ペアガラス(複層ガラス)の防犯効果とは?CPマーク付き窓ガラスで泥棒対策

ガラス 2025.11.19更新(2020.03.27公開)
ペアガラス(複層ガラス)の防犯効果とは?CPマーク付き窓ガラスで泥棒対策

空き巣などの侵入窃盗においては、窓ガラスを割って侵入する「ガラス破り」が多く見られます。一般家庭に普及しているペアガラス(複層ガラス)は、簡単に割られてしまうため、防犯対策には適さないことが知られています。では、どのようにすれば空き巣などの侵入窃盗から自宅を守れるのでしょうか。
本コラムでは、ペアガラス(複層ガラス)の防犯性能に加えて、窓ガラスの種類ごとの防犯性能や、窓の防犯対策について説明します。

目次

ペアガラス(複層ガラス)とは?

ペアガラス(複層ガラス)とは、2枚のガラスの間に乾燥空気やアルゴンガスなどを密閉した構造を持つ、断熱性に優れた窓ガラスのことです。断熱性が高いうえ価格も比較的安いことから、一般家庭に広く普及しています。メーカーによっては複層ガラスとも呼ばれており、近年の住宅やオフィスビルにおいて広く採用されています。

ペアガラス(複層ガラス)のメリット

ペアガラス(複層ガラス)には、「断熱性能の向上」「結露防止」「紫外線防止効果」など、さまざまな優れた性能があります。まず、ガラスの間に密閉された空気層やガス層が熱の移動を抑制することで、室内の温度を快適に保つことができ、冷暖房効率の向上や省エネ効果が期待できます。次に、室内外の温度差によって生じる結露を大幅に軽減できるため、窓周辺のカビの発生を防ぐことが可能です。さらに、製品によっては紫外線防止効果を備えており、家具やカーテンの色褪せを防ぐこともできます。これらの利点から、ペアガラス(複層ガラス)は快適な住環境づくりを支える優れた窓ガラスといえるでしょう。

ペアガラス(複層ガラス)に防犯効果はない?

ペアガラス(複層ガラス)は、主に断熱性能の向上や結露の防止を目的として開発された製品です。そのため、防犯性能は想定されておらず、防犯効果はほとんど期待できません。構造としては、2枚のガラス板の間に空気層を設けたもので、使用されているガラスは一般的なガラスと同じく厚さ3~5mm程です。空気層が存在することで断熱性は向上しますが、ガラス自体の強度は変わらないため、ハンマーやバールなどの工具を用いれば、比較的容易に破壊されてしまう可能性があり、防犯対策としての効果は見込めません。防犯性能を重視したい場合は、防犯効果の高い製品の導入を検討することをおすすめします。

窓ガラスの種類と防犯性能

窓ガラスは、使用されているガラスの種類によって防犯効果が異なります。中には「ペアガラス(複層ガラス)」や「網入りガラス」なので安心、と考える方もいるかもしれませんが、これらのガラスは防犯性能が必ずしも高いとはいえないことに注意しましょう。

いろいろな窓ガラスとその特色

網入りガラス

火災時の安全のために内部に網が入っているガラスを網入りガラスといいます。窓ガラスが割れたときに破片が飛び散りにくいという特徴がありますが、防犯性はほとんど期待できません。

強化ガラス

強化ガラスは特殊な熱処理をすることで強度を高めたガラスです。一般的なガラスは鋭い刃物のように割れますが、強化ガラスは割れたときに粉々のフレーク状になる性質があり、破片で手を切ってしまうリスクを低減できます。強化ガラスは面への圧力には強いものの、一点にかかる力には弱く、尖ったもので叩くと簡単に壊れてしまうため、防犯性はあまり期待できません。

合わせガラス

合わせガラスは、2枚のガラスの間に特殊フィルムを挟み込んだ構造のガラスです。ハンマーなどを使って割ろうとした場合には、特殊フィルムが貫通を妨げるため、一般的にペアガラス(複層ガラス)や強化ガラスなどと比較して防犯性が高いとされます。CPマークが付いているものを選べばより安心です。

合わせ複層ガラス

合わせ複層ガラスは、合わせガラスを使用した複層ガラスです。2層構造による断熱性を持ちながら、合わせガラス同様に高い防犯性を備えています。

空き巣などの侵入経路は窓が多い

有効な防犯対策を講じるには、空き巣などの侵入窃盗犯がどのような経路で侵入するか、侵入窃盗がどのような手段で行われるかを知っておくことが大切です。警察庁の令和6年の統計データから、まずは住まいのどこから侵入されるケースが多いのかを確認しましょう。

侵入経路

泥棒の侵入経路
泥棒の侵入経路

出典:警察庁 住まいる防犯110番「手口で見る侵入犯罪の脅威」

侵入口を見てみると、一戸建住宅は窓からの侵入が多く、共同住宅(3階建以下・4階建以上)は、表出入口からの侵入が多いことがわかります。しかし、共同住宅も窓からの侵入が2番目に多いことから、侵入窃盗の被害を防ぐには窓の防犯対策が不可欠です。

侵入手段

泥棒の侵入手段
泥棒の侵入手段

出典:警察庁 住まいる防犯110番「手口で見る侵入犯罪の脅威」

次に、侵入窃盗の手段を確認すると、「無締り」がもっとも多くの割合を占めています。鍵のかけ忘れはもちろん、ゴミ出しなど「少しの時間なら大丈夫」と油断して施錠しなかったことから侵入されたという事例もあるので注意が必要です。
また、一戸建住宅と共同住宅(3階建以下)では、無締りに次いで「ガラス破り」が多くなっています。さらに、共同住宅(4階建以上)でもガラス破りによる侵入は8.5%という割合で発生しており、「高層階だから安全だろう」といった油断は禁物です。

ガラス破りの手口

上記の通り、一戸建住宅・共同住宅を問わず、住宅ではガラス破りによる侵入窃盗が多く発生しています。ここでは、ガラス破りの主な手口を確認します。

三角割り

三角割りのイメージ

三角割りとは、窓ガラスとサッシの間のゴム部分にドライバーを差し込んで窓を割る方法です。割れた箇所から手を差し込んで内側からクレセント錠を開け、窓を開けて侵入します。特別な技術や専門知識は不要で、防犯対策のない普通の窓ガラスならわずか10秒程度で割られてしまいます。バールやトンカチで破壊する方法と比較すると大きな音が立たないので、近隣の住民や通行人に気づかれにくいという特徴があります。この手軽さと犯行時間の短さから、空き巣に多用される代表的な手口の一つです。

打ち破り

打ち破りのイメージ

打ち破りとは、窓ガラスに物を投げつけたり、バールなどを打ち付けたりすることで窓ガラスを破壊する方法です。特徴としては、ガラス面を不規則に打ち付けたような跡がいくつか残ります。この手口は短時間でガラスを壊せますが大きな音が発生するので、騒音が激しい線路付近や工業地域など、破壊音が周囲の環境音に紛れやすい場所でよく用いられます。また、周囲に人通りや民家が少ない環境で行われるケースもあります。

焼き破り

焼き破りのイメージ

焼き破りとは、ライターやバーナーの熱を窓ガラスにあて、もろくなった部分に穴をあける方法です。また、冷却スプレーで冷やした後にバーナーを噴射する場合もあります。窓ガラスを冷やす理由は、ガラスに急激な温度変化を与えることでヒビを入れ、この温度差によってガラスの強度を著しく低下させることです。防犯対策のない普通の窓ガラスなら、わずか10秒ほどで破壊できてしまいます。この手口は破壊音が静かで、トーチバーナー(ガスを燃料としてノズルから高温の炎を噴射する器具)など容易に入手できる一般的な道具を用いて実行できることから、近年空き巣の侵入手口として増えてきている方法です。

窓の防犯性能の強化にはCPマーク付きの防犯建物部品がおすすめ

CPマーク

平成16年に開催された「防犯性能の高い建物物品の開発・普及に関する官民合同会議」において、CPマークが定められました。
CPマークは、「防犯性能の高い建物部品目録」に掲載・公表された建物部品「防犯建物部品」に使用が認められています。具体的には、泥棒のさまざまな侵入攻撃に対して、試験で5分以上耐えることができた製品が対象です。
5分間を基準としている理由は、侵入者の約7割は侵入に5分かかると犯行をあきらめることが警察庁の調査で判明しているためです。

ドアや錠、防犯ガラス、サッシ、網戸、シャッター、面格子などの製品の中には、CPマークが表示されたものもあります。
自宅の防犯機能を強化したいと考える場合には、これらの建物部品を選ぶにあたり、CPマークの有無を一つの判断材料にすると良いでしょう。

出典:警察庁 住まいる防犯110番「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」
出典:警察庁 住まいる防犯110番「侵入者プロファイリング~心理と行動③」

窓の防犯を強化するその他の方法

一般的な住宅に使用されているペアガラス(複層ガラス)には、十分な防犯効果は期待できません。窓の防犯を強化するには、窓ガラスを防犯性能の高いものへ交換するのがおすすめです。しかし、窓ガラスの交換には費用がかかるため、すぐに交換できない方もいるでしょう。窓ガラスの交換以外にも、窓の防犯を強化する方法があります。

防犯フィルムを貼る

交換にかかる費用や賃貸住宅に住んでいるなどの理由で窓ガラスの交換が難しい場合は、防犯フィルムを貼るのがおすすめです。防犯フィルムを貼った窓ガラスは、強い衝撃を受けても割れにくく、割れてもガラスの飛散を避けることができます。また、無理に割ろうとすると大きな音が鳴るため、侵入をあきらめるケースもあります。
防犯フィルムは、窓全体に貼るものの他に、鍵周辺だけに貼るタイプもあります。鍵周辺だけの場合、フィルムを避けて割られる可能性があるため、窓全体に貼るタイプがおすすめです。

補助錠を設置する

一般的な窓に使用されているクレセント錠は、あくまで窓を固定するための金具であり、防犯効果はほとんどありません。そのため、窓の防犯を強化するには、補助錠を追加で設置することをおすすめします。補助錠を取り付けることで、クレセント錠を開けただけでは窓が開かないため、侵入に時間がかかり犯人があきらめる可能性があります。

窓用の防犯ブザー(アラーム)を設置する

窓用の防犯ブザー(アラーム)を設置するのもおすすめです。窓用防犯ブザーは、窓ガラスが割れた際の振動や窓が開いたことを感知して警報が鳴ります。大きな音が鳴るため、侵入者を驚かせたり、近所の人に異常を知らせたりすることが可能です。

シャッターや面格子を取り付ける

シャッターは、窓全体を覆う物理的な障壁となり、侵入に時間をかけさせる効果があります。就寝時や外出時にシャッターを閉めることで、窓からの侵入を大幅に困難にすることが可能です。
面格子は、窓の外側に取り付ける金属製の柵で、通風や採光を確保しながら防犯性能を高めることができます。特に1階や低層階の窓、浴室やトイレなどの小さな窓に有効で、侵入者への強力な抑止効果も期待できます。

ベランダを整理整頓する

ベランダの整理整頓も防犯対策として重要な要素です。整理整頓された見通しの良いベランダは、侵入者に「登りにくい」「目立ちやすい」という印象を与え、狙われにくくなります。植木鉢やエアコンの室外機、物干し竿などが無秩序に置かれていると、それらが足場となり侵入を容易にしてしまうおそれがあります。定期的にベランダを片付け、足場を作らないよう心がけることが大切です。

防犯カメラを設置する

防犯カメラは、その存在自体が強力な抑止効果につながります。侵入者は防犯カメラが設置されている住宅を避ける傾向にあり、「見張られている」という心理的なプレッシャーを与えることで、犯行を未然に防ぐ効果が期待できます。ダミーカメラにも一定の抑止効果はありますが、偽物だと見破られてしまうと、かえって侵入を招く恐れがあります。そのため、防犯対策として設置する場合は、実際に録画機能のある本物の防犯カメラを使用する方が、より効果的です。最近の製品には、外出先からスマートフォンなどで自宅の様子を確認できるタイプもあり、より高い安心感を得ることができます。

ホームセキュリティに加入する

窓を含む住まい全体の防犯対策には、ホームセキュリティの導入がおすすめです。ホームセキュリティを導入していれば、不審者の侵入をすばやく感知し、通報を受けた警備員が駆けつけ対処します。

スマホゲート写真

ALSOKのホームセキュリティは、「セルフセキュリティ」「オンラインセキュリティ」の2つから選択できます。セルフセキュリティでは、お手頃価格でホームセキュリティを実現でき、もしものときにはALSOKの依頼駆けつけが利用可能です。
オンラインセキュリティでは、不審者の侵入や火災などの異常発生時には自動でALSOKが駆けつけます。加えて、スマートフォンを持っているだけで、外出時は警備の設定、帰宅時は簡単に警備解除ができる便利な機能も活用いただけます。また、防犯カメラとアプリ連携ができ、外出中でもリアルタイムで映像を確認することができます。
さらに、在宅中も警備をセットできるので、就寝中や一人での在宅時にも安心です。ALSOKのホームセキュリティなら相談は無料、専門のアドバイザーがあなたのニーズにぴったりのプランをご提案いたします。ぜひ、お気軽にご相談ください。

その他に、窓の防犯にお役立ていただけるALSOKロックや防犯フィルムなど、防犯・防災グッズも扱っています。ぜひ、チェックしてみてください。

まとめ

今回は、ペアガラス(複層ガラス)の防犯性能やガラス破りの手口、防犯面から見た窓ガラスの選び方などをお伝えしました。
ガラス破りは、侵入窃盗で多く見られる手口ですが、一般住宅の窓に使用されるペアガラス(複層ガラス)では十分な防犯対策にはなり得ません。窓の防犯性能の強化を考えているなら、CPマークが付いた防犯ガラスへの交換や補助錠の設置、ホームセキュリティの導入など、複数の対策を組み合わせるのがおすすめです。

執筆:ALSOK株式会社

「安全・安心」を皆様にお届けするため、セキュリティのプロフェッショナルであるALSOKが編集しています。日常生活に潜む危険から身を守るための防犯対策、突然の災害に備える防災情報、ご高齢者やお子さまのみまもりまで、暮らしに役立つ確かな情報を分かりやすく発信しています。

この記事に関連する商品

HOME ALSOK Connect
お買い上げプラン
月額費用4,070円(税込)
  • スマホで簡単に警備操作
  • 24時間365日の徹底警備。緊急時にはガードマンが現場に急行
  • お手頃価格で家計も警備も安心
HOME ALSOK アルボeye
カメラ稼働式
月額費用2,750円(税込)
  • 自宅内に設置したカメラの映像をスマホでいつでも確認!
  • もしもの際はメールで異常を通知+ガードマンが駆けつけ
  • ご高齢者様の見守りなどの利用にも