PHEVとは?PHVとの違いやメリット・デメリット、選び方を解説

環境問題への意識の高まりとともに、電気自動車への関心が急速に高まっています。中でもPHEV(プラグインハイブリッド車)は、電気自動車とガソリン車の両方の特徴を併せ持つ次世代の自動車として注目を集めています。今回は、PHEVとはどんな車なのか、基本的な仕組みからPHVとの違いやメリット・デメリット、さらには選び方までを解説します。
目次
PHEV(プラグインハイブリッド車)とは
PHEV(プラグインハイブリッド車)とは、自宅に設置した充電用コンセントや街中の充電スタンドなど、外部からプラグを挿してバッテリーを充電できるハイブリッド車のことです。
電気モーターとガソリンエンジンの両方を搭載しており、走行状況に応じて最適な動力源を選択することで、優れた燃費性能と環境性能を実現できます。短距離の場合は電気モーターのみで走行し、長距離移動や高速道路の利用時にはガソリンエンジンで走行するなど、燃費効率よく移動することが可能です。
PHEV・PHV | HEV | EV | |
---|---|---|---|
外部充電 | 可能 | 不可 | 必要 |
動力源 | 電気+ガソリン | 電気+ガソリン | 電気のみ |
電気走行距離 | 50-100km程度 | 2-3km程度 | 200-500km程度 |
充電時間 | 3-8時間 | 充電不要 | 8-12時間 |
ガソリン使用 | あり | あり | なし |
PHVとの違い
PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)とPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)は、基本的には同じ種類の車両を指しますが、メーカーによって呼称が異なる場合があります。近年では、電気自動車の側面を強調したPHEVという呼び方が一般的になってきています。
HEV(ハイブリッド車)との違い
HEV(Hybrid Electric Vehicle)は従来のハイブリッド車で、PHEVとは充電方法やバッテリー容量、電気走行距離などに大きな違いがあります。HEVは外部からの充電機能を持たず、走行中の回生ブレーキやエンジンの動力を利用してバッテリーを充電します。バッテリー容量も小さく、電気のみでの走行距離は2~3km程度に限られています。
一方、PHEVは外部から充電可能な大容量のバッテリーを搭載しており、電気のみでの走行距離が大幅に延長されています。充電により50~100km程度の電気走行が可能で、日常的な短距離移動であればガソリンを使わずに走行できます。
EVとの違い
EV(Electric Vehicle)は電気自動車のことで、動力源が電気モーターのみという点がPHEVと異なります。EVはガソリンエンジンを搭載しておらず、すべて電気エネルギーで走行します。航続距離は200~500km程度で、車種によって異なっています。ガソリンを一切使用しないため、環境負荷がもっとも少ない車両です。
しかし、バッテリーが切れた場合は充電が完了するまで走行できないという制約があります。PHEVはガソリンエンジンを備えているため、バッテリーが切れても走行を継続できる点が大きな違いです。
なお、日本でEVは電気自動車全般を指すことが多く、100%電気走行する電気自動車を指す場合には「BEV」(Battery Electric Vehicle)と表現することもあります。
PHEVのメリット
ガソリンエンジンと電気モーターどちらも搭載したPHEVは、多くのメリットがあります。
優れた燃費性能
PHEVの最大のメリットは、従来のガソリン車やハイブリッド車と比較して大幅に燃費性能が向上されていることです。短距離走行では電気モーターのみで走行するため、ガソリン消費量を削減できます。電気料金はガソリン代よりもかなり安価で、日常の通勤や買い物などの短距離移動が多い方にとっては、ランニングコストの大幅な削減につながります。
一般的な家庭用電力料金とガソリン価格を比較すると、同じ距離を走行する場合の費用は電気の方が3分の1程度となることが多く、年間走行距離が多い方ほど経済的なメリットを実感できます。また、夜間の電気料金が安くなるプランなどを活用することで、さらにコストを抑えることが可能です。
ガソリンとの併用走行

PHEVはバッテリーが切れてもガソリンエンジンで走行を継続できるため、長距離ドライブでも安心して利用できます。電気走行可能距離を超える長距離移動の際も、充電スタンドを探す必要がなく、従来のガソリンスタンドで給油して走行を続けられます。
平日の通勤時は電気で走行し、休日は長距離ドライブを楽しむといった使い分けが可能で、ライフスタイルに応じた柔軟な利用ができます。充電インフラが十分に整備されていない地域でも、ガソリンエンジンがあることで安心して利用可能です。
蓄電池としての利用
V2L(Vehicle to Load)やV2H(Vehicle to Home)などの外部給電機能が付いているモデルであれば、大容量のバッテリーを備えているため、災害時やアウトドア時には電源として利用が可能です。
V2Lとは、車両から家電製品などに直接電力を供給できる機能で、キャンプや屋外イベントでの電源確保に便利です。V2Hは車両に蓄えた電力を家庭で使用できる機能で、停電時の非常用電源として家全体に電力を供給できます。一般的なPHEVのバッテリー容量は10~20kWh程あり、平均的な家庭の1~2日分の電力をまかなえるため、災害時の備えとしても有効です。
PHEVのデメリット
メリットの多いPHEVですが、以下のデメリットも影響し国内の普及率は低くなっています。
車両価格の高さ
PHEVはエンジンとバッテリーの両方を備えているため、同クラスのガソリン車やハイブリッド車と比較して車両価格が高めです。大容量バッテリーや充電システム、制御システムなど、複雑な技術が搭載されており、初期投資額が大きくなる傾向があります。
しかし、長期的に見ると燃料コストや税制優遇措置により、総保有コストは抑えられる場合があります。また、各種補助金制度を活用することで、実質的な購入価格を下げることも可能です。使用期間や年間走行距離を考慮して、トータルコストを検討することが重要です。
補助金制度の詳細は、一般社団法人 次世代自動車振興センターや各自治体のサイトで確認できます。
ガソリンが劣化しやすい
PHEVは電気走行を多用するため、ガソリンエンジンの稼働頻度が低くなりがちです。ガソリンタンク内で燃料が長期間滞留すると、ガソリンの品質が劣化し、エンジン不良の原因となることがあります。
ガソリンは通常3~6か月程度で品質が劣化し始めるため、定期的にガソリンエンジンを稼働させる必要があります。時間が経過してしまった場合は劣化したガソリンを入れ替える、日頃から給油日を管理するなど、手間が増えることがあります。
メンテナンスの複雑さ

PHEVはエンジンと電気システムの両方を搭載するため、メンテナンス項目が多く、専門知識を持った整備士による点検が必要です。従来のガソリン車のメンテナンスに加えて、バッテリーの状態管理、充電システムの点検、電気系統の診断など、電気自動車特有のメンテナンスも必要になります。
バッテリーの劣化や交換時期の管理も重要で、バッテリー性能が低下すると電気走行距離が短くなり、PHEVのメリットが十分に活かせなくなります。PHEVには駆動用バッテリーと補機バッテリー、2種類のバッテリーが備わっており、交換時期の目安は駆動用バッテリーが8~10年、補機バッテリーが3~4年ですが、使用状況などにより異なります。バッテリー交換の費用は、補機バッテリーが2~6万円、駆動用バッテリーが70万円~100万円程と高額になることが多いため、保証内容や交換時期を事前に確認しておくことが大切です。
PHEVの選び方
PHEVを検討している場合は、以下の項目に注意しましょう。
使用用途の明確化
PHEV選びでもっとも重要なのは、自身の使用用途を明確にすることです。年間走行距離が少ない場合、バッテリー容量が大きく車両価格が高いモデルを選ぶと、車両価格の差額を回収するのに長期間を要する可能性があります。
また、長距離走行が多い場合は、航続距離と充電時間のバランスを確認することが重要です。電気走行距離が短いモデルでは、頻繁にガソリンエンジンが作動することになり、PHEVのメリットを十分に享受できない可能性があります。通勤距離や週末のレジャー頻度などを総合的に考慮して、最適なモデルを選択することが必要です。
充電環境の確認

PHEVを効果的に利用するためには、自宅での充電環境を整備できるかが重要なポイントです。一戸建て住宅の場合は比較的容易に充電設備を設置できますが、マンションなどの集合住宅の場合は管理組合との調整が必要になることがあります。
自宅に充電設備がない場合は、職場や商業施設の充電スタンドを利用することになりますが、利用頻度や充電時間を考慮すると、利便性が大幅に低下する可能性があります。近隣の充電インフラの整備状況も合わせて調査しておきましょう。
また、自宅に充電設備を設置する際のコストも事前に確認しておく必要があります。充電用コンセントであれば、設置費用は10万円程が目安です。スタンド型や壁付け型、V2H機器(蓄えた電力を家庭内でも使えるようにする機器)の場合は、さらに高額になります。分電盤から充電設備までの配線の長さなどによっても費用が異なってきます。
車種とスペック、中古車との比較
自分の使用パターンに最適な電気走行距離を持つ車種を選ぶことが重要です。普段の通勤距離が片道20kmの場合、往復で40km以上の電気走行が可能なモデルを選ぶことで、平日はほぼ電気のみで走行できます。電気走行距離が不足すると、頻繁にガソリンエンジンが作動し、燃費性能のメリットが減少します。
急速充電対応の有無も重要な選択基準です。急速充電に対応していれば、外出先での充電時間を大幅に短縮できます。また、バッテリー搭載により車内空間や荷室容量への影響がないかも事前に確認することが大切です。
また、中古車は車両価格を抑えられるため有用な選択肢ですが、バッテリーが劣化していると、電気走行距離が短くなる可能性があります。バッテリー交換は高額なため、バッテリーの状態や保証内容などをよく確認し、ディーラーや整備工場で事前診断などを受けることをおすすめします。
補助金適用の確認
PHEVの購入時には、国や地方自治体からの補助金制度を活用できる場合があります。国や地方自治体の補助金制度では、車両性能や価格に応じて数十万円が支給されます。補助金の申請には、環境性能や安全性能などの基準を満たす必要があり、対象車種は限定されているため、購入前に確認することをおすすめします。
また、地方自治体によっては自宅への充電設備設置にも補助金制度を活用できます。
補助金制度は年度ごとに内容が変更される場合があるため、購入時期に合わせて最新情報の確認が重要です。また、補助金の申請には期限があり、予算に達した時点で受付が終了する場合もあるため、早めに申請しましょう。
車を購入する際は防犯対策も忘れずに行おう
新車購入の際は、車上荒らしや車両盗難などの犯罪にも十分注意して、防犯対策を徹底しましょう。特に高額なPHEVは盗難のターゲットになりやすく、適切な防犯対策を講じる必要があります。また、自宅に充電設備を設置している場合にも充電ケーブルの盗難や無断使用などへの対策が必要です。
まずは日常的に防犯意識を持ち、駐車時の施錠確認や貴重品の車内放置を避けるなど、基本的な防犯行動を徹底しましょう。車両盗難の手口は年々巧妙化しているため、複数の防犯対策を組み合わせることをおすすめします。
防犯カメラ
自宅駐車場の防犯対策も重要で、センサーライトの設置や防犯カメラの導入により、犯罪者に狙われにくい環境を作れます。
防犯カメラの設置によって監視の目を意識させることができ、車両盗難の抑止につながります。万が一被害に遭った場合でも、カメラの映像が早期解決に役立ちます。夜間の駐車が多い場合は、暗い場所でも撮影できる赤外線カメラがおすすめです。ALSOKではご家庭向けの防犯カメラを数多く取り揃えております。
ホームセキュリティ

車上荒らしや車両盗難の防犯に加えて、ご自宅全体の防犯対策として、ホームセキュリティの導入も効果的です。ALSOKのホームセキュリティ「HOME ALSOK Connect」では、「オンラインセキュリティ」と「セルフセキュリティ」をご用意しており、ご希望にあわせてお選びいただけます。
セルフセキュリティは、お手頃価格でホームセキュリティを導入でき、もしものときはALSOKへ駆けつけを依頼することができます。
オンラインセキュリティでは、センサーが不審者の侵入などの異常を検知すると、自動でALSOKが駆けつけます。スマートフォンを持っているだけで、外出時はワンタッチで警備の設定、帰宅時は自動で警備解除できる便利な機能も活用いただけます。
ホームセキュリティの導入時には、ALSOKのステッカーもご提供します。ステッカーによって、防犯意識が高い住宅であるとアピールできます。
また、ALSOKのホームセュリティは在宅時も警備をセットできるので、就寝中や一人での在宅時にも安心です。ホームセキュリティの導入を検討している方は、ぜひALSOKにご相談ください。
まとめ
PHEVは優れた燃費性能と利便性を兼ね備えています。使用用途や充電環境を十分に検討し、自分のライフスタイルに最適なモデルを選択することで、環境性能と経済性の両方を実現できます。購入時には補助金制度の活用も忘れずに、総合的な検討を行うことが大切です。