空き巣被害は保険で補償してもらえる?保証の範囲や手続きの流れも解説

空き巣被害に遭うと、大切な家財が失われるだけでなく、玄関ドアや窓ガラスが破壊され、修理費などの予期せぬ出費も発生します。空き巣被害に対応した保険に加入していれば、こうした損害を補償してもらえる可能性があります。本記事では、空き巣被害に遭った場合の適切な対応方法と補償範囲、保険金を請求する際の手続きについて解説します。
目次
空き巣被害に遭ったときの対応

もし空き巣被害に遭ってしまった場合は、冷静かつ迅速な対応が重要です。以下は、空き巣被害に遭ったときにやるべきことを順番に並べています。
すぐに警察へ通報し、安全な場所で待機
空き巣の被害に遭ったことが判明したら、すぐに警察に通報してください。
室内や近くに犯人がいる可能性があり、鉢合わせると危害を加えられるおそれがあるため、警察が到着するまでは外で待ちましょう。
また、荒らされていた室内やベランダ、庭は絶対に片付けないようにしましょう。散乱した物や足跡などは重要な証拠であり、犯人特定の手がかりになる場合があります。
カード類の盗難被害を確認
警察が到着し、家の中の安全が確保されたら、まずは室内に保管していたクレジットカードやキャッシュカードが盗まれていないかを確認してください。万が一盗難の被害に遭っていた場合は、すぐに銀行やクレジットカード会社などに連絡し、カードの利用停止手続きを行いましょう。不正引き出しや不正利用を未然に防ぐだけでなく、犯人の使用履歴を追う手がかりにもなります。
賃貸物件の場合は、大家もしくは不動産会社への連絡
クレジットカードやキャッシュカードの利用停止が完了した後、賃貸住宅にお住まいの場合は、大家さんや不動産会社に空き巣の被害に遭ったことを連絡します。空き巣が侵入する際に破壊した窓ガラスやドア、そのほかの箇所の修繕を手配してもらいましょう。
もし犯人がスペアキーを用いて侵入した場合は、すぐに不動産会社に鍵を変えてもらうように伝えてください。空き巣の再犯を未然に防ぎ、自身の身を守ることにもつながります。なお、鍵はディンプルキーなどピッキングされにくく防犯性の高い形状を選べば、ピッキングによる侵入リスクも抑えられます。
保険に入っていれば、保険会社か代理店へ連絡
保険に加入している場合は、空き巣被害に遭ったことを保険会社や代理店へ連絡しましょう。総合補償タイプの住宅総合保険(保険会社により商品名が異なります)、家財保険(賃貸住宅向けの火災保険商品)及び動産総合保険(特定の動産を保険の対象とする保険商品)では、空き巣による盗難被害に遭った際の損害が補償されます。
不測の事態に遭う前に、ご自身が契約されている保険商品に盗難の補償があるか、被害に遭った際に原状回復するための補償(損害保険金)が得られるかを代理店に確認しておくと良いでしょう。補償内容はパンフレットや重要事項説明書を確認するだけでなく、代理店から直接説明を受けることが肝要です。
また、建物や家財の修理、買い替えに必要な金額は常に一定とは限りません。周辺環境の変化により、当初は想定していなかったリスクが生じる可能性もあります。万が一の際に十分な補償が受けられないことを防ぐためにも、保険の補償内容と保険金額について定期的に見直すことをおすすめします。
空き巣被害に遭った場合の補償範囲
空き巣被害に火災保険を適用できる場合、補償範囲は「建物」と「家財」に分かれます。ただし、補償範囲は加入している保険の内容によって異なる可能性があります。建物と家財のどちらかのみが対象となっているケースもあるため、必ず契約している保険のプランを確認しておきましょう。
建物
火災保険の補償対象となる「建物」は、被保険者が所有する住宅自体に加え、カーポートや窓、ドアなど建物に付随して動かすことができない設備が該当します。空き巣が玄関ドアの鍵や窓ガラスを破壊して侵入した場合、火災保険の「建物」として補償の対象となることがあります。ただし、マンションの場合は専有部のみが対象となり、共用部の設備は含まれません。
家財
火災保険の補償対象となる「家財」は、家具や家電、衣類、現金など家の中にある動かせる物を指します。例えば、家の中にあったパソコンやゲーム機といった家電が盗まれた場合、火災保険の「家財」として対象となります。ただし、現金や貴金属などは支払限度額が設定されている場合があり、パソコンやゲーム機に保存されたデータは補償の対象外です。
オートバイや自動車は補償対象外
敷地内で保管していた自転車や原付自転車(総排気量125cc以下)が盗まれた場合、火災保険で補償される場合があります。ただし、保険会社によっては保管場所を指定していることもあるため、契約内容を確認しておくようにしましょう。
一方で、総排気量が125ccを超えるオートバイや自動車を盗まれてしまった場合、火災保険の補償の対象外となることが一般的です。侵入窃盗による自動車の盗難は車両保険で補償されます。なお、保険会社によっては「車両盗難不担保特約」を付帯でき、これをつけていると盗難による損害は補償の対象外になります。バイクの盗難補償については、バイク販売店か代理店にご確認ください。
保険金を請求するまでの流れ
次に、保険金を請求するまでの流れを詳しく解説します。
1.警察に被害届(盗難届)を提出する
空き巣被害に遭ってしまったら速やかに警察に通報し、被害届(盗難届)を提出します。このとき注意したいのが現場の保存です。破壊された窓ガラスや散乱した物などは重要な証拠となる可能性があるため、警察の現場検証が終わるまで片付けや掃除は行わないようにしましょう。
被害届が受理された後は、保険会社または代理店に連絡し、保険金請求の手続きを進めることになります。その際に、被害届の受理番号が必要になるため、必ず受領しましょう。
また、警察関係の手続きがすべて完了したら、被害品をリストアップしておくと、その後の保険金請求がスムーズに進みます。盗まれた物や壊された物は、種類・数・状況などをできるだけ詳細に記録しておくことをおすすめします。
2.保険会社へ連絡し必要書類を受け取る
保険会社へ連絡したら、保険金請求のために必要な書類が送られてきます。送られてきた書類以外にも、提出を求められる書類があります。
【保険金請求に必要となる書類】
- 保険金請求書
- 被害内容報告書
- 損害明細書
- 盗難届出証または受理番号
- 被害状況が確認できる写真
- 印鑑証明書
- 戸籍謄本
- 住民票
- 委任状(保険金の請求を第三者に委任する場合のみ)
保険金請求書や被害内容報告書、損害証明書は、保険会社から送られてきます。必要な書類は保険会社によって異なる場合もありますので、必ず確認するようにしましょう。
3.必要書類を提出し保険金を受け取る
必要書類が揃ったら、保険会社に提出します。提出後、金額が確定すると口座に入金されます。一般的には請求完了から30日以内に支払われますが、資料に不備があったり特別な調査が必要だったりする場合は時間がかかることがあります。
住宅侵入による窃盗件数は減少傾向にあるものの、油断は禁物!
警察庁が公表している「令和5年の刑法犯に関する統計資料」によると、住宅侵入による窃盗の認知件数の推移は以下のようになっています[注1]。

出典:警察庁「令和5年の刑法犯に関する統計資料」
「侵入窃盗」の認知件数は平成30年(2018年)から令和4年(2022年)にかけて減少傾向にありましたが、令和5年(2023年)に増加に転じています。この6年間でもっとも発生件数の少ない令和4年(2022年)であっても、1日約100件も発生している計算になることから、侵入窃盗は身近な犯罪といえ、決して油断できない状況です。
空き巣被害に遭わないための防犯対策
ここまでは実際に被害に遭った場合の話でしたが、被害に遭う前に未然に防ぐことも大切です。
空き巣被害に遭わないためにまず必要なのは「セキュリティの強化」です。ポイントは家の中も外も同じように強化すること。どちらもできて初めて防犯対策が徹底されていることになります。以下のような方法をぜひ取り入れてみてください。
窓に防犯対策をほどこす
空き巣の侵入経路のひとつになっている窓への対策は必須です。住宅に設置される主なガラスの種類と特徴を以下のイラストにまとめました。
窓の防犯性を高めるためには、窓ガラスを「防犯合わせ複層ガラス」へ交換するのが有効です。防犯合わせ複層ガラスは、官民合同会議にて防犯性の高い建物部品と認められており、侵入までに5分以上かかることが期待できます。侵入に5分以上かかると、侵入者の約7割があきらめるとされているため、空き巣被害の防止に役立ちます[注2]。
また、窓ガラスの交換が難しい場合は、防犯性能試験を通過したことの証である「CPマーク」が付いた防犯フィルムの導入がおすすめです。
[注2]警察庁:住まいる防犯110番 侵入者プロファイリング~心理と行動③
侵入を感知するセンサーライトや防犯カメラを設置する
センサーライトは、設置している場所を人が通ったときに反応し、光を照らすセンサーのことです。出入口や窓の付近の建物外周に設置することで、不審者を威嚇し侵入を防ぐ効果が期待できます。強い光で空き巣を驚かせるだけでなく、人の存在を周囲に知らせることができ、空き巣が犯行を断念するきっかけになります。
また、防犯カメラと組み合わせれば、威嚇効果に加えて万が一被害に遭ったときの証拠の記録にも役立ちます。ALSOKでは、家庭用防犯カメラを多数取り扱っていますので、ぜひご相談ください。
ドアや窓に補助錠を設置する
ドアや窓の鍵が一つの場合、空き巣の被害を受けやすくなります。例えば、窓についているクレセント錠は、窓ガラスを割った箇所から室内に手を伸ばせば簡単に開錠されてしまいます。
ドアに関してもサムターン回しやピッキング、ドアのこじ開けなど、さまざまな方法で侵入されるケースが後を絶ちません。そのため、ドアと窓にメインの錠に加えて補助錠の設置をおすすめします。補助錠は防犯のために設置される追加の錠のことです。これにより、不審者は侵入時に複数の鍵を突破する必要が生じ、手間がかかるようになることから犯行を断念しやすくなります。
窓の補助錠なら「ALSOKロック」の利用をご検討ください。ALSOKロックは、窓に簡単に取り付けられる補助錠です。換気をしながら窓をロックすることができ、外からはALSOKロゴが見えるため、犯罪抑止が期待できます。
ホームセキュリティを導入する
住まい全体の防犯性を高めるなら、ホームセキュリティの導入がおすすめです。ホームセキュリティは、不審者の侵入を感知した際に、すぐに警備員が駆けつけ対応してくれるセキュリティサービスです。迅速な対応が可能になり、被害を最小限に抑えられます。
ALSOKのホームセキュリティは、「セルフセキュリティ」「オンラインセキュリティ」からお選びいただけます。
セルフセキュリティは、お手頃な価格でホームセキュリティを導入でき、もしものときにはALSOKの駆けつけを依頼できます。
オンラインセキュリティは、異常発生時に自動でALSOKが駆けつけ、適切に対処します。また、オプションの「スマホゲート」は、スマートフォンを持っているだけで警備を自動解除したり、ワンタッチで警備を開始したりと、シームレスな操作が可能です。
また、在宅中も警備をセットできるので、就寝中や一人での在宅時にも安心です。
空き巣被害に遭っても慌てないことが大切
空き巣被害は、誰にでも起こりうる身近なトラブルです。被害に遭わずに済むことが一番ですが、もし被害に遭った場合には、慌てずに一つひとつ対処しましょう。ガラス破りやドアの破損など、侵入の痕跡を見つけたら、まずは警察へ連絡し被害届を出します。その後、キャッシュカードやクレジットカードの利用を停止し、損害が保険で補償される場合には保険金の請求手続きを行いましょう。また、万が一に備えて定期的に保険のプランや補償内容を見直すことも大切です。
空き巣被害を未然に防ぐためには、ホームセキュリティの導入もご検討ください。