住む予定がない実家は相続してはいけない?生前や相続後にできること
本記事では、空き家となる実家を相続した場合に生じ得る課題と、対処法について解説します。
実家の相続は、多くの人がいずれ直面する身近な問題です。親と過ごした思い出が詰まった実家について、「今すぐ決断する必要はない」と感じている方も少なくないでしょう。しかし、住む予定がないまま時間が経ち、気付けば空き家になっていたというケースは決して珍しくありません。空き家として放置してしまうと、思わぬトラブルを招く原因となることがあります。
【この記事で分かること】
- 実家が空き家になることで対応・検討すべきこと
- 空き家を巡って起こりやすい課題
- 相続の前後でできる対処法
目次
実家が空き家になったら何をすべき?
親が亡くなった、または施設に入ったことで、実家に誰も住まなくなり、空き家になるケースがあります。空き家になった場合、放置しているとさまざまなリスクがあるため、適切な手続きや管理、活用方法の検討が必要です。
相続手続きと名義変更を行う
まず、実家の空き家を相続する場合、相続の手続きと名義変更が必要です。その際、相続人を確認しなければなりません。遺言書があれば遺言書の内容を確認したうえで、相続人を確定させます。遺言書がない場合は、戸籍を辿って法定相続人を確定させます。
相続人が確定したら、遺産分割協議を経て相続登記を行うのが一般的です。登記の申請には、戸籍謄本や住民票、固定資産評価証明書などの書類が必要です。手続きが複雑な場合は、司法書士や弁護士に依頼することをおすすめします。
10万円以下の過料が科せられる場合がある
不動産登記法の改正により、2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されています(※注1)。相続や遺言により不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記の申請を行う必要があります。
また、遺産分割協議によって不動産の取得者が決まった場合は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容に基づく相続登記の申請をしなければなりません。
正当な理由なくこれらの手続きを行わない場合には、10万円以下の過料が科される可能性があります(※注2)。そのため、必ず相続に関する手続きを行わなければなりません。
※注1 不動産登記法第76条の2第1項
※注2 不動産登記法第164条第1項
空き家の管理方法を決める
空き家を放置すると老朽化が進み、倒壊のおそれがあります。さらに、不法侵入、害虫・害獣の発生、悪臭、景観の悪化など、防犯・防災の面でもさまざまなリスクが高まります。こうしたトラブルを防ぐためにも、空き家は定期的に管理することが重要です。
空き家の管理方法には、主に「自主管理」「親族・知人に依頼」「専門業者に委託」の3つがあります。実家が近くにある場合は、相続人や親族が定期的に訪れて手入れを行う方法が考えられます。一方、遠方に住んでいて頻繁に足を運べない場合は、「親族・知人に依頼」または「専門業者に委託」する方法が現実的です。
ただし、親族や知人に管理を依頼する場合、管理内容の範囲や費用負担をめぐってトラブルに発展する可能性もあります。そのため、親族・知人に依頼しにくい場合や負担を明確にしたい場合は、専門業者に委託する方法がおすすめです。
売却・賃貸・解体など活用方法を検討する
空き家は放置するだけでなく、活用することも可能です。主な選択肢には、「売却」「賃貸」「解体」「自己利用」などがあります。立地条件や建物の状態、家族の意向によって最適な方法は異なりますが、売却が比較的多く選ばれている方法といえるでしょう。
実家を空き家のまま放置すると生じるリスク
実家の相続では、所定の期限内に手続きを行わないと相続放棄ができなくなるだけでなく、相続人として建物の管理責任を負うことになります。住んでいなくても固定資産税の支払いは続き、実家を空き家のまま放置すれば、思わぬ負担やトラブルに発展しかねません。
実際、空き家の増加は深刻な社会問題となっており、2023年の総務省統計局「住宅・土地統計調査」では、居住世帯のない住宅の割合が13.8%と過去最高を記録しています。その中でも、賃貸や売却予定ではない、いわゆる「純粋な空き家」が多くを占めています。
こうした背景から、実家を空き家のまま放置することで生じるリスクを正しく理解しておくことが重要です。
特定空き家に指定される可能性がある
空き家の増加を背景に、国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、倒壊の危険や衛生・景観上の問題などがある空き家を「特定空家等」に指定し、所有者に対して適切な管理を求めています。特定空家等に指定され、自治体からの勧告や命令に従わない場合には、住宅用地に対する固定資産税の優遇措置が適用されなくなるほか、行政代執行により建物の解体などが行われることがあります。
さらに、2023年の法改正により、放置すれば特定空家等になるおそれがある空き家は「管理不全空家等」として新たに位置づけられました。管理不全空家等についても、自治体から勧告を受けた場合には、特定空家等と同様に住宅用地に対する固定資産税の優遇措置が適用されなくなります。
住宅用地に対する固定資産税の優遇措置の適用が外れると、土地にかかる固定資産税は最大で4~6倍に増加する可能性があります。また、行政代執行で解体が行われた場合、解体にかかった費用は空き家の所有者に請求されます。さらに、特定空家等の所有者が措置命令に違反したり、立ち入り調査等を拒否した場合には、過料が科せられる場合もあります。
近隣住民とトラブルになるおそれがある
空き家を放置すると建物の劣化が進み、倒壊の危険性が高まります。さらに、景観の悪化や害虫・害獣の発生により、近隣住民とのトラブルに発展するおそれがあります。
犯罪に利用される可能性がある
空き家は人の目が行き届かず侵入しやすく、発見されにくいため、犯罪の拠点として利用されたり、不法投棄や放火の標的になったりするリスクがあります。特に、次のような空き家は侵入者に狙われやすいとされています。
| 犯罪に利用されやすい空き家の特徴チェックリスト | |
|---|---|
侵入者は、インターホンを鳴らして在宅の有無を確認したり、ポストにチラシを投函して回収状況を確かめたりするなど、事前に下見をしていることがあります。また、敷地内に入ると周囲から見えにくい場所にある、路地や裏道へ抜けられる動線がある、裏口が死角になっているなど、逃げやすい環境にある空き家も注意が必要です。
相続前にできる対処法
相続放棄をすれば、空き家となる実家を相続せずに済みますが、その一方で、他の財産も一切相続できなくなります。そのため、相続が発生する前に、実家の名義人が売却や寄付、生前贈与、空き家バンクへの登録などの生前整理を行っておくことで、相続後の負担やトラブルを軽減するという方法もあります。
売却する
実家の名義人本人に十分な判断能力がある場合は、自分の意思で売却することが可能です。判断能力が低下している場合は、成年後見制度などを利用し、家庭裁判所に選任された後見人を通じて売却手続きを行うことになります。ただし、成年後見人による売却であっても、すべての不動産が自由に処分できるわけではなく、物件の種類や状況によっては手続きが制限される場合があります。特に、以下のような不動産は売却が難しくなることがあります。
- 再建築ができない制限のある物件
- 周辺の相場に比べて価格が高い物件
- 老朽化が進んでいる築年数の古い物件
- 駅から遠いなど、立地や利便性に課題がある物件
など
寄付や生前贈与を検討する
親族や家族に贈与する場合は、相続時精算課税制度などを活用することで、一定額までは非課税で生前贈与を行うことが可能です。
また、自治体などに無償で寄付する方法もあります。ただし、立地条件や物件の状況によっては引き取り手が見つかりにくいケースも少なくありません。さらに、自治体による寄付の受け入れには一定の基準や条件が設けられており、必ずしも受け入れてもらえるとは限らない点に注意が必要です。
空き家バンクを利用する
住まなくなった実家を地方自治体が運営している「空き家バンク」に登録する手段もあります。空き家バンクは空き家の所有者と利用希望者をマッチングするサービスで、登録することで購入や賃貸の希望者が見つかる可能性があります。
「小規模宅地等の特例」の要件を確認しておく
「小規模宅地等の特例」とは、被相続人の居住用や事業用に使われていた宅地について、一定の要件を満たす場合に、土地の評価額を最大80%減額して、相続税を減らすことができる制度です。相続税額に大きく影響するため、相続対策の中心となりやすい制度といえます。
この特例は、被相続人と同居していた親族が引き続き住み続ける場合に適用されやすい制度ですが、配偶者が取得する場合は同居・別居を問わず適用されます。また、被相続人が老人ホームなどの施設に入居していた場合や、相続人が別居していた場合であっても、国税庁が定める要件を満たせば特例の適用を受けられることがあります。
要件の判定はそれぞれの事情によって異なるため、生前整理の段階で適用条件を確認し、詳しくは税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
住む予定のない実家をどうする?処分しない場合の対処法
実家を処分したくない場合や、亡くなった方の意向などで住む予定がない実家を相続した場合は、土地活用によって収益化を図る方法や、相続土地国庫帰属制度を活用する方法があります。
土地活用による収益化
土地を有効活用することで、収益化を図ることができます。たとえば、賃貸物件として貸し出す方法や、民泊として活用する方法、建物を取り壊して駐車場として運用する方法などが挙げられます。
ただし、賃貸物件や民泊として活用する場合は、建物の老朽化状況によって、リフォームやリノベーションが必要になることがあります。
相続土地国庫帰属制度を活用する
相続により取得した土地の所有権を国に帰属させる「相続土地国庫帰属制度」を利用することも可能です。この制度は、相続で取得した不要な土地を国に引き渡すことができる仕組みです。ただし、制度の対象は土地のみであり、建物がある土地は申請できないため、利用するには事前に建物を解体して更地にしておく必要があります。また、申請時には審査手数料がかかるほか、承認された場合には、土地の管理に要する標準的な費用として、一定額の負担金を国に納付しなければなりません。
すぐできる防犯対策を行う
活用方法が決まらない、または土地活用までに時間がかかるなどの理由で空き家のままにする場合は、犯罪の温床とならないよう、防犯対策を行うことが大切です。郵便物をこまめに回収したり、タイマー式照明を利用して夜間の在宅を演出したりすることで、空き家であると気付かれにくくなり、不審者の侵入防止につながります。さらに、窓や鍵の防犯性能を高めることも重要です。補助錠の設置や防犯フィルムの貼付に加え、死角になりやすい勝手口や庭には、センサーライトや防犯カメラを設置すると効果的です。
空き家管理サービスを活用する
将来、子どもが住めるように住宅を良好な状態で維持しておきたい場合や、近隣住民に迷惑をかけないよう管理したい場合には、空き家管理サービスの活用がおすすめです。専門のスタッフが定期的に訪問し、建物に異常がないかの確認をはじめ、郵便物の回収や室内の換気など、空き家の適切な管理を行ってくれます。また、事業者によってはオプションサービスが用意されていることもあるため、必要な管理内容やサービス範囲を事前に確認しておくと安心です。
空き家を相続した場合におすすめのALSOKのサービス
空き家を相続するリスクを理解していても、実家が空き家となることを避けられず、相続せざるを得ない場合もあります。そのような場合でも、相続後は最低限の管理が欠かせません。
住宅は人が住まなくなると換気や通水が行われなくなり、室内外にカビが発生するなど、急速に劣化しやすくなります。さらに、空き家を管理せずに放置すると、不法投棄や放火、犯罪に利用されるおそれがあり、近隣住民に迷惑をかけてしまう可能性もあります。
そのため、定期的に現地を訪れ、室内の換気や通水、庭の草取り、落ち葉の処理など、基本的な管理を行うことが重要です。
実家が遠方にある、あるいは仕事や家庭の事情でなかなか足を運べない場合には、空き家や留守宅の管理をサポートするALSOKの「HOME ALSOK るすたくサービス」の利用もおすすめです。「HOME ALSOK るすたくサービス」は、空き家や別荘など長期不在の家を、1か月に一度巡回して異常がないかどうかを確認しメールで報告、投函物の整頓を行うサービスです。万が一、不審者の侵入があった場合には、ALSOKが現地へ急行するオプションサービスも利用できます。さらに、窓を開けての換気や蛇口の通水、外観・内観の確認など、空き家の状態を維持するための各種オプションも用意されています。
空き家となる実家の管理方法にお悩みの際は、こうしたサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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