中古住宅(一戸建て)を検討する際の注意点は?統計データをもとに解説

マイホームの購入を検討されている方にとって、中古の一戸建ては魅力的な選択肢の一つです。新築住宅と比較して価格面や立地などのメリットがある一方で、購入前に把握すべき注意点も数多く存在します。
本記事では、国土交通省の住宅市場動向調査をはじめとする最新の統計データを活用し、中古住宅(一戸建て)の購入を検討する際の重要なポイントや注意点を詳しく解説します。
目次
中古一戸建てとは?
中古戸建てとは、過去に一度でも人が住んだことがある住宅のことです。また、建設完了から1年を経過している場合においても、中古物件(未入居物件)として扱われます。
中古一戸建ての大きな特徴は、新築の一戸建てと比較した場合の購入価格の安さにあります。新築物件の価格には、建築費のほかに土地代、販売会社の利益なども含まれるため、同じ立地・広さでも中古の方が価格を抑えられる傾向にあります。
中古一戸建てを購入するまでの流れ
中古一戸建てを購入するまでの基本的な流れは以下のとおりです。
- 物件探し
- 物件の内覧
- 購入の申し込み
- 住宅ローンの仮審査
- 重要事項確認・売買契約
- 住宅ローン契約
- 決済・引き渡し
まずは物件を探して、希望条件に近く候補となる物件を絞り込みます。国土交通省の住宅市場動向調査によると、物件探しの段階では、住宅購入者の多くがインターネットを活用して物件情報を収集しています。
物件の内覧では、現地で実際の建物の状態を確認できるため、設備の劣化状況や周辺環境などをよく見ておくことが重要です。駅までの道のりに人通りはあるか、建物周辺に街灯は十分設置されているかなど、治安状況の確認もしておきましょう。
購入の申し込み後は、金融機関での住宅ローンの仮審査を並行して進めます。重要事項確認の場で、物件の詳細な契約内容や制約事項が説明され、売買契約の締結に至ります。最終的な住宅ローンの本審査・契約を経て、決済と引き渡しが完了します。
物件探しから引き渡しまでの期間は、2カ月~半年程が一般的です。中古住宅は売主が居住中の場合や、購入後にリフォーム・リノベーションを行う場合もあるため、引き渡しまでに時間がかかることがあります。
中古一戸建てを検討する際に比較した住宅の種類
国土交通省の住宅市場動向調査によると、中古戸建住宅取得世帯のうち、別の中古戸建住宅を比較検討していた割合は83.1%でした。希望順位が高かった住宅も中古戸建住宅が多く、新築住宅の価格高騰から中古住宅への関心が高まっている現状が読み取れます。
次いで分譲戸建住宅と比較していた割合が37.1%で、新築か中古かという点で迷う世帯も一定数存在し、特に価格や立地条件が近い分譲戸建住宅との比較が多いことが分かります。また、中古マンションと比較検討した割合は29.4%で、価格を抑えられる中古物件で比較している世帯も少なくありません。
中古一戸建ての選択理由
ここからは、中古一戸建ての選択理由について見ていきましょう。
中古一戸建てを選択した理由


出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
中古一戸建ての選択理由でもっとも多いのは「価格が適切だったから」でした。次いで、「一戸建てだから」「住宅の立地環境が良かったから」となっています。また、設備等に関する選択理由では、「間取り・部屋数が適当だから」「住宅の広さが十分だから」という回答が多く、限られた予算で十分な居住空間、立地条件を満たしている点が評価されています。
中古一戸建ての取得世帯は購入後のリフォームを検討している人もいるため、その場合は購入時点では住宅性能よりも部屋の広さなどを優先していると考えられます。
中古一戸建てを選ぶにあたり妥協したもの

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
中古一戸建てを選ぶにあたり妥協した要素について見ると、「価格(予定より高くなった)」という回答が26.5%、次いで「交通の利便性」が23.2%でした。
一方で、注目すべきは防犯面について妥協した人が非常に少ないことです。住宅購入において、治安の良さや防犯性能は妥協できない要素として重視されていることが分かります。
既存(中古)住宅にした理由

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
新築ではなく中古住宅にした理由は、「予算的にみて既存(中古)住宅が手頃だったから」が71.0%と圧倒的に多い結果でした。他の項目でも価格に関しての回答が多く、中古住宅取得における最重要の判断基準は「価格」であることを強く裏付けています。
また、新築住宅にこだわらない購入者も多く、リフォームにより新築同様の住宅を取得できる点が評価されています。
世帯別(年齢・年収・居住人数)の検討状況
中古一戸建てを購入した世帯主の年齢、年収、居住人数について見ていきましょう。
世帯主の年齢

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
世帯主の年齢構成を見ると、30代、40代の子育て世帯や働き盛りの世代が主な購入層であることが分かります。
また、50代、60歳以上の世帯主はそれぞれ14%程おり、子どもの独立などライフスタイルの変化に合わせて中古一戸建てに住み替える人が一定数いるようです。
世帯年収

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
中古一戸建て購入者の平均世帯年収は699万円で、分譲戸建住宅取得世帯と比較すると約150万円低くなっています。また、400万円以上600万円未満の世帯の割合がもっとも多く、他の住宅種別と比較すると世帯年収600万円以下の割合が多いです。
選択理由においても価格面が多く出ていることから、経済的な合理性を重視し、自身の年収に見合った住宅として既存(中古)戸建住宅を選択している世帯が多いと考察できます。
居住人数
居住人数を見ると、中古一戸建て購入者の居住人数は平均3.2人で、子どものいる世帯の購入が多く見られます。子どもの成長などに伴い、集合住宅よりもある程度の広さと価格のバランスを求める世帯にとって、中古一戸建てのニーズが高いと考えられます。
中古一戸建てを購入するにあたっての資金調達
中古一戸建てを購入するにあたっての資金調達状況について見ていきましょう。
住宅購入資金と内訳

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
中古一戸建ての住宅購入資金は2,917万円で、自己資金が1,069万円でした。自己資金比率は令和5年度47.3%から令和6年度は36.6%まで下がっています。昨今の不動産価格の高騰や長引く低金利が背景となり、自己資金よりも借入金に依存する傾向が強まっていると考えられます。
ローンの返済額・期間
住宅ローンの年間返済額は「平均109.3万円」、返済期間については「20年以上35年未満」が40.3%ともっとも多く、「35年以上」を選択する世帯も36.9%にのぼります。価格面を重視している層が多いため、月々の返済額を抑えられるよう、可能な範囲で長期のローンを組む世帯が多い状況であることが分かります。
借入金の金利タイプ
住宅ローンの金利タイプについては、「変動金利型」が80.4%ともっとも多く、令和2年度の66.2%から過去5年間で上昇傾向にあります。購入者の多くが「予算的にみて手頃だったから」という理由で中古一戸建てを選んでいることから、初期の返済額を抑えられる変動金利型は経済合理性を重視する購入者層にとって魅力的な選択肢となっていると考えられます。
希望融資額の調達状況
住宅ローンの希望融資額については、74.5%の人が希望通りの金額での借入れを実現できている一方で、新築の分譲住宅購入者よりも融資を断られる割合が若干高くなっています。断られた理由としては「年収」と「年齢」が多く、購入計画の見直しを余儀なくされるケースが多くなっているようです。また、「物件の担保価値が低い」という理由も一定数あり、中古住宅特有の課題として築年数や建物状況が融資審査に影響する場合があることが分かります。
中古一戸建てのリフォームやインスペクションについて
ここからは、中古一戸建ての建築時期や購入前後のリフォーム状況、インスペクションの実施の有無について見ていきましょう。
建設時期

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
購入された中古戸建住宅の建設時期を見ると、「平成7年~平成16年」がもっとも多く、全体の23.5%を占めています。平均築後年数は24.9年となっており、極端に古い物件や築浅物件ではなく、比較的状態が良好でコストバランスの取れた物件が購入対象の中心となっていることが分かります。また、1981年に施行された新耐震基準を満たす比較的新しい物件が市場の主流となっている様子もうかがえます。
購入前後のリフォーム

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
購入前後にリフォームが実施された物件の割合は69.4%にのぼり、多くの物件が手を加えられてから流通しているか、購入後に改修されていることが分かります。中古物件を選択する理由として、「リフォームされてきれいだった」「リフォームで快適に住めると思った」という回答があったことから、家族構成やライフスタイルを考慮してリフォーム済み物件に価値を感じている人が多いと考えられます。
インスペクションの実施
インスペクションの実施状況は、「売主が実施した」が9.2%、「自身で検査人に依頼し、実施した」が6.3%となっており、買主自身ではなく売主側が実施している場合が多いです。住宅の状態を事前に調査することで買主の不安を取り除き、円滑な取引につながっているケースが一定数あると考えられます。
一方で、「実施していない」世帯が42.3%、「分からない」が40.8%と、依然としてインスペクションの必要性が浸透していない状況がうかがえます。
瑕疵保険への加入
瑕疵保険に加入した世帯は23.5%で、インスペクションの実施率を上回っており、インスペクションよりも瑕疵保険の方がやや広く利用されていることが分かります。一方で、加入していない、加入の有無を把握していない世帯が半数以上を占めている状況です。中古一戸建て購入者は、価格や立地、広さなどの要素を優先しており、住宅性能や品質に対する対応は後回しになっていることが多いと想定されます。
中古一戸建てに関するその他検討事項
中古一戸建てに関するその他の検討事項については、以下のとおりです。
住宅を探した方法
インターネット…62.1%
不動産業者…45.2%
知人等の紹介…22.1%
インターネットは情報量が多く、条件を絞り込んで検索できるため、幅広い世代が活用しているようです。まずはインターネットを活用して物件情報を収集し、興味のある物件を見つけた段階で不動産業者に相談するという流れが一般化していると考えられます。
購入形態

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
購入形態については、全体の78.3%が不動産仲介業者を介して物件を購入していることが分かります。物件の品質評価や価格交渉、複雑な契約手続きなどは専門的な知識を必要とするため、多くの購入者が仲介業者に依存している状況です。一方で、仲介業者のような専門家を介さず、個人・事業者の売主から購入するという取引方法は限定的となっています。
長期優良住宅認定について
長期優良住宅は、耐震性・省エネルギー性などの認定基準を満たすことで、住宅ローン控除や金利優遇などの措置が受けられる住宅です。
認定を受けている…10.3%
認定を受けていない…40.1%
分からない…48.2%
この結果から、購入者は価格や間取りなどの目に見える価値を優先している傾向にあり、長期優良住宅の認定有無は物件購入の重要な要素になっていないと考えられます。
在宅勤務スペース・宅配ボックスについて
在宅勤務に専念できる個室がある…44.9%
在宅勤務に専念できる仕切られたスペースがある…10.7%
仕切られてはいないが在宅勤務に専念できるスペースがある…24.6%
と、約8割の方が在宅勤務のためのスペースを確保しているようです。多様化する働き方に対応できる住まいとして、比較的安価で広いスペースを確保できる中古一戸建てが評価されていると考えられます。
宅配ボックスについては「設置していない」が80.1%と非常に高い割合を占めています。宅配ボックスは比較的最近になって普及し始めたため、築年数の経過している中古物件には設置されていないケースが多いでしょう。
中古一戸建てを購入する際の注意点
中古一戸建てを購入する際は、さまざまな観点から総合的に判断することが重要です。
リフォーム費用も加味して検討する
購入価格が安くても、実際に快適な生活を送るために大幅なリフォーム費用が必要な場合も少なくありません。特にキッチン、浴室、トイレなどの水回りや電気設備、給排水管は、築年数に応じて交換する必要があり、相当な費用がかかります。内覧時には、各設備の状態をしっかり確認しておくことが重要です。
住宅ローン控除の対象かチェックする
住宅ローン控除(減税)とは、住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合に、年末の住宅ローン残高に応じて所得税が減税される制度です。中古住宅は、新耐震基準に適合していることが条件で、所得要件は2,000万円以下です。1981年(昭和56年)6月以降に建築され、新耐震基準に適合している住宅として「耐震基準適合証明書」などの証明が必要になります。
適用条件を満たさない物件の場合、結果的にコストが上昇することになるため、事前に対象物件かを確認しておきましょう。
参考:No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
再建築不可物件ではないか確認する
建築基準法に基づき、現在の建物を取り壊した後に新たな建物を建築できない土地を「再建築不可物件」と呼びます。再建築不可物件は建て替えができないため、将来的な資産価値の維持や活用に大きな制限が生じます。万が一、契約後に再建築不可であることが判明した場合は契約不適合責任により売主に対して損害賠償請求や契約解除が可能な場合もありますが、事前の確認がもっとも重要です。
築年数と耐震性をしっかり調べる
1981年6月以前に建築された建物は旧耐震基準で建てられており、現在の基準から見ると耐震性能に不安があります。特に中古住宅の場合、築年数の経過により建物の劣化が進行し、当初の耐震性能が維持されていないおそれもあります。
築年数の古い物件を購入する場合は、専門家による建物状況調査(ホームインスペクション)の実施がおすすめです。災害リスクや防犯面を総合的に考慮し、家族の安全を確保できる物件かどうかを慎重に判断する必要があります。
新居を購入する際は防犯対策も欠かさず行おう
警察庁の統計によると、侵入窃盗の発生場所別認知件数では、一戸建て住宅での発生が全体の約4割を占めています。特に中古一戸建ては、玄関ドアや窓などが築年数に応じて劣化している可能性があり、防犯性能の向上を目的とした取り替えを検討することが重要です。
玄関や勝手口の防犯対策

中古住宅の玄関や勝手口のドアが古いタイプの場合、最新の防犯基準に適合した製品への交換をおすすめします。ピッキング対策に強いディンプルキーやスマートロック、「ワンドアツーロック」を実現する補助錠を設置することで、侵入にかかる時間を延ばし、犯行をあきらめさせる効果が期待できます。
窓の防犯対策
窓は狙われやすい侵入経路の一つであり、「ガラス破り」は一戸建てへの侵入手口の中で上位を占めています。ガラス破りによる侵入を防ぐためには、防犯フィルムの貼付や防犯ガラスへの交換が効果的です。防犯性能が高い建物部品の証明である、CPマークが付けられた製品を選ぶことをおすすめします。
また、標準的なクレセント錠に加えて補助錠を設置することで、防犯性能を向上できます。特に1階の窓には、面格子やシャッターを設置するなどして防犯性を高めることをおすすめします。
庭の防犯対策
一戸建ての庭は、放置すると侵入者の隠れ場所となってしまうおそれがあります。植栽や外構フェンス、塀については、侵入者が身を隠せないような適切な高さと管理が重要です。
庭に防犯カメラを設置することで侵入を抑制する効果が期待でき、万が一侵入された場合でも証拠を記録できるメリットがあります。また、センサーライトや防犯砂利などを組み合わせることで夜間の防犯効果をさらに高めることができます。
マイホームでの安全な生活を支えるALSOKのサービス
新居での生活のスタートには、安全と安心が欠かせません。侵入窃盗や火災からご自宅を守り、安心できる暮らしを支える住環境づくりをALSOKがサポートします。
ホームセキュリティ

ALSOKのホームセキュリティ「HOME ALSOK Connect」では、「オンラインセキュリティ」と「セルフセキュリティ」をご用意しており、ご希望にあわせてお選びいただけます。セルフセキュリティは、お手頃価格でホームセキュリティを導入でき、もしものときはALSOKへ駆けつけを依頼することができます。オンラインセキュリティは、異常発生時に自動でALSOKが駆けつけます。また、スマートフォンを持っているだけで警備を自動解除し、外出時はワンタッチで警備を開始できる便利な機能も活用いただけます。
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防犯カメラ
ALSOKでは、ご家庭向けの防犯カメラも数多く取り揃えており、侵入対策や車上荒らし、室内の見守りなどさまざまな場面での防犯に役立ちます。
人感センサーが作動すると自動で録画を開始できるものや、夜間の撮影が可能なカメラなどをお選びいただけます。ご家庭に合わせた最適なプランをご提案いたします。
まとめ
中古住宅の購入は、限られた予算の中でマイホームの夢を実現する有効な手段です。一方で、快適で安全な生活の実現のためには、建物の安全性や防犯対策についても十分な検討が必要となります。本記事でご紹介した統計データと注意点を参考に、適切な準備と購入計画を行い、理想的なマイホームでの新しい生活をスタートさせましょう。