耐震等級とは?基本や調べ方を知って地震に強い家を選ぼう
住まい探しや家の新築を検討した経験のある方なら、「耐震等級」という言葉を聞いたことがあると思います。この記事では、耐震等級の概要や等級区分についてご説明し、地震に強い住宅を見極めるためのポイントをご紹介します。
耐震等級の区分
耐震等級とは、住宅を強さ・強度によって等級に分類した性能表示です。これは「品確法」に沿って定められているものです。
なお、品確法は住宅の品質確保の促進等に関する法律で、住宅建築における決まり事を定めた建築基準法とは異なります。
- 耐震等級1(一般的な戸建て住宅)
- 耐震等級2(病院や学校などと同等の強度を持つ住宅)
- 耐震等級3(消防署や警察署などと同等の強度をもつ住宅)
耐震等級には現在3等級が設けられており、基本となる等級が耐震等級1となっています。以下に、3つの等級に関する詳細をご紹介します。
耐震等級1
数百年に1度起こる地震に対して倒壊や崩壊の危険がないとされ、数十年に1度起こる地震に対しても建物の損傷がない程度の耐震性を備えている住宅のことを指します。一般的な戸建て住宅などが当てはまります。
耐震等級2
耐震等級1において想定されている地震の1.25倍強い地震が発生した場合も、倒壊・崩壊しないとされている耐震性を備えた建物のことを指し、病院や学校など公共性の高い施設と同等のレベルの住宅が当てはまります。
耐震等級3
耐震等級1において想定されている1.5倍の地震が発生した際にも、倒壊・崩壊しないとされている耐震性を備えた建物のことを指し、防災の拠点となる消防署や警察署などと同等のレベルの住宅が当てはまります。
建築基準法を満たす耐震基準が「耐震等級1」となります。この等級1で説明されている「数百年に1度の地震」の強さは、1995年の阪神・淡路大震災(M7.3、最大震度7)程度に相当します。2021年6月現在では、「耐震等級3」がもっとも高い等級となっています。
現在の耐震等級の考え方
2016年4月に起きた熊本地震では、最大震度7の地震が2回観測されるなど、過去に例を見ない大規模な地震により、震源地付近では甚大な建物被害が発生しました。
国土交通省の熊本地震における被害調査報告では、旧耐震基準の木造戸建ての被害が顕著に大きいことが報告されています。
また、現行の建築基準法を満たす「耐震等級1の住宅」、「耐震等級1よりも1.25倍強度のある耐震等級2」であっても複数の全壊・倒壊事例が報告されるなど、建築業界に衝撃が走りました。そんな中、震源地周辺の地域でも耐震等級3で設計された住宅では、ほぼ無被害もしくは軽微な被害状況であったことから、今後発生する可能性のある大地震に備えて「耐震等級3で設計すべき」という考え方が広まっています。
耐震等級の調べ方
前の項目でご説明した耐震等級ですが、お住まいの家やこれから住みたいと考えている家の耐震等級が不明な場合、どのようにして調べれば良いのでしょうか。
ここでは、耐震等級の調べ方についてご紹介します。
住宅性能評価書
耐震等級を定めている品確法自体、2000年に制定された法律です。このため、2000年以前に建てられた家の耐震等級は、実際に調べなければ確認できないといえます。
お住まいの家の耐震等級が不明で、十分な耐震強度を持っていることを証明したい場合「住宅性能評価書」を取得する方法があります。
住宅性能評価書は、住宅が持つ性能を公平に評価した結果を記載した書類です。評価は国土交通大臣に登録されている第三者評価機関によって、全国共通のルールに則り実施されます。
品確法に基づく「住宅性能表示制度」により、日本住宅性能表示基準の10分野の性能表示事項から住宅の安全性を判断し、性能評価がなされます。
しかし、2000年以降に建てられた住宅なら必ず住宅性能評価書があるかというと、そうとは限りません。なぜなら、住宅性能表示制度はあくまで任意制度で、住宅性能評価書の取得は義務ではないためです。もし、住宅性能評価書を取得していない住宅の場合は、新たに取得できます。
耐震等級2・3を取得するには認定が必要
耐震等級1は建築基準法を満たせばよいため、住宅性能表示制度による認定を受ける必要はありません。等級2・3を取得したい場合は、正式な検査を受けて住宅性能評価書を交付してもらう必要があります。申請には設計図書などの書類が必要になるため、耐震等級2以上を取得したい場合はハウスメーカーや工務店に相談しましょう。正式な検査を行い耐震等級の認定を受けるには、およそ10~20万円の費用がかかります。耐震等級2・3の設計費に関しては、住宅の条件によっても異なるため、工務店やハウスメーカーに相談するとよいでしょう。
耐震診断
「耐震診断」を受けることでも、家の耐震性を調べることができます。
耐震診断とは、家の構造的強度を調査して想定される耐震性や地震の強さによって受ける被害の程度を診断するものです。
耐震診断を実施している専門機関に相談し、依頼することで調査・診断を行ってもらえます。またお住まいの自治体によって、耐震診断や耐震リフォームの費用に補助金などの助成を行っているケースもあるため、診断を検討する際には調べてみると良いでしょう。
アパートやマンションなど集合住宅では、管理会社や大家さんにたずねてみることで耐震等級を教えてもらえる場合があります。一方で、耐震診断を実施してもらう場合は全体での合意が必要になるため、大きな手間がかかることが予測されます。まずは大家さんや管理会社に、建物の耐震性について問い合わせてみましょう。
地震に強い家かを見極めるには
お住まいの家や購入予定の家の耐震性が高く、地震に強いかどうかを見極めるために、ある程度家の耐震性に関する知識を持っておくと役立ちます。ここでは、建物の地震への強さを見極めるポイントをご紹介します。
耐震等級
耐震等級がすぐに分かる家であれば、等級を確認しましょう。
耐震性の高い家に住みたいとお考えであれば、等級が一番高い耐震等級3を目安にしましょう。
地盤が強固であること
お住まいの土地や今後居住を検討している場所の地盤についても、調べておく必要があります。地盤が強固な土地であれば、地震が発生しても揺れ自体が小さく抑えられる可能性があるためです。これから住む土地を探す場合は、不動産会社に地盤の良いエリアをたずねると信頼性の高い情報を得られるかもしれません。
耐震性の高い工法を用いている
家そのものの建築工法(2×4工法か、在来工法かなど)によって、耐震性をおおまかに判断する方法もあります。また、細かな建築工事の内容に耐震を目的とした工事が含まれているかどうかを確認すると、より耐震性の高い家を見極めやすくなります。
たとえば、以下のような工事を行っている家なら、耐震性を配慮している家であることが分かります。
耐震フレーム
家の大きな開口部となる窓にフレームによる補強をすることで、耐震性を確保する工事です。
制震ダンパー
壁・柱などの付近に設置し、万一地震が発生した際にも揺れをある程度吸収できる設備です。ダンパーは油圧を利用するものやゴム製のもの、金属製のものなど、複数の種類があり、それぞれ揺れを抑える仕組みが異なります。
梁勝ちラーメン構造
ラーメンはドイツ語で骨組みを意味し、柱と梁を強固に接合して建物を支える構造をラーメン構造と呼びます。梁勝ちラーメン構造は、一般的なラーメン構造とは異なり、梁を優先させる構造のことをいいます。ラーメン構造よりも耐震性が高いといわれています。
ロッキング工法
地震の揺れで建物が変形を繰り返す場合、外壁が構造体に直接固定されていると固定部に力が集中し、外壁にひび割れが生じたり、脱落したりすることがあります。ロッキング工法は高層ビルのカーテンウォール工法と同じ考え方で、外壁のひび割れや脱落などの損傷を防ぎます。
※カーテンウォール工法:カーテンウォールとは建物自体の荷重を負担しない耐力壁以外の内部と外部の空間をカーテンのように仕切る壁(カーテンウォール)を用いた工法のこと。
家の耐震化と減免について
東京都では、耐震化のための家の建替えまたはリフォームを行った住宅に対する固定資産税・都市計画税の減免(23区内)を行っています。
減免対象となるのは以下の2つです。
- 耐震化のための建替え
- 耐震化のためのリフォーム
耐震化のための建替え
昭和57年1月1日以前からある家を取り壊し、平成21年から令和4年3月31日までの間に耐震化を行った家に建て替えた場合は減免対象となります。(耐震化とは別に要件を満たす必要があります)
新築マンションを購入した場合も、要件に該当すれば減免対象になります。
耐震化のためのリフォーム
昭和57年1月1日以前からある家で、平成20年1月2日から令和3月31日までの間に耐震化のためのリフォームを行った場合は減免対象となります。(耐震化とは別に要件を満たす必要があります)
減免対象となる要件や減免期間・税額・手続きについてはこちらをご確認ください。
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/info/taishin.html
地震対策と合わせて防犯対策を!
家の地震対策が重要であるとともに、防犯・セキュリティ対策もあわせて行われていてこそ、住みよい家が実現できるもの。ALSOKでは、ご自宅への簡単な設置でセキュリティ強化を実現できる防犯設備や、ホームセキュリティサービスをご提供しています。
まとめ
耐震等級は、住宅を強さ・強度によって等級に分類した性能表示です。近年頻発する自然災害にあわせ、より耐震性に優れた家を探す場合に必要不可欠な情報です。
また耐震等級とは別に、新しく家を建てる場合やリフォームを行う際、防災対策やセキュリティ強化もあわせて行うことでより住みやすい安全安心な家が実現できるでしょう。防犯・防災の両方に役立つホームセキュリティで、家族や家を守る対策をこの機会に検討してみてはいかがでしょうか。