
「日本のはじまりの地」、古都・奈良。
かつて多くの文化や技術がもたらされ、日本の文化が大きく花開きました。奈良に息づく歴史、文化、工芸の“源流”をたどりました。
飛火野
春日大社参道に面した「飛火野」。広大な芝生で神の使いとされる鹿がのんびり草を食む。かつては御蓋山を仰ぐ古代祭祀の地だった。

奈良
春日大社の一之鳥居をくぐり、参道を進むと、次第に深い森の中にいるような静けさに包まれました。両脇にずらりと並ぶ石燈籠が苔に覆われ、周囲の風景に溶け込んでいます。時折「ピィー、ピィー」と甲高く鳴り響く声の主は、鹿でしょうか。
「背後に広がる『御蓋山』は神山として古代から信仰の対象で、聖域として守られてきました。街からこれほど近くに“原始林„があり、野生の鹿が闊歩する……。世界でも珍しい光景です」と春日大社広報の秋田真吾さん。
4月下旬には境内のいたるところで野生の藤が紫色の花を咲かせ、甘い香りを放つといいます。
回廊に並ぶ釣燈籠の数にも圧倒されます。石燈籠と合わせて約3000基という燈籠の数が、平安時代から続く人々の信仰心の厚さを物語っていました。
参拝後は、「春日荷茶屋」へ立ち寄り、名物の「万葉粥」を。優しい味が体に染み入りました。
春日大社
御蓋山(春日山)の麓に、平城京の守護と国民の繁栄を祈願するため、768年に創建された。藤原氏は氏神と仰ぎ、氏寺の興福寺とともに手厚く保護した。約100万㎡の境内には、約3000基もの釣燈籠と石燈籠が並び、日本一の燈籠の数を誇る。毎年2月と8月にすべての燈籠に火が灯される「万燈籠」では深い森の闇が幽玄な世界に包まれる。

0742-22-7788
- 住所
- 奈良市春日野町160 御本社(大宮)参拝所
- 開門
- (3~10月)6:30~17:30
(11月~2月)7:00~17:00 - 休
- 無休
- 参拝
- 御本殿特別参拝700円
https://www.kasugataisha.or.jp/


世界遺産 春日山原始林に鎮座する 春日大社
春日荷茶屋
春日大社の参道途中、萬葉植物園正門横にあるお茶屋。店名の「荷茶屋」は、かつて春日大社境内で天秤棒を担いで茶箱と茶釜を運び、お茶や餅菓子を提供していたことに由来する。名物は創業当初からの「万葉粥」。甘味やドリンクなどもある。

0742-27-2718
- 住所
- 奈良市春日野町160
- 営業時間
- 10:30~16:20(L.O.16:00)
- 休
- 不定休(HP参照)
https://www.kasugataisha.or.jp/ninaijyaya/


緑豊かな奈良公園に隣接する小高い丘に建つ奈良ホテル。御殿風檜造りの本館建物が堂々たる風格で佇んでいます。関西随一のクラシックホテルは、宿泊施設としてだけではなく、近代化を目指した日本の迎賓館の役割を担い、1909(明治42)年の創業以来、国内外から多くの賓客を迎えてきました。
館内は天井が高く、随所の調度品に目が奪われます。赤い絨毯が敷き詰められた大階段、釣燈籠を模した和風シャンデリア、鳥居とマントルピースの組み合わせなど、まるで美術館に足を踏み入れたかのよう。
「1922年にアインシュタイン博士が滞在したときに弾いたピアノは、2年前の修理で蘇りました。7割の部品が当時のままです」と、営業企画の津川あかねさん。
「未来に語り継ぐことを目指して、歴史・文化・伝統の深い知識を身につけたスタッフを揃えています」。
歴史や調度品にまつわるストーリーに満ちた空間で、唯一無二の豊かな時間を堪能しました。
奈良ホテル
1909(明治42)年創業の日本を代表するクラシックホテル。本館は建築家・辰野金吾が設計。意匠を凝らした建物や歴史ある調度品や名画など優雅な雰囲気が漂う。大規模リニューアル工事に伴い、2026年1月4日~5月下旬まで全館休業予定(詳細はHPにて)。

0570-66-6088
- 住所
- 奈良市高畑町1096
- 宿泊料
- 1泊1人26,100円~
(税サ込・朝食付、2025年12月時点)
https://www.narahotel.co.jp/




薬師寺の南門から中門を抜けると神聖な空間が広がっています。現われたのは、中央に本尊を祀る金堂と、東西に二基の塔。
「このような伽藍配置は薬師寺が最初です」と僧侶の村上定運さん。
右手の「東塔」は創建当初から唯一現存する建物です。6層に見えますが、じつは三重塔。各層に「裳階」と呼ばれる飾り屋根がつけられ、かつて「凍れる音楽」と賛美されたことに納得する美しさでした。
正面の「金堂」は軒反りの屋根の両端に金色の鴟尾がひときわ輝いています。堂内では漆黒に輝く薬師三尊像が、歴史の重みを放っていました。
この金堂は当時の管主・高田好胤師が全国に「お写経勧進」を提唱した末、悲願の再建を果たしたもの。「多くの人々に仏心に触れて幸せになってもらいたい」との思いが詰まっています。
「薬師寺では書いたお写経が納経蔵に納められ、永久に残ります」。今でも写経勧進は続き、境内のお写経道場には人の姿が絶えません。
薬師寺
法相宗の大本山。680年、天武天皇が皇后の病気平癒を祈願して建立した寺。古代金銅仏の最高傑作といわれる薬師三尊像を祀る。東塔を除くすべての建物が火災により焼失したが、写経勧進により復興されつつある。


0742-33-6001
- 住所
- 奈良市西ノ京町457
- 拝観時間
- 9:00~17:00(受付は16:30まで)
- 休
- 無休
- 拝観料
- 1,000円(大人)
https://yakushiji.or.jp/




これからも続いていく。

法相宗の大本山創建時の華麗な伽藍が蘇る 薬師寺
なら工藝館
奈良の伝統工芸の振興を目的に開設された資料館。常設展示室では一刀彫(奈良人形)や赤膚焼など奈良の伝統工芸を紹介する。制作体験や実演イベントも定期的に開催。基礎的な技術や技法を学べる各種工芸教室も。

0742-27-0033
- 住所
- 奈良市阿字万字町1-1
- 開館時間
- 10:00~18:00(最終入館17:30)
- 休
- 月曜(祝日の場合は開館)、祝日の翌日 (土日祝日にあたるときを除く)、年末年始(12月26日~1月5日)、展示替えの期間等
- 入館料
- 無料
https://nara-kogeikan.city.nara.nara.jp/


天理
シルクロードの東の終着駅·奈良は、古来より日本の文化や伝統産業の発祥の地として栄えてきました。
伝統的な街並みが残る“ならまち„の中心部にある「なら工藝館」は、奈良漆器、奈良筆、奈良墨、一刀彫、赤膚焼……など、奈良発祥の多種多様な工芸品を紹介しながら、その知られざる魅力を広く発信しています。「伝統工芸の原点は奈良にある」という言葉を噛みしめ、この地だからこそ生まれ、続いている“必然性„を感じる時間になりました。
県北中部の天理市へ。「なら歴史芸術文化村」は、奈良の歴史や芸術文化の魅力を発信する複合施設。4棟のうち「文化財修復·展示棟」では、文化財の修理作業をガラス越しに見学できます。
なら歴史芸術文化村
2022年にオープンした歴史、芸術、食と農など、奈良県の誇る多彩な文化に触れられる多機能複合施設。文化財の修理作業現場の通年公開、国内外アーティストによる創作活動や交流、アートプログラムなどを実施する。

0743-86-4420
- 住所
- 天理市杣之内町437-3
- 開館時間
- 9:00~17:00(レストランと貸館は~20:00、にぎわい市場と文化村工芸館は~18:00)
- 休
- 月曜(祝日の場合は翌平日。ショップとレストランは営業)、12月28日~1月4日(ショップは12月30日~1月3日、レストランは12月30日~1月4日)、情報発信棟トイレ・授乳室は無休
- 入館料
- 無料(別途料金が必要なイベントもあり)
https://www3.pref.nara.jp/bunkamura/


奈良の歴史・芸術・文化を五感で感じる なら歴史芸術文化村
田原本
私たちが歴史的建造物や仏像などに心を動かされるのは、文化財を守るために、日々文化財に向き合う修理技術者たちの存在があってこそなのだと強く感じました。
奈良盆地の中央、田原本町は、豊かな土壌に恵まれ、弥生時代から稲作が盛んでした。
道の駅「レスティ唐古・鍵」は弥生時代の史跡と隣接する施設。地元の新鮮な農産物が並び、冬から春は、地元のブランド苺「古都華」を使った「贅沢いちごパフェ極」が人気。今季はどうモデルチェンジするか楽しみです。
屋台発祥の「彩華ラーメン」へ。「お客様にお腹いっぱい食べて貰いたい」と創業以来の愛情たっぷり、白菜たっぷりの一杯を守り続けています。ニンニクを効かせたピリ辛スープで体が温まりました。
道の駅レスティ唐古・鍵
緑豊かな田原本町内の新鮮な野菜、果物や花など地元や県下の特産品を多数販売する。1階ベーカリーの生食パンや季節のジェラートも人気。2階のカフェでは手作りおにぎりやパフェなど地産地消にこだわったメニューも。弥生時代の集落跡にある「唐古・鍵遺跡史跡公園」が隣接。
0744-33-9170
- 住所
- 磯城郡田原本町唐古70-1
- 営業時間
- 9:00~18:00
- 休
- 無休
https://resti-karako-kagi.jp/




彩華ラーメン 本店
昭和43年創業、天理市の屋台発祥のご当地ラーメン店。多量の白菜と秘伝の自家製醤油だれをベースにしたニンニクたっぷりのピリ辛スープでスタミナ満点。平日15時まではプラス350円でチャーハンセットなども。お持ち帰りセット(生麺・ゆで麺を指定)は1食分容器付(950円)で、家でも楽しめる一品。
0743-63-3165
- 住所
- 天理市岩室町91
- 営業時間
- 11:00~24:00(L.O.24:00)
- 休
- 無休
https://www.saikaramen.com/shop/honten/























