AEDの使い方と注意点・導入方法まとめ

AEDの使い方と注意点・導入方法まとめ
2023.12.27更新(2020.01.28公開)

突然の心停止に対応できるAEDは、不整脈に電気ショックを与えて心臓の動きを正常に戻すための機器です。AEDの活用によって人命救助の事例も多く報告されるようになり、その重要性が周知されつつあります。
そこで今回は、AEDの導入方法や適切な使用方法、設置のポイント、種類や選び方などをご紹介します。

目次

AEDの使い方・操作手順

AEDの使い方・操作手順

AEDは、使い方や手順を音声で説明してくれる機能が備わっており、使用したことがない方でも使いやすい設計になっています。しかし、ある程度の使用手順を頭に入れておくことでよりスムーズな救助を行えるでしょう。
ここでは、AEDのくわしい使い方についてご紹介します。

要救助者を発見したら周りに協力をお願いする

要救助者を発見したら、まず周りの人に協力をお願いします。発見者がAEDを探しに行くのではなく、まずはAEDを持ってきてもらうことと救急車を呼んでもらうことを周りの人に呼びかけます。心臓疾患の処置は一刻も早く行うことが大切なため、まずは周りの人に大声と身振りで助けを求めましょう。

119番通報・AEDを持ってくる

協力してくれる人が来たら119番通報する人とAEDを持ってくる人を指名します。明確に指名し分担して行動してもらうことで迅速な対応が期待できます。

人工呼吸と胸骨圧迫を行う

AEDが現場に到着するまでの間、要救助者の呼吸の有無を確かめます。呼吸がなければ「胸骨圧迫」と「人工呼吸」を行うことが望ましいのですが、人工呼吸は訓練を受けた方がいる場合に行うようにし、胸骨圧迫を優先的に行いましょう。

胸骨圧迫のポイント

胸骨圧迫を行う際は、以下のポイントを意識してください。

  1. 胸の真ん中(胸骨の下半分)あたりを圧迫する
  2. 速さの目安は、1分間あたり100回~120回
  3. 強さの目安は、圧迫している部位が約5cm沈むくらいしっかりと
  4. 疲れてくると圧迫の速さ・強さが不安定になるため、1分~2分を目安に交代する
  5. 圧迫をやめる際は、手が胸から急に離れないように注意し、胸が元の位置に戻るまで慎重に
  6. 胸骨圧迫は、絶え間なく続ける

AEDを操作する

119番通報が済み、AEDが届いたら次の4ステップでAEDを操作しましょう。

  1. AEDのケースの蓋を開け、電源スイッチを入れる(ケースの蓋を開けると自動で電源が入るものもあります)
  2. 要救助者の胸部に、直接電極パッドを貼り付ける(パッドに記載されている図にしたがいましょう)
  3. 電極パッドを貼るとAEDが心電図を自動解析し、処置の有無を判断します
  4. 処置が必要と判断されアナウンスが流れたら、ショックボタンを押して処置します。ショックを実行している間は要救助者から離れるようにしましょう。また、処置不要の場合は、ショックボタンを押してもAEDは作動しません。

もし、1~4までの操作を行っても症状が回復しない場合、救急車到着まで電極パッドを貼ったまま、再度胸骨圧迫の動作を行いましょう。2分経過すると再びAEDが心電図を解析し、もう1度電気ショックの処置が必要かどうかを指示してくれます。

初めて使用する方は不安も多いと思いますが、AEDに搭載されている音声ガイダンスが正しい処置方法を教えてくれるので、音声ガイダンスにしたがって使用しましょう。また、AEDを使用する以前の救助処置も重要です。一刻を争う状況ではありますが、119番通報や呼吸の確認などは落ち着いて確実に行いましょう。

事前にAEDの使い方を習っておきたいという方は、各自治体や消防署で定期的に無料救命講習会を行っていますし、AEDメーカーなどで行われる講習を受けることもできます。積極的に講習を受けておくことで、いざというときの助けになるでしょう。

AEDを使用するときの注意点

AEDのイメージ

突然心停止になってしまった場合、一刻も早くAEDによる救助処置が大切ですが、AED使用時には注意すべき点があります。

湿布などの貼り薬を貼っている場合

AEDの電極パッドを貼り付ける箇所に、湿布など貼り薬が貼ってある場合は必ずはがしてから使用しましょう。貼ったままAEDを使用すると、正しい効果が得られなかったり、該当部位にやけどを負ってしまう可能性があります。

ペースメーカーや除細動器が埋め込んである場合

元々心臓に疾患があり、ペースメーカーや除細動器を埋め込んでいる人の場合は、それらが埋め込まれた箇所(外から見て突起が確認できます)を避けてAEDの電極パッドを貼り付けるようにしてください。

体毛が非常に濃い場合

AEDの電極パッドを貼り付ける心臓付近の体毛が非常に濃い場合は、貼る前にAEDに備わっている剃刀や脱毛テープで毛を除去してから電極パッドを貼る必要があります。
体毛によりパッドが肌に密着しないことで、エラーメッセージがでたり、正しい効果が得られない可能性があります。

金属製品が電極パッドに付着する可能性がある場合

ネックレスなどの金属製品を身に着けている場合は、電気ショックによる火傷の原因となるため、可能な限り取り外します。外すのに時間がかかるようなら電極パッドから遠ざけてから処置を行いましょう。

処置する人の体が濡れている場合

体が濡れていると、正しい効果が得られない可能性があります。処置する人が感電するなどの心配はありませんが、体が濡れている場合は電極パッドを貼る胸部周辺を拭いてから処置を行いましょう。

「電気ショックは不要です」の音声が流れた場合

AEDには、傷病者の心電図を解析することで、AEDによる電気ショックが必要かどうかを判断する機能が備わっています。心停止の状態であっても、大量出血などによって心臓の動きが極端に弱い場合はAEDとしての役割を果たせず、「電気ショックは不要です」という音声が流れることもあります。

しかし、この音声が流れたとしても「処置が不要」という意味ではありません。心停止の状態であれば全身に血液を巡らせる必要があるため、電気ショックは不要でも応急処置として胸骨圧迫は行うべきであると覚えておきましょう。

AEDを導入・設置する際のポイント

AEDのイメージ

ここではAEDを設置すべき場所や設置時のポイントについてご紹介します。

AEDを設置する場所の考え方

AEDは急な心停止(心室細動・心室頻脈)に対して使用されるものですから、多くの人が集まる場所や公共施設などへの設置が推奨されています。具体的な例を挙げると、公共交通機関の駅や役所などの公的機関、大型商業施設などです。また、運動によって心臓疾患が引き起こされるリスクを想定し、体育館やスポーツ施設・学校などへの設置も進んでいます。あるいは、高齢者や慢性治療者の多い介護福祉施設もAED設置が必要な場所といえるでしょう。

AED配置時の注意点

AEDは急を要する場面で人命を救うために使用するものですから、容易に目につく、誰もが取りに行ける場所への設置が必須条件ともいえます。所在が判別しにくい場所にAEDを置いてしまうと、対応が遅れる原因になりかねません。

AEDを設置する場所の基準として、どこからでも1分以内で取りにいける場所という例が挙げられており、距離にすると約300m毎の設置が目安となります。広い施設内や階層の多い建物内であれば、複数のAEDを規則的に配置することで実現できると考えられます。

また、設置場所は普段から人の目につきやすい場所が望ましいでしょう。エレベーターや階段の付近、建物のエントランス、社員の休憩室や食堂などが適した場所といえます。

そして、AEDを設置していることを周囲にアピールするために、AEDと大きく書かれた看板やステッカーを貼るようにするとよいでしょう。屋内にAEDがあることを示すステッカーを出入口に貼るなどの取り組みも効果的です。

企業でも進むAEDの設置と導入方法

AEDが必要な状況のイメージ

安全配慮義務の観点からも、企業のオフィスや工場内へのAEDの設置が進んでいます。

企業がAEDを導入する方法には、購入する方法やレンタルやリースなどの方法もあります。AEDは電極パッドやバッテリーなどの消耗品を定期的に交換する必要があるので、導入する際はそれらがセットになったレンタルかリースがおすすめです。

AEDの補助金・助成金

AEDの補助金・助成金

AEDを導入するにはコストがかかりますが、導入に際しては補助金や助成金を活用することでその費用を抑えられる場合があります。ここでは、AEDに関する補助金や助成金についてご紹介します。

補助金・助成金の種類

AEDに関する補助金や助成金の種類にはおもに2つがあります。1つ目は、各地方自治体が設けている公的な補助金・助成金、2つ目はおもに事業財団が設ける自治体以外の助成金です。

地方自治体の補助金や助成金は、都道府県単位ではなく市町村単位で設けられているものがほとんどです。また自治体以外の助成金は「日本スポーツ振興センター」や「自治総合センター」、「あんしん財団」などの事業財団で設けられています。

補助金・助成金の対象

各企業や団体なども対象に含まれますが、地方自治体の補助金・助成金は保育園や自治会・消防団などの防災組織、商店街などが補助金・助成金を受けやすいとされています。また、事業財団による補助金・助成金は財団が取り組む事業内容に即した活動を行っている団体がおもな対象です。「日本スポーツ振興センター」ならスポーツ団体、「あんしん財団」であれば中小企業などが補助・助成を受けやすいでしょう。

補助金・助成金の支給元

補助金・助成金の支給元は、基本的には制度を設けている自治体や財団です。また、具体的に補助金・助成金の資金がどう調達されているか明示しているケースもあります。たとえば「日本スポーツ振興センター」の場合は「toto」などのスポーツくじ、「自治総合センター」なら宝くじの収益金が補助金・助成金のための資金となっています。

補助金・助成金の申請方法

補助金・助成金の申請方法については、補助金・助成金制度を設けている自治体や団体の公式サイトで確認することができます。
AED設置推進のための補助金・助成金制度を単独で設けている自治体もあれば、「防災設備」の一環としてAEDを補助の対象に含める自治体もあります。

AEDの補助金・助成金として申請するケース

24時間AED設置補助事業について(東京都大田区)
https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/hoken/iryokikan_hoka/aed/24th-aed.html

集会施設自動体外式除細動器(AED)設置費補助金申請書(愛知県小牧市)
https://www.city.komaki.aichi.jp/admin/shinseisho_dl/machidukuri/13/38031.html

防災設備の一環としてAED導入が対象となっている補助金・助成金のケース

防災資機材購入補助(福井県福井市)
https://www.city.fukui.lg.jp/kurasi/bosai/bosai/sikizaihozyo.html

AEDのイメージ

ALSOKではAEDの販売・レンタルだけでなく、AED本体や消耗品の使用期限の管理、講習までトータルでサポートいたします。AEDの設置をご検討されている場合は、お気軽にALSOKにご相談ください。

ALSOKで取り扱っているAEDについて、詳しくは以下からご確認ください。

まとめ

今回は、人命救助にかかわる医療機器の1つである「AED」について、その使い方や導入方法をご紹介しました。
一般の方がAEDを使用して人命が救われた事例がこれまでにも多数報告されており、導入が進むことでさらに助けられる命が増えるといわれています。企業や団体での導入をお考えであれば、ぜひALSOKにご相談ください。

AEDを導入する際の社内稟議用テンプレート

(件名) AED〇〇台の導入について

(主旨)施設内で傷病者が発生した際の適切な救命活動に必要なAEDを導入し、施設利用者が安心して過ごせる環境にするため、下記についてご決裁をよろしくお願いいたします。

1.品名
(具体的な品名を記載)
2.価格
〇〇〇〇〇円/台(別添見積書参照)
3.数量
〇〇台
※約300m毎に1台の設置が目安とされています
4.理由
AED設置により救命活動に係る施設の安全管理体制の向上を計るほか、施設価値の向上と、施設利用者、近隣の人々に安全を提供することによるCSR効果の向上が期待出来るため。