空き家になった実家を貸すには?賃貸に出す手順やメリット・デメリット

空き家管理 2026.02.26更新(2024.12.27公開)
空き家になった実家を貸すには?賃貸に出す手順やメリット・デメリット

空き家になった実家を相続した際、「思い入れがあって売却はしたくない」「将来家族が住むまでの間だけ貸したい」と考える方は少なくありません。しかし、空き家を賃貸として活用するには、事前に確認しておくべき手順や注意点があります。
本記事では、空き家を貸すメリット(将来の居住が可能・家賃収入が得られる等)とデメリット(予想外の課税・リフォーム費用・退去トラブル等)、さらに個人で貸し出す際の流れを分かりやすく解説します。実家を空き家のまま放置している方や、活用方法に迷っている方は参考にしてください。

目次

個人で空き家を賃貸にすることはできる?

親の介護や相続等をきっかけに誰も住まなくなった実家は、個人でも賃貸として貸し出すことができます。空き家のまま放置すると老朽化や管理負担が増えるため、「収益化しながら家を維持できる方法」として賃貸を選ぶケースもあります。

空き家になった実家を個人で貸すメリット

空き家になった実家を賃貸として活用するメリットは以下のとおりです。

思い入れのある実家を手放さずに済む

空き家になった実家の処理は大きく「売却」か「活用」の2つに分かれますが、家族が反対する可能性もあり、実家の処分に踏み切れない方もいるでしょう。しかし、賃貸として活用すれば思い出の詰まった実家を残せますし、将来自分や家族が居住することも可能です。

老朽化の進行を止められる

空き家は、人が住まず適切な管理もされない状態が続くと、カビ・雨漏り・害虫や害獣の発生などを契機に老朽化が進みやすくなります。賃貸に出して日常的な管理(換気・通水・清掃・点検等)が行われる環境を維持できれば、劣化の進行を一定程度抑えられます。
なお、空き家を放置すると、倒壊や衛生・景観の面で問題が大きい「特定空家」、または将来的に特定空家になり得る「管理不全空家」に該当すると判断され、市区町村から指導や勧告等を受ける場合があります。これらに該当し、かつ勧告を受けても必要な措置を講じない場合、敷地は「住宅用地の特例」の適用対象から除外され、固定資産税等の負担が増加します

家賃収入が見込める

空き家は、保有しているだけでも固定資産税などの維持管理費がかかりますが、賃貸化して家賃収入を得られれば、その費用を賄い、収益化も期待できます。
他の土地活用(アパート経営など)と比較すると収益性は落ちるものの、低コストで実家を維持する手段としては効果的といえるでしょう。

相続税対策になる

空き家になった実家の土地は、利用状況によっては「小規模宅地等の特例」の対象となり、相続税評価額を大きく減額できる場合があります。例えば、相続前から賃貸に出していた場合や、相続後に貸付事業を継続する場合は、この特例が適用できる可能性があります。詳しい適用条件は、国税庁の案内や税理士など専門家に確認することをおすすめします。

参考:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」

空き家になった実家を個人で貸すデメリット

空き家の賃貸活用には多くのメリットがある一方で、デメリットやリスクもあります。賃貸活用を決める前にマイナス面を把握し検討すべき点を確認しておきましょう。

個人で家を貸すと事業扱いになる場合がある

個人で家を貸し出す場合、一定の規模を超えると税務上「事業」と判断され、個人事業税などが課される可能性があります。国税庁では、以下の基準が設けられています。

  • 貸間やアパートなどの場合:独立した室数がおおむね10室以上
  • 独立した家屋の場合:おおむね5棟以上

出典:国税局「No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分」

上記に該当する場合は、事業として取り扱われます。公務員の場合は上記に加えて、「年間の家賃収入が500万円以上の場合」や「駐車台数が10台以上の駐車場が設置されている場合」には、兼業の承認なく行うと、副業に該当して懲戒対象となる可能性があるため注意しましょう。

出典:人事院「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」

また、事業に該当しない場合でも、家賃収入などから経費を差し引いた不動産所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。会社員であっても例外ではないため、申告漏れがないように収支を把握しておきましょう。

さらに、住宅ローンが残っている場合は注意が必要です。多くの住宅ローンは「自己居住用」を前提としているため、返済中に無断で賃貸に出すと契約違反となる可能性があります。必ず金融機関に確認し、必要に応じてローンの切り替えや承諾を得るようにしましょう。

リノベーションやリフォームの費用がかさむ可能性がある

空き家を賃貸住宅として貸し出す場合、余程状態が良くない限りはリノベーションやリフォーム費用が必要です。リフォームは新築の状態に回復させるための補修・修繕工事で、外壁の塗装やユニットバスの交換などが該当します。リノベーションは新しい付加価値を加えるための改修で、間取りやデザインの全面変更などです。
特に築年数が古い住宅では、入居者を見つけるために大規模な改修が必要になり費用がかさむ可能性があります。

借主が見つからない可能性がある

空き家の立地や状態によっては、借主が見つからず、維持管理費だけを払い続ける可能性も出てきます。そのため、空き家に賃貸住宅としての価値があるかを事前に確認しておきましょう。
空き家の価値を調べるには、次の方法がおすすめです。

  • 不動産会社に査定を依頼する
  • 自分で相場を調べる
  • 自治体の空き家相談窓口に相談する

事前確認を行うことで借主が見つからない可能性を検討できるため、必ず実施しましょう。

借主との間でトラブルが生じるおそれがある

無事に借主が見つかった場合でも、入居後にトラブルが発生する場合があります。具体的には以下のようなトラブルが考えられます。

  • 家賃の滞納
  • 老朽化による取り壊しや建て替えを行う際に、借主が拒否する
  • 借主の迷惑行為が発覚してもすぐに退去させられない場合がある
  • 契約期間を守らない、ペット禁止なのに飼育するなどの契約違反

管理会社を介さずに個人で管理を行う場合は、トラブルに自分で対応する必要があるため、実家を賃貸に出す際は不動産管理会社に委託するのが基本です。

管理・修繕の対応が必要になる

賃貸住宅の管理を管理会社に依頼する場合は、管理手数料が発生します。また、入居者の入退去前後に発生する修繕の対応も貸主負担となります。その他、設備故障時の修理費なども発生するリスクがあることを覚えておきましょう。

固定資産税などの支払い義務がある

固定資産税

賃貸物件として空き家を他人に貸し出している場合でも、土地の所有者には「固定資産税」および「都市計画税」を納める義務があります。
また、住宅用地には税負担を軽減する特例(小規模住宅用地:固定資産税が1/6、一般住宅用地:1/3)が設けられており、賃貸住宅の敷地にも適用されます。適用要件はケースにより異なるため、最終的な確認は税理士など専門窓口へご確認ください。

参考:国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置

将来自分が住みたいときに住めない可能性がある

ゆくゆくは自分が住みたい、将来は子どもに譲りたいと考えている場合は、契約形態に注意しましょう。一般的な「普通借家契約」で貸し出した場合、借主の権利が強く守られるため、正当な事由がない限り貸主側からの契約解除や更新拒絶は認められません。つまり、自分が住みたいタイミングになっても、借主が退去してくれない可能性があるのです。
将来的に自分や親族が住む予定がある場合は、契約期間の満了をもって確実に契約が終了する「定期借家契約」を選択することをおすすめします。

入居者が決まるまでの管理に不安がある場合は、空き家管理サービスの利用も検討しましょう。

空き家を個人で貸す際の手順

空き家を貸す

空き家を個人で貸す場合は、不動産会社への依頼が一般的です。具体的な方法と手順を確認していきましょう。

1.ハウスクリーニングを行う

借主が安心して住めるよう、まずはハウスクリーニングで家の中を清潔な状態に整えましょう。特に、水回りや床の汚れは内見時の印象を大きく左右し、入居率に影響する可能性があります。
また、設備の経年劣化が進んでいたり、故障箇所があったりする場合は、クリーニングだけでなくリフォームやリノベーションも検討しましょう。

2.空き家の賃料査定を依頼する

「賃料査定」とは空き家を賃貸物件として貸し出した際、どれぐらいの家賃を設定できるかを算出する作業です。条件に見合う適正な賃料を設定しなければ、入居希望者が現れない場合があります。
査定額は不動産会社の評価基準によって異なる場合があるため、相見積もりを依頼しておくと、より正確な市場価値を把握できます。

3.不動産管理会社を決める

賃料査定と合わせて、賃貸開始後の管理を担当する不動産管理会社を探しましょう。どの不動産管理会社に依頼すれば良いか迷った際は、次のポイントに注目して探すと良いでしょう。

  • 賃貸住宅に関する実績やノウハウが豊富
  • 空き家がある地域の事情に詳しい

不動産管理会社は、長期間付き合うことになる会社です。管理費用やサービス内容だけでなく、相談時の対応などを見て総合的に判断しましょう。

4.賃料や入居条件を決める

不動産管理会社が決まったら、空き家の賃料や入居条件を設定しましょう。賃料は立地や築年数、建物の構造などさまざまな要素を総合的に判断した上で決定します。相場より高い家賃も設定できますが、借り手が付かなくなるリスクがあります。
また「ペット入居可」や「楽器の使用可」といった特定ニーズへ対応することで、入居率を高められる可能性もあります。しかし、騒音など近隣トラブルの原因を生む可能性があるため、管理会社と擦り合わせながら条件を決めると良いでしょう。

5.契約形態を決める

賃貸の契約形態には次の3種類があります。

  • 普通借家契約:もっとも一般的な契約形態。1年未満の期間設定は不可。
  • 定期借家契約:あらかじめ契約期間を決めて貸し出す際に使用
  • 一時使用賃貸借契約:持ち主不在の期間だけ貸し出す際に使用

「普通借家契約」は賃貸契約で広く採用されている契約形態です。空き家を継続的に賃貸物件として利用する場合に最適な契約方法となります。
「定期借家契約」は入居期間を定めて賃貸する契約形態で、将来的に所有者が住みたい場合や売却を検討している方に適しています。
「一時使用賃貸借契約」は転勤などで一時的に空き家を賃貸する方法です。貸主の都合で入居者への退去を依頼できますが、転勤等での一時賃貸でも、目的・期間・事情を契約書に具体的かつ客観的資料とともに明記することが重要です。また、入居者への負担が大きいため借り手を見つけるのが難しいというデメリットがあります。

契約形態は、空き家の利用プランに合わせて選びましょう。

6.物件の入居者を募集する

賃料や契約形態などの条件が決まったら、入居者の募集を始めます。個人での募集も可能ですが、営業力や拡散力のある不動産会社に委託するのが一般的です。
大手の不動産ポータルサイトに物件情報を掲載している管理会社に委託すれば、多くの方に空き家の情報を届けられるでしょう。

7.賃貸借契約を結ぶ

内見などを経て入居申し込みがあれば、入居者審査を行います。もしも内見や契約時の説明を管理会社に委託していた場合は、入居希望者の情報(支払い能力・保証人・保証機関の可否・人柄)が貸主に提供されるため、問題がないかをチェックしましょう。
情報に問題がなく、双方の合意が得られれば賃貸借契約を結びます。

空き家を賃貸に出す場合にかかる費用

では、空き家を賃貸に出す場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。ここでは、賃貸に出す際にかかる主な費用の目安について解説します。

初期費用

空き家を賃貸に出す際にかかる初期費用の相場
ハウスクリーニング費用 約10万円
リフォーム・リノベーション費用 5万円~1,000万円
仲介手数料・事務手数料 家賃1カ月分が相場
鍵交換費用 3万円程度
損害保険料 火災保険:1万円~3万円
地震保険:1万円~2万円
施設賠償責任保険:1万円~3万円

初期費用の中でも、とくに金額の幅が大きいのがリフォームやリノベーションにかかる費用です。そのまま貸し出せる状態であればハウスクリーニング程度で済みますが、水回りの交換や間取り変更が必要な場合は、数百万円規模の予算を見込む必要があります。
また、不動産会社に入居者募集を依頼する場合は、成約時に仲介手数料や事務手数料が発生します。さらに、万が一の火災や事故に備えて、各種保険料もあらかじめ予算に含めておきましょう。

ランニングコスト

空き家を賃貸に出す際にかかるランニングコストの相場
各種税金 固定資産税:25万6,000円
都市計画税:8万円
所得税:所得額により異なる
管理手数料 月の家賃の5%程度が相場
修繕費用(軽微な修繕の場合) 1万円~10万円
募集にかかる宣伝広告費(地域により変動) 1万円~3万円

※土地評価額5,000万円、建物評価額1,000万円の場合

ランニングコストとしては、毎年課税される固定資産税や都市計画税に加え、家賃収入に応じた所得税が発生します。また、管理会社へ支払う毎月の管理手数料や、入居者が入れ替わる際の広告宣伝費も必要です。
さらに、ランニングコストには修繕費用も含めておきましょう。設備の故障や退去後の原状回復に備え、毎月の家賃収入から一定額を積み立てておくことをおすすめします。

なお、上記の項目・金額はあくまで一例であり、物件の種類や評価額、管理方法などによって変動する場合があります。

空き家を知り合いに貸し出す場合は?

空き家を知り合いに貸す場合も、必ず賃貸借契約書は作成しておきましょう。その際は、以下の項目を含めた契約書の作成がおすすめです。

  • 契約期間
  • 賃料・共益費
  • 賃料・共益費の支払い方法や支払い期限
  • 敷金の有無と金額
  • 禁止または制限される行為・注意事項
  • 契約の解除条件とその内容
  • 退去時の原状回復に関する条件
  • 家賃債務保証業者の情報、または連帯保証人の情報と極度額(保証人が代わりに支払う金額の上限)

参考:国土交通省「『賃貸住宅標準契約書』について」

知り合いだからと口頭だけで貸し出すと、家賃の未払い、物件・設備の破損、約束した期限になっても退去してもらえないなど、さまざまなトラブルに発展するおそれがあります。賃貸借契約書は必ず作成しておきましょう。

空き家を無料で貸し出すには

親戚や友人に無料で空き家を貸す場合は、「使用貸借契約」を結ぶことがおすすめです。「使用貸借契約」は家賃を無料にする代わりに、破損などによる物件の修繕費用を借主負担にできる契約形態となっています。
契約書なしでも契約は成立しますが、口約束で終わらせるとトラブルが発生した場合の責任が正しく判断できない可能性があります。無料で貸し出す場合でも、借主と相談した上で契約書を作成しておきましょう。

空き家バンクを活用する

空き家の借主を見つけるためには不動産会社だけでなく、「空き家バンク」の利用も検討してみましょう。
「空き家バンク」は自治体が運営する空き家紹介システムで、無料で利用できます。空き家を無料で貸し出す場合だけでなく、売却や有償で貸し出す場合も利用可能です。空き家バンク活用のメリット・デメリットは下記の通りです。

【メリット】

  • 仲介手数料が不要(マッチング後に発生する手数料は有料)
  • 地域によっては補助金や助成金を利用できる
  • 自治体運営のため利用者に安心感を提供できる

【デメリット】

  • 積極的な広告や宣伝は行わないため、契約まで時間がかかるおそれがある
  • 契約交渉や手続きは自分で行わなければならない

空き家は人が住まなくなると劣化が早くなります。不動産管理会社と空き家バンクの両方を活用すれば、より早く入居者を見つけられるでしょう。
マッチングを待つ間、空き家の防犯や管理が不安な方は、空き家管理サービスを活用するのがおすすめです。

空き家管理には「HOME ALSOKるすたくサービス」がおすすめ

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空き家を貸し出す場合、準備期間や入居者が見つかるまでの間は防犯対策や管理の必要があります。空き家になった実家が遠い、管理に割く時間がないなど、空き家の維持・管理を自分でするのは難しいと感じる方もいるでしょう。空き家の防犯・管理を考えている方には、ALSOKの「HOME ALSOKるすたくサービス」がおすすめです。

「HOME ALSOKるすたくサービス」は、お客様に代わって敷地内の気になる箇所の確認や、郵便受けの整頓を行い、犯罪の温床になりやすい空き家をしっかり管理します。さらに防犯面を強化したい方は不審者の侵入時にALSOKが駆けつける「るすたくセキュリティ」もご加入いただけます。
また一部離島や山間部を除き、全国にある空き家に対応していますので、実家の空き家管理にお困りの方は、ぜひALSOKにご相談ください。

まとめ

空き家の賃貸利用は家賃収入が得られるほか、思い入れのある実家を手放さずに済むというメリットがあります。しかし、リフォームや適切な家賃設定をしても、すぐに入居希望者が現れるとは限りません。入居者が決まるまでの期間も空き家を放置せず、適切な管理を行うようにしましょう。

執筆:ALSOK株式会社

「安全・安心」を皆様にお届けするため、セキュリティのプロフェッショナルであるALSOKが編集しています。日常生活に潜む危険から身を守るための防犯対策、突然の災害に備える防災情報、ご高齢者やお子さまのみまもりまで、暮らしに役立つ確かな情報を分かりやすく発信しています。

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