分譲マンションと一戸建て(一軒家)はどっちが良い?統計データをもとに徹底比較

住宅の購入を検討している場合、分譲マンションと一戸建て住宅(一軒家)のどちらが良いか迷うケースもあるでしょう。マンションと一軒家はそれぞれの良さがあり、デメリットもあるため、十分に比較検討することをおすすめします。
この記事では、分譲マンションと一戸建ての違いやメリット・デメリットを比較し、統計データをもとに購入理由や資金なども徹底比較します。
目次
分譲マンションと一戸建ての違い
一戸建て住宅とは、独立した住宅一棟を指し、自分で選定した土地にオーダーメイドの家を建てる「注文住宅」か、建築済みの家と土地をセットで購入する「建売(分譲)住宅」どちらかを選びます。分譲マンションとのもっとも大きな違いは、居住者が土地を含めた物件全体の所有者となる点です。
一方で分譲マンション(分譲集合住宅)は、各戸の購入者による区分所有となり、廊下や階段などは共用部分という扱いになります。
分譲マンションは共用部分の利用ルールがあり、改修の際にも制約を守る必要があります。一方、一戸建て住宅の場合は敷地内を自由に使用でき、基本は増改築なども法律上の制約しかありません。ただし、一戸建て住宅でも借地権付きの場合は、地主の承諾なく増改築や構造物の設置ができない場合があります。
分譲マンションと一戸建ての購入割合
分譲マンションと一戸建てはどちらが多く選ばれているのか、例として、住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査」から確認してみましょう。

出典:住宅金融支援機構「2024年度 フラット35利用者調査」
2024年度の融資割合はマンションが7.2%であるのに対し、注文住宅(土地付き含む)、建売住宅を含めた一戸建ての割合が58.0%とマンションよりも一戸建てが多くなっています。
マンションの融資割合は、2014年から2024年の10年で半分以下に減少しています。
また、国土交通省の建築着工統計調査によると、2024年の着工数は分譲マンションが102,427戸であるのに対し、注文住宅や建売住宅を含めた一戸建ての着工戸数は339,372戸となっており、一戸建ての方が多く建てられています。
利便性の高い分譲マンションは都心部で人気があるものの、近年は特に価格が高騰しています。また、物件数も限られているため、分譲マンションよりも一戸建て住宅が比較的多く選ばれていると考えられます。
価格高騰は一戸建て住宅でも発生しており、物件価格は立地によって差があります。
分譲マンションのメリット・デメリット
ここからは、分譲マンションのメリット・デメリットをご紹介します。
分譲マンションのメリット
立地の利便性が良い
分譲マンションは、駅近や商業施設が多いエリアなど立地条件が良い場所に建てられることが多く、利便性が高い傾向があります。そのため資産価値が下がりにくく、将来的な売却や賃貸でも有利になる場合があります。
防犯性が高い
分譲マンションの多くは、オートロックや防犯カメラ、管理人の常駐などのセキュリティが充実しています。一戸建て住宅と比較すると、分譲マンションはある程度の防犯設備が整っている点がメリットといえます。
そのほか、宅配ボックスやゴミステーション、ラウンジなどの共用施設を利用できることや、メンテナンスを管理会社に依頼できることなど、分譲マンションにはさまざまなメリットがあります。
分譲マンションのデメリット
ランニングコストや固定資産税が高い
分譲マンションの場合、管理費や修繕積立金、駐車場代などを毎月支払う必要があります。
さらに、マンションは鉄筋コンクリート造のため経年劣化が遅く償却期間が長いため、固定資産税が一戸建てよりも長期間高額になる傾向があります。長期的に見ると、一戸建て住宅より総支出が多くなる可能性もあります。
騒音トラブルなどが発生する可能性がある
分譲マンションなどの集合住宅は音が響きやすく、住民との間でトラブルに発展したり、管理会社からクレームが入る可能性があります。
そのほかにも、違法駐車やペット飼育、規約違反など、集合住宅ならではのトラブルが起きやすい傾向にあります。
高層マンションなどの場合、災害時に避難の遅れや復旧の遅れが生じる可能性がある
災害時は、エレベーターが停止し使用できなくなる可能性があり、避難する際や帰宅時に階段移動をする必要があります。実際に、台風・豪雨被害によって高層マンションのライフラインが1週間以上機能停止した事例もあります。
一戸建て住宅のメリット・デメリット
次に、一戸建て住宅のメリット・デメリットを見ていきましょう。
一戸建て住宅のメリット
自由な家づくりができる
まず、メリットとして挙げられるのは自由に理想の住まいづくりができる点です。特に注文住宅であれば、間取りやデザイン、建材や設備などを自分で選択でき、自分好みの家をつくることが可能です。
建売住宅であっても、リフォームや増改築を制限なく行うことができ、家族構成の変化などに対応できます。また、土地選びの自由度が高いのも魅力です。
庭や駐車場を所有できる
一戸建て住宅は、敷地内に庭やガレージなどを設置して、趣味を楽しめる点もメリットです。子どもがいる場合は、自宅の庭で遊ばせることができます。
また、駐車スペースを確保することで駐車場費用がかからず、駐車に関して近隣とのトラブルが発生しにくいといったメリットもあります。
一戸建て住宅のデメリット
メンテナンスを自分で行わなければならない
住宅は経年劣化してくるため、室内だけでなく、庭や外壁なども掃除や定期メンテナンスを必要とします。マンションは管理会社が共用部分のメンテナンスを行いますが、一戸建て住宅の場合はすべて自分で管理・対応しなければなりません。
断熱性・気密性が低い
マンションは鉄筋コンクリート造のため気密性が高く、四方が部屋で囲まれていることから断熱性が高い傾向にあります。一方で、一戸建て住宅は外気に囲まれている構造のため、夏は暑く冬は寒くなりやすいデメリットがあります。とはいえ、近年は高断熱・高気密の一戸建て住宅も増えており、建築方法によっては弱点を補うことも可能です。
【統計データ別】分譲マンションと一戸建て(注文・分譲戸建て)住宅の比較
ここからは、国土交通省の「令和6年度 住宅市場動向調査報告書」の統計データを用いて、住宅選択理由や資金調達の方法、世帯などを比較していきましょう。
選択理由別の比較

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
分譲集合住宅(分譲マンション)取得世帯の住宅選択理由は、「新築住宅だから」がもっとも多く、次に「住宅の立地環境が良かったから」という理由が多くなっています。以降は「マンションだから」「交通の利便性が良かったから」という理由が続いており、新築マンションであること以外は、立地や利便性を重視している人が多いことが分かります。
また、「将来、売却した場合の価格が期待できるから」という理由が一戸建て住宅と比較すると割合が大きく、分譲マンションの購入者は資産価値や将来の売却も視野に入れている特徴があります。

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
次に、注文住宅取得世帯の住宅選択理由を見ていくと、もっとも多いのが「信頼できる住宅メーカー/不動産業者だったから」でした。以降は「新築住宅だから」「住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから」という理由が挙げられています。注文住宅の購入者は、住宅のデザインや機能、住宅メーカー・不動産業者といった住宅へのこだわりに重きを置いている人が多いようです。
また、「災害発生リスクの低い地域だったから」の割合がマンションよりも多く、災害リスクを住まい選びの際に重視する層に選ばれていることが分かります。

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
分譲戸建住宅を取得した世帯の選択理由は、「新築住宅だから」がトップです。次に「一戸建てだから」「住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから」という理由が続いています。
分譲戸建住宅を選んだ人は、「新築の一戸建て住宅であること」を重視していて、次いでデザイン等が気に入ったことにより購入に結びついた人が多いことが読み取れます。
資金調達別の比較
次に、住宅の購入資金や自己資金比率、住宅ローンの返済額などを見てみましょう。分譲集合住宅(分譲マンション)・分譲戸建住宅は三大都市圏、注文住宅は全国の購入者を対象としています。

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
分譲集合住宅(分譲マンション)の購入資金は、令和6年度の三大都市圏での平均額が4,679万円で、このうち自己資金は2,091万円、自己資金比率は44.7%でした。自己資金は5年間で増加傾向にあり、一戸建て住宅と比較して自己資金比率が高くなっています。
住宅ローンの年間返済額の平均は126.5万円、ローン返済期間は28.2年で30年未満となっています。

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
注文住宅の住宅建築資金は、令和6年度の全国平均が4,695万円で、このうち自己資金は 1,825万円、自己資金比率は38.9%です。令和2年度から比較すると建築資金は1,500万円以上増加しており、自己資金比率も10pt以上、上昇しています。
住宅ローンの年間返済額の平均は144.8万円で、ローン返済期間は建築資金だけの場合33.9年、土地も含めた購入の場合は35.6年と長くなっています。
なお、土地を一緒に購入した場合、住宅建築資金と土地購入資金を合わせた総額は全国平均で 6,188万円です。

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
分譲戸建住宅の購入資金平均額(三大都市圏)は4,591万円で、自己資金は 1,256万円、自己資金比率は27.3%となっています。住宅購入資金はこの5年間で増加していますが、自己資金比率に大きな変化はなく、分譲マンションや注文住宅よりも借入金額の割合が高い傾向が続いています。
世帯別(年齢・年収)の比較

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
ここでは、世帯主の年齢を見ていきましょう。分譲集合住宅(分譲マンション)は、平均44.1歳で30代、40代が6割を占めます。
分譲戸建住宅は注文住宅よりも平均年齢が38.8歳と若く、30代・40代の購入者が多い傾向があります。また、60歳以上が世帯主の割合も低くなっています。

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
世帯年収を見ると、注文住宅は400万円以上600万円未満、600万円以上800万円未満がボリュームゾーンですが、分譲戸建住宅と分譲集合住宅(分譲マンション)は400万円以上600万円未満、600万円以上800万円未満の割合が多くなっています。

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
注文住宅の1世帯あたりの居住人数は平均3.1人で、分譲戸建住宅は3.4人でした。対して、分譲集合住宅(分譲マンション)の居住人数は平均2.6人と少なくなっています。
分譲マンションの居住人数は1人~3人が8割を超えており、4人以上の割合が少ないことから、家族が多い場合は部屋数や床面積を確保できる一戸建てを選ぶ人が多いことが分かります。
統計データから、分譲マンションと一戸建て購入者それぞれの特徴が見えてきました。しかし、数字だけでは判断できない重要なポイントもあります。実際の住まい選びで後悔しないために、以下の注意点も合わせて検討しましょう。
分譲マンション・一戸建て住宅を検討する際の注意点
分譲マンションまたは一戸建て住宅の購入を検討している際、注意したい点をピックアップしてご紹介します。
分譲マンションを検討する際の注意点
適切な資金計画をたてる
分譲マンションの購入を検討する場合、住宅ローンの支払いに加え、ランニングコストも含めて資金計画をたてることが大切です。分譲マンションは、管理費、修繕積立金、駐車場代の支払いが毎月発生します。月の支払いが無理のない範囲でできるように検討しましょう。
管理体制を確認する
管理会社の管理がずさんな場合、トラブルにつながる可能性があります。事前に物件のホームページを確認したり、内覧会に参加するなどして、管理会社の信頼性や管理ルールなどを確認しておくと安心です。
一戸建て住宅を検討する際の注意点
周辺エリアの治安状況を確認する
エリアの治安については分譲マンションでも考慮するべきですが、一戸建ての場合は立地や防犯設備の観点から特に注意したい項目です。警察署の犯罪統計や地域の事件発生状況などを調査し、空き巣や車上荒らし、不審者などの傾向を把握することで、安心して住める環境かを判断しましょう。
夜間の街灯の設置状況などを実際に現地で確認したり、不動産業者からの情報収集も重要です。
災害リスクを調べる
一戸建ては木造住宅が多いため、鉄筋コンクリート造の分譲マンションよりも地震の倒壊リスクが高いといわれています。また、一戸建て住宅は川の氾濫や豪雨による浸水リスクも想定されます。
自治体が発行しているハザードマップで、洪水・土砂災害・地震の危険度や地盤の状況を確認しましょう。加えて、過去の災害履歴や火災・停電リスクについても調べておくと安心です。
新居を検討する際は防犯対策も欠かさず行おう

侵入窃盗の発生場所別認知件数は、一戸建て住宅での被害がもっとも多く、全体の29.0%を占めています。また、集合住宅でも侵入窃盗は発生しています。一戸建て住宅に限らず、分譲マンションでも防犯対策が必要です。
出典:警察庁「住まいる防犯110番 データで見る侵入犯罪の脅威」
分譲マンションの防犯対策
セキュリティの高いマンションを選ぶと安心です。オートロックや防犯カメラ、常駐警備、防犯ガラスなど、防犯対策が施されているかチェックしましょう。
個人でできる対策としては、工事不要の補助錠などを設置することをおすすめします。ただし、窓や玄関ドアは共用部分のため、防犯アイテムの導入を行う場合は管理会社への確認が必要です。
最近では、路上からオートロック設置のマンションまであとをつけられ、エレベーター内で被害に遭う事件が発生しています。防犯設備が完備されているマンションでも安心せず、普段から不審者と居合わせる可能性を認識しておくことが大切です。
一戸建て住宅の防犯対策
一戸建ての場合は、マンションと比較し、オートロックや防犯カメラなどの防犯設備が標準で備わっていないことから、自分自身で対策しセキュリティを高める必要があります。玄関の鍵を防犯性の高いディンプルキーにする、窓や玄関に補助錠を設置するなどして対策しましょう。窓には防犯ガラスや防犯フィルムを取り入れることで、ガラスを割って侵入する被害を抑えることが可能です。
また、最近では自動車盗や車上狙いのほか、ナンバープレートが盗まれ空き巣に利用されるといった被害も発生しています。庭や駐車場などには防犯カメラやセンサーライトの設置をおすすめします。
新居での安全な生活を支えるALSOKのサービス
新居での生活のスタートには、安全と安心が欠かせません。侵入窃盗や火災からご自宅を守り、安心できる暮らしを支える住環境づくりをALSOKがサポートします。
ホームセキュリティ

ALSOKのホームセキュリティ「HOME ALSOK Connect」では、「オンラインセキュリティ」と「セルフセキュリティ」をご用意しており、ご希望にあわせてお選びいただけます。セルフセキュリティは、お手頃価格でホームセキュリティを導入でき、もしものときはALSOKへ駆けつけを依頼することができます。
オンラインセキュリティは、異常発生時に自動でALSOKが駆けつけます。また、スマートフォンを持っているだけで警備を自動解除し、外出時はワンタッチで警備を開始できる便利な機能も活用いただけます。
ALSOKのホームセキュリティは在宅中も警備をセットできるので、外出中はもちろん、就寝中や一人での在宅時にも安心です。一戸建て住宅はもちろん、マンションなどの集合住宅にも設置可能です。ホームセキュリティの導入を検討している方は、ぜひALSOKにご相談ください。
防犯カメラ
ALSOKでは、ご家庭向けの防犯カメラを数多く取り揃えており、侵入対策や車上荒らし、室内の見守りなどさまざまな場面での防犯に役立ちます。人感センサーが作動すると自動で録画を開始できるものや、夜間の撮影が可能なカメラなどをお選びいただけます。ご家庭に合わせた最適なプランをご提案いたします。
まとめ
分譲マンションと一戸建て住宅は、それぞれメリット・デメリットがあり、ライフスタイルや家族構成、将来的な資産計画によって適切な選択肢が変わるでしょう。
本記事でご紹介した統計データや注意点を参考にしながら、ご自身に合った住まいを検討してみてください。