ALSOK TRIP vol.12

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大津・近江八幡 絶景!絶品!秋の近江路へ

近江というのは滋賀県の旧国名です。
その名は「淡海(あわうみ)」が変化したものだといいます。
海にもたとえられるほど広大な琵琶湖。
そのまわりは、美しい景色とユニークな名物であふれていました。

Photos:Naoto Shoji

※新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、開業日や営業時間は変更の可能性があります。訪れる際は、事前にお電話にてお問い合わせください。

大津

近江路の中心といえば、なんといっても大津市です。天智天皇が飛鳥から都を移して大津宮を造営して以来の古都であり、江戸時代は東海道の宿場町として栄えました。交通の便がよく近江路観光の起点にぴったりです。
まずは、北の「びわ湖バレイ/びわ湖テラス」に登ってみましょう。ロープウェイに乗って標高1100mの山頂駅に到着します。「The Main」という広大なテラスエリアからは、琵琶湖を南から北までまるごと見渡せます。 湖面と空がつながって見える光景はまるで海のようで、まさに絶景です。時間が許せば、さらに2つのリフトを乗り継いで、1174mの蓬莱山山頂へ足を延ばしてください。「Cafe360」のアーチ状ウッドデッキは、360度の大パノラマです。南を向けば京都、大阪の町、北を向けば比良山地の山々。澄んだ空気を吸い込めば、身も心も癒されます。
「びわ湖テラス」を下ったら、一路琵琶湖大橋へ。昭和39年に開通したこの橋によって湖の東西はつながり、湖東と湖西の町をまとめて観光できるようになりました。橋のたもとにある「道の駅 びわ湖大橋米プラザ」には、近江路の名産品が集まってきます。琵琶湖産の魚の佃煮や近江牛などが定番ですが、生産者から直接仕入れている近江米や高島の「萩乃露」などの地酒も人気だとか。豊かな自然に育まれる食を求めに訪れてみてはいかがでしょうか。

びわ湖バレイ/びわ湖テラス

スカイウォーカーなどのアクティビティのほか、冬はスキーも楽しめる。10~11月は一帯の木々が黄色に色づく。

077-592-1155

大津市木戸1547-1

(~2021年11月23日)
平日9:30~17:00、土日祝9:00~17:00(11月8日~11月23日は9:30~16:30)

11月24日~12月下旬

往復券(平日):大人3,000円、小学生1,500円、往復券(土日祝):大人3,500円、小学生1,500円


「Cafe360」。天気のよい日には、南アルプスの3,000m級の山々まで見えることもある。
©Alpina BI Co., Ltd. All Rights Reserved.


「The Main」内にある「Terrace Cafe」。景色を眺めながらゆったりくつろげる。
©Alpina BI Co., Ltd. All Rights Reserved.

道の駅 びわ湖大橋米プラザ

滋賀の名産品を集めたお土産品売店コーナーや近江牛弁当などを味わえるレストランもある。1階テラスと2階展望バルコニーからは琵琶湖大橋の絶景が。

077-574-6161

大津市今堅田3-1-1琵琶湖大橋西詰め(滋賀県特産品直売所「おいしやうれしや」)

9:00~17:00(季節により変更あり)

直売所は年末年始


「コシヒカリ」や「キヌヒカリ」などさまざまな種類の近江米が揃う。


琵琶湖のさざ波をイメージした外観。


近江路の地酒がずらりと並ぶ。

琵琶湖から南に流れ出る瀬田川のほとりに「叶 匠壽庵 寿長生の郷(かのう しょうじゅあんす ないのさと)」という里山があります。大津の市街地で創業した和菓子屋「叶 匠壽庵」が、「菓子づくりの原点は農にある」との思いから6万3千坪の丘陵地を開墾し、梅や柚子などの菓子の原料を育てています。園内には、本社工場のほか、食事処やカフェ、菓子売場、茶室などがあり、おいしい甘味をいただくことができます。
でも、楽しみはそれだけではありません。背後の山に散策路が整備されていて、ちょっとしたハイキングを楽しむことができるのです。池や水田があり、ヤギも飼われています。土や植物の匂いを嗅ぎ、さまざまな虫の声に耳を澄ませていると、心がすっと軽くなります。
 園内には陶房と炭焼き窯もあり、この山の土で器を焼いたり、間伐材で炭を焼いて茶席で使用するなど、里山の恵みをうまく循環させています。「叶 匠壽庵」のお菓子づくりへの思いが伝わってきます。
琵琶湖の西側は、比良山地の山々が連なり、山の幸に恵まれています。「比良山荘」の名物は「月鍋」。これは熊鍋のことで、三代目伊藤剛治さんが約25年前に熊肉の仕入れから処理まで流通を整えるところから始めました。これまでに200頭以上の熊を見てきた伊藤さんが熊肉を厳選し、しゃぶしゃぶに仕上げます。臭みはなく、甘くとろけるような食感。他の肉では味わえません。

叶 匠壽庵 寿長生の郷

1958年創業後、1985年に本社工場をこの地に移動した。梅の開花頃には「梅まつり」、季節ごとに収穫した野菜のイベントなども開催。希少な植物や生き物の保全も行っている。

077-546-3131

大津市大石龍門4-2-1

10:00~17:00

通常水曜(月ごとに営業日が異なるため、HPをご確認ください)


「梅窓庵(ばいそうあん)」の「ぜんざい」(880円)。ふっくらした丹波大納言が絶品。


「この里に来て元気になってもらいたい」と話す三代目の芝田冬樹社長。


約千本の城州白梅。毎年6月下旬から7月上旬には梅狩りを体験できる。


茶室は窓の外に美しい景色が広がり、抹茶とともに月ごとのお菓子を楽しめる。

比良山荘

1959年創業。季節ごとにメニューが変わり、春は「花山椒鍋」、夏は「鮎食べ」、秋は「焼松茸」と「子持ち鮎」、冬は「月鍋」。

077-599-2058

大津市葛川坊村町94

11:30~13:00最終入店、17:00~19:00最終入店(予約制)

火曜、ほか


美しく盛られた熊肉。ほとんどが脂身だがまったくしつこくない。「月鍋」は11月中旬~3月末まで(22,000円・おまかせ)。


比良山系の山懐に佇む。


落ち着いた空間で、美しい庭園を眺められる。

東近江

一方、湖の南東側は平野が広がり、古くから商業が栄えました。近江商人の発祥地のひとつ、東近江では子供の出生時に凧をあげる習慣があり、しだいに大きさを競うようになりました。「世界凧博物館 東近江大凧会館」には、100畳敷に達する大凧が展示されています。東近江大凧は、上部に鳥や魚の絵を描き、下部に文字を描いて、凧に願いを込めます。100畳敷の大凧は、2つの辰(竜)の絵と「健」の字で、「辰辰(心身)健やかに」。ぜひ東近江大凧を見に訪れてみてください。

世界凧博物館 東近江大凧会館

0748-23-0081

東近江市八日市東本町3-5

9:00~17:00(入館は16:30まで)

水曜、祝日の翌日、第4火曜、12月28日~1月2日

大人300円、 小・中学生150円


100畳敷の東近江大凧。絵柄に沿って切り抜いて風の抵抗を少なくする「切り抜き工法」と、運搬用に丸骨を取り外して巻ける「長巻き工法」も特徴。


2階では北海道から沖縄まで各地の特色ある凧を約500点、中国やアメリカなど海外の凧を約100点展示している。上の写真中央は約4mもある「マルスゾウカブトムシ」の立体凧。

近江八幡

近江八幡は、豊臣秀吉の甥である豊臣秀次が築いた八幡城の城下町です。城があった八幡山には、「八幡山(はちまんやま)ロープウェー」で登ることができます。山頂のまわりには史跡が点在し、アップダウンのゆるやかな登山道でめぐります。西の丸跡や北の丸跡からは、秀次も見たであろう近江路の雄大な景色が広がります。
城下の旧市街は、近江商人が暮らした町屋が建ち並んでいます。平成3年には、滋賀県で初めて国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されました。永原町にある「ボーダレス・アートミュージアムNO-MA」は、昭和初期の町屋を改築した美術館。障がいのある作者の作品と現代アーティストの作品などを分け隔てなく展示し、さまざまなボーダー(境界)を越えていこうとメッセージしています。
近江八幡といえば、ウィリアム・メレル・ヴォーリズも忘れてはいけません。キリスト教の伝道師として来日し、英語教師として近江八幡に赴任しました。メンタームで有名な近江兄弟社を設立したほか、医療や福祉、教育など多岐に亘る社会貢献事業を行いました。その功績は「近江兄弟社メンターム資料館」で知ることができます。
また、彼は建築家でもあり、「ヴォーリズ記念病院」「ハイド記念館」「旧八幡郵便局」などの西洋建築をこの町に残しました。ロープウェーの駅や町家のある旧市街からも近いので、ぜひ見に行ってみてはいかがでしょうか。

八幡山ロープウェー

八幡山の標高は271.9m。一周約30分の散策コースになっている。 

北の丸跡からは、近江八幡の町並みや西の湖が見える。

0748-32-0303

近江八幡市宮内町257

9:00~17:00(季節や行事により随時延長)
毎時15分間隔で発車(上り最終16:30)

無休 ※冬季に点検整備による休業期間あり。

大人:片道500円、往復890円、子ども:片道250円、往復450円

眼下に近江八幡の町並みが広がる。

本丸跡には秀次の菩提寺である村雲御所瑞龍寺門跡が建つ。

本丸周囲には石垣が残っている。

瑞龍寺は、アートに力を入れており、定期的に企画展を開催。回廊には、絵師の木村英輝さんによる壁画が描かれている。

ボーダレス・アートミュージアム NO-MA

社会福祉法人グローが運営。企画展を年4回開催している。

0748-36-5018

近江八幡市永原町上16

11:00~17:00

月曜(祝日の場合は翌平日)、年末年始、展覧会入れ替え時

300円 ※観覧料は企画展によって変更あり。

2階の和室。畳に座って作品を眺められる。

町屋が野間邸だったことも「NO-MA(のま)」という名前の由来の一つ。

近江兄弟社 メンターム資料館

2006年開館。ヴォーリズの足跡をパネルで展示している。メンタームをはじめとする商品も販売しており、売上代金の一部をチャリティ基金とし、社会福祉団体に届けている。

0748-32-3131

近江八幡市魚屋町元29

9:00~17:00

土日祝、年末年始 

無料
※新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、臨時休館中(9/30現在)。


展示室。



滋賀県で有名な「飛び出し注意」をうながす看板「とび太くん」のメンタームバージョン。

知らせざる絶景スポット

びわこ花噴水

滋賀県大津市

琵琶湖の湖上、大津港沖合に位置する大噴水。高さは約40m(10階建てビルに相当)、幅は約440mで世界最大級です。噴水の放水量や角度が少しずつ変化し、さまざまなパターンで水が吹き上がる光景を、大津港の護岸から見ることができます。また、昼は涼感あふれる風景、夜はライトアップによる色とりどりの幻想的な風景と、全く異なる景色を楽しめます。水しぶきと天気のバランスによって、運がよければ虹を見られるかも。定期点検日(第2・第4水曜日)や悪天候日を除き、平日は昼と夜に各1回ずつ、土日祝は昼と夕方、そして夜に各1回ずつ、毎日運転されます。

写真提供:琵琶湖汽船株式会社

大津港の護岸からの景色。夜はグリーン・オレンジ・透明の3色にライトアップされる。湖面に映る光が美しい。

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