ALSOK TRIP vol.28

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見て、食べて、感じる。宮城の〈いま〉に出あう旅

東日本大震災から14年・・・。
自然の“恵み”と“驚異”。どちらも知り尽くした宮城。地域に根を張って活躍する若者たちのパワーが息づいていました。

日和山公園

標高約60mの日和山。目の前に太平洋が広がる。震災当時、高さ6mを超える大津波から多くの人たちが避難し命の山となった。

徳島訪問MAP

石巻

石巻市は宮城県の北東部に位置し、仙台市に次いで2番目に人口が多い都市。世界三大漁場を有し、魚介類の宝庫として知られています。
石巻市のシンボル的な存在、日和山を訪れました。震災当時多くの方が避難した〈命の山〉でもあります。眼下に太平洋が一望できる方向に目を移すと、「石巻南浜津波復興祈念公園」が眼下に広がっていました。市内でも特に甚大な津波の被害を受けた南浜地区に整備されています。公園には、追悼の広場、祈りの場、慰霊碑が新たに設けられた他、津波により被災した保育園や南浜町会館の跡地が震災遺構として残り、かつてそこに暮らしがあったことを物語っています。「みやぎ東日本大震災津波伝承館」では、シアターやパネル展示、VRなどを通して、記憶の風化を防ぎ、震災の教訓を語り継いでいます。
「私たち若い世代も震災伝承に関わっていきたい」
震災当時、高校生だったという主事の渡邊さんの言葉が力強く響きました。

 
石巻南浜津波復興祈念公園

東日本大震災で甚大な被害を受けた南浜地区の住宅地の跡地に造成された公園。約38.8ヘクタールもの広大な敷地に震災でお亡くなりになった方々の追悼と鎮魂、震災の記憶と教訓を後世に伝える。「追悼の広場」「祈りの場」「みやぎ東日本大震災津波伝承館」、「一丁目の丘」などから成る。

公園内にある重要な施設「祈りの場」。カーブを描く水面が美しい。

0225-98-7401

住所
石巻市南浜町2-1-56
開園時間
9:00~18:00(4月~9月)
9:00~17:00(10月~3月)
無休
https://ishinomakiminamihama-park.jp/
元気な石巻に会いに行く 石巻市
みやぎ東日本大震災津波伝承館

東日本大震災の記憶と教訓を永く後世に伝え継ぐために設立された。津波の記録や被災者の証言等による映像をはじめ、語り部活動を行う団体や取り組みなどを紹介するパネルなどを展示する。

北側の屋根の高さは、この地を襲った津波が停滞した時の高さと同じ6.9m。

0225-98-8081

住所
石巻市南浜町2-1-56
開館時間
9:00〜17:00(最終入館16:30まで)
月曜(祝日の場合はその翌日/※GW期間を除く)
年末年始(12月29日から1月4日)
※毎月11日は曜日・祝日にかかわらず開館
入館料
無料
https://www.pref.miyagi.jp/site/denshokan/

石巻(北部)

石巻市の北部、田園風景に溶け込むように佇む「道の駅 上品の郷」へ。施設内に足を踏み入れるとオープンから20年が経った今でも、杉独特の芳しい香りが漂ってきます。地元産材を使った「杉格子構造建築」が見事です。直売所では旬の農産物を中心に地元生産者の商品が並びます。地場産食材にこだわったフードコートでのイチオシは石巻名物「サバだしラーメン」です。販売課係長の戸村将斗さんは、生みの親のひとり。震災からの復興をテーマに地元企業と開発した渾身の一杯に、当時ゼミ生として関わりました。
いっぽう北上川の河口沿いにある「いしのまき元気いちば」は、地元産の海産物を中心に充実した品揃え。2階のフードコートでは石巻屈指の景色を眺めながら石巻の旬の味に出あうことができました。
「津波から生かされた命を地域に捧げたい」と語りながら、忙しく商品を並べる店長の千葉和芳さん。地域に根を張る二人の若者に希望を感じる訪問になりました。

道の駅 上品(じょうぼん)の郷

新旧北上川に囲まれた緑豊かな地、国道45号沿いにある道の駅。東にそびえる「上品山」が名前の由来。地元農家が育てた新鮮野菜や加工品が並ぶ直売所、地場産食材にこだわったフードコート、広い休憩所を完備した温泉施設などで一日過ごせる。

地元河北町を中心に約430の契約者が生産する地元産品が並ぶ産直販売「ひたかみ」の店内。

0225-62-3670

住所
石巻市小船越二子北下1−1
営業時間
9:00~19:00
不定休
https://joubon.com/
豊富な鉄分と塩分を含んだ「ふたごの湯」の足湯は鉄さび色の濁り湯。無料で利用できる。
事処こばやしの「石巻名物サバだしラーメン」(900円)。フードコートでは「石巻焼きそば」(820円)など地場産食材を使った料理を楽しめる。
この辺りに伝わるかまどを守る神様「釜神様」の彫物も販売される。
いしのまき元気いちば

北上川の河口沿いにあり、毎日の食材から旅のお土産まで石巻の特産品を豊富に取り揃える施設。世界三大漁場を有する石巻ならではの旬の魚介類が充実。2階には石巻屈指の眺望を誇るフードコートもあり、石巻の旬をその場で味わえる。

ぬくもりある木造2階建て施設。

0225-98-5539

住所
石巻市中央2丁目11-11
営業時間
9:00~19:00
元気食堂
平日・日曜11:00~20:00
土曜・祝前日11:00~20:30
(閉店30分前L.O.)
不定休、1月1日(元気食堂)
https://www.genki-ishinomaki.com/
地元産を中心に新鮮なネタが約10種のった「元気丼」(1,600円)。

塩竈(しおがま)

県のほぼ中央に位置する塩竈市。1200年の歴史を持つ鹽竈神社が杉の木立に覆われた小高い丘から町を見守るように鎮座しています。
この日はちょうど遠方に松島の島々を望むことができました。表参道には202段の急な石段があり、祭の際には重さ約1トンの神輿が厳かにこの石段を下りていくそうです。その神輿が御座船に奉安され、約100隻の供奉船を従えて松島湾内を巡航するという「塩竃みなと祭」に思いを馳せました。

鹽竈神社(しおがまじんじゃ)

陸奥国一之宮。東北地方の守り神として、朝廷から厚い崇敬を受け、平泉の藤原氏、仙台藩主伊達氏が信仰してきた歴史ある神社。 「しおがまさま」として古くから親しまれている。

主祭神は製塩技術を伝えた海や塩の神様「塩土老翁神(しおつちおじのかみ)」。

022-367-1611

住所
塩竈市一森山1-1
営業時間
(3月~10月)5:00~18:00
(11月~2月)5:00~17:00
無休
http://www.shiogamajinja.jp/
「鹽竈神社博物館」では重要文化財の宝物などを展示する。
お清め用の御塩。

仙台

仙台市東部沿岸部の藤塚地区。土地の名前は地元の神社に咲く藤の花が由来です。「アクアイグニス仙台」は、温泉施設やレストラン、マルシェなどを有する複合施設。震災後、集団移転跡地となったこの地の復興を願って、2022年春に誕生しました。温泉の恵みを生かした「FUJITSUKA化粧水」は、宮城県の有志大学生とのコラボ商品。未来ある若者と共に、次の歴史を刻んでいます。
仙台中心地より車で約30分、自然豊かな秋保温泉郷にあるワイナリーを訪ねました。涼しい風がぶどう畑を吹き抜けています。
〈究極のマリアージュは産地にあり〉をコンセプトに掲げ、栽培から醸造まで一貫して行い、オリジナルワインの他、2024年夏にはレストランをオープンし、料理とのペアリングも楽しむことができます。
「震災で途絶えた宮城県のワイン産業の復活が被災した生産者を救うと信じていました」と、代表取締役の毛利親房さん。今後は、秋保に循環バスを走らせ、秋保の〈おもしろい〉を線で結ぶ構想もあるとか。東北全体を盛り上げる〈起爆材〉にもなり得る秋保に、今後も目が離せません。
1947(昭和22)年の創業以来、75年以上にわたって、お菓子作りを続けている「菓匠三全」。仙台を代表する銘菓「萩の月」はあまりにも有名です。伝統食「ずんだ」を使った和洋菓子なども充実。広瀬通り大町本店では喫茶コーナーもあり、甘いお菓子とコーヒーで旅の疲れを癒すことができます。
仙台城の本丸跡と向かいあう経ケ峯一帯は「経ケ峯歴史公園」として整備され、伊達政宗の霊屋である「瑞鳳殿」など、伊達家歴代の霊屋が点在しています。杉木立の中に佇む瑞鳳殿の豪華絢爛な廟建築に、しばし目を奪われました。
いまや仙台の食文化となった「牛たん焼」。「牛たん炭焼 利久」では、職人による手切り、手振り塩で味をつけた牛たんを炭火で焼き上げ、旨みを引き出しています。西口本店は東北の玄関口からすぐ。旅の終わりに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

アクアイグニス仙台

東日本大震災により甚大な被害を受け、集団移転跡地となった仙台市東部沿岸部藤塚地区に、2022年春にオープンした複合施設。「治する/食する/育む」の3つをコンセプトに、温泉施設やレストラン、マルシェなどを展開する。

海を近くに感じながら浸かれる温泉「藤塚の湯」。

022-355-2181(代表)

住所
仙台市若林区藤塚字松の西33-3
営業時間
9:00~18:00(店舗により異なる)
https://aquaignis-sendai.jp/
ショップ「マルシェリアン」では、東北地方の新鮮な食材や加工品が並ぶ。
食事処「笠庵 賛否両論」の「おまかせ御膳」(3,500円)。藤塚産ひとめぼれを使ったオリジナルの日本酒「藤の雫」と共に。
秋保(あきう)ワイナリー

日当たり、風通し、水はけのよい秋保温泉郷に2015年にオープン。ぶどう畑に囲まれたガラス張りのレストランで地元産の食材を使った料理とともにワインを堪能できる他、ぶどうの仕込みなどの醸造風景を見学できる。ショップでは自社製ワインの他、ワインに合うおつまみ類も充実。

ワイナリーの設計は建築家でもある毛利さんが手がけた。

022-226-7475

住所
仙台市太白区秋保町湯元枇杷原西6
営業時間
9:30~17:00
ディナー(予約制)18:00~21:00
火曜
https://akiuwinery.co.jp/
「ピクニックランチボックス」(1,980円~)
ぶどう畑を眺めながらワイナリーピクニックはいかが。
代表取締役の毛利親房さん。現在16品種のぶどうを育てる。
ワインで豊北の食文化をつなぐ 秋保ワイナリー
菓匠三全(かしょうさんぜん)

創業以来75年以上にわたって、「お菓子を通じて、暮らしに新鮮な感動をおくり続けたい」という願いを込めて、お菓子作りを続けている。「菓匠三全 広瀬通り大町本店」では、仙台を代表する銘菓「萩の月」をはじめ、ずんだを使った和洋菓子などが並び、店内でもいただける。

広瀬通り大町本店の店内。無料の喫茶スペースでは、挽き立てコーヒーを飲みながら休憩することが可能。

022-263-3000

住所
仙台市青葉区大町2-14-18
営業時間
9:00~19:00
無休
https://www.sanzen.co.jp/
仙台を代表する銘菓「萩の月」。ふんわりした口当たりとカスタードの甘みで心をほぐす。
瑞鳳殿(ずいほうでん)

仙台藩伊達政宗公の霊屋(みたまや)。桃山の遺風を伝える豪華絢爛な廟建築は国宝に指定されるも戦災によって焼失し、現在の建築は1979年に再建されたもの。発掘調査によって出土した副葬品などを展示する資料館も併設する。

瑞鳳殿は黒漆塗りの黒に金箔や極彩色の彫刻が施され豪華絢爛。建物の四面にある鳳凰や獅子、天女の彫物は必見。

022-262-6250

住所
仙台市青葉区霊屋下23-2
開館時間
9:00~16:50(2月~11月/※最終入館時間16:30)、9:00~16:20(12月~1月/※最終入館時間16:00)
12月31日、1月1日(瑞鳳殿のみ開館。感仙殿、善応殿、資料館は休館)
観覧料金
一般・大学生570円、高校生410円、小・中学生210円
※団体料金あり
https://www.zuihoden.com/
「涅槃門」には樹齢数百年の青森ひばが使われ、麒麟と瑞雲の透かし彫りが施されている。
最先端の科学的調査と復顔技法による伊達政宗復顔像。
伊達藩祖伊達政宗公霊屋 瑞鳳殿
牛たん炭焼 利久(りきゅう)

宮城県を拠点に仙台の食文化「牛たん焼」を提供する専門店。厳選された素材を使用し、昔ながらの技術によって独自の肉厚で歯切れの良い食感と旨みを引き出す。仙台市内の店舗は料理長の得意を生かしたメニューが充実し、各店舗の特色を楽しめる。2022年から本格稼働した「希望の丘醸造所」で地域に根ざしたオリジナルクラフトビールを製造。ビールに合ったメニューも揃う。

022-266-5077

住所
仙台市青葉区中央1-6-1 Herb SENDAIビル5F
営業時間
平日11:30~15:00(L.O.14:30)、 17:00~22:30(L.O.22:00)
土・日曜・祝日11:00~15:00(L.O.14:30)、 15:00~22:30(L.O.22:00)
無休
https://corp.rikyu-gyutan.co.jp/
「牛たん極み定食」(3,130円)

ALSOK TRIP vol.28

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