海外赴任時の転出届や住民票などの手続きの仕方

海外赴任時の転出届や住民票などの手続きの仕方

単身赴任 2021.03.23
海外赴任時の転出届や住民票などの手続きの仕方

外国に転勤・駐在し、仕事をすることになる「海外赴任」。突然決まることもありますし、もし行ったことのない国であれば仕事だけでなく生活面でもさまざまな不安がともないます。
この記事では、海外赴任が決まったときに必要な手続きのなかでも、ご自身の暮らしそのものに直結する「住民票や転出届」「税金・保険料」そして、「住まいに関すること」などについてご紹介します。

海外赴任が決まったときの準備は何が必要?

海外赴任が決まったときの準備は何が必要?

一般的に、海外赴任が決まったことを職場から言い渡されるタイミングは「赴任の3か月前」ほどといわれています。ただし職場によっても時期は異なるため、半年前に分かっていることもあれば、2か月前に決まって慌てて準備しなければならないこともあり得ます。
海外赴任にともなって必要な準備のなかで、ご自身で行うものはおもに以下となります。

  • 持っていなければパスポートを取得
  • 赴任先の生活や治安に関する情報を調べておく
  • 家を持っているなら売却や賃貸、または空き家管理に関する相談
  • 賃貸住宅に住んでいる場合は解約の手続き
  • 健康診断や各種検査、必要な場合は通院治療
  • 赴任先への渡航に必要な予防接種
    (黄熱病予防接種証明書(イエローカード)がないと入国できない国もあります)
  • 子どもの転校に関することや、義務教育中であれば教科書の手続き
    (基本的には、現在持っている教科書と来年の教科書を持って行きます。来年の教科書は「海外子女教育振興財団」でもらうことができます)

上記の準備を職場によっては一部代行してもらえることもありますが、基本的にはご自身で行う場合が多くなります。特に手続き関連は国内転勤よりもかなり煩雑な手続きとなるため、赴任が決まったらすぐに計画を立てましょう。

企業側で行う手続き

企業側で行う手続き?

海外赴任にともなう以下の手続きは、多くの場合において職場で準備をしてもらえます。

  • 就労ビザの取得
    (国によっては、国内取得の就労ビザは入国のみ有効で、現地で書き換えが必要となる場合もあるためご注意ください)
  • 赴任先の住居の用意
  • 引っ越し業者の用意と予約

ただし、すべての職場がこれらの手続きを代行してくれるわけではなく、場合によってはご自身でこれらの準備をしなければならないこともあります。海外赴任を伝えられたタイミングで、必ず「職場がやってくれることと、自分ですべきこと」を確認しましょう。

ALSOK

海外転勤にともなう「海外転出届」と「住民票の除票」

海外転勤にともなう「海外転出届」と「住民票の除票」

国内で転勤する場合は居住自治体の役所で転出届を出して引っ越し、引っ越し先で転入届を出せばすぐに赴任地で生活を始められます。しかし海外赴任の場合は、どのような手続きを経る必要があるのでしょうか。

1年未満の海外勤務の場合

1年未満の海外赴任は短期滞在として取り扱われるため、基本的には海外転出届を出す必要はありません。住民票も除票扱いとはならず、国内に住所を残しての転勤となります。
ただし住民票を除票しなければ日本の住民税が課されてしまうため、節税を考えている方は翌年の1月1日までに除票を行う必要があります。また渡航先での選挙の有無にもよりますが、海外で選挙に投票できる「在外選挙人票」の対象になるには日本の住民票を除票する必要があります。

海外で1年以上勤務する場合

1年以上の期間海外赴任する予定であれば、お住まいの市町村の役所に海外転出届を出す必要があります。渡航の14日前から当日までの間に、本人・世帯主・同一世帯の方のうちいずれかの方が役所に出向いて提出を行ってください。なお海外転出届を出すと、現住所の住民票は「除票」となります。

【海外転出手続きの際に必要なもの】
  • 身分証明ができるもの(運転免許証、パスポート、個人番号カード、住民基本台帳カード、在留カード、健康保険証など)
  • 個人番号カードまたは住民基本台帳カード(渡航される方全員の分が必要です)

個人番号カード(マイナンバーカード)と住民基本台帳カード(住基カード)は、国外転出にともなって廃止されるため役所への返納となります。またその場合、渡航先では総領事館または日本大使館で在留届を提出する必要があります。

【年金について】

年金に関してですが、厚生年金や共済年金に加入中であれば何らかの手続きをする必要はありません(扶養となっている方も同様)。ただし、国民年金に加入中の場合は以下の2通りの選択肢からいずれかを選ぶ必要があります。

赴任期間中は国民年金を納めない

国内に住所がなくなり国民年金へ任意加入しない場合、赴任期間中は「合算対象期間」となり、老齢基礎年金の受給資格期間になります。しかしその期間は年金額の対象にならず、将来受けられる年金額が減ってしまう可能性があります。

赴任期間中も国民年金を任意継続して納付を続ける

海外赴任する前に市区町村の窓口で任意加入の手続きが行えます。渡航先へ転居してしまってからでも、日本国内に代行を頼める人がいれば日本で最後に住んでいた住所の管轄年金事務所か、市区町村の窓口で手続きを行えます。
どちらを選んでも良いのですが、納付しない期間があると将来受け取れる年金額が減少する可能性があります。また、万一障害を負った場合に受給できる障害年金の額にも影響する可能性があるため、可能なら任意継続を選択しておくことがおすすめです。

今住んでいる家はどうする?

今住んでいる家はどうする?

現住居に関しても、海外に引っ越すとなるとどうすべきか考える必要があります。賃貸に暮らしている場合と持ち家がある場合で、それぞれ準備することが異なりますので、以下をご参考の上対応をご検討ください。

賃貸住宅の場合

出国日が決定していれば、その日から逆算して賃貸契約を解約する日を算出します。それにともない、電気・ガス・水道などのインフラ停止手続きも併せて行いましょう。

持ち家の場合

【家族と一緒に海外へ転勤する場合】

家の売却を検討することも一案ですが、家を持ったまま赴任期間中のみ賃貸で貸し出すことを考える方法もあります。また、いずれ帰国して同じ家に暮らせる目処がある場合はその期間中だけ業者や親戚に空き家管理をしてもらっても良いでしょう。

【家電や家具】

家へ置きっぱなしにしておくことができない場合には、早期に処分や譲渡を検討しましょう。

【自動車を持っている場合】

渡航までに車を売却・廃車する場合は必要な廃車手続きを行って処分しましょう。もし帰国の目処がありそのまま車を保管したい場合は、業者や親戚に管理をお願いすると良いでしょう。ただ、乗らずに保管しておくだけでも自動車税は課税されてしまうので、再登録まで自動車税の納付を不要にする車の「一時抹消手続き」を行う必要があります。
一時抹消手続きには、ナンバープレート(前後2枚)と車検証および車検証記載の所有者の印鑑登録証明書が必要です。それらを揃え、管轄の陸運支局に持参の上手続きを行いましょう。なお、代理人が手続する場合は上記に加えて委任状が必要となります。一時抹消中はナンバープレートを返納することとなるため、車両はナンバーなしで保管することになります。

車も長期間動かさないと不調を招くことがあるので、保管中は定期的に駐車場内で10分ほどエンジンをかけてもらうなどのお願いもしておくと良いでしょう。

海外赴任時の税金や社会保険料の支払いについて

海外赴任時の税金や社会保険料の支払いについて

海外で勤務している間の税金や社会保険についても、考えておく必要があります。赴任期間中の税金・社会保険の取り扱いは、以下のようになっています。

住民税・所得税

【海外滞在期間が1年を超えない場合】

国内での居住者扱いとなるため、所得税や住民税は従来通り課税されます。

【海外滞在期間が1年以上となる場合】

海外に1年以上滞在することになれば、住民票が除票され日本国内では「非居住者」扱いとなります。会社員が非居住者となった場合、海外勤務で得た給与は国外での所得となるため、所得税の課税は行われません。ただし一般会社員の方は、渡航先の税法に従って現地での個人所得税を納める必要があります。その際の納税に関する規定は会社によって異なりますので、必ず確認しましょう。
会社役員の方は海外所得も日本国内で課税されるため、出国日までに国内での所得に関して源泉徴収された所得税を会社で精算しなければなりません。
役員報酬は国内源泉所得となるため、海外赴任中も日本で課税されます。日本と渡航先での二重課税とならないよう、渡航先で申告を行って外国税額控除の適用を受ける必要があります。

【住民税について】

海外転出届を出さずに赴任した場合は、滞在中も国内に住所があるため従来通り住民税が課税されます。海外赴任が1年を超えるなどで海外転出届を出している方の場合、その年の1月1日に日本国内に住所がなければ住民税は課税されません。ただしその場合も、渡航先での法令によって現地での課税はされるため、それに則って納税が必要です。

社会保険料の支払い

国内の職場から給与を受け取っていれば、海外赴任中も各種社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険など)の被保険者資格は継続となります。
稀なケースですが、赴任にともなって雇用主が赴任先現地法人となる「移籍出向」の場合は、被保険者資格を喪失することになります。その場合は厚生年金から国民年金への切り替えや健康保険の任意継続などの手続きが必要となります。

下図は海外転勤時の納税先を、分かりやすく表にしたものです。

日本国内における納税 海外赴任先での納税
海外に1年以上赴任し住民登録を抹消した人(非居住者) ×
海外赴任期間が1年未満で住民登録を国内に残している人(居住者)

なお、居住者の方で滞在日数が183日以下の場合、課税は日本国内のみとなります。184日を超える場合は、日本国内での課税と赴任先での課税が二重になってしまわないよう、「外国税額控除」という手続きが必要になります。外国税額控除の手続きは会社の年末調整では行えないため、ご自身で税務署への確定申告によって手続きを行う必要があります。

健康保険について

日本国内では病気やけがで診療を受ける場合に健康保険が適用されますが、海外赴任中は健康保険の「海外療養費制度」が適用されます。海外療養費制度とは、海外旅行中や海外赴任中に急な病気やけがなどで現地の医療機関で診療を受けた際に、加入している健康保険組合や健康保険協会へ申請を行うことで医療費の一部が払い戻しとなる制度です。国民健康保険に加入している場合は、帰国後に市町村の窓口で申請を行います。

ALSOKの空き家管理サービス

ALSOKの空き家管理サービス

海外赴任が決まっても、帰国の目処があり家をそのまま空けて赴任するという方も多いでしょう。そんなとき心配になるのは、やはり空き家管理の問題です。空き家は適正な管理をしないと、カビの発生や構造材の腐食による建物が劣化するおそれがあります。

ALSOKでは、安心して海外に渡航するために、空き家となるご自宅をしっかり管理する「HOME ALSOKるすたくサービス」をご提供しています。ご自宅の周囲を定期的に見回りし、空き巣に狙われる原因になりやすい投函物の放置が発生しないようしっかり回収。防犯面をさらに強化したい場合には、万一不審者の侵入が遭った場合ガードマンがすぐに駆けつけて対処するオプションサービスも追加可能です。

まとめ

海外勤務が決まったら、安心して渡航できるよう出国までにさまざまな手続きを済ませなければなりません。職場で代行してくれる手続きも多いのですが、ご自身での準備事項も国内の転勤よりかなり増えるため、期間に余裕を持っての行動が肝心です。
特に、ご自宅を残して出国する場合、日本の空き家に関する準備や管理はすべてご自身で行う必要があります。海外で安心して仕事や生活を満喫するためにも、空き家に関する不安はなくしておきたいもの。警備会社のALSOKが提供する空き家管理サービスなら、万一の事態にも備えておくことができます。

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