お盆の迎え火・送り火はいつ行う?やり方や用意する物などを解説

お盆の時期になると、多くの家庭でご先祖様を敬い、故人を偲ぶ行事が行われます。日本の伝統的な風習である「迎え火」と「送り火」は、故人の霊を迎え、再び送り出すための大切な儀式です。
本記事では、迎え火・送り火の意味から実施時期、必要な道具、具体的なやり方まで、詳しく解説します。マンションなどでの代替方法や注意点についても触れていますので、お盆の準備にお役立てください。
目次
お盆に行う迎え火・送り火とは?
まずは、お盆に行う「迎え火」「送り火」がどのような行事かを解説します。
迎え火とは
迎え火とは、お盆の初日にご先祖様や故人の霊が迷わずに家に帰ってこられるように、目印として焚く火のことです。一般的に自宅の玄関先や門の前、墓地の入り口などで行われます。迎え火の風習は、仏教の教えに基づくものであり、ご先祖の霊を、火という形のあるものでおもてなしすることで、感謝と敬意を表す意味も込められています。
送り火とは
送り火とは、お盆の期間中一緒に過ごしたご先祖様や故人の霊を、再びあの世へ送り出すために焚く火のことです。お盆の最終日に行われ、迎え火と同様に自宅の玄関先や門の前で行われることが多いです。送り火には、ご先祖様や故人の霊が無事に帰路につけるよう願う気持ちと、安全に霊界へ戻れるよう見送る意味が込められています。
迎え火・送り火はいつ行う?

迎え火・送り火の具体的な日程や時間帯についてもしっかりと理解しておきましょう。
迎え火・送り火を行う日にち
お盆は、地域によって新暦と旧暦どちらに基づくかによって期間が異なりますが、東京都や神奈川県、石川県、静岡県の一部地域が新暦で、そのほか多くの地域が旧暦としています。ここでは、2025年(令和7年)に行われる迎え火・送り火の日程を記載します。
迎え火:
- 旧暦(8月盆・月遅れの盆)の地域:8月13日(水曜日)
- 新暦(7月盆)の地域:7月13日(日曜日)
送り火:
- 旧暦(8月盆・月遅れの盆)の地域:8月16日(土曜日)
- 新暦(7月盆)の地域:7月16日(水曜日)
迎え火・送り火を行う時間帯
迎え火を行う時間帯に明確な決まりはありませんが、ご先祖様が暗くなる前に家に到着できるようにという配慮から、夕方(日没前)に行うのが一般的とされており、17時頃から日没までの間が多いです。
送り火は、お盆明けの午前中はまだご先祖様や故人の霊がこちらにいると言われているため、多くの場合17時から20時の間に実施されます。
迎え火・送り火ともに、地域によって日時が異なるため、事前に菩提寺やご家族など身近な人に確認しておくと良いでしょう。
迎え火・送り火で用意する物
迎え火・送り火を行うには、以下の道具を準備します。
焙烙(ほうろく)

焙烙とは、素焼きの浅い鉢状の器で、耐火性があり、火を焚く台として使用します。昔は豆を煎るときなど日常的に使われていましたが、現在では迎え火・送り火などの行事で使われることが多くなっています。直径20cm前後のものが一般的です。
おがら

おがらとは、皮をはいだ麻の茎のことです。火のつきが良く、ゆっくりと燃えるため、迎え火・送り火に適しています。束になって売られていることが多く、お盆の時期になると仏具店やホームセンター、スーパーなどで購入できます。
精霊馬(しょうりょううま)

精霊馬は、キュウリやナスで作る馬や牛の形をしたものです。キュウリで作る「きゅうりうま」は足が速いとされ、ご先祖様がすぐに家に到着できるようにという意味を込めて迎え火の際に供えます。ナスで作る「なすうし」は足が遅いとされ、ゆっくりと帰ってもらえるようにという意味を込めて送り火の際に供えます。
盆提灯

盆提灯は、お盆の期間中にご先祖様を迎えるために灯す提灯です。霊を導く灯りとしての役割と、家の目印としての役割を兼ねています。迎え火で火を灯し、お盆の間は仏壇の前などに飾り、送り火の際に消灯します。現在では、電気式の盆提灯も多く使われています。
迎え火・送り火のやり方
ここからは、迎え火・送り火の実際のやり方と手順について見ていきましょう。
迎え火のやり方
迎え火の基本的な手順は以下の通りです。
- 焙烙におがらを重ねる
- 火を焚く
- 火が灯ったら合掌をする
- 迎え火で盆提灯に火を灯す
- 火の始末を行い盆提灯を仏壇前に移動させる
まず、焙烙を安定した場所に置き、火が着火しやすいようにスキマを開けておがらを重ねます。マッチやライターで少量のおがらに点火し、徐々に火を広げていきます。火が灯ったら、両手を合わせて合掌し、「お帰りなさい」などと声をかけながら、ご先祖様を迎える気持ちを表します。この際、盆提灯に迎え火から火を移して灯します。
合掌した後は、火の元に注意しながら、火が消えるまでしっかりと見守りましょう。火が小さくなったら水をかけて完全に消火し、盆提灯を仏壇の前などに移動させます。火を自宅まで持ち帰ることが困難な場合は、電気式の盆提灯を使用しても問題ありません。大切なのはご先祖様を迎える気持ちです。
送り火のやり方
送り火は基本的に迎え火と逆の手順で行います。
- 盆提灯を玄関先や門の前に持っていく
- 焙烙におがらを重ねる
- 盆提灯の火をおがらに移して着火させる
- 火が灯ったら合掌をする
- 火が消えるまで見守り、後始末をおこなう
- 盆提灯の火を消す
送り火の際は、「また来年お会いしましょう」などと声をかけながら、ご先祖様を無事に送り出す気持ちで行います。迎え火同様、火の取り扱いには十分注意しましょう。
迎え火・送り火の実施は地域や宗教によって異なる
迎え火・送り火の実施方法は、地域によって異なります。例えば、神奈川県の一部地域ではおがらや焙烙を使わずに砂盛り(墓前や家の前に円錐状に砂を盛る)をする風習があり、東海地方の一部ではおがらの代わりにたいまつを使用しています。
迎え火・送り火は宗派によっても異なり、浄土真宗ではご先祖様の霊は常に家族と共にあるという考えから、お盆の送り火・迎え火を実施しません。そのため、自分の家の宗派や地域の風習に合わせて実施することが大切です。不明な点があれば、菩提寺や地域の寺院、年配の方に相談すると良いでしょう。
マンションなどで迎え火・送り火ができない場合の代用は?

現代の住環境、特に集合住宅(マンション・アパート・賃貸住宅)においては、火を起こす迎え火・送り火を行うことが困難な場合が多いです。必ず入居先の規定を確認し、火災予防の観点からも安全に実施できるか判断することが重要です。
火を使えない場合の代替方法をいくつかご紹介します。
盆提灯を飾る
盆提灯は迎え火・送り火と同じ「おもてなし」や「自宅の目印」としての意味があるため、火を焚く代わりに盆提灯だけを飾るという方法があります。電気式の盆提灯を使えば、火災の心配もなく安全です。
焙烙とおがらで形だけ整える
火は焚かずに、焙烙とおがらを用意して形だけ整えるという方法もあります。火をつけないことを明確にした上で、管理組合や大家さんに相談すれば許可が得られることもあります。
ろうそくを使用する
小さなろうそくを使用する方法もあります。最近では、おがらの形をしたろうそくも販売されており、より本来の形に近い形で実施できます。ただし、ろうそくを使用する場合も火の元には十分注意し、風の強い日は避けるなどの配慮が必要です。
迎え火・送り火をする際は火の扱いに十分注意しよう
迎え火・送り火は一定時間火を焚いているため、火の扱いが不十分だと火災などの危険性があります。以下の点に注意して実施しましょう。
- 風の強い日は避ける、または風よけを設置する
- 燃えやすい物を周囲に置かない
- 火が完全に消えるまで目を離さない
- 水を用意して、消火できる準備をしておく
- 後処理をきちんと行い、完全に消火したことを確認する
また、迎え火・送り火を行っている間は自宅を空ける場合もあり、施錠しないこともあるため、空き巣などの侵入に注意が必要です。
ホームセキュリティ

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まとめ
お盆における迎え火・送り火は、ご先祖様や故人の霊を迎え、再び送り出すための日本の伝統的な風習です。火の取り扱いには十分注意しながら安全に配慮して実施しましょう。迎え火と送り火を行っている間にご自宅に空き巣などが入らないよう、防犯対策も忘れずに行うことをおすすめします。