ALSOKアンケート

<第1回 担任の先生に聞く、小学生の防犯に関する意識調査>
1割の先生が「担当するクラスの児童が危険な目に遭ったことがある」
子どもが興味を持つものや、子どもの親切心につけ込んだ誘い文句で
連れ去ろうとする時期は「7~9月」に集中!夏休みは要注意!!

<2016年7月15日>

ALSOK(本社:東京都港区、社長:青山幸恭)は、2004年より実施している、全国の小学生を対象とした出前防犯授業「ALSOKあんしん教室」を実施したクラスの担当教諭を対象に、小学生の防犯や生活に関するアンケート調査を実施し、「担任の先生に聞く、小学生の防犯に関する実態調査」として、以下の通りまとめました。

調査期間:2015年9月1日から2016年3月31日まで
調査対象:「ALSOKあんしん教室」を実施した全国の小学校のクラス担当教諭
調査方法:アンケート用紙に記入していただいたものを、ALSOKにて集計
回答数:349人

児童の防犯ブザー所持率、低学年では6割以上のクラスで100%学年があがると共に所持率は減少

現在担当しているクラスの児童の防犯ブザー所持率を聞いたところ、低学年のクラスを担任している先生の6割以上(63.2%)が「全員所持している」と回答しました。しかし、学年が上がるにつれて所持率は減少し、高学年のクラスを担任している先生のうち「全員所持している」と回答した先生は、23.0%にまで落ち込みました。

小学校入学時、新1年生全員に防犯ブザーを配布する自治体もありますが、風雨や衝撃などで壊れてしまったり、紛失することも少なくないようです。

犯罪を企てる者は人に気付かれることを嫌うため、大きな音量の出る防犯ブザーは、子どもでも相手をけん制できる上に、身に付けているだけでも犯罪抑止効果が期待できる優れた防犯ツールです。ブザーが故障していないか、電池が消耗して音量が低下していないかなど、保護者が定期的に点検するよう心がけましょう。

約半数の先生が、以前(昨年)と比較して、児童たちの安全・安心への危機意識が高まっていると感じている

以前(昨年)と比較して、児童たちの安全・安心への危機意識が高まっていると感じているか聞いたところ、42.7%の先生が「高まっている」と感じており、「以前と同じくらい」(36.7%)を上回りました。 奈良県のリサイクルショップで小学校6年生の女児が連れ去られた事件(2015年7月)や、大阪府寝屋川市で中学生の男女が連れ去られた事件(同8月)が発生し、大きく報じられたことも、児童の危機意識を高めるきっかけになったと考えられます。

現在担当しているクラスで、過去に危険な目に遭ったことがある児童がいると回答した先生は約1割うち約4割は、声を掛けられて連れ去られそうになったことのある声掛けの手口は、子どもが興味を持つもので誘う「興味系」、子どもの親切心につけこむ「親切系」が多い

現在担当しているクラスの中に、過去に声掛けや連れ去りなど、危険な目に遭った経験のある児童がいるか聞いたところ、10.6%の先生が「危険な目に遭った児童がいる」と回答しました。

具体的に、どのような被害に遭ったか聞いたところ、37.8%の先生が「声掛けにより連れて行かれそうになった」と回答しました。声掛けの内容に関しては、子どもが興味を持つもので誘う「興味系」(28.6%)と、子どもの親切心につけ込む「親切系」(28.6%)が同率で最も多く、「困っている人がいたら助けよう」と教えられている子どもの無垢な心を踏みにじる、卑劣な手口が明らかになりました。

ALSOKでは、犯行の際によく使われるとされる誘い文句のパターンを「興味系」 、「ハプニング系」 、「親切系」、「困惑系」の4つに分類し、注意を呼びかけています。できるだけ多くの声掛けの事例を児童に示し、自分だったらどう対応するかを考えさせる訓練を日頃から行うようにしましょう。

興味系

「ペットを見せてあげる」、「タレントにならない?」など、子どもの興味、好奇心をそそる手口。

ハプニング系

「お母さんが病院に運ばれたから一緒に行こう」など、動揺させて平常心を奪う手口。

親切系

「迷子の犬を一緒に探して」、「駅まで案内して」など、子どもの親切心につけ込む手口。

困惑系

「雨が降ってきたから送ってあげる」など、子どもが困っているところにつけ込む手口。

「下校中」、「路上」で声掛けや連れ去りなどの被害が集中時期は「7~9月」が最多

現在担当しているクラスに、過去に声掛けや連れ去りなど、危険な目に遭った経験のある児童がいると回答した先生に、被害に遭った時間帯・場所・時期を聞いたところ、時間帯では、保護者や先生の目が届きにくい「下校中」(48.6%)、「外出中(日没前)」(29.7%)の順となりました。被害に遭った場所は、「路上」(67.6%)が最多となり、「公園・空き地」(18.9%)が続きました。被害に遭った時期は、7~9月に集中しました。

この時期は、新生活にも慣れてきたり夏休みがあったりと、緊張感が緩みやすく、子どもの行動範囲が広がる時期です。また、夏休み期間中は比較的日没時間が遅く、外で遊ぶ時間が長くなる時期でもあります。夏休み前に一度、家庭でもお子さんと一緒に防犯について確認し合ってはいかがでしょうか。

7人に1人の先生が、現在担当しているクラスに、自宅で留守番中に不審者が訪問してきたり、不審な電話がかかってきたことのある児童がいる

共働き家庭や核家族の増加により、子どもだけで留守番をする機会が増えました。現在担当しているクラスの中で、自宅で留守番中に不審者が訪問して来たり、不審な電話がかかってきたことのある児童がいると回答した先生は、15.8%でした。そのうち、「不審な訪問者が来たことのある児童がいる」と回答した先生は41人、「不審な電話がかかってきたことのある児童がいる」と回答した先生は19人でした。

「ALSOKあんしん教室」で児童に尋ねると、留守番を「一人で気ままに過ごせる楽しい時間」と考えている児童は少なくありません。留守番中の子どもを狙った犯罪は数多く発生しており、戸締りや訪問者に注意することはもちろん、子どもだけで留守番していることを悟らせないように気をつけることも大切です。「ALSOKあんしん教室」では、下校してから留守番を始めるまでに注意すべき約束を、「いいゆだな」という合い言葉にまとめ、児童に教えています。

子どもだけで留守番する時の約束

  1. 家のカギを見せない(これから留守番をすることが悪い人にわかってしまうから)
  2. 家の周りをよく見る(悪い人が隠れていた場合に、押し入りされることを防ぐため)
  3. 郵便受けをチェック(郵便物があふれていると、留守だと思った空き巣に入られるかもしれないため)
  4. 誰もいなくても「ただいま」と言う(家の中に誰かいるんだなと思わせるため)
  5. 中に入ってすぐ戸締り(悪い人が家の中に入ってくるのを防ぐため)

留守番中の訪問者や電話には一切対応させないというのも一つの方法ですが、子どもの成長段階や家の設備などの状況に応じて、ある程度の対応を子どもに任せてみてもよいでしょう。訪問者や電話に対応する際に気をつけるべきポイントは以下のとおりです。

「子どもだけで留守番」不審な訪問者対応のポイント

  • 一人で留守番していることを悟られないようにする
  • 絶対に玄関の扉を開けない
  • インターホン越しに話す

「親は今、手が離せないので、また後で来てください」と、一人で留守番していることを悟られない対応をさせることがポイントです。過去には宅配業者や点検業者になりすまして押し入った事例があるので、どのような理由であっても絶対に玄関扉を開けてはいけないことを念入りに約束しておきましょう。訪問者の姿が確認できる「カメラ付きインターホン」や、身の危険を感じたときに緊急通報をし、ガードマンの駆けつけ要請ができる「ホームセキュリティ」といった防犯設備を導入しておくことも、留守番を狙った犯罪の予防や抑止に有効です。

「子どもだけで留守番」不審な電話対応のポイント

  • 一人で留守番していることを悟られないようにする
  • 個人情報を伝えない
  • 早めに丁寧に電話を切る

「親は今、手が離せません」、「折り返し連絡するので連絡先を教えてください」など、親の不在を悟られない対応をさせるようにしましょう。また、家の住所や家族の名前など個人情報を尋ねられた場合は絶対に伝えないように約束しておいてください。通話が長引いてしまうと不要な情報を口にしてしまう恐れがありますので、しつこい相手には「忙しいので失礼します」と言って丁寧に電話を切るように教えておきましょう。

9割の先生は、インターネットに関するリスク教育が以前より高まっていると感じている小学校で学ぶべきインターネットリスクは、「ネット上のいじめ」、「個人情報の取り扱い」

以前(昨年)と比較して、現在のほうがインターネットに関するリスクについての教育が必要と感じるか、という質問に対して、88.0%の先生が「以前より必要に感じる」と回答しました。

今時の小学生は、幼い頃からスマートフォンやパソコンに触れる機会があり、必要な情報を検索したり、友達とSNSで繋がることが増えています。しかし、ネットリテラシー(情報ネットワークを正しく利用することができる能力)が十分に身についていない子どもによるネットコミュニケーションは、時にトラブルに発展することがあり、たびたび事件として世間の耳目を集め、「インターネットのリスク教育が必要」と言われ続けています。

小学校のうちに学んだほうがよいと考える内容について聞いたところ、「ネット内いじめ」(88.8%)、「個人情報や顔写真などの公開、送信」(80.8%)と、SNSなどのインターネット上のコミュニケーションに関する内容が特に必要と考えられていることがわかりました。

SNS各社では年齢による登録制限を設けており、facebook、Instagram、Google+は13歳以上。LINE、Twitterは登録制限を設けてはいないものの、LINEはID検索機能利用を18歳からに限定しており、Twitterは<お子様の利用に関するポリシー>の中で、「13歳未満のお子様を対象としたものではありません。(中略)13歳未満のお子様が個人情報を提供したとわかった場合は、提供された情報を削除し、当該アカウントを停止する措置を講じます」としています。

児童にインターネットのリスクについて教えている先生は、低学年では全体の約2割、学年とともに割合が増え、高学年では100%
教えない理由は「時期尚早だから」

実際に、児童にインターネットに関するリスク教育をしているか聞いたところ、小学校高学年の担任では全員が指導すると回答しました。一方、小学校低学年では2割程度にとどまっており、学年が上がるにつれて指導している比率が増加する傾向が見られました。

教えていないと回答した先生にその理由を聞いたところ、「時期尚早だから」という意見が最多でしたが、「どのようなことを教えたらいいかわからない」「各家庭の方針に一任しているから」という意見も少数ながらありました。

参考:ALSOKあんしん教室について

「ALSOKあんしん教室」は、子どもが巻き込まれる事件が多発したことを受けて2004年から始まった、小学校に当社の社員を講師として派遣して行う出前授業です。今までに全国で約4万回、120万人以上の児童に授業を行っています。(2016年3月末現在)
http://www.alsok.co.jp/company/society/ansin/