注文住宅と建売住宅(分譲)はどっちが良い?統計データをもとに徹底比較

新築の一戸建てを購入する際、「注文住宅」と「建売住宅」という2つの選択肢があります。人生のなかでもっとも大きな買い物といわれる住宅選びで、後悔したくないと悩まれている方は多いのではないでしょうか。
本記事では、統計データをもとに注文住宅と建売住宅(分譲)を比較しながら、双方のメリット・デメリットや購入時の注意点などを解説します。
目次
注文住宅と建売住宅・分譲住宅の違い
注文住宅とは、購入した土地や所有する土地などに、間取りや設備などを自由に決めて建てる家のことをいいます。一方で、建売住宅(分譲)は、すでに建築済みまたは建築が決まっている家と土地がセットで販売されているものを指します。
注文住宅と建売住宅の主な違いは、間取りや設備などを自由に決められるかどうかです。注文住宅は施主が1からオーダーメイドしていくため、建売住宅と比較すると費用がかさみ、入居までに時間がかかります。建売住宅は多くが建築済みのためすぐに入居が可能で、注文住宅と比較すると費用を抑えることができます。
なお、建売住宅と分譲住宅は一般的には同じ意味で使われますが、主に分譲住宅はメーカー等が大きな土地を区分けした「分譲地」に家を建て、販売される住宅のことを指します。
注文住宅と建売住宅(分譲)の着工数推移

出典:国土交通省「建築着工統計調査報告(令和6年計分)」をもとにALSOKが作成
過去6年間の新設住宅の着工戸数推移を見ると、全体的に建売住宅(分譲)よりも注文住宅の方が多くなっています。しかし、令和6年の着工戸数は注文住宅が21万8,175戸、建売住宅(分譲)は12万1,197戸と、戸数差は縮まってきています。
東京都の場合、令和6年の着工数が注文住宅は13,259戸、建売住宅(分譲)は16,744戸と、分譲住宅の方が多い状況です。土地価格が上がっている都市部では、土地と住宅がセットになった建売住宅の需要があることが分かります。
注文住宅のメリット・デメリット
注文住宅には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
注文住宅のメリット
設計の自由度が高い
注文住宅は、内装・外装、構造、設備などすべてを自分たちで決めることができ、こだわりや好みを反映できます。家族構成や生活習慣に合わせて、部屋の配置や大きさを自由に決められるのも注文住宅のメリットです。
また、断熱性能や耐震性、省エネ性能など、住宅性能を高めることが可能です。その土地の災害リスクに合わせた安全対策や、バリアフリー設計なども自由に設定できます。
建築過程を確認できる
間取りや設備、内装などをハウスメーカーや工務店と打ち合わせてから着工するため、着工から完成までを自分の目で確認できます。気になることがあれば質問でき、打ち合わせ通りに工事が進んでいるかなどもチェックが可能です。
注文住宅のデメリット
費用が高額になりやすい
注文住宅はオーダーメイドとなるため、設計や特注部材のコストがかさみ、建売住宅より割高になる傾向があります。こだわりすぎると、当初の見積もりよりも高くなることがあるため、注意しなければなりません。
入居までに時間がかかる、工期の遅れも発生しやすい
注文住宅は、土地探しから設計、建築までを見ていく必要があり、入居まで1年以上かかるケースもあります。建築確認申請や近隣調整、天候による工期延長なども考慮しなければなりません。施主検査までに工事が終わらずトラブルに発展した事例もあります。
建売住宅(分譲)のメリット・デメリット
次に、建売住宅(分譲)のメリット・デメリットを見ていきましょう。
建売住宅(分譲)のメリット
費用を抑えられる
建売住宅は、基本的に仕様が統一されており、同一の建材や設備を使用することで大量発注が可能となることから、結果としてコスト削減につながっています。
また、住宅の建築に関する打ち合わせが不要のため、人件費も抑えられ、注文住宅と比較して費用を抑えて購入ができるメリットがあります。
立地条件が良い
建売住宅を販売する建設会社やハウスメーカーは、売りやすく条件の良い場所に住宅を建設するために、独自のネットワークを利用し土地を仕入れています。そのため、建売住宅は立地の良い場所にまとめて建設されることが多く、立地条件が良いメリットがあります。
建売住宅(分譲)のデメリット
内装や設備が希望通りにならないことがある
建売住宅は設計が完了していることから、基本的に内装や設備などを自分で選べません。そのため、自分たちの希望条件に合致する物件を探すことが難しいケースもあるでしょう。希望通りの住宅が見つからない場合は、妥協点を探す必要が出てくるかもしれません。
土地や地盤の状態が判断しにくい
すでに建築された状態または建築中のため、地盤に問題がないかの判断が難しいというデメリットがあります。
【統計データ別】注文住宅と建売住宅(分譲)の比較
ここからは、国土交通省の「令和6年度 住宅市場動向調査報告書」の統計データを用いて、注文住宅購入者と建売住宅(分譲)購入者の特徴を見ていきましょう。
選択理由別の比較

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
注文住宅を選択した理由を見ていくと、「信頼できる住宅メーカー/不動産業者だったから」「新築だから」「住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから」の順で多くの回答がありました。注文住宅は建材やデザイン、間取りなどを打ち合わせで一つひとつ決めていくフェーズが大きいことから、施工会社や不動産会社への信頼性が重視されていることが分かります。

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
一方で分譲戸建住宅(建売住宅)を取得した世帯の選択理由を見ていくと、「新築住宅だから」「一戸建てだから」「住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから」の順に多くなっています。
また、注文住宅と比較すると立地環境や価格で選んでいる人が多いことが分かります。
資金調達別の比較

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
令和6年の注文住宅の住宅建築資金(土地購入資金を除く)は平均4,696万円で、5年前と比較すると1,528万円増加しています。これは近年、建築資材の価格高騰や人材不足による人件費高騰などが背景にあると考えられます。
自己資金比率は令和5年度から6年度にかけて10%弱上昇しており、ある程度貯蓄をしたうえで購入する人が増えているようです。
また、土地購入資金は全国平均が2,082万円で、自己資金比率は40.7%でした。住宅建築の際に土地を購入した世帯について、土地購入資金と住宅建築資金の合計は平均6,188万円となります。
注文住宅を購入した世帯の住宅ローンの年間返済額は平均144.8万円です。ローンの返済期間は、住宅の建築のみで平均「33.9年」、土地を含めると平均「35.6年」となっています。

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
令和6年度の分譲戸建住宅(建売住宅)の購入資金は平均4,591万円で、5年前と比較すると765万円増加しています。
自己資金も増加していますが、自己資金比率はほぼ横ばいです。土地込みの注文住宅と比較すると、分譲戸建住宅(建売住宅)の方が2,000万以上資金は安く抑えられるものの、自己資金比率は低く、住宅ローンの割合が大きいことが分かります。
また、分譲戸建住宅(建売住宅)を購入した世帯の住宅ローンの年間返済額の平均は132.1万円で、返済期間は30.9年となっています。注文住宅よりも返済額が少ない分、返済期間も約3~5年短いことが分かります。
世帯別(年齢・年収)の比較

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
世帯主の年齢を見てみると、注文住宅・分譲戸建住宅(建売住宅)どちらも30代がもっとも多くなっています。分譲戸建住宅(建売住宅)は30歳未満~40代が全体の8割を超えており、世帯主が比較的若い特徴があります。
一方、注文住宅は全国・三大都市圏のどちらも60歳以上が2番目に多くなっています。バリアフリーの住宅や二世帯住宅の建築のために、注文住宅を購入する世帯が多いと想定できます。

出典:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
次に、世帯年収を見ていきましょう。注文住宅・分譲戸建住宅(建売住宅)のどちらも「600万円以上800万円未満」がもっとも多くなっています。注文住宅は「400万円以上600万円未満」の割合も多いです。
統計データから注文住宅・建売住宅(分譲)それぞれの特徴が見えてきました。しかし、数字だけでは判断できない重要なポイントもあります。実際の住まい選びで後悔しないために、以下の注意点も合わせて検討しましょう。
注文住宅・建売住宅(分譲)を検討する際の注意点
ここでは、注文住宅・建売住宅(分譲)を検討する際の注意点をご紹介します。
注文住宅を検討する際の注意点
土地探しは費用も考慮のうえで慎重に行う
注文住宅は、土地を所持していない場合は土地から探す必要があります。しかし、土地探しは考慮すべき要素が多く、難航するとスタートでつまずいてしまいます。あらかじめ条件を決めて、優先順位をつけておきましょう。
また、土地に費用をかけすぎると住宅への費用がオーバーすることもあるため、土地と建物あわせて相談できるハウスメーカーや工務店などに依頼することをおすすめします。
デザインにこだわりすぎない
注文住宅は自由に設備やデザインを選べるため、細部までこだわりたくなるかもしれません。しかし、デザインにこだわりすぎると住んでから後悔する可能性があります。デザイン性を考慮しつつ住みやすさや防犯性を高める工夫も大切です。
建売住宅(分譲)を検討する際の注意点
希望条件の優先順位をあらかじめ決めておく
建売住宅は、希望条件に近い家を探すため、条件を取捨選択する必要があります。事前に立地や間取り、設備、価格など、自分と家族にとって重要な条件をリストアップしておきましょう。
防犯を意識する
分譲地は地域で夜間照明や防犯カメラが設置されているなど、防犯性の高い点もメリットになります。しかし、角地や奥まった路地にある家は狙われやすいため、防犯対策が必要です。他にも、立地だけでなく塀の高さや隣の家との距離なども確認することをおすすめします。
一戸建て住宅を検討する際は防犯対策も欠かさず行おう
令和6年の侵入窃盗の発生場所別認知件数を見ると、一戸建て住宅への侵入がもっとも多く、全体の約3割を占めている状態です。一戸建て住宅の購入を検討している場合は、意識して防犯対策を行いましょう。
出典:警察庁「住まいる防犯110番 データで見る侵入犯罪の脅威」
玄関や勝手口に防犯性の高い鍵を設置する
玄関の鍵は、防犯性の高いディンプルキーやスマートロックなどを検討しましょう。玄関だけではなく、死角にある勝手口なども狙われる傾向があるため、勝手口にもセキュリティの高い施錠を設けることをおすすめします。
スマートロックのオートロック機能は、施錠忘れの防止にも役立ちます。
玄関や窓に補助錠を取り付ける
玄関や勝手口、窓には、補助錠を取り付けてワンドア・ツーロックを実施するのがおすすめです。補助錠を取り付けることで、侵入者が侵入にかかるまでの時間をかけさせることができ、犯行をあきらめさせる効果があります。補助錠は子どもの窓開け防止にも効果的です。
窓に防犯ガラスや防犯フィルムを取り入れる
窓ガラスを割って侵入する手口も多く発生しています。特に、掃き出し窓は床に接しているため狙われやすく、防犯対策が必要です。窓ガラスの防犯対策としては、防犯ガラスや防犯フィルムの取り付けがおすすめです。バールやハンマーでも割れにくく窓ガラス破りの対策となります。
防犯カメラやセンサーライトを導入する
防犯カメラを玄関、駐車場、庭などの要所に設置することで、犯行の未然防止だけでなく、万が一被害に遭った場合の犯行の証拠としても役立ちます。防犯カメラを設置する場合は、夜間でもきちんと映る赤外線機能つきのものがおすすめです。
人影に反応するセンサーライトは、明るく照らされることから脅威となり、防犯カメラ同様に存在自体が「防犯意識の高い住宅」としてのアピールになります。特に庭は暗くなりやすく狙われやすいため、設置を推奨します。
新居での安全な生活を支えるALSOKのサービス
新居での生活のスタートには、安全と安心が欠かせません。侵入窃盗や火災からご自宅を守り、安心できる暮らしを支える住環境づくりをALSOKがサポートします。
ホームセキュリティ

ALSOKのホームセキュリティ「HOME ALSOK Connect」では、「オンラインセキュリティ」と「セルフセキュリティ」をご用意しており、ご希望にあわせてお選びいただけます。セルフセキュリティは、お手頃価格でホームセキュリティを導入でき、もしものときはALSOKへ駆けつけを依頼することができます。
オンラインセキュリティは、異常発生時に自動でALSOKが駆けつけます。また、スマートフォンを持っているだけで警備を自動解除し、外出時はワンタッチで警備を開始できる便利な機能も活用いただけます。
ALSOKのホームセキュリティは在宅中も警備をセットできるので、外出中はもちろん、就寝中や一人での在宅時にも安心です。注文住宅・分譲住宅問わず、すべての一戸建て住宅、そして共同住宅にも設置可能です。ホームセキュリティの導入を検討している方は、ぜひALSOKにご相談ください。
防犯カメラ
ALSOKでは、ご家庭向けの防犯カメラを数多く取り揃えており、侵入対策や車上荒らし、室内の見守りなどさまざまな場面での防犯に役立ちます。人感センサーが作動すると自動で録画を開始できるものや、夜間の撮影が可能なカメラなどをお選びいただけます。ご家庭に合わせた最適なプランをご提案いたします。
まとめ
注文住宅は、自由に設計できる分、費用がかかり住宅ローンの期間も長い傾向にあることが分かりました。一方で、建売(分譲)住宅は設計・デザインが決まっているため希望通りにならないデメリットはあるものの、コストが抑えられる傾向にあります。費用感や住宅へのこだわり、立地条件などに優先順位をつけたうえで、希望に合った住宅を選ぶと良いでしょう。新築住宅を購入する際は、防犯対策も忘れずに実施しましょう。