企業の防災訓練・消防訓練は義務?訓練の必要性と実践すべき訓練例
本記事では、企業が防災訓練・消防訓練を行う必要性から、実践的な訓練例、さらに訓練を形骸化させないシナリオ設計のポイントまで詳しく解説します。
日本では近年、地震や台風、洪水といった自然災害が多く発生しており、多くの企業が「いざというときに従業員や顧客を守れるのか」という不安を抱えています。従業員の安全確保や事業継続の観点から、平時から自然災害に備えることが求められており、そのための有効な手段が防災訓練・消防訓練の実施です。一方、日々の業務に追われる中で防災訓練や消防訓練の優先度は低く、「そもそも訓練は義務なのか」「訓練を実施しても形式的になってしまう」という声も少なくありません。
【この記事で分かること】
- 企業の防災訓練・消防訓練の実施は義務付けられているのか
- 防災訓練と消防訓練の違いと、対象となる建物・事業所の要件
- 企業が実施・実践すべき代表的な防災訓練・消防訓練の例
- 訓練を形骸化させないためのシナリオ設計のポイント
目次
企業の防災訓練・消防訓練は義務?消防法による基準と対象
「消防法第36条(防災管理定期点検報告)」に基づいて、大規模建築物などに関しては防災管理業務の実施が義務付けられており、年一回以上の防災訓練(避難訓練)を実施しなければなりません。
また、一定規模以上の建物や不特定多数の人が利用する建物に関しては、消防計画で定めた消防訓練(消火訓練、通報訓練、避難訓練)を実施することが義務付けられています。
防災訓練と消防訓練の違いとは?
防災訓練と消防訓練は混同されがちですが、法令上の根拠と対象とする災害の範囲が異なります。両者を正確に区別することで、必要な訓練の種類と実施義務を把握することができます。
防災訓練とは
防災訓練は、地震、津波、洪水、土砂災害など、火災以外の自然災害や複合災害を含む幅広いリスクに対応するための訓練です。消防法第36条(防災管理定期点検報告)に基づき、大規模建築物等において防災管理者を選任し、定期的に訓練を実施・報告することが義務付けられています。
消防訓練とは
消防訓練は、火災を想定した法定訓練です。消防法第8条及び消防法施行規則第3条第10項に基づき、防火管理者が選任された防火対象物において消火訓練、通報訓練、避難訓練を定期的に実施することが義務付けられています。
| 項目 | 防災訓練 | 消防訓練 |
|---|---|---|
| 想定する災害 | 地震、津波、洪水、土砂災害など | 火災 |
| 法的根拠 | 消防法第36条 | 消防法第8条及び消防法施行規則第3条第10項 |
| 対象建物 | 大規模・高層建築物等 | 防火対象物(用途・規模による) |
| 実施責任者 | 防災管理者 | 防火管理者 |
| 訓練内容 | 避難訓練、応急救護訓練、帰宅計画の立案・シミュレーション、情報収集訓練、安否確認訓練など | 消火訓練、通報訓練、避難訓練など |
| 実施回数の目安 | 年一回以上 | 年二回以上 |
| 消防署への事前通報義務 | あり | あり |
消防法に基づく「防災訓練」と「消防訓練」の義務と実施回数
防災訓練・消防訓練は建物の用途や規模によって実施義務の有無、回数が異なります。
防災訓練は企業の義務?対象は?
消防法第36条に基づく防災管理が必要となる「防災対象物」の管理権原者は、防災管理者を選任し、防災管理業務を行わせる義務があります。
| 対象用途 |
|---|
| ・劇場等 ・風俗営業店舗等 ・飲食店等 ・百貨店・ホテル等 ・病院、社会福祉施設等 ・学校等 ・図書館、博物館等・公衆浴場等 ・車両の停車場等 ・神社、寺院等 ・工場等・駐車場等・その他の事業場等 ・文化財である建築物 |
| 対象用途の建物の規模 |
| ・11階以上の防火対象物で延べ面積が1万m²以上 ・5階以上10階以下の防火対象物で延べ面積が2万m²以上 ・4階以下の防火対象物で延べ面積が5万m²以上 ・地下街で延べ面積1,000m²以上 |
出典:日本消防設備安全センター
消防訓練は企業の義務?対象は?
消防法第8条に基づき、防火対象物の管理権原者は防火管理者を選任し、消防計画に基づく消防訓練を実施する義務があります。実施回数は、用途区分によって異なります。
| 対象施設 | 消火・通報・避難訓練の回数 | |
|---|---|---|
| 特定用途防火対象物 | 百貨店、カラオケボックス、病院、幼稚園、福祉施設など | 年二回以上 |
| 非特定用途防火対象物 | 図書館、学校、工場など | 年一回以上 |
特定用途防火対象物は百貨店やカラオケボックス、ホテルなどの不特定多数の人が集まる場所とされています。災害のタイミングによって被災する人が異なるため、年二回以上の消火・通報・避難訓練が義務付けられています。そのほか、病院や福祉施設、幼稚園など火災時に自力での迅速な避難が困難な人が利用する建物も、特定用途防火対象物に該当します。
一方、非特定用途防火対象物は図書館や学校、工場といった、特定の人が利用する施設が該当します。アパート・マンションや事務所もこちらに当てはまります。火災の起こる確率の低さや避難のしやすさを考慮し、年一回以上の消火・通報・避難訓練が義務付けられています。
特定用途防火対象物で訓練を行う際は、事前に管轄する消防署に通報しなければならないという規定があります。(消防法施行規則第3条第11項)
消火・避難訓練通知書をFAX、メール、郵送、電子申請、いずれかの方法で管轄の消防署または出張所に通報しておくことが必要です。
電子申請については、自治体によって整備されていない地域もあるため、最寄りの消防署のホームページを確認しましょう。また、消防職員の派遣(立ち合い)を求めるもの、消防訓練用資機材の貸出しを伴う場合などは消防署との調整が必要になるため、電子申請ができないことがあります。
また、事務所やお店など2つ以上の用途を含む防火対象物のことを「複合用途対象物」といいます。この場合、ビルの中にどのようなテナントが入っているかで、必要な避難訓練の回数が変わります。
- 特定複合用途防火対象物(16項イ)⇒ 避難訓練:年二回以上
ビルの中に、飲食店、カラオケ店、物販店などの「不特定多数の人が出入りする店舗(特定用途)」が1つでも含まれている場合です。
例:1階が飲食店、2階がカラオケ店、3階が不動産屋、4階が事務所のビル - 非特定複合用途防火対象物(16項ロ)⇒ 避難訓練:年一回以上
ビルの中に複数の用途が含まれていても、それらがすべて「特定の人のみが入る施設(非特定用途)」である場合です。
例:1階が倉庫、2~4階が事務所のビル
中小規模のテナントビルは「防火対象物点検報告」の対象?
企業の支店や事業所が入ったテナントビルなどの中小規模の建物は、「消防法第8条の2の2」に基づいた防火対象物点検報告制度の対象になる場合があります。条件に応じて点検報告が義務になるのでチェックが必要です。
具体的な条件は、以下の通りです。
・収容人数が30人以上300人未満
・特定用途部分が3階以上、または地階に存ずるもの
・階段が1つのもの(屋外に設けられた階段などであれば免除)
なお防火対象物全体の収容人員が30人未満であれば点検報告の義務はありませんが、百貨店、遊技場、病院、福祉施設など収容人数が300人以上の建物は点検報告の義務があります。
※「特定用途」とは劇場や飲食店といった指定された建物の用途のこと
点検報告義務の対象となる防火対象物
訓練の未実施や消防署への未報告による罰則はある?
消防法に基づく命令に違反した場合、罰則が科される可能性があります。訓練の未実施や消防署への虚偽の報告を行った場合、消防法第44条により30万円以下の罰金または拘留が科される場合があります。
罰則の有無にかかわらず、訓練の未実施は火災・災害発生時の人命損失リスクを高め、企業の社会的信頼を損なう重大なリスクです。
防災管理者と防火管理者の役割と義務
防災管理者
防災管理者は以下の責務を担っています。
- 消防計画の作成・届出
- 防災訓練(避難訓練)を年一回以上実施すること
- その他、防災管理上で必要な業務を行うこと
- 必要に応じて管理権原者(※)に指示を求め、誠実に職務を遂行すること
※「管理権原者」とは一般的に建物の所有者や管理者、テナントを経営する賃借者が該当します。
防災管理者は防災管理業務全般を任されます。「消防計画の作成」からその計画に沿った「組織形成」、「防災訓練の実施」までを行わなければいけません。そのため、防火管理が必要となる対象物においては、防災訓練(避難訓練)等の定期的な実施が義務付けられています。また、防災訓練後はPDCAサイクルを継続させる必要もあります。
なお、防災管理対象物の建物は防火対象物である可能性があり、防災訓練(避難訓練)のほかに、消火訓練や通報訓練の実施も必要となります。
企業によって義務付けられている防災管理の内容は異なるので、自社の対象となるルールを確認しておくと良いでしょう。
防火管理者
防火管理者は以下の責務を担っています。
- 消防計画の作成・届出
- 消火・通報・避難訓練を実施すること
- その他、防火管理上必要な業務を行うこと
- 必要に応じて管理権原者(※)に指示を求め、誠実に職務を遂行すること
※「管理権原者」とは一般的に建物の所有者や管理者、テナントを経営する賃借者が該当します。
防火管理者は、消防計画の作成、消火・通報・避難訓練の実施、そのほか防火管理上必要な業務を行う責任者です。主に建物の火災予防と火災発生時の対応を担当し、「消防計画の作成」から「訓練の実施」、「設備等の維持管理」、「従業員への防火教育」を行います。防火対象物においては、消火訓練、通報訓練、避難訓練の定期的な実施が義務付けられています。
平時からの防災対策を考える上で、ビル管理を日頃から適切に行っておかなければなりません。ALSOKでは、警備業務だけではなく「各種ビル管理業務や清掃業務」をご提供しています。警備会社として培ってきたノウハウを生かした、安全対策込みのビル管理業務、清掃業務サービスです。
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なぜ企業に防災訓練・消防訓練が必要なのか
企業が防災訓練・消防訓練を実施すべき理由は、法令遵守にとどまりません。従業員や顧客の命を守り、事業を継続し、顧客への損害を回避するという経営上の本質的な課題や、地域貢献・共助としての役割にも直結しています。
従業員及び顧客の命を守るため
企業には、従業員や顧客の命を守る責任があります。防災訓練は、災害発生時にとるべき行動や避難方法を従業員に周知し、非常時への備えを強化するための重要な取り組みです。津波による甚大な被害が出た東日本大震災では、「釜石の奇跡」と呼ばれる小中学校の事例が注目されました。これは、日頃から防災教育や防災訓練を実施していたことで、生徒たちが自ら適切な判断を行い、迅速に避難して命を守ることができた事例です。
企業においても、地震や津波といった自然災害、火災などの二次災害、さらには災害による従業員の死傷など、あらゆる事態を想定し、従業員や顧客の命を守るためにも、組織が主導となり防災訓練を行うことが重要です。
さまざまな災害を想定してシミュレーションを行えば、「どのような行動がベストか」「どこに避難すれば良いのか」「お客様への対応はどうすれば良いか」など、想定される災害ごとに疑問とその解決策が見えてきます。
また、各企業において、火災発生を想定した定期的な訓練を消防法にて義務付けられている可能性がありますので、対象となるか確認していきましょう。
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事業継続のため
災害によって企業が甚大な被害を受けることも想定されますが、企業には取引先などから重要な業務が中断しないこと、中断しても早期に事業再開することが望まれています。
万が一、企業が被災した場合に被害を最小限に抑え、中核となる事業の継続・早期復旧を図るためにも、防災訓練を盛り込んだBCP対策は非常に大切です。災害時・緊急時における事業継続の方法や優先すべき業務の選定、平常時から行っておくべき対策などを取り決めておきましょう。
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顧客への損害回避のため
被災による損害は企業だけでなく、顧客にも及びます。
例えば、被災の影響で事業が停滞すれば、「納期までに納品物の製作が間に合わない」「サービスの提供自体が困難になる」というケースも考えられるでしょう。災害という非常事態であっても、企業として大切な顧客へ与える影響は最小限に抑えなければなりません。
企業と顧客の双方で深刻な事態にならないためにも、定期的に防災訓練を実施する必要があります。訓練を通じて事業継続に向けた備えを強化することで、企業と顧客の双方が受ける被害の軽減につながります。
地域社会への貢献(共助の精神)のため
企業が平時から防災訓練・消防訓練を重ね、高い防災意識と対応力を身につけておくことは、災害時に地域社会を支える「共助(きょうじょ)」として、大きな力になります。
例えば、訓練を通じて組織的な初動対応ができるようになれば、近隣での火災発生時に初期消火へ協力することなどが可能になります。また、帰宅困難者への一時滞在場所の提供など、企業の持つリソースを活かした地域貢献も期待されています。自社を守るための訓練は、「地域社会の安全を守る」という企業の社会的責任(CSR)を果たすことにも直結しているのです。
自然災害による死亡者数・行方不明者数の推移
※2024年は内閣府取りまとめによる速報値
上のグラフは、自然災害による死亡者数・行方不明者数の推移を示したものです。
日本では地震や台風、豪雨などの自然災害が毎年発生しており、多くの被災者が出ています。特に大規模な災害が発生した場合には、死亡者数・行方不明者数が数千人~数万人に及ぶこともあります。
このように自然災害のリスクが高い国だからこそ、企業においても災害発生時の対応を事前に備えておくことが重要です。就業中に災害が発生した際、従業員一人ひとりが適切に避難し、自らの身を守るための知識や行動を理解しておく必要があります。
企業が実施・実践すべき7つの防災訓練・消防訓練例
企業が取り組むべき訓練には、消火訓練、通報訓練、避難訓練、応急救護訓練、帰宅計画の立案・シミュレーション、情報収集訓練、安否確認訓練の7種類があります。それぞれの訓練を組み合わせて実施することで、さまざまな災害を想定した実践的な対応力を組織全体で高めることができます。
消火訓練
消火訓練は、初期消火の判断、消火器の準備、消火活動など重要なポイントがいくつもあります。特に、消火器や消火栓の使い方はマニュアルを読むだけでなく、実際に使用してみることが大切です。これらの設備は日常において使用する機会が少ないため、消火訓練は実践的に操作方法を身につける貴重な機会といえます。また、1号消火栓・2号消火栓・簡易操作性1号消火栓といった屋内消火栓の操作訓練も重要です。
常日頃から消火器、消火栓の設置場所を把握しておき、消火器の放射・消火栓の放水を実際に行い、いざという場面で使えるように訓練しておきましょう。
通報訓練
火災の被害を軽減するためには、早期発見と初動対応が重要です。通報訓練では、火災発生時から通報するまでの適切な行動要領を習熟します。従業員が直接火災を発見した場合、自動火災報知設備で火災を覚知した場合、など状況に合わせた初動対応を訓練しましょう。
ほかの訓練同様、自身の身の安全を第一に考え、安全が確保でき次第、落ち着いて119番通報を行うことが大切です。
119番通報してから消防隊による消火活動開始までは一定の時間を要します。そのため、安全が確保でき次第迅速に通報する必要があります。また、小さい火災やすでに火が消えている状態であっても、火災を発見した場合は119番通報が必要です。
火災時に慌てず落ち着いて119番通報するために訓練参加者同士で模擬通報訓練を行う必要があります。
避難訓練
避難訓練には、階段や通路を使用する訓練と、避難器具を使用する訓練があります。
階段や通路を使用する場合には避難経路の確認や避難誘導を行います。その際、経路となる避難階段・避難通路の状態もあわせてチェックしましょう。階段や通路に物が放置されていると消防法違反になるだけでなく、災害発生時にスムーズな避難ができなくなります。常に整理整頓しておき、いつでも安全に利用できる状態を維持しておくように意識してください。
避難器具を使用する場合は、器具の種類や正しい使い方を覚えたうえで、実際に使用します。避難器具の使用は危険を伴う場合があるため、訓練での事故防止のために、消防機関や消防設備士の立ち合いのもとで実施することが望ましいです。
また、企業が万が一の場面に備えるためには、BCP対策の制定や運用が欠かせません。もちろん、避難訓練の際もBCP対策のマニュアルに則った対応が必須です。
ALSOKではBCP対策ソリューションにて、訓練マニュアル策定サービスをご提供しています。防災に対する考え方やご希望を詳細にヒアリングし、最適なサービスを選定の上でお客様にご提案いたします。もちろん、平時の避難訓練を行う際にもマニュアルをご活用いただけます。
自社においてBCP対策の制定や改訂をお考えの方は、ぜひALSOKまでご相談ください。
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以下のコラムでは、避難訓練の重要性や問題点について詳しくご紹介しています。また、企業の避難訓練で確認をしておくべきポイントも記載していますのでチェックしてみてください。
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応急救護訓練
応急救護訓練では、災害で負傷した方の救護方法や搬送方法などを身につけられます。
三角巾やAED(自動体外式除細動器)の使い方、人工呼吸や心臓マッサージなどの心肺蘇生の正しい方法を学べるため非常に重要です。
いざという時に人命を救助するための重要な訓練なので、全従業員で取り組むことをおすすめします。
ALSOKでは、AEDの使い方をはじめとする実技に重点を置いた「救急トレーニングサービス(BLS)」をご提供しています。
災害への備えができていたとしても、実際の救護にすぐ当たれる人がいなければとっさの判断で命を救う行動に出ることが困難になってしまいます。ALSOKの「救急トレーニングサービス(BLS)」では、受講者一人ひとりの修練度にあわせてきめ細やかに指導。もしもの事態にも落ち着いて対処するために、十分な知識と技能を身につけることができます。
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なお、応急救護についてさらに詳しく学びたい方は各地の消防局が指導する「救命講習」もおすすめです。気になる方は最寄りの消防署へ相談してみてください。
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帰宅計画の立案・シミュレーション
地震などの大規模災害が発生した場合、交通機関の停止や道路の寸断により従業員が帰宅困難者となる場合があります。これを想定し、企業は従業員に対する帰宅計画の立案やシミュレーション、従業員との連絡手段などを確認しましょう。また、周囲の状況によって移動などが制限される可能性も想定し、社内に一定期間滞在できるような設備の導入や備品の調達、水や食料などの備蓄確保、一時滞在場所の検討を行う必要があります。
複数のシチュエーションを考慮して、どのシチュエーションでも従業員が適切な判断を下せるための訓練となるように、実践的な計画を立てることが重要です。
情報収集訓練
緊急連絡網の整備や情報収集・伝達の方法を確認・実施する訓練です。災害時にはインターネット回線や電話回線などが混雑・途絶する可能性もあるため、複数の連絡手段を確保し、状況に合わせた適切な情報収集の方法を検討しなければなりません。
従業員や顧客の安否、地域の被災状況や今後想定される災害などを、「誰がどのように情報収集し、どう伝えるのか」を必ず確認しておきましょう。
安否確認訓練
企業として、災害発生時に従業員とその家族の安全を確認することは、最優先で取り組むべき重要な課題です。緊急時に適切な安否確認が行われることは、事業の継続・再開が円滑になされることや、企業と従業員の信頼性確保にもつながります。
いざというときに安否確認体制を確実に機能させるためには、安否確認訓練を定期的に実施し、運用手順を確認しておくことが大切です。
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訓練を形骸化させないための効果的なシナリオ設計のポイント
毎年の法定訓練が、ただの恒例行事になってしまう企業は少なくありません。訓練の形骸化やシナリオの固定化、役割が不明確な状態を防ぎ、実際の緊急時に機能する組織力を高めるためには、シナリオの設計がもっとも重要な要素です。
防災訓練・消防訓練におけるシナリオの重要な役割
防災訓練におけるシナリオ設定は、訓練のリアリティを高める効果があります。
ただし、毎回同じような内容のシナリオで訓練を繰り返すことは、訓練の雰囲気に参加者が慣れてしまい、訓練の緊迫感が欠如してしまう可能性もあります。
そのため訓練内容のマンネリ化を防ぎ、防災訓練の有効性を高めるためにも、災害別の具体的な被害状況や参加者がとるべき具体的な対応などを含めたシナリオ設定が必要です。また前回の訓練の反省点を次回の防災訓練のシナリオに組み込んだり、参加者にはあえてシナリオを非公開にして訓練を行ったり(クローズド型訓練)、さまざまなパターンのシナリオを用意すると良いでしょう。
防災訓練は万が一の事態でも適切な行動をとるための大切な訓練です。当事者となったときに訓練の効果が発揮されなければいけません。災害を疑似的に体験できるシナリオの作成は、大切な役割を担っているといえます。
実践的なシナリオ作成の5ステップ
- 目標の明確化
- 災害状況の想定
- 役割を分担する
- 訓練計画書を作成
- 防災マニュアルやBCPの改善
ステップ1:目標の明確化
最初のステップは「目標の明確化」です。訓練を通じて災害の状況に合わせた対応を学ぶ必要があるため、目的によって実施すべき訓練の形式も変わります。「全員が5分以内に避難場所に集合する」「安否確認の回答率を90%以上にする」など、測定可能な目標を設定することで、訓練の効果検証が可能になります。
ステップ2:災害状況の想定
地域のハザードマップや建物の特性を踏まえ、発生しうる具体的な災害の種類や規模、発生日時などを細かく設定します。これにより、より実践的な訓練ができます。
ステップ3:役割を分担する
方向性が決まれば「役割を分担」していきます。全体の指揮を執る責任者、情報伝達班、救護班、避難誘導班など、具体的に割り振りましょう。あわせて代行者を複数人選定しておくと、担当者が不在の際も柔軟に対応が可能です。
ステップ4:訓練計画書を作成
防災訓練の目的、日時、場所、シナリオ内容、役割分担は「訓練計画書」にまとめ、防災訓練の参加者や地域の防災課・消防署などに展開します。計画書を作成することで、訓練後の振り返りにも活用できます。加えて、非常ベル等を使用する訓練では、近隣住民が本火災と誤認しないよう、事前に周知しておくことが望ましいでしょう。
ステップ5:防災マニュアルやBCPの改善
防災訓練の実施後は、必ず振り返りを行うことが重要です。「防災マニュアルやBCP(事業継続計画)」が実情に沿って機能するかどうか確認し、訓練を通じて発見した課題を改善に反映させます。訓練は実施して終わりではなく、振り返りや検証の機会を設けることで、組織の対応力を継続的に高めることができます。
従業員に当事者意識を持たせるALSOKの防災訓練支援
防災訓練は、災害時に従業員や顧客の命を守り事業を継続させるだけでなく、社会貢献にもつながります。防災訓練が形骸化・マンネリ化し、従業員の当事者意識が欠如した訓練となってしまっている場合は、まずはALSOKにご相談してみてはいかがでしょうか。
ALSOKでは、防災訓練の企画・実施から事業継続の構築まで、企業の防災対策を総合的にサポートするサービスを提供しています。
ALSOK BCPソリューションサービス
ALSOK BCPソリューションサービスでは、計画・マニュアル策定から訓練・グッズ提供までトータルサポート。BCP策定へ向けた土壌づくりとして、業種や地域の状況に合わせた「防災講習会」や、避難訓練のシナリオ作成、避難訓練・災害図上訓練など「防災訓練実施支援」も行っています。組織における災害対策のレベルアップを図りたい防災担当者の方におすすめです。
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救急トレーニングサービス
AEDの使い方やBLS(一時救命措置)を学べる「救急トレーニングサービス」もご用意しています。実技時間に重点を置いたトレーニング内容で、一人ひとりの修練度に合わせた細やかな指導をご提供します。
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安否確認サービス
先にも述べたとおり、緊急時には当事者が適切な行動をとるだけでなく、そこにいない従業員やその家族の安否を確かめることが欠かせません。災害時に従業員の安否を迅速且つ正確に把握するために、ALSOKでは充実した機能とサポート体制の「安否確認サービス」を提供しています。安否確認メールの一斉送信や一元管理、気象・災害情報の配信も可能で、掲示板を活用した日常的な情報共有の場としても利用することができます。
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災害備蓄品
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まとめ
企業の防災訓練・消防訓練は、消防法に基づく法定義務であると同時に、従業員及び顧客の命を守り、事業を継続するための重要な取り組みです。消火、通報、避難、応急救護、帰宅計画、情報収集、安否確認の7つの訓練を体系的に実施し、もしもの時に備えて万全な防災体制を整えておきましょう。
防災訓練の形骸化や当事者意識が欠如し、単なる恒例行事と化してしまった防災訓練を、この機会に改善したいとお考えの方は、ぜひALSOKまでご相談ください。















