見守りを仕組み化しておくことです。離れて暮らしていても、日々の様子や来訪者の状況がわかれば、不審な動きに早く気づくきっかけになります。
離れて暮らす家族を見守るALSOKのサービス
家族だけで毎日の様子を確認し続けるのは、負担が大きい場合もあります。そうしたときは、見守りサービスやホームセキュリティなどを活用し、異変に気づきやすい環境を整えておくことも一つの方法です。HOME ALSOK みまもりサポートなら、24時間いつでもヘルスケアセンターに相談できるほか、いざというときはボタンひとつでALSOKが駆けつけます。離れて暮らす親にも、見守る側の家族にも安心できる仕組みです。
また、訪問購入や強引な勧誘への対策としては、家庭用見守りカメラ「HOME ALSOK アルボeye」もおすすめです。自宅に設置したカメラの映像をスマホでいつでも確認できるため、知らない訪問者の様子を遠くからでも把握できます。
終活詐欺についてのよくある質問
Q:終活詐欺とはどのような詐欺ですか?
A:葬儀やお墓、相続、資産整理、遺品整理など終活に関連する話題をきっかけに、高齢者から金銭や財産を騙し取る詐欺・悪質商法の総称です。特殊詐欺や訪問購入トラブル、問題のあるセミナー商法などが含まれます。
Q:終活詐欺にはどんな手口がありますか?
A:無料セミナーから高額契約に誘導する「終活セミナー詐欺」、訪問購入で貴金属などを強引に買い取る手口、葬儀後に高額請求する「葬儀詐欺」、お悔やみ欄を悪用する「お悔やみ詐欺」、過去の原野商法被害者を狙う二次被害、身元保証サービスをめぐるトラブルなどがあります。
Q:終活詐欺に遭ったかもしれないとき、どこに相談すればよいですか?
A:消費者ホットライン「188」、警察相談専用電話「#9110」、お住まいの地域の地域包括支援センターに相談できます。一人で判断せず、できるだけ早く相談することが大切です。
Q:離れて暮らす親を終活詐欺から守るにはどうすればよいですか?
A:日頃から終活について話し合っておくこと、定期的に連絡を取り変化に気づけるようにしておくことが基本です。加えて、見守りサービスや見守りカメラなどを活用し、不審な訪問や異変に気づける仕組みを整えておくこともおすすめです。
まとめ
終活詐欺は、終活というデリケートで大きな金銭が動くテーマと、高齢者特有の「お金・健康・孤独」への不安が結びついて生まれる、複合的な被害です。セミナー商法、訪問購入トラブル、葬儀・お悔やみ詐欺、原野商法の二次被害、身元保証サービスのトラブルなど、手口は多岐にわたります。
大切なのは、本人が一人で判断せず、家族が日頃から終活について話し合い、気づきの機会を増やしておくことです。そして、その気づきを支える仕組みとして、ALSOKのみまもりサービスやホームセキュリティの活用も検討してみてはいかがでしょうか。





















