介護施設・老人ホームの種類は?公的施設と民間施設の違いも解説

高齢者・介護 2025.10.27更新(2022.01.07公開)
介護施設・老人ホームの種類は?公的施設と民間施設の違いも解説

高齢者向けの介護施設や老人ホームには多くの種類があり、提供されるサービスや入居条件、費用などは施設によって異なります。将来に備えて「どのような施設が自分や家族に合っているのか」を知っておくことは、安心した暮らしを送るために重要です。
そこで今回は、介護施設・老人ホームの種類一覧と各施設の特徴についてご紹介します。

目次

介護施設と老人ホームの違い

介護施設と老人ホームの違い

介護施設は、介護や医療ケアなど、「介護サービスを提供する施設」全般を指します。
一方で老人ホームは、主に高齢者が生活する「居住型の施設」のことをいい、介護サービスの有無は施設によって異なります。
また、高齢者向けの介護施設には、公的施設と民間施設があります。

公的施設と民間施設の違い

公的施設は国・地方自治体といった公的団体が運営しており、代表的なものには、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)などがあります。利用料金は比較的安価ですが、その分人気が高く、入居までに時間がかかることがあります。

一方、民間施設は株式会社や社会福祉法人などの民間事業者が運営しており、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などがあります。公的施設に比べて入居までの待機期間が短いとされますが、料金は公的施設よりも高めです。また、施設によって力を入れているサービスが異なります。

公的施設を使用できるまでは民間施設のサービスを利用する、というケースも多いようです。

介護施設・老人ホームの種類一覧

介護施設・老人ホームの種類、受け入れ条件の違いをまとめました。

運営 種類 受け入れ条件
自立 要支援1~2 要介護1~2 要介護3~5
公的施設 特別養護老人ホーム(特養) × ×
公的施設 介護老人保健施設(老健) × ×
公的施設 介護医療院 × ×
公的施設 軽費老人ホームC型(ケアハウス)・一般型
公的施設 軽費老人ホームC型(ケアハウス)・介護型 × ×
民間施設 介護付き有料老人ホーム
民間施設 住宅型老人ホーム
民間施設 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
民間施設 グループホーム ×

※△は施設によっては受け入れ可能

受け入れ条件は、要支援・要介護認定によって異なります。要支援・要介護認定とは、介護保険サービスを利用するにあたり必要なもので、どの程度の介護を必要としているかを客観的に判定した公的判断(認定)です。

また、自立している方や要支援の認定を受けている方は入れない場合や、認知症の方を受け入れているケースなど施設によって異なるため、入居を検討する際には受け入れ条件をよく確認する必要があります。

各施設の特徴

介護施設・老人ホームは、入居できる条件や介護サービスの有無など、施設によって特徴が異なります。

【公的施設】介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

  • 入居対象者:要介護3以上
  • 入居一時金の相場:0円
  • 月額費用の相場:5~15万円

特別養護老人ホームは、原則、要介護3以上の方が入居対象です。寝たきりの方や認知症の方など介護度が高く、在宅介護が困難と判断されている方が優先されます。

また、特別養護老人ホームは地方自治体などが運営していることから、入居一時金などの初期費用は必要ありません。費用負担が少ないことから人気があり、入居まで時間を要することがあります。

【公的施設】介護老人保健施設(老健)

  • 入居対象者:要介護1以上
  • 入居一時金の相場:0円
  • 月額費用の相場:5~20万円

介護老人保健施設は、長期入院していた方が自宅に戻るためのリハビリを行う施設です。医学的管理が必要な要介護1~5の方が入居できます。

老健はリハビリ・早期の在宅復帰を目的としているため、3カ月ごとにアセスメントがあり、平均入居期間は1年未満です。入居期間が短いこともあり、入居までの待機期間も特別養護老人ホームよりも短いといわれています。終身利用(長期利用)は基本的に行っていませんが、施設によっては看取りやターミナルケア(終末期医療)が可能な場合があります。また、介護老人保健施設ではショートステイや通所・訪問リハビリのサービスも行っています。

【公的施設】介護医療院

  • 入居対象者:要介護1以上
  • 入居一時金の相場:0円
  • 月額費用の相場:10~20万円

介護医療院は、医師や看護師が常駐しており、日常の介護に加えて適切な医療処置を受けられる施設です。介護・医療の充実だけでなく、プライバシーの配慮やレクリエーションの実施など高齢者の生活施設としての側面もあります。
入居は要介護1以上の方が対象で、長期での利用や看取り・終身利用も可能です。

【公的施設】軽費老人ホームC型(ケアハウス)

  • 入居対象者:自立以上
  • 入居一時金の相場:0~数百万円
  • 月額費用の相場:5~30万円

軽費とあるように低価格で利用できる老人ホームです。ケアハウスとも呼ばれており、施設は「一般型」と「介護型」の2つに分かれます。それぞれの特徴を表にまとめました。

種類 対象 サービス内容 初期費用
一般型 60歳以上で自立した生活に不安のある方 食事の提供や洗濯、掃除などの日常生活を支援。介護サービスが必要な場合は、外部の訪問介護やデイサービスを利用。 保証金が必要
介護型 65歳以上の要介護1以上の方 日常生活のサポートに加えて、入浴や排せつの介助など一定の介護サービス(特定施設入居者生活介護)を受けられる。 入居一時金が必要

ケアハウスの月額料金のうち、サービス提供費は前年度の収入によって軽減されます。そのため、比較的低価格で利用できることから人気があり、入居までに時間が必要になるケースも多いです。

【民間施設】介護付き有料老人ホーム

  • 入居対象者:要介護1以上
  • 入居一時金の相場:0~数千万円
  • 月額費用の相場:15~30万円

介護付き有料老人ホームは、介護が必要な高齢者を受け入れている民間の施設です。24時間体制で介護サービスを提供しており、基本的には要介護1以上の方が対象ですが、施設によっては要支援の方も入居できます。

介護サービスが充実している一方で費用がやや高額な傾向にあり、入居時に払う入居一時金(不要の場合もあり)と月額料金が発生します。さらに、介護保険が適用される介護サービス費が別途必要で、要介護度に応じた定額制のうち1〜3割を自己負担します。なお、月額料金に含まれる生活費などは保険適用外です。

全体的に費用はかかりますが、特別養護老人ホームと比較して入居までの待機期間が短いため、すぐに入居したい方にはおすすめです。

【民間施設】住宅型有料老人ホーム

  • 入居対象者:自立以上
  • 入居一時金の相場:0~数百万円
  • 月額費用の相場:9~20万円

住宅型有料老人ホームは、介護よりも生活支援に重点を置いた施設です。自立した高齢者や介護度が低い方が対象で、介護が必要な場合はデイサービスや訪問介護などの外部サービスを個別に契約して利用します。
食事や洗濯、掃除などの支援サービスがあり、一人暮らしよりも安心して生活できます。また、施設数が多いため、入居までの待機期間が比較的短いのも特徴です。

【民間施設】サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

  • 入居対象者:自立以上
  • 入居一時金の相場:0~30万円
  • 月額費用の相場:10~30万円

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、60歳以上の方や、要支援・要介護認定を受けている40歳以上の方を対象としたバリアフリー構造の賃貸住宅です。介護サービスが必要な場合に外部サービスを個別で契約する「一般型」と、介護職員が常駐する「介護型」があります。
賃貸住宅のため、対象者の配偶者やご家族も一緒に住むことができます。なお、サ高住の賃貸費用は介護保険適用外のため、全額自己負担となります。

【民間施設】グループホーム

  • 入居対象者: 要支援2以上
  • 入居一時金の相場:0~100万円
  • 月額費用の相場:約15万円

グループホームは、認知症の高齢者向けの施設です。認知症の進行を緩やかにすることを目的としています。入居は原則65歳以上で、要支援2もしくは要介護1~5の認定を受けており、認知症と診断されている方が対象です。また、施設のある市区町村に住民票がある方のみ入居できます。
グループホームは、認知症状をお持ちの方が穏やかに暮らせるよう、基本は少人数(5~9人)での共同生活となります。定員が少ない分、空きが出にくく、入居までの待ち時間が長いケースがあります。

介護施設・老人ホームに入居するまでの流れ

高齢の家族の介護を検討する際、どのような手順で介護施設や老人ホームに入居できるのかを把握しておくことは非常に重要です。
入居準備を早めに進めることで、希望に合った施設を選びやすくなり、いざというときも慌てずに対応できます。
ここでは、入居までの主なステップを3段階に分けてご紹介します。

施設を探す

まずは、希望条件を整理し、優先順位を決めたうえで条件に合う施設を探します。以下の内容から、希望条件をまとめておきましょう。

  • 費用(入居一時金、月額費用など)
  • 施設の立地
  • 医療ケアの有無
  • レクリエーションやイベントの内容
  • 設備の充実度
  • 部屋の広さやタイプ

など

自分だけで探すことが難しい場合は、地域包括支援センターや担当のケアマネジャーに相談することをおすすめします。本人や家族の状況に合わせて最適な施設を紹介してもらえます。希望に合う施設が見つかったら、まずは資料請求をして、サービス内容や料金体系などを詳しく確認しましょう。

施設を見学する

希望する入居先が見つかったら、施設を見学しましょう。現地を訪問することで、写真や資料だけでは分からない施設の雰囲気や設備の状態を確認できます。
見学では、居室や食堂、浴室、共有スペースの清潔さなどをチェックします。また、スタッフの対応や入居者同士の様子なども確認しておくと、生活のイメージがしやすくなるでしょう。
施設によっては、体験入居を実施している場合もあります。短期間でも実際の生活を体験することで、環境やサービス内容をより具体的に把握でき、入居後のミスマッチを防ぐことができます。

契約を済ませて入居する

入居を希望する施設が決まったら、まずは仮申し込みを行い、必要書類を準備します。一般的には、健康診断書や介護保険証、印鑑証明書などの提出が求められます。また、入居前にはスタッフとの面談や入居審査が行われ、健康状態や介護度、生活習慣などを確認します。
契約が完了すれば入居となりますが、人気のある施設では入居待ちの期間が発生するケースもあります。特に公的施設は費用が比較的安いため、待機期間が長くなる傾向があります。希望する時期に入居できるよう、早めの情報収集と手続きが大切です。

利用者の状態に合わせた介護施設・老人ホームの選び方

介護施設や老人ホームにはさまざまな種類があり、利用者の健康状態や希望する生活スタイルによって適した施設は異なります。
ここでは、利用者の状態に合わせた介護施設・老人ホームの選び方をご紹介します。

自立可能だが安心して暮らしたい場合

自立して生活できるものの、今後の体調の変化や一人暮らしに不安を感じる場合は、ケアハウスやサ高住、住宅型有料老人ホームの利用がおすすめです。
これらの施設では、基本的に自立した生活を続けながら、必要に応じて安否確認や生活相談、食事の提供などの支援を受けられます。万が一のときには外部の介護サービスを利用できる施設も多く、将来にわたって安心して暮らせる環境が魅力です。

認知症のサポートを受けたい場合

認知症の症状が見られる方には、グループホームが適しています。少人数の入居者が共同生活を送り、認知症ケアを専門としたスタッフが24時間体制でサポートします。料理や掃除など、なるべく自宅と変わらない生活をすることで、認知症の進行を緩やかにすることを目指します。スタッフとの距離が近く、一人ひとりのペースに合わせた支援が受けられるため、本人も家族も安心して生活しやすいのが特徴です。

介護の負担が増えてきた場合

日常生活における介助が欠かせなくなるなど、家族の介護負担が大きくなってきた場合には、常に介護サービスを受けられる施設を検討しましょう。特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護付き有料老人ホームなどが候補になります。
特に、要介護度が高くなるにつれて、入浴や食事、排せつの介助など、身体的にも精神的にも負担が増えていきます。そのような状況では、常時介護サービスを受けられる施設に入居することで、適切な介護と見守りのもと、安全で安定した生活を送ることが可能です。

医療ケアや看取り対応が必要になった場合

病気の治療を継続しながら生活したい方や、看取り対応が必要な方には、特別養護老人ホームや介護医療院、介護付き有料老人ホームが選択肢となります。最期まで自分らしく過ごしたいという本人の希望を尊重しつつ、家族もそばで支えられる体制が整っている施設を選ぶと安心です。
なお、医師や看護師が常駐しており、看取り対応も可能な介護医療院に対し、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームの中には終末期ケアや看取り対応を行っていない施設もあります。入居前に医療機関との連携や看取りの体制などを確認しておきましょう。

ALSOKの介護サービス

ALSOKでは、介護付き有料老人ホームやグループホーム、高齢者向け住宅など、さまざまな入居サービスをご提供しています。
ALSOKグループの有料老人ホームはALSOKのセキュリティシステムが導入されているため、「安全・安心」な介護サービスをご利用いただけます。

まとめ

今回は、介護施設・老人ホームの種類や特徴についてご紹介しました。
高齢者向け入居施設の種類はさまざまで、要支援・要介護認定やご家庭の環境などによって入れる施設が異なります。また、利用にかかる費用や、サービス内容も施設の種類によって違いがあります。入居待ち期間が発生することもあるため、事前に施設について確認しておきましょう。

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