空き家になった実家の防犯対策は?狙われやすい空き家の特徴も解説

近年、ニュース番組やメディアで取り上げられることも多い空き家問題。放置された空き家は、所有者自身だけでなく地域にも多くの悪影響を及ぼします。今後も空き家の増加が予想されており、「自分の実家もいずれ空き家になるかもしれない」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
こうしたリスクに備えるには、早めに対策を検討しておくことが大切です。この記事では、近年の空き家問題と空き家を放置するリスク、空き家の防犯対策についてご紹介します。
目次
空き家問題の現状

出典:[総務省統計局]「令和5年住宅・土地統計調査」
近年、適切に管理されないまま人が住まなくなった「空き家」が全国的に増えています。総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、日本国内の総住宅数約6,504万戸のうち、空き家は約900万戸にのぼり、全体の約13.8%を占める過去最高の数値となりました。1978年から2023年までの推移を見ると、この約45年間で空き家は約3倍も増えている状況です。
空き家は、以下のように大きく4つの分類に分けられます。
- 賃貸用:賃貸物件として入居者募集中の空き家(不動産会社が管理)
- 売却用:売却することを目的として販売中の空き家(不動産会社が管理)
- 二次利用:普段人が利用していない別荘(所有者が管理)
- その他:上記3つ以外にあてはまる住宅を指し、相続などで所有者が変わり居住者がいない家や入院や引っ越しなどで長期不在となっている住宅(所有者が管理)
これらの空き家の内訳を見ると、「賃貸用または売却用の住宅」が約476万戸、「二次的住宅」が約38万戸、「その他」が約386万戸となっており、中でも「その他」に分類される空き家の割合は年々上昇傾向となっており、この20年で約1.8倍にも増加しています。
空き家が増え続けている理由
空き家が増加する背景には、所有者の事情が大きく関係しています。代表的なのは「高齢者の親の自宅が空き家となっているケース」です。
「親が介護施設に入所しているが、いつか自宅に帰りたいと思っている」「家族の思い出が詰まっている実家を売りたくない」「親が認知症のため、利活用の判断ができない状態にある」など、さまざまな理由が考えられます。
また、遠方に暮らす子どもが相続した実家を管理できず、結果的に放置されるケースも少なくありません。今後も加速するといわれている高齢化の進行に伴い、空き家問題もさらに深刻化することが懸念されています。
実家の空き家を放置することで生まれる問題

空き家は短期間であったとしても適切に管理しておかないと、さまざまな問題や弊害が生まれる可能性があります。ここでは、空き家を放置することで考えられるリスクをご紹介します。
近隣住民や通行人に被害が及ぶ可能性がある
人が住まなくなった空き家は老朽化が早く、庭の草木もあっという間に伸びてしまいます。その結果、ごみの不法投棄や悪臭・害虫の発生などにより景観や衛生環境が損なわれ、地域全体に悪影響を与えるおそれがあります。
また、管理されていない住宅は「放火」や「建物の崩壊」といった災害リスクも高まり、近隣住民や通行人に被害を及ぼす可能性もあります。トラブルを未然に防ぐためには、定期的なメンテナンスが必要です。
空き巣被害に遭う可能性がある
家族が亡くなったことなどを機に実家が空き家となっている場合、貴重品などの家財が残っているケースもあるでしょう。そうした情報が不審者に伝わることで、空き巣被害に遭うおそれもあります。
犯罪に利用される可能性がある
長期間放置された空き家は、不審者に侵入されやすく、空き巣被害だけでなく犯罪グループの隠れ家やたまり場として利用される危険もあります。こうした状態になると治安の面でさまざまな問題が発生し、空き家を訪れるときや売却のときにもリスクが生まれるでしょう。
住宅の価値が低下する
人が住んでいない家は、換気や掃除といった日常的な手入れが施されないため、湿気やカビなどによる劣化が進みやすくなります。建物の老朽化が進むと住宅としての価値が低下し、売却時に買い手が見つかりにくくなるおそれがあります。
特定空き家に指定されるおそれがある
リスクのある空き家を減少させ、周辺住民を保護するための取り組みの1つとして「空き家等対策の推進に関する特別措置法」があります。この法律により空き家の状態によっては「特定空き家」に指定される可能性もあります。特定空き家に指定されると、固定資産税の優遇措置の対象外となります。
また、地方自治体からの指導や勧告に従わずに特定空き家を放置していると、行政代執行により空き家が取り壊され、かかった費用を請求される可能性もあります。
狙われやすい空き家の特徴
空き巣などの不審者に狙われやすい空き家には、共通の特徴があります。下記にあてはまる空き家をお持ちの場合は、防犯対策を強化することをおすすめします。
近隣住民から気づかれにくい立地にある
周囲から見えにくい場所にある家は、不審者に狙われやすい傾向にあります。特に人通りが少ない路地や裏道に面している住宅は、侵入しても周囲に気づかれにくく、逃走もしやすいという印象を与え、犯罪リスクが高まります。
窓が多く侵入経路を確保しやすい
窓は、空き巣などが使用する主な侵入経路の1つです。窓の数が多い家は、侵入経路を確保しやすいと判断されることが多く、狙われやすい傾向があります。空き巣は犯行前に下見を行い、侵入口や逃走ルートを入念に確認するため、窓が多い住宅は警戒が必要です。
手入れが行き届いていない
庭の草木が伸び放題になっていたり、郵便物がポストに溜まっていたりすると、その家が長期間使われていないことがすぐに分かってしまいます。管理が行き届いていない家は、防犯意識も低いと判断され、空き巣などに狙われやすくなります。防犯のためには、外から見て「人の出入りがある」「きちんと管理されている」と感じさせることが重要です。
空き家になった実家に必要な防犯対策
空き家を狙って空き巣などを試みる不審者もいることから、実家が空き家になっている場合は防犯対策を行うことが大切です。ここでは、空き家に必要な防犯対策をご紹介します。
防犯グッズを活用する
防犯グッズを活用することで、不審者への威嚇効果や侵入にかかる時間を長くする効果が期待できます。その結果、空き巣などの犯行を断念させられる可能性が高まります。
窓用防犯ブザー
窓用の防犯ブザーは、窓の開閉やガラスを破壊された際の振動を検知し、大きな音を発します。不審者を驚かせることに加え、大音量で周囲に人の存在を知らせることができ、「気づかれるかもしれない」と考えた犯人に犯行をあきらめさせやすくなります。
ALSOKでは、窓・ドアに対応した防犯センサー「どろぼーセンサーⅡ」をご用意しています。空き家の防犯対策として、ぜひご検討ください。
補助錠
玄関ドアや窓に補助錠を取り付け「ワンドア・ツーロック」にすることで、開錠に時間がかかるようになり、不審者の侵入を防ぐ効果が高まります。約7割の侵入者が、5分以上かかると犯行をあきらめるというデータもあります。
出典:警察庁「住まいる防犯110番 侵入者プロファイリング~心理と行動③」
ALSOKでは、窓用の補助錠「ALSOKロック」をご用意しています。窓に貼るだけで簡単にロックが可能です。加えて、外からはALSOKのマークが見えることから犯行の抑止につながります。
防犯フィルム
窓ガラスに防犯フィルムを貼ることで強度を高め、ガラス破りによる侵入を防ぎやすくなります。貼るだけで防犯を強化できる手軽さも魅力です。防犯フィルムは、防犯性の高さが認められた「CPマーク」がついたものを選ぶと安心です。
センサーライト
人の動きを感知して点灯するセンサーライトは、侵入者に「見られているかもしれない」と感じさせ、プレッシャーを与えることができます。他の防犯対策と組み合わせることで、簡単には侵入できない印象を与え、犯行をあきらめるきっかけになります。
防犯カメラ
目立つ場所に防犯カメラを設置するだけでも、犯罪の抑止につながります。録画機能がついたものであれば、万が一被害に遭った際に証拠としても活用できます。ただし、破壊されるケースもあるため、手の届きにくい場所に設置する工夫も必要です。
空き家に見えない工夫をする
空き家の防犯では、空き家に見えないよう適切に管理を行うことも重要です。月に1度は以下のような管理を行いましょう。
- 換気(湿気によるカビや木材の腐敗防止)
- 通水(給排水管のさびや悪臭防止)
- 室内清掃
- 草刈りなど敷地内の清掃
- 汚損や破損箇所の確認
- 破損・故障箇所の定期的な修繕
ほかにも、夜間にはスマートフォンなどから遠隔で照明をつけられるようにして、自宅に誰かがいるように見せかけることも効果的です。また、空き家となった実家を訪問するときは、近隣住民とコミュニケーションを取るなどして、不審な人がいた場合にすぐに気づいてもらえる環境を整えることも大切です。
空き家管理サービスを利用する
遠方にお住まいの場合や定期的な管理が難しい場合は、「空き家管理サービス」の利用がおすすめです。空き家管理サービスとは、基本的に月に一度、空き家を巡回して必要な管理業務を代行してくれるサービスです。換気や掃除、郵便物の整理、異常箇所のチェックなどを任せ、空き家を安全に保つことができます。
サービス内容によって料金が異なるため、自身でどこまで管理できるか、どこから手が回らないかを見直したうえで、依頼したい項目だけ依頼するのも良いでしょう。
空き家になった実家の防犯には「HOME ALSOK るすたくサービス」がおすすめ
空き家になった実家をそのまま放置すると、たとえ短期間だとしても犯罪や建物の劣化といったリスクが高まります。結果として住宅価値が低下し、最終的に誰も住めない・売れない空き家になってしまうことも考えられるでしょう。
- 空き家になった実家を管理してほしい
- 転勤になって今の家が空き家になってしまう
- 別荘の管理をしたい
- もしものときに空き家を見に行ってほしい
このような状況に心当たりがあり、「空き家を守りたいけれど、自分では対応が難しい」という場合は、空き家管理サービスの利用をおすすめします。
ALSOKの「るすたくサービス」は、1カ月に1回巡回し、敷地内の気になる箇所の確認や郵便物の整頓、そのほか異常がないかをチェックします。空き家はもちろん、海外出張などで長期不在となる自宅の管理にもご利用いただけます。
また、オプションとして不審者の侵入があった際にALSOKが駆けつける「るすたくセキュリティ」もご用意していますので、空き家の防犯面を強化することも可能です。
実家が空き家になり管理が難しい場合は、大事な資産を守るためにもALSOKの空き家管理サービスの活用をぜひご検討ください。
まとめ
今回は、空き家になった実家の防犯対策について解説しました。
空き家を放置すると、特定空き家に指定されたり犯罪に利用されたりとさまざまな問題につながります。犯罪被害のリスク低減やトラブルを防ぐには、防犯グッズや空き家管理サービスなどの活用がおすすめです。空き家の管理についてお悩みや不安があるという場合はぜひALSOKにご相談ください。