地震対策の基本!家具の転倒防止策と固定方法

防災 2025.11.28更新(2021.03.31公開)
地震対策の基本!家具の転倒防止策と固定方法

地震大国である日本では、日本ではどこに住んでいても大地震の可能性があるため、日頃から備えることが重要です。

地震対策として非常食や水などを備蓄しているご家庭は多い一方で、家具の転倒防止策まで十分にできていないケースは少なくありません。阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などでは、倒れてきた家具の下敷きになって亡くなったり、大けがをしたりした方が多く確認されています。適切な家具の転倒防止策を講じることは、こうした被害を減らすために重要です。

この記事では、地震発生時の家具転倒のリスクと、転倒を防止するための対策方法を解説します。

目次

地震対策に家具の転倒防止が必要な理由

地震発生時に家具が転倒することによって起こるリスク

近年の地震による負傷者の30~50%が、家具類の転倒・落下・移動が原因だといわれています。幸い身体に影響がなくても、家具の転倒などによりその後の避難生活に影響を及ぼす場合もあります。ここでは、家具の転倒防止対策を行わないと起こり得るリスクを解説します。

出典:東京都防災ホームページ「自宅での家具類の転倒・落下・移動防止対策」

けがや死につながる

地震の際にタンスなどの大型家具が倒れてきて、床と家具の間に挟まり、圧死や窒息死をする方が大勢います。
また、死には至らなかったとしても、小型の家電が飛んできてぶつかったり、ガラスなどの飛散物を踏んだりしてけがをする可能性もあります。

通路が塞がれて逃げ遅れる

扉の前に置いた大型家具などが倒れてしまうと、扉を開けることができなくなり、部屋の中に閉じ込められてしまいます。また、食器やテレビなどが倒れて床にガラスの破片が散乱してしまうと、足の踏み場がなくなり、思うように部屋の中を移動できなくなります。

このような状態になってしまうと、地震発生時に火災が発生した場合などに逃げ遅れてしまう可能性が高くなり、大変危険です。

在宅避難生活がしづらくなる

家具が転倒していたり、床にガラスなどが散らばっていたりすると、在宅避難中の生活スペースが狭くなってしまいます。ライフラインが復旧してある程度落ち着くまでは掃除もままならないため、しばらくはそのまま生活しなければならないでしょう。

また、冷蔵庫が転倒してしまっては、中に入っている貴重な食料や飲み物が取り出せません。電気が通っていなくても数日間は食料を保存できるため、冷蔵庫の転倒はなんとしても避けたいところです。

今すぐできる家具の転倒防止策

ここからは、地震発生時に家具の転倒を防ぐために、今すぐ取り入れられる対策をご紹介します。大地震が発生したら、大きな家具は倒れるものと思ってしっかり対策をしましょう。

なお、賃貸住宅で壁に穴を開けることができない場合や、家具が多く一気に対策することが難しい場合もあるでしょう。そのような場合は、倒れた際のリスクが高い家具から優先し、できる方法を選んで対策を進めることが大切です。

収納を工夫して家具を減らす

生活空間に家具や物が多いほど、地震発生時に転倒や落下のリスクが高まります。普段から家具を必要以上に増やさないよう意識し、衣服や小物などは出しっぱなしにせず、適切な場所に収納する習慣をつけましょう。

例えば、クローゼットや据え付け収納を活用して物をまとめておけば、生活スペースに家具を増やす必要がなくなり、結果として地震による被害の軽減につながります。

重い物は下に収納する

大原則として、重い物は下に、軽い物は上に収納しましょう。重い物を下に収納することで、家具の重心が下がって倒れにくくなるのはもちろん、重い物が高いところから落下するリスクを避けることもできます。

倒れてきても被害が少ない配置にする

家具が倒れたとしても被害を最小限に抑えられるよう、配置を工夫することも大切です。

まず、ベッドやドアの前に家具や物が倒れ込む配置は避けてください。また、比較的過ごす時間の長いソファやデスク周辺にも、できるだけ背の高い家具などを配置しないほうが安全です。やむを得ず寝室や子ども部屋などに背の高い家具を配置する場合は、ベッドとの間に家具の高さ以上の距離を確保しましょう。

これから家を建てる場合は、置き家具よりも転倒のリスクが低くなる据え付け家具にするのがおすすめです。

家具の引き出しや扉にも対策を

仮に家具が転倒しなくても、扉が開いたり、引き出しが飛び出したりすると、中の物が壊れる、床に物が散乱するといった事態が起こります。そのため、扉や引き出しにはストッパーを設置したり、ガラス面には飛散防止フィルムを貼ったりするなど、被害を最小限に抑えられるよう対策をしましょう。

家具を固定する方法

家具を転倒させないための家具転倒防止グッズ

家具の転倒を防ぐためには、家具自体を固定することも重要です。市販されているさまざまな転倒防止グッズを上手に活用しましょう。家具の大きさや重さによって、適切なアイテムを使い分けるのがポイントです。

特に大型家具の場合は、1つのグッズだけでは大地震に耐えられない可能性があります。より安全性を高めるために、複数のタイプのグッズを組み合わせて使うのがおすすめです。

ストッパータイプ

ストッパータイプは、家具の前側の下に差し込み、傾斜をつけて壁にもたれかかる状態にすることで、家具が転倒するのを防ぎます。家具を軽く傾けて差し込むだけなので、簡単に設置できます。高さのある家具の場合は、つっぱりタイプと組み合わせたほうが安心です。

また、新聞紙をたたんで家具に敷き、傾斜をつける方法もあります。

マット・シートタイプ

マット・シートタイプ

マット・シートタイプは、家具の下に挟み込んで、家具が前後左右に移動するのを防ぎます。

重量のある家具の場合は、なるべく広い範囲に、より厚みのあるものを入れるようにしましょう。マット・シートタイプも、高さのある家具に使用する場合は、つっぱりタイプと組み合わせたほうが安心です。

マット・シートタイプは、素材の特性上、経年劣化で性能が落ちてしまいます。なるべく耐久年数が長いものを選ぶと共に、設置日時を控えておき、耐久年数よりも少し早めに取り替えるようにしましょう。

つっぱりタイプ

つっぱりタイプ

つっぱりタイプは、天井と家具の間をポールで突っ張って支え、家具の転倒を防ぎます。壁に穴を開ける必要がないため、賃貸でも利用しやすい転倒防止グッズです。設置する際は、家具の奥側に、左右対称になるようにポールを配置しましょう。

購入時は、なるべく設置面の広い製品で、公的機関による耐圧試験に合格しており、耐圧性能の数値が明記されているなど「耐圧性能」が保証されているものを選びましょう。

市販品が手元にない場合は、空の段ボールと新聞紙、滑り止めのマットでも代用できます。家具の上に滑り止めマットを敷き、その上に段ボール、さらに新聞紙を乗せて天井との隙間がほとんどなくなるように設置します。

ベルトタイプ

ベルトタイプは、壁や天井と家具の間にベルトをピンと張り、家具の転倒を防ぐ固定グッズです。テレビやモニターの固定で採用されることが多い方法で、壁ではなくテレビ台と固定するタイプもあり、壁に穴を開けずに設置することも可能です。

地震発生時、テレビは重要な情報源の1つになります。テレビの転倒は意外と多いため、小さいサイズでもしっかり固定しておくようにしましょう。

L字金具タイプ

L字金具タイプ

最も転倒防止効果が高いのが、L字金具タイプです。家具と壁をビスで固定することで、家具が転倒するのを防ぎます。

L字金具は上向きに取り付けるほうが簡単ですが、より効果を高めるためには下向きでの設置がおすすめです。設置場所や方法が分からない場合は、専門業者への相談も検討しましょう。

また、L字金具タイプを部屋の間仕切り壁に取り付ける場合は少し注意が必要です。間仕切り壁は石膏ボードで作られていることも多く、石膏ボードのみで横板のない部分に取り付けてもビスが固定されないため全く意味がありません。石膏ボードの壁に取り付ける際は、必ず横板のある部分に取り付け、横板がない場合は別の転倒防止策を採用しましょう。

L字金具タイプは、家具や壁に穴を空けることになるため、基本的に賃貸住宅では利用できません。つっぱりタイプ×マット・シートタイプや、つっぱりタイプ×ストッパータイプの組み合わせでも同等の効果が得られるため、こちらの方法を採用するのが良いでしょう。

家具別に見る転倒防止対策

地震対策を行う際は、家具の種類ごとに適した固定方法を選ぶことが大切です。ここでは、主要な家具の転倒防止対策を分かりやすく解説します。

冷蔵庫

冷蔵庫はつっぱりタイプやベルトタイプで固定しますが、重量があるためベルトタイプの使用が推奨されています。メーカーによっては冷蔵庫専用のベルトを販売しています。
固定が不十分な場合、揺れに合わせて冷蔵庫が前後に大きく振れる「ロッキング現象」が起こり、転倒や移動につながる危険があります。そのため、耐震マットや滑り止めマットと組み合わせるなど、複数のグッズで対策することが効果的です。
また、冷蔵庫の上に物を置くと揺れで落下しやすく非常に危険です。冷蔵庫の上には物を置かないようにしましょう。

テレビ

テレビは、震動で揺れやすく、落下・転倒による破損やけがにつながりやすい家電の1つです。テレビ台との間に耐震マットを敷くだけでも、揺れによる転倒リスクを大きく減らせます。
耐震マット以外にも、テレビ用のストッパーやベルトもあります。壁掛けの場合は落下防止ベルトの採用や壁の補強も検討すると良いでしょう。

本棚・タンス

本棚やタンスは高さがあり重量もあるため、転倒すると大きな事故につながります。可能であれば、壁面にL字金具でしっかりと固定する方法が推奨されます。金具の取り付けが難しい場合は、ベルトタイプと耐震マットを組み合わせることで、揺れによって倒れるリスクを軽減できます。

電子レンジ・トースター

電子レンジやトースターは比較的軽量ですが、地震の際には大きく動いたり落下したりするおそれがあります。耐震マットや滑り止めシートで固定し、揺れに対する強度を高めましょう。
大型の製品や重量のあるモデルを使用している場合は、ベルトタイプの固定具を使って動かないようにしておくと安心です。

食器棚

食器棚は家具自体の転倒に加え、収納している食器類の落下も危険です。そのため、食器棚はL字金具やベルトタイプで家具を壁に固定するほか、棚板には滑り止めシートを敷いて食器の滑りを抑えると良いでしょう。さらに、揺れを感知すると扉が自動でロックされる「耐震ラッチ」を取り付けると、地震時の食器類の飛び出しを防止できます。

キャスター付きの家具

キャスター付きの家具は、揺れによって大きく移動してしまうことが多く、思わぬ事故につながるおそれがあります。そのため、ベルトタイプの固定具で動かないようにすると安全です。
また、キャスター部分に下皿を設置して動きを物理的に抑える方法も有効です。より高い安全性を確保するためには、両方を組み合わせて対策しましょう。

地震発生時の行動と注意点

地震の発生に備える場合、家具の転倒防止に加えて、地震発生後の正しい行動を知っておくことも大切です。揺れを感じた直後から避難に至るまでの流れを確認しておきましょう。

揺れを感じたらまず身を守る行動を取る

揺れを感じたら、無理に火元を見に行ったり、慌てて通路を確保しようとしたりせず、まずは身の安全を守ることを優先しましょう。
倒れやすい家具や落下物の近くにいる場合は、すぐにその場を離れ、丈夫な机の下に入るなどして頭部を守る姿勢を取ります。また、窓ガラスが割れる可能性もあるため、窓際からはできるだけ距離を取りましょう。

揺れが収まったら周囲の安全を確保する

大きな揺れが収まった後は、身の回りの安全を確認します。避難が必要な場合に備えて、扉を開けて出口を確保しましょう。
その後はガスコンロなどの火元を確認し、異常がないか慎重にチェックします。破損した家具や落下物で足元が危険なこともあるため、移動する際は注意しながら行動しましょう。

災害情報を確認し避難する

揺れが落ち着いたら、ラジオ・テレビ・スマートフォンなどを使って災害情報を確認します。余震の有無や避難指示の状況を把握し、必要に応じて速やかに避難しましょう。
また、家族と事前に避難場所や連絡手段について話し合っておくことも大切です。地震発生後の状況を想定し、定期的に避難手順を確認しておくと、万が一のときも落ち着いて行動できます。

家具の転倒防止を含めて家庭の地震対策を見直そう

家具の転倒対策をしっかり行っていても、大きな地震が発生すれば倒れてしまう可能性もあります。どのような状況でも安全に移動できるように、ベッドの近くにスリッパや靴を用意しておくのも大事な備えの1つです。家具の転倒対策だけでなく、日頃から災害への備えをしておくよう心がけましょう。

ALSOKの災害対策ページでは、さまざまな自然災害に対しての対策をご紹介しています。
しっかり備えをしているつもりでも、実は十分ではないというご家庭も多いでしょう。まずは正しい防災の知識を得るところから始めるのがおすすめです。ぜひ、ALSOKの災害対策ページを確認してみてください。

執筆:ALSOK株式会社

「安全・安心」を皆様にお届けするため、セキュリティのプロフェッショナルであるALSOKが編集しています。日常生活に潜む危険から身を守るための防犯対策、突然の災害に備える防災情報、ご高齢者やお子さまのみまもりまで、暮らしに役立つ確かな情報を分かりやすく発信しています。

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