窓ガラスに貼る防犯フィルムとは?効果や貼り方の注意点、選び方

防犯フィルムは、窓ガラスに貼るだけで防犯性能を高められる、手軽かつ効果的な防犯対策の1つです。窓ガラス自体の交換が必要なく、自分で貼ることもできるため、あまり費用をかけたくない方にも適しています。
この記事では、防犯フィルムの効果やメリット・貼り方の注意点などを詳しく解説します。防犯フィルムの導入を検討している方は、ぜひチェックしてください。
目次
防犯フィルムにはどんな効果がある?5つの効果を解説
まずは、防犯フィルムを貼ることで得られる5つの効果を解説します。
泥棒や空き巣の主な侵入経路「窓」の防犯性を手軽に高められる

出典:警察庁 住まいる防犯110番「侵入者プロファイリング~心理と行動2」
泥棒や空き巣の侵入経路として、窓が狙われるケースは多いです。警察庁によると、令和5年に発生した一戸建住宅の侵入窃盗被害のうち、窓から侵入された割合は55.2%、玄関などの出入口から侵入された割合は20.2%でした。玄関ドアのピッキング対策をしたり、ワンドア・ツーロックにしたりする家庭も増えたことから、より侵入しやすい窓が狙われていると考えられます。
泥棒の侵入手口は「無締り」に続きガラスを割って侵入するケースが多く、窓の鍵をしっかりとかけていても、通常のガラスだと簡単に割られ、手を入れてクレセント(窓ガラスの鍵部分)を外されてしまいますが、防犯フィルムを貼っておけば窓の防犯性は上ります。種類によっては金属バットで叩いてもガラスが割れないほどの性能を持つフィルムもあります。
防犯フィルム以外に防犯ガラスもありますが、防犯ガラスは窓ガラスを交換する手間と費用がかかります。一方で、防犯フィルムは今ある窓ガラスに貼るだけなので、比較的手軽に防犯対策ができます。加えて、原状回復が容易なため、賃貸住宅でも利用しやすいアイテムです。
ガラスを割るときに泥棒が嫌がる「音」がでる
防犯フィルムを貼った窓は、金属バットなどを使用しても何度か強打しないと破ることができません。何度も強打することで、大きな音が鳴り、近隣住民に気づかれやすくなります。泥棒は人目につくことを嫌う傾向にあるため、大きな音が鳴ると途中で侵入を断念する可能性が高まります。
侵入に時間をかけさせることができる
泥棒にとって「侵入に時間がかかる」ことは大きなリスクです。警察庁のデータによると、侵入に5分以上かかると約7割の泥棒が犯行をあきらめるとされています[注1]。
防犯フィルムは、窓を割って侵入するまでの時間を引き延ばすことができます。防犯性能が十分な防犯フィルムであれば、ガラスを強く叩いても簡単には割れず、侵入までに時間をかけさせることができます。
また、補助錠などの防犯グッズと併用すれば、侵入にかかる手間と時間がさらに増加し、途中で侵入を断念させやすくなります。
[注1]警察庁 住まいる防犯110番「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」
ガラスの飛散による二次被害を防げる
窓に防犯フィルムを貼っておけば、地震などの災害でガラスが割れた場合でも破片の飛散を防げます。割れたガラスを踏んで怪我をするといった二次被害も防止できます。
普段の生活に役立つ機能もある
防犯フィルムには、さまざまな種類があります。例えば、不透明で室内の目隠しになるタイプ、虫除け機能があるタイプ、UVカット機能があるタイプなど、普段の生活に役立つものもあります。
防犯フィルムは「意味ない」と誤解される理由
侵入窃盗の対策として注目されている防犯フィルムですが、「貼っても意味がない」と誤解されることもあります。こうした誤解の多くは、正しい貼り方やフィルムの選び方を理解せずに使用していることが原因です。
窓ガラスに正しく貼れていない
防犯フィルムは、正しく貼らなければ本来の効果を発揮できません。貼り方を間違えてしまうと効果が低下してしまいます。例えば、窓の一部だけにフィルムを貼る「部分貼り」をしているケースや、フィルムとガラスの間に空気が入り圧着が不十分な状態では、十分な防犯性能が得られません。
また、ガラスの種類によってはフィルムの使用に制限があります。例えば、網入りガラスや複層ガラスなどは、フィルムを貼ることで熱割れを起こすおそれがあり対応していない場合があります。
防犯フィルム選びが間違っている
市販されている防犯フィルムの中には、厚みや強度が不十分な製品も存在します。フィルムの厚さが薄いものや、耐衝撃性に乏しいものを選んでしまうと、いざというときに簡単にガラスが破られてしまう可能性があります。そのため、防犯フィルムは防犯性能が認められているものを選ぶようにしましょう。
防犯フィルムを自分で貼る際の3つの注意点

防犯フィルムの貼り方を間違えると、防犯性能が十分に発揮されない可能性があります。特に、自分で防犯フィルムを貼る場合は以下の3つのポイントに注意しましょう。
防犯フィルムのサイズはA3以上を選ぶ
防犯フィルムのサイズが小さすぎると、フィルムが貼られていない部分を割られ、割れた部分から手を入れて鍵を開けられてしまいます。窓ガラス全体に貼るのがベストですが、鍵の周辺のみに貼る場合は最低でもA3サイズ以上にしましょう。
貼る前にガラスの汚れを落とす
防犯フィルムを貼る前に、ガラスの汚れをしっかりと落とすことも重要です。ほこりやゴミなどが付着していると、防犯フィルムがガラスに密着せず、剥がれや浮きの原因になり、十分に効果を発揮できない可能性があります。施工前には、スプレーや中性洗剤などでガラスや窓枠をきれいにしておきましょう。最後に乾いた布を使用し、水気をふき取ることも大切です。
ガラスと防犯フィルムをしっかり圧着する
専用液を使って防犯フィルムを貼り付けた後は、しっかりと圧着しましょう。スクイージーなどを使って防犯フィルムの上から擦るようにし、余分な液や空気を防犯フィルムの外に押し出します。圧着作業が不十分だとフィルムの接着力が弱まり、防犯性能を十分に発揮できない可能性があります。全体をムラなく圧着し、防犯性能を高めましょう。
また、専用液が乾燥するまでは防犯効果がやや落ちるため注意が必要です。一般的に1ヵ月程度の養生が必要となるため、補助錠や窓用防犯ブザーを設置し、養生期間中の防犯を強化しましょう。
また、自分で貼り付けることに不安を感じる場合は、専門の業者に依頼する方が安心です。
防犯フィルムを選ぶときの3つのポイント
防犯フィルムは種類が多く、見た目だけでは性能の違いが分かりにくいのが実情です。しかし、適切な製品を選ばないと窓の防犯性能は高められません。防犯フィルムを選ぶ際は、以下3つのポイントを意識して選びましょう。
防犯フィルムの厚みを確認する
防犯フィルムの厚みは「ミクロン(μm)」という単位で表されます。200ミクロン程度の防犯フィルムでは、貼ってもすぐに破られてしまうため注意が必要です。350ミクロン程度の厚みがある防犯フィルムを選ぶようにしましょう。
また、衝撃耐久性も確認することをおすすめします。パッケージに検証テストの様子を載せ、どの程度の衝撃まで耐えられるか明示している製品もあります。
施工が簡単な防犯フィルムを選ぶ
自分で防犯フィルムを貼る場合は、施工が簡単なものを選ぶと安心です。手順が複雑だったり、特殊な工具が必要だったりすると、うまく貼れずに十分効果が発揮されないおそれがあります。自宅にある道具だけで施工できる製品もあるため、貼り付け方法もよく確認してから購入しましょう。
確実な防犯効果を期待するならCPマーク認定を受けた防犯フィルムを選ぶ
より確実な防犯性能を求める場合は、「CPマーク」のある製品を選ぶのがおすすめです。CPマークとは、警察庁や国土交通省などが定めた試験に合格し、特に防犯性能の高い建物部品であることが認められた製品にのみ表示できるマークです。具体的には、さまざまな侵入攻撃に対して「5分間以上防御」できた製品にのみ使用が許されます。
CPマーク認定を受けた防犯フィルムは、一般的な市販品と比べて耐衝撃性が高く、泥棒の侵入を大幅に遅らせる効果が期待できます。自分で貼れるタイプも販売されており、DIYで高水準の防犯対策を実現できます。
参考:警察庁「住まいる防犯110番」
防犯フィルムと防犯ガラスとの違い
窓の防犯対策では、防犯フィルムと並んで「防犯ガラス」も検討されることが多いです。防犯ガラスは、2枚のガラスの間に約0.76mm以上の丈夫な中間層を挟み込んだ構造で、外部からの衝撃に強く、簡単には打ち破られないよう設計されています。CPマークに加えて、防犯ガラスの専用マークも付いており、防犯性の高さを示しています。
それでは、防犯ガラスと防犯フィルムはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは主な4つの違いを紹介します。
価格の違い
一般的に防犯ガラスの方が防犯フィルムよりも価格は高く、製品にもよりますが5~8倍の価格になることもあります。また、防犯ガラスは専門業者の施工が前提のため、施工費用もかかります。
特性の違い
防犯ガラスは、ガラスが割れた際に室内に破片が飛散しますが、防犯フィルムは室内への破片の飛散は少ないとされています。防犯フィルムを室内側に貼ることで、破片を吸着し、飛び散りを抑えてくれるためです。また、防犯フィルムは既存の窓に後から貼ることができます。
なお、防犯フィルムと似た製品に「飛散防止フィルム」があります。窓ガラス用の飛散防止フィルムは、窓ガラスが割れた際に破片が飛び散るのを防止するものであり、防犯目的での使用には適していません。
防犯フィルム、飛散防止フィルム、防犯ガラスそれぞれの用途の違いに注意して製品を選ぶと良いでしょう。
耐用年数の違い
防犯ガラスの耐用年数は約15~20年、防犯フィルムの耐用年数は約10年とされています。また、防犯フィルムは直射日光や結露などの影響を受けやすいため、定期的に状態を確認し、劣化が見られる場合は耐用年数が経過する前でも貼り換えが必要になります。
施工方法の違い
防犯ガラスを設置する場合、サッシごと窓を交換する必要があるため、専門業者への依頼が前提です。大がかりな作業が必要となり、工期や費用もかさみます。一方で、防犯フィルムは既存の窓に貼るだけで利用できます。DIYで対応できる製品も多く、手軽に防犯対策を始めたい方に適しています。
防犯フィルムを貼って窓の防犯性能を高めよう!
窓は家の中でも泥棒に狙われやすい場所のため、窓の防犯性能を高めることは非常に重要です。防犯フィルムなら、現状の窓ガラスに貼るだけですので手軽に防犯対策を行えます。自分で貼れるタイプの製品も多いため、ぜひ早めに対策しておきましょう。

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