省エネ住宅で注目される「HEMS」とは?メリット・デメリットや補助金を解説
本記事では、省エネ住宅を支えるHEMSの基礎知識から、導入メリット、補助金制度まで分かりやすく解説します。
「電気代を少しでも安くしたいけれど、具体的に何をすればいいのか分からない」「最新の省エネ住宅には何が必要なの?」といった不安や疑問を抱えている方は少なくありません。
昨今は、電気料金の上昇や太陽光発電・蓄電池の普及、脱炭素への関心の高まりを背景に、家庭のエネルギーを賢く管理する「HEMS(ヘムス)」が注目されています。これから新築住宅の購入を検討している方や、現在のお住まいに太陽光・蓄電池などの導入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
【この記事で分かること】
- HEMSの概要と役割
- HEMSのメリット・デメリット
- 補助金制度「みらいエコ住宅2026事業」の内容
目次
HEMSとは
HEMS(ヘムス)とは、「Home Energy Management System」の略称です。家庭で使用するエネルギーを「見える化」し、状況に応じて家電や電気設備をコントロールし、エネルギーの活用状況を最適化するための管理システムを指します。
単なる節電だけでなく、スマートホームの中核をなす技術として、多くのハウスメーカーやIT企業が開発に力を注いでいます。
なぜ今、HEMSが注目されているのか?
HEMSが注目されている背景には、社会・環境・政策の複合的な要因があります。電気料金の上昇やエネルギー需給の不安定化により、家庭での省エネ意識が高まり、エネルギー使用の見える化や効率的な管理の重要性が増しています。さらに、カーボンニュートラルの実現に向けた政府施策によってZEHの普及やエネルギーマネジメントの高度化が進展し、HEMSは家庭内のエネルギーを最適に管理するシステムとして、ZEHの性能を最大限に引き出す重要な役割を担っています。こうした流れの中で、HEMSは単なる省エネ機器にとどまらず、生活の利便性や見守りといった機能の実現にも寄与しており、スマートハウスの中心的な存在として注目が高まっています。
参考:経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」
HEMSとZEHの関係性
ZEH(ゼッチ)を実現・維持するうえで、HEMSは重要な役割を担っています。ZEHとはNet Zero Energy Houseの略で、断熱性能の向上や省エネ設備、太陽光発電などの創エネを組み合わせ、年間のエネルギー収支を実質ゼロにすることを目指す住宅です。
HEMSを導入することで、家庭内の消費エネルギー量や発電量を見える化し、リアルタイムで把握・制御できるようになります。これにより、ZEHが求める省エネ性能の最適化が実現できます。
また、より高い性能を求めるZEH+(ゼッチ・プラス)では、再生可能エネルギーの活用拡大や設備の高度化とともに、HEMSなどを活用した高度なエネルギーマネジメント(HEMS等)が求められています。
参考:資源エネルギー庁「令和7年度以降におけるZEH+(『ZEH+』及びNearly ZEH+)の定義変更について①」
HEMSの導入状況
環境省の「家庭部門のCO2排出実態統計調査」によると、HEMSを使用している世帯の割合は全国で2.7%にとどまっており、全体的な普及には程遠い状況です。しかし、2021年以降に建てられた新しい住宅に住む世帯では、導入率が12.7%まで上昇しており、近年の新築物件を中心に普及が進んでいます。現在では大手ハウスメーカーが標準仕様としてHEMSを採用しているケースや、あらかじめHEMSが完備された分譲一戸建て・分譲マンションも増えつつあります。
国が掲げるZEHの普及やエネルギーマネジメントの高度化という方針のもと、今後は新築住宅への標準搭載が進むとともに、既存住宅への導入支援も拡大していくことが期待されます。
HEMSの特徴・役割
HEMSの最大の特徴は、家中のエネルギー情報を一括管理できる点にあります。具体的な役割としては、電力使用量の確認、発電・蓄電の状態把握、各家電の自動制御、遠隔操作などが挙げられます。
HEMSの役割
HEMSは、家庭内のエネルギー消費を最適化するために、主に以下3つの役割を果たします。
- 【電気の見える化】:モニターやスマートフォンで、リアルタイムで使用電力量・発電量を把握
- 【自動制御】:接続機器を効率的に制御し、エネルギー消費を最適化
- 【遠隔操作】:外出先から家電を操作でき、スマートホームとしての利便性を提供
これらの役割は、「重点8機器」と呼ばれる主要な住宅設備と連携することでより効果的に実現されます。重点8機器は、経済産業省が示すHEMS連携の代表的な対象機器であり、エネルギーの見える化や最適制御を支える中核的な存在です。
| 重点8機器 |
|---|
| 1. 太陽光発電 |
| 2. 照明 |
| 3. エアコン |
| 4. 給湯器 |
| 5. EV/PHV |
| 6. 蓄電池 |
| 7. 燃料電池 |
| 8. スマートメーター |
【電気の見える化】:モニターやスマートフォンで使用電力量・発電量が分かる
HEMSを導入すると、いつ・どの部屋で・どのくらいの電気を使っているかが一目で確認できます。現在の数値だけでなく、過去データとの比較や、太陽光による発電量、蓄電池の残量などの内訳も表示されるため、家族全員が自然と節電を意識できる環境が整います。
【自動制御】:接続された機器をエネルギー最適化のためにコントロールできる
一部のシステムでは、AIアルゴリズムを活用したエネルギー最適化も可能です。例えば、エアコンの節電運転、天候予測に基づいた蓄電池の充電抑制・給湯器の沸き上げタイミングの調整などが行えます。ただし、AIによる判断の有無や制御の範囲はメーカーにより異なります。
【遠隔操作】:外出先から接続機器を操作できる(スマートホーム化)
専用のアプリを使用すれば、外出先からHEMSに対応・接続した機器の電源操作が可能です。エアコンや給湯器・照明のオン/オフ、スマートロックの解錠確認などが手元で行えます。
HEMSのメリット・デメリットは?
HEMSを導入するメリットには、家計の負担軽減や生活の質の向上などが挙げられます。一方で、導入コストや機器の互換性といった課題もあるため、事前に理解しておくことが重要です。
HEMSのメリット①電気代を減らし、省エネになる
HEMSを導入する大きなメリットは、エネルギーの消費量を見える化できることで、無駄な電力使用に気づきやすくなる点です。さらに太陽光発電や蓄電池と連携すれば、自家消費を最適化し、電力会社から購入する電気量を抑えることができます。
HEMSのメリット②生活の利便性が向上する
外出先からの機器操作により、生活の利便性が向上します。例えば、帰宅前にエアコンを起動したり、お風呂の準備を済ませたりすることができます。スマートロックなどと連携すれば、防犯面でも安心感が高まります。
HEMSのメリット③非常時の電源確保
太陽光発電や蓄電池と組み合わせることで、停電時でも電力を有効活用できます。HEMSによって電力使用状況を把握・管理することで、限られた電力を計画的に使うことが可能になります。
HEMSのメリット④防犯や家族の見守りに活用できる
HEMSは、エネルギーの見える化と遠隔管理を通じて、見守りや防犯にも活用される場合があります。電気の使用状況や各種センサーと連携することで、家庭内の状況把握に役立ちます。
HEMSのデメリット①初期費用・設置コストがかかる
HEMSの導入には、コントローラーなどの機器費や設置費が必要で、一般的には10万~30万円程度が目安とされています。ただし、構成や住宅条件によって費用は大きく異なります。また、住宅支援制度において補助対象となる場合もあり、自己負担額を軽減できることがあります。
HEMSのデメリット②対応する家電(ECHONET Lite等)を揃える必要がある
HEMSはすべての家電と連携できるわけではなく、ECHONET Lite(エコーネットライト)などの通信規格に対応した機器が必要です。そのため、既存の家電をそのまま利用できない場合があり、買い替えコストが発生する点に注意が必要です。導入は故障やリフォームのタイミングに合わせて進めると負担を抑えられます。
HEMSの設置に補助金は活用できる?
2026年5月現在、HEMS単体を対象とした国の補助金制度は原則として設けられていません。ただし、国土交通省・環境省・経済産業省が連携して実施する「みらいエコ住宅2026事業(Me住宅2026)」では、住宅の省エネ性向上を支援する制度の中で、HEMSが重要な構成要素として位置付けられています。また、自治体によっては独自の補助金が用意されている場合があるので、お住まいの地域の最新情報を確認しましょう。
「みらいエコ住宅2026事業」とは、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、省エネ性能の高い住宅の新築や改修を支援する国の制度です。補助金の概要は以下の通りです。
【新築の場合】
| 対象住宅 | 対象世帯 | 1戸あたりの補助額 ※()は地域区分1~4の場合 |
古家の除却を行う場合の補助額 | HEMSの設置条件 |
|---|---|---|---|---|
| GX志向型住宅 | すべての世帯 | 110万円(125万円) | なし | 必須 |
| 長期優良住宅 | 子育て世帯または若者世帯 | 75万円(80万円) | 95万円(100万円) | 任意 |
| ZEH水準住宅 | 子育て世帯または若者世帯 | 35万円(40万円) | 55万円(60万円) | 任意 |
※ 地域区分とは、気候条件により求められる建物の省エネ性能等の基準を示すため、全国を気象条件(寒さ・暖かさ)に応じて1~8の区分に分けたものです。以下のページから、新築予定の地域がどの地域区分なのかを確認できます。
【既存住宅のリフォームの場合】
| 対象住宅 | 改修工事 | 1戸あたりの補助上限額 |
|---|---|---|
| 平成4年基準を満たさないもの | 平成28年基準相当に達する改修 | 100万円 |
| 平成11年基準相当に達する改修 | 50万円 | |
| 平成11年基準を満たさないもの | 平成28年基準相当に達する改修 | 80万円 |
| 平成11年基準相当に達する改修 | 40万円 |
【補助対象工事】
| 必須工事 | 開口部、外壁、屋根・天井または床の断熱改修、エコ住宅設備の設置の組み合わせ |
|---|---|
| 附帯工事 | 子育て対応改修、バリアフリー改修等 |
出典:国土交通省「みらいエコ住宅2026事業【公式】」
国土交通省「みらいエコ住宅2026事業について」
新築で「GX志向型住宅」として申請を行う場合は、エネルギー消費を高度に管理する「高度エネルギーマネジメント」の導入が要件とされており、HEMSの導入が求められています。
新しい住まいの防犯には、ALSOKのホームセキュリティ
HEMSはスマートホームを構成する一要素として、宅内のエネルギー使用状況の見える化や遠隔管理を可能にするシステムです。防犯センサーや見守り機能と組み合わせることで、在宅状況の把握や異変の検知ができるようになり、自宅の防犯性を高める仕組みとして活用できます。
さらに、警備員による監視や駆けつけ対応を組み合わせることで、万が一の際の対応力が強化され、安心感は一層高まります。ALSOKでは、ご自宅の防犯対策として活用いただけるホームセキュリティサービスを提供しています。
ホームセキュリティ「HOME ALSOK Connect」
ALSOKのホームセキュリティ「HOME ALSOK Connect」は、「オンラインセキュリティ」「セルフセキュリティ」の2種類から選べます。
オンラインセキュリティは、火災や不審者の侵入などの異常発生時にはALSOKが駆けつけて適切に対処します。必要に応じて、各関係機関とも連携します。
スマートフォンで簡単に警備操作が可能で、スマートフォンを持っているだけで警備を自動解除し、外出時はワンタッチで警備を開始できる便利な機能も活用いただけます。
セルフセキュリティは、お手頃価格でホームセキュリティを導入でき、もしものときはALSOKへ駆けつけを依頼することができます。
屋外対応無線式カメラ「HOME ALSOK Connect Eye」
ALSOKの屋外対応無線式カメラは、工事不要で設置でき、人感センサーによる自動録画やオプションの駆けつけサービスに対応しています。人の動きを検知するとLEDライトが点灯するため、夜間や暗い時間帯でも状況を把握しやすく、安心感を高めてくれます。異常発生時はスマートフォンへ通知され、遠隔からでもリアルタイムで映像確認や双方向通話が可能です。
防犯性能を重視しつつ、導入のハードルを下げたい方に適した防犯カメラです。
HEMSについてよくある質問
Q:HEMSは後付けでも設置できますか?
A:後付けも可能です。ただし、分電盤の交換が必要な場合や、既存の住宅設備がECHONET Lite(エコーネットライト)などの通信規格に対応していない場合、工事費用が高くなることがあります。新築時に合わせて導入するとスムーズで、コストも抑えやすくなります。
Q:HEMSはすべての住宅で必須ですか?
A:すべての住宅で必須ではありません。一般的な新築住宅やZEH住宅では基本的に任意ですが、「GX志向型住宅」の場合はHEMSの導入が要件として求められます。
Q:「HEMSはいらない」と言われるのはなぜですか?
A:太陽光発電や蓄電池を設置していない場合、消費電力を見るだけの機能になりがちで、HEMS本来の効果を実感しにくいためだと考えられます。しかし、ZEH住宅や補助金を活用する場合、あるいは将来的に電気代を最適化したい場合にはHEMSの導入が重要となります。
Q:HEMSの導入費用はいくらかかりますか?
A:機器代と分電盤、工事費を合わせて一般的に10万~30万円程度が目安です。メーカーや連携する機器の数、住宅の電気配線状況によって変動するため、ハウスメーカーや施工会社への見積もりが必要です。
Q:HEMS導入の補助金額はどのくらいですか?
A:HEMS単体に対する大規模な国の補助金はありませんが、新築の「GX志向型住宅」として申請する場合は、HEMSを含む高度エネルギーマネジメントの導入が要件となっており、最大125万円の補助が受けられます。自治体独自の補助金や国のDR補助金(蓄電池関連の補助金)を活用することで、さらに1万~数十万円の補助が出る例もあります。
まとめ
HEMSは家庭のエネルギー量を見える化し、最適にコントロールすることで、省エネと快適な生活を両立させるシステムです。ZEH住宅の普及や「みらいエコ住宅2026事業」などの補助金制度の後押しもあり、これからの住まいづくりにおいて、その重要性はますます高まっています。
HEMSは電気代の削減という経済的メリットだけでなく、家族の見守りや防犯といった暮らしの質を向上させる基盤としても役立ちます。国や自治体の補助金を賢く活用し、スマートで安心できる暮らしを実現しましょう。





















