中古マンションを購入する際の注意点は?統計データをもとに解説
近年、マイホームを購入する際に、中古マンションを選択する世帯が増加しています。中古マンションは新築と比較して価格が安価な点や、立地の良さなどメリットが多くありますが、中古物件ならではの注意点や確認すべきポイントを把握しておかなければ、購入後に予想外の出費や問題に直面する可能性があります。
目次
中古マンションとは?
中古マンションとは、人が住んだことのある分譲集合住宅のことです。主に鉄筋コンクリート造(RC)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)で、3階建以上の集合住宅が該当します。
また、誰も居住しなかったものの建設完了から1年を経過している場合は、新築とはいわず「中古物件(未入居物件)」として扱われます。
中古マンションのもっとも大きな特徴は、新築と比較して価格面での優位性が挙げられます。同じエリア・同程度の広さであっても、新築物件より2~3割程安く購入できるケースが一般的です。さらに、中古の一戸建てと比較すると維持管理の負担が軽減される点が大きなメリットです。外壁や共用部分の修繕・設備点検・管理は管理会社に任せることができます。
また、駅近など利便性の高い立地に物件が多く、住み替えや投資対象としても選ばれる傾向にあります。
中古マンションを購入するまでの流れ
中古マンションを購入するまでの一般的な流れは以下の通りです。
- 物件探し
- 物件の内覧
- 購入の申し込み
- 住宅ローンの仮審査
- 重要事項確認・売買契約
- 住宅ローン契約
- 決済・引き渡し
まずは希望条件を整理し、不動産情報サイトや不動産会社を活用して条件に合う物件を絞り込みます。気になる物件があれば内覧を行い、設備等の状態や周辺環境、人通りの多さ、街灯の設置状況などをよく確認しておくことが重要です。
購入の申し込み時は、価格や引き渡し時期などの条件交渉も状況によっては可能です。適正価格よりも高いと感じている場合は具体的な取引事例を提示するなど、適切な根拠を示すことで交渉が成立しやすくなります。
申し込み後は、金融機関での住宅ローンの仮審査を並行して進めます。重要事項確認で、管理規約や修繕積立金の状況など物件に関する重要な説明を受けて、売買契約の締結に至ります。
売買契約を結ぶ際には、契約の証明として「手付金」を売主に支払います。手付金の目安は売買代金の5~10%程で、契約後のキャンセルは原則として手付金を放棄することで可能です。売主側が契約を解除する場合は、買主から預かった手付金の倍額を支払う「手付倍返し」の規定があります。
最終的な住宅ローンの契約を経て、決済と物件の引き渡しが完了します。
なお、中古マンションの購入申し込みから入居までの期間は、物件の状況や契約条件によって異なるものの、1カ月~2カ月程度が一般的です。
中古マンションを検討する際に比較した住宅の種類
ここからは、国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査報告書」の統計データをもとに解説します。住宅市場動向調査によると、中古マンション取得世帯のうち、別の中古マンションと比較検討していた割合は85.4%ともっとも多い結果でした。次いで、新築分譲マンションと比較検討していた割合が33.6%です。こちらも一定の比較対象となっていますが、価格や立地条件などを考慮し、最終的に中古マンションを選択する世帯が多いと考えられます。
中古マンションの選択理由
ここからは、中古マンションの選択理由について見ていきましょう。
中古マンションを選択した理由
中古マンションの選択理由としてもっとも多いのは「価格が適切だったから」でした。次いで、「住宅の立地環境が良かったから」「交通の利便性が良かったから」という理由が挙げられています。価格面での優位性が最大の選択理由となっており、新築マンションとの価格差を重視する購入者が多いことが明確です。また、生活利便性の高いエリアに中古物件が豊富にあることも選択の後押しとなっています。
出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
設備等に関する選択理由では「間取り・部屋数が適当だから」がもっとも多いことから、価格面だけでなく、設備面でも満足度の高い選択が可能であることが分かります。
中古マンションを選ぶにあたり妥協したもの
出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
中古マンションを選ぶにあたり妥協した要素については、「価格(予定より高くなった)」がもっとも多く、次いで「交通の利便性」という結果でした。
一方で、自然災害リスクや防犯・治安面を妥協したという回答が非常に少ないことから、安全性や防犯性能を重視する人が多いことが読み取れます。
既存(中古)住宅にした理由
出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
中古マンション取得世帯が既存(中古)住宅を選択した理由は、「予算的にみて既存(中古)住宅が手頃だったから」がもっとも多い結果でした。中古マンションを取得した世帯は、価格面を重視する傾向が強く、新築物件の価格高騰を受けて中古物件を積極的に選んでいることが分かります。
世帯別(年齢・年収・居住人数)の検討状況
中古マンションを購入した世帯主の年齢、年収、居住人数について見ていきましょう。
世帯主の年齢
出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
既存(中古)集合住宅(中古マンション)を購入した世帯主の年齢を見ると、30代、40代の世帯が主な購入層となっています。他の住宅種別と比較すると、30歳未満の世帯主が少ない点も特徴的です。収入が安定している中、結婚や子どもの誕生といったライフイベントに合わせてマンション購入を検討する世帯が多いことが読み取れます。
また、50代以上の世帯主も約3割を占めており、子どもの独立後の住み替えや老後を見据えた購入も行われていることが分かります。
世帯年収
出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
既存(中古)集合住宅(中古マンション)購入世帯の平均年収は717万円で、そのうち400万円以上600万円未満の世帯の割合がもっとも多い結果となっています。一戸建てや分譲マンションと比較すると世帯年収が400万円未満の割合が多く、中古マンションはコストを重視する人にとって魅力的な選択肢であることが分かります。
居住人数
出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
既存(中古)集合住宅(中古マンション)購入世帯の居住人数は平均2.5人で、2人が41.2%ともっとも多く、次いで3人が25.9%となっています。夫婦2人世帯、または夫婦と子ども1人の3人世帯が中心的な購入層です。他の住宅種別と比較すると2人世帯がもっとも多く、子どものいない夫婦世帯からも選ばれていることが分かります。
中古マンションを購入するにあたっての資金調達
ここでは、中古マンションを購入するにあたって重要となる資金調達について見ていきましょう。
住宅購入資金と内訳
出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
中古マンションの住宅購入資金は2,919万円で、このうち自己資金は1,278万円、自己資金比率は43.8%でした。5年前と比較すると住宅購入資金の平均は600万円以上上がっています。背景には、新築マンションの価格高騰や供給戸数の減少により中古マンションの需要が増加していることや、都心部人気エリアの地価上昇があると考えられます。
自己資金比率は4割を超えており、住宅ローンの活用が中古マンション購入における重要な手段となっていることが分かります。
ローンの返済額・期間
令和6年度の住宅ローンの年間返済額は「114.0万円」、平均返済期間は「27.7年」となっています。返済期間は「35年以上」を選択する世帯がほぼ半数で、長期ローンを組む世帯が多い状況です。月々の返済額を抑えられるよう、無理のない返済計画を立てて購入している世帯が多いことが分かります。
出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
借入金の金利タイプ
住宅ローンの借入金の金利タイプを見ると、「変動金利型」が82.9%と圧倒的多数を占めています。一般的に変動金利型は、金利上昇リスクはあるものの、借入当初の金利が低く設定されています。高額な住宅費用と長期返済という現実的な負担を踏まえ、月々の返済額を抑えることを最優先して選択する人が多いと考えられます。
出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
希望融資額の調達状況
住宅ローンの希望融資額については、80.8%の方が希望通りの金額での融資を受けられています。一方で、融資を断られた理由としては「年収」と「年齢」が多い傾向にあります。中古マンション取得世帯の世帯年齢は「60歳以上」の割合が多く、また年収が「400万円未満」の割合も他の住宅種別と比較すると多くなっています。希望借入額に対して年収が低い場合や、世帯主が高齢の場合は希望融資を受けられない可能性があるため、注意が必要です。
購入前に金融機関の融資基準を確認し、無理のない返済計画を立てることが重要です。
出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
中古マンションのリフォームやインスペクションについて
中古マンションの建設時期や購入前後のリフォーム状況、インスペクションの実施の有無について見ていきましょう。
建設時期
出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
令和6年度に購入された中古マンションの建設時期を見ると、「昭和60年~平成6年」がもっとも多く、次いで「平成7年~平成16年」となっています。平均築後年数は30.4年となっており、築年数は経過していますが多くは新耐震基準で建てられた物件です。価格を抑えて立地を重視している世帯に選ばれていることが読み取れます。
一方で、「昭和50年~昭和59年」の割合が17.9%と、5年間でもっとも多くなっています。築年数の古い中古マンションを検討する場合は、旧耐震基準で建てられていないかを確認し、耐震補強の有無やメンテナンスの状況もあわせて確認することが重要です。
購入前後のリフォーム
出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
購入前後のリフォームの実施状況を建築時期別に見ると、売主によるリフォームが47.2%と半数弱を占めています。購入後にリフォームを行っている世帯も全体の3割を占めており、中古マンションの状態にあわせてリフォームを組み合わせ、理想の住空間を実現している傾向がみられます。
インスペクションの実施
インスペクションの実施状況を見ると、「売主が実施した」が5.3%、「自身が検査人に依頼し、実施した」が43.2%となっており、売主ではなく買主自身で実施しているケースが多い結果でした。
築年数の経過した中古物件の購入において、住宅の状態や設備の劣化状況を客観的に把握し、安心して購入したいというニーズが高まっているといえます。
出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
瑕疵保険への加入
瑕疵保険とは、建物に構造上の欠陥や不具合(瑕疵)が発見された場合に、修繕費用や損害を補償する保険のことです。住宅品質確保促進法により、新築住宅では売主に10年間の瑕疵担保責任が義務付けられていますが、中古住宅の場合は任意加入となります。
中古マンション取得世帯の瑕疵保険加入率は15.6%で、「加入していない」「分からない」という回答が大半を占めている状況です。特に初めて中古住宅を購入する人の中には、瑕疵保険のメリットを知らない、手続きのハードルが高いといった理由から、加入を見送る世帯も少なくありません。
出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
中古マンションに関するその他検討事項
中古マンションに関するその他の検討事項については、以下の通りです。
購入形態
出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
中古マンション取得世帯の購入形態は、不動産仲介業者を通じて購入する世帯が大半です。個人間での直接取引は非常に少なく、契約上のトラブル回避や専門知識の必要性から、不動産仲介業者を通じた購入が一般的な形態となっています。
長期優良住宅認定について
長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で住み続けるための基準をクリアした住宅のことで、認定を受けた物件は住宅ローン控除や税制優遇などのメリットがあります。
中古マンション取得世帯で、長期優良住宅の認定を受けていると回答した割合は8.6%にとどまっています。長期優良住宅の認定は新築住宅を対象としており、新たに中古マンションが認定を受けることはできないため、中古マンション市場では長期優良住宅の認定物件の割合は限定的であると想定されます。
出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
在宅勤務スペース・宅配ボックスについて
中古マンション取得世帯で、在宅勤務に専念できる個室やスペースがあると回答した割合は66.1%となっています。近年リモートワークの普及が進んでいる背景から、半数以上の世帯が在宅勤務に専念できる空間の確保を重視していることが分かります。
また、宅配ボックスの設置については、設置している世帯が40.9%となっています。中古マンションの場合は、内覧時に共用の宅配ボックスの設置有無を確認すると良いでしょう。
出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
中古マンションを購入する際の注意点
中古マンションを購入する際に注意したいポイントをご紹介します。
築年数や管理状況を確認する
築年数は、建物の耐久性や設備の劣化状況を判断する重要な指標です。特に旧耐震基準で建設されている物件は耐震性に不安が残るため、1981年(昭和56年)6月以降の新耐震基準に適合した物件を選択することが推奨されます。
管理状況については、管理組合の運営体制、修繕積立金の残高、大規模修繕の実施履歴を確認し、適切に維持管理されているかを見極めることが大切です。
リフォーム・修繕の可能範囲を把握しておく
マンションは専有部分と共用部分に区分されており、リフォーム可能な範囲は制限されています。そのため、希望する改修が規約上実現可能かどうかを事前に確認する必要があります。また、概算費用を把握しておくことで、物件価格とリフォーム費用を合わせた総予算を正確に見積もることができます。
住宅ローン控除が適用するか注意する
中古マンションでも住宅ローン控除は可能ですが、鉄筋コンクリート造などの耐火建築物は築25年以内、木造などの非耐火建築物は築20年以内が原則的な適用要件です。購入前に適用条件を満たしているかを確認し、必要な証明書等の取得手続きを進めることが重要となります。
周辺環境の災害リスク・防犯リスクを調べる
新居の購入を検討する際は、自治体のハザードマップで地震、水害、土砂災害などのリスクを把握しましょう。過去の災害履歴や避難場所、避難経路も事前に家族で共有しておくと安心です。
また、防犯面でのリスクも重要な確認事項となります。犯罪発生マップを確認し、周辺地域の治安状況や夜間の人通り、街灯の設置状況なども現地で確認しましょう。
新居を購入する際は防犯対策も欠かさず行おう
警察庁の統計によると、侵入窃盗の発生場所別認知件数は、すべての建物のうち一戸建て住宅が全体の3割で、マンションなどの共同住宅は全体の約1割を占めており、一戸建てに次ぐ割合となっています。中古マンションはオートロックや防犯カメラなどの防犯設備が設置されていない物件もあり、個人での防犯対策がより重要となります。複数の防犯対策を組み合わせることで、不審者の侵入を困難にし、家族の安全を守る住環境を実現することが可能です。
玄関ドアに補助錠を取り付ける
侵入窃盗犯は侵入に時間がかかる住宅を避ける傾向があるため、玄関の防犯対策としては、既存の鍵に加えて補助錠を設置する「ワンドアツーロック」が有効です。
ただし、マンションの玄関ドアは共用部分にあたるため、補助錠の設置を行う場合は管理規約の確認を行いましょう。特に工事を伴う場合は、管理組合や管理会社の承認を得る必要があります。
窓ガラスに防犯フィルムを貼る
ガラス破りによる侵入は、空き巣や侵入犯の主要な手口の一つであり、特に1階や低層階は注意が必要です。防犯ガラスへの交換や防犯フィルムの貼り付けによって、ガラス破りにかかる時間を延ばし、侵入を諦めさせる効果が期待できます。玄関ドア同様に、窓はマンションの共用部分にあたるため、防犯ガラス・防犯フィルムの導入を検討する際は、必ず管理組合や管理会社に確認しましょう。
ホームセキュリティを導入する
警備システムの導入は、侵入者に対する強力な抑止効果があります。ホームセキュリティなどの警備システムは、防犯カメラやセンサーが異常を検知した際に警備員が駆けつけます。月額費用は発生しますが、24時間体制の警備により防犯だけでなく、火災やガス漏れなどを検知するサービスが含まれているものもあり、総合的な住宅の安全を守る体制づくりが可能です。
マイホームでの安全な生活を支えるALSOKのサービス
新居での生活のスタートには、安全と安心が欠かせません。侵入窃盗や火災からご自宅を守り、安心できる暮らしを支える住環境づくりをALSOKがサポートします。
ホームセキュリティ
ALSOKのホームセキュリティ「HOME ALSOK Connect」では、「オンラインセキュリティ」と「セルフセキュリティ」をご用意しており、ご希望にあわせてお選びいただけます。セルフセキュリティは、お手頃価格でホームセキュリティを導入でき、もしものときはALSOKへ駆けつけを依頼することができます。
オンラインセキュリティは、異常発生時に自動でALSOKが駆けつけます。また、スマートフォンを持っているだけで警備を自動解除し、外出時はワンタッチで警備を開始できる便利な機能も活用いただけます。
ALSOKのホームセキュリティは在宅中も警備をセットできるので、外出中はもちろん、就寝中や一人での在宅時にも安心です。マンションなどの集合住宅にも設置可能です。ホームセキュリティの導入を検討している方は、ぜひALSOKにご相談ください。
防犯カメラ
ALSOKでは、ご家庭向けの防犯カメラも数多く取り揃えており、侵入対策や車上荒らし、室内の見守りなどさまざまな場面での防犯に役立ちます。人感センサーが作動すると自動で録画を開始できるものや、夜間の撮影が可能なカメラなどをお選びいただけます。ご家庭に合わせた最適なプランをご提案いたします。
まとめ
中古マンションは、新築と比較して価格面で魅力があり、立地条件の良い物件を選択できる利点があります。購入時は、周辺の災害リスクや防犯面を含めて総合的な視点で評価することが重要です。本記事でご紹介した統計データや注意点を参考にしながら、適切な情報収集と計画的な準備により、家族のライフスタイルに合ったマイホームの取得を実現させましょう。





















