ALSOK TRIP vol.27

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阿波の国・徳島吉野川の恵みを五感で味わう夏旅

四国の東側に位置する徳島県。東部に海、西部に四国山地を有し、四国中央の水源から、徳島の東へ流れる吉野川が、独特の文化を生み出しました。徳島の豊かな自然と文化を探る旅へ。

徳島訪問MAP

鳴門

四国の東の玄関口、鳴門市。淡路島と徳島を結ぶ大鳴門橋の下、鳴門海峡に逆巻く「鳴門の渦潮」は、観光名所として見逃せません。瀬戸内海と太平洋の2つの潮流がぶつかり合って生まれる大きな渦は、最大時に直径約20メートルに達し、「世界三大潮流」のひとつに数えられています。
この神秘の自然現象を間近に堪能しようと、早速、亀浦漁港から高速観潮船に乗り込みました。潮風に吹かれること、約3分。白い飛沫をあげながらあちこちで渦を巻いては消えていく潮目に向かって、小型船ながら果敢に突き進んでいきます。生き物のようにさまざまに形を変えながら動き続けるダイナミックな潮の流れ……。地球と月、海峡の地形などが複雑に絡み合いながら繰り広げる、神秘の”ライブショー”を存分に満喫しました。
鳴門の豊かな自然は、多くの恵みももたらしています。なると金時、レンコン、わかめなどはすでに全国に知られているところです。
2022年4月にオープンした「道の駅くるくる なると」は、そんな地元の名産品や加工品など、約2500の豊富なアイテムが揃う「体験型 食のテーマパーク」です。総重量2キロの海鮮丼やおにぎりなどのユニークなメニューが実現できるのも食材の宝庫、徳島のなせる技。
連日大賑わいの施設は、新たな交流拠点として、活気の″渦”を巻き起こしていました。

 
高速観潮船 うずしお汽船

大鳴門橋の下、世界三大潮流のひとつ「鳴門海峡」の渦潮の絶好ポイントまで、小型高速船で約3分。渦潮が出現する時刻に合わせて出港する。予約なしで乗船可能。大塚国際美術館から徒歩5分、渦の道など他の渦潮観光施設からも徒歩圏内にあり、合わせて楽しめる。

鳴門の渦潮
轟音とともに時速20キロで渦が巻かれる「鳴門の渦潮」。潮の干満や地形などが複雑に絡み合って神秘の自然現象が起こる。

088-687-0613

住所
鳴門市鳴門町土佐泊浦字福池65-63
営業時間
8:00~17:00 (最終便16:30出航)
無休
運賃
大人1,600円、小人(小学生)800円、
幼児無料(大人1名につき1名無料)
https://www.uzushio-kisen.com
小回りを効かせながら潮目を追うことができるのは、小型船ならでは。
世界最大級の渦潮! 大迫力!鳴門のうずしお
道の駅くるくる なると

2022年4月オープンの体験型の食のテーマパーク。なると金時やレンコンなど、鳴門・徳島を誇る食材を中心にしたグルメやスイーツを楽しめる他、ジップラインなどアクティビティも充実。

建物の中央でなると金時の巨大オブジェが迎えてくれる。
モンブランクリームをまとった「鳴門金時うずまきソフト」(480円/左)と、「鯛の最中付き阿波和三盆糖蜜ミルクソフト」(430円/右)

088-685-9696

住所
鳴門市大津町備前島字蟹田の越338-1
営業時間
9:00〜17:00
無休
https://www.kurukurunaruto.com

藍住町

徳島県北東部、吉野川の下流北岸に位置する藍住町は伝統色・藍のふるさと。江戸から明治にかけて、藍の原料・阿波藍の一大産地として栄えました。
藍住町歴史館「藍の館」は、徳島県の藍の歴史や製造工程に関する展示など、藍の魅力を伝える施設。新設の資料館に加え、藍の豪商だった奥村家から譲り受けた江戸末期の建物が利用され、当時の繁栄ぶりも合わせて知ることができます。
「暴れ川であった吉野川は流域に甚大な被害を与えた反面、藍の栽培に最適な肥沃な土壌をもたらしました」と、館長の三谷芳広さん。阿波藍染の要となる「蒅」づくりだけで約100日間。そこから染め液にする「藍建て」の工程を経て、やっと染色可能な状態になるといいます。
施設では昔ながらの手法による藍染め体験にチャレンジ。自分だけの″奇跡のブルー”に、心が躍りました。
吉野川流域では藍染めに留まらず、さまざまなものづくりが生まれました。そのひとつが「御膳みそ」。
江戸時代に阿波藩主・蜂須賀公の″御膳”に供せられたのが始まりとされる徳島の名産品です。2025年3月には徳島のブランドみそとして、地理的表示保護制度(GI)に登録されました。
「藍の間作として栽培された良質な大豆と、鳴門で発達した製塩業など、味噌づくりに必要な環境がありました」と、かねこみそ株式会社の柳樂英彦さん。風土が生み出した郷土の味です。

藍住町歴史館 藍の館

江戸時代に藍商人としてこの地で阿波藍の栽培・生産から加工・販売まで一貫して手がけていた奥村家の屋敷を利用して、阿波藍の歴史や製法などを詳しく展示する。1808年に建てられた主屋も公開。予約なしで藍染め体験もできる。

貴重な江戸時代の染め物も展示されている。

088-692-6317

住所
板野郡藍住町徳命字前須西172
開館時間
9:00~17:00
火曜(祝日は開館)、12月29日~1月3日
入館料
大人300円、中・高生200円、小学生150円 ※団体料金あり
https://ainoyakata.jp/
奥村家住宅のなかで最古の主屋は1808年の建築。続く西座敷は取引客を接待する宴会場だった。
藍染体験では、染めたい模様を選んでハンカチなどの小物を染めることができる。
藍染め体験をしました!「藍の館」
かねこみそ

藍住の地で昭和7年に創業して以来、一貫して伝統的製法による御膳みそを作り続ける。御膳みそのほか各種おかずみそ、あま酒なども充実。WEBサイトではみそを使ったレシピも多数紹介する。

088-692-2611

住所
板野郡藍住町奥野字乾81-2
https://kanekomiso.co.jp/
御膳みそ
一般的な味噌と比べて米糀の歩合が多いので、うまみと甘みが強いのが特徴。焼きみそやおかずみそとしても食されるなど、徳島の名産品として根付いている。
徳島の家庭の味として知られる「御膳みそデラックス」、独自の高温二段熟成で甘みと旨みを引き出した「甘熟みそ」、徳島の地鶏「阿波尾鶏」のダシを使った「とり鍋のみそ」など、地元で愛される名品が揃う。

阿南

徳島には『阿波畜産ブランド』と呼ばれるグルメもあります。阿波尾鶏、阿波とん豚、そして阿波牛です。「溶岩焼ステーキ&ハンバーグ崋山」では、極上の阿波牛を溶岩プレートに載せて提供しています。遠赤外線効果でふっくら焼き上げられたステーキを一口頬張ると、口いっぱいに一瞬で肉の旨みが広がりました。那賀川の澄んだ地下水と、長年研究したブレンド餌で育てられた阿波牛の味を堪能しました。

溶岩焼 ステーキ&ハンバーグ 崋山

阿波牛のステーキやハンバーグを、溶岩プレートに載せて提供するレストラン。社長自らが足を運んで買い付けた素牛を、自社牧場で安心・安全な最高ランクの阿波牛に育て上げている。シャトーブリアンが人気。

0884-49-5529

住所
阿南市那賀川町工地759-1
営業時間
ランチ11:00~14:30(LO.14:00)、ディナー 18:00~21:00(LO.20:30)
https://steak-kazan.com/
大きい窓から田んぼが見渡せる。すぐ近くにある直売の精肉店は連日長蛇の列。
「空気のきれいな自社牧場で特別配合の飼料で育てられた牛の肉は、臭みがありません。肉のおいしさを最大限に引き出す方法で提供しています!」と、店長の花岡和幸さん。

三好

四国のへそと呼ばれる三好市。吉野川の激流によって削られた深い渓谷が美しい景観をつくっています。「大歩危・小歩危」は、リバーアクティビティの聖地。2017年にはラフティングの世界選手権が行われました。
「豊富な水量を誇る吉野川に、世界からも熱い視線が注がれています」と熱く語るのは、複合観光施設「RiverStation West West」取締役の西村太さん。スリル満点のツリートレッキングやクイックジャンプ、手軽に体験できるラフティング、目の前が吉野川というロケーションでのBBQなど、多彩なアクティビティで″世界の吉野川”の魅力を伝えています。
さらに奥地、標高1500メートル前後の山々に囲まれた″秘境祖谷”へ。急峻な山の表面にへばりつくように人家が点在し、「平家の落人伝説」に相応しい風景が広がっています。
祖谷を代表する観光地・かずら橋は、野生のシラクチカズラ約6トンで編んだ吊り橋です。その昔、渓谷を隔てる集落を行き来する生活道として日常的に使われていたそうです。足下の横木の隙間からのぞく川面に思わず足をすくませつつ、先人たちの暮らしの″軌跡”をたどりました。
箸蔵山ロープウェイは約4分の空中散歩で、山頂の箸蔵寺までの全長950メートルを結んでいます。窓越しに眼下に広がる吉野川を眺めながら、厳しさや豊かさをもたらしてきたこの川が、今も昔も徳島の人たちの暮らしとともにあり、″心のふるさと”のような存在なのだと実感する旅の締めくくりとなりました。

RiverStation West West

四国の真ん中、徳島県大歩危にある複合観光拠点施設。祖谷そば店、ギフトショップ、アウトドアショップ、コンビニなどの店舗の他、ツリートレッキングやラフティングなどの体験型アクティビティ、展望台やバーベキューハウス、ドッグランなどの設備も充実。ラフティングの世界大会会場にもなった。

吉野川が目の前という好ロケーション。手ぶらで参加できるラフティングやツリートレッキングが人気。

0883-84-1117

住所
三好市山城町西宇1468-1
開館時間
10:00~17:00 ※季節・店舗により異なる
平日不定休(土日祝は営業) ※店舗により異なる
https://west-west.com/
食材の準備や片付けなどは施設側にお任せの、手ぶら&お気軽BBQ。吉野川を眺めながらプライベート空間で楽しめる。希望予算に応じて食材を準備。施設内のショップでドリンクの調達もできる。
ギフトショップにはスタッフいちおしの地元産品がずらり。移住したクリエイターたちのセンスが光る逸品も。すだち入りの和紅茶やクラフトビールなど、ご当地ものが見つかるかも。
吉野川を大歩危から祖谷渓谷へ
箸蔵(はしくら)(さん)ロープウェイ

古くから「こんぴら奥の院」として全国各地から信者が集まる箸蔵寺と登山口を結ぶロープウェイ。山麓からの全長950mを約4分で結ぶ。車窓からは四国山脈をはじめ、吉野川の素晴らしい眺望が広がる。

0883-72-0818

住所
三好市池田町州津藤ノ井559-14
営業時間
8:00~17:15(4~11月)、9:00~17:15(12~3月)
無休
乗車料
大人1,700円、中・高生1,250円、小人850円(往復)
※団体料金あり
http://wwwd.pikara.ne.jp/hashikurasan/
山頂の箸蔵寺は静寂に包まれて落ち着いた雰囲気。精緻な動物の彫物が施された建築意匠は必見。国の重要文化財にも指定されている。
紅葉のベストシーズンは11月。みごとな景観をゆったりと楽しめる。
祖谷(いや)のかずら橋

国指定重要文化財。日本三奇橋のひとつにも数えられる。追っ手から逃れるために、いつでも切り落とせるようにと、シラクチカズラという植物でかけたという平家伝説ゆかりの橋。

住所
三好市西祖谷山村善徳162-2
営業時間
ランチ11:00~14:30(LO.14:00)、ディナー 18:00~21:00(LO.20:30)
無休
料金
大人(中学生以上)550円、小学生350円、幼児無料
※団体料金あり
琵琶の滝。高さ約40mから白糸を引くように一筋に落下する。平家の落人たちが都をしのんで琵琶を奏で慰め合ったという伝説から名付けられた。

ALSOK TRIP vol.27

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