一戸建ては新築と中古、どっちを選ぶ?統計データをもとに徹底比較

マイホームとして一戸建ての購入を検討する際、多くの方が直面するのが「新築にするか、中古にするか」という選択です。住宅選びは人生における大きな決断であり、後悔したくないと悩まれる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、国土交通省の住宅市場動向調査をはじめとする最新の統計データをもとに、新築一戸建てと中古一戸建ての違いやメリット・デメリット、実際の購入者の動向などを徹底比較します。
目次
新築一戸建てと中古一戸建ての違い
「新築」とは、新たに建設された住宅で建設完了から1年以内、かつ、まだ誰も住んだことのない住宅のことを指します。一方で「中古住宅」とは、過去に一度でも人が住んだことがある住宅のことです。また、建設完了から1年を経過している場合においても、中古物件(未入居物件)として扱われます。未入居であっても築1年を超えた物件は新築と表記されないため、購入時には注意が必要です。
新築一戸建てと中古一戸建ての購入割合
2024年度フラット35利用者調査によると、住宅購入における融資区分別の利用状況は以下の通りです。

出典:住宅金融支援機構「2024年度 フラット35利用者調査」
フラット35の利用割合を見ると、「注文住宅」が2014年47.3%から2024年34.9%に減少したものの依然としてもっとも多い状況です。一方、「中古戸建」の割合は2014年7.6%から2024年20.5%と、大幅に増加しています。この背景には、全国的な空き家の増加や新築一戸建ての価格高騰、リノベーション・リフォーム物件の人気上昇などが影響しており、中古住宅を一つの選択肢として積極的に検討する傾向が強まっていると考えられます。
新築一戸建てのメリット・デメリット
新築一戸建てにはメリットがある一方で、デメリットも存在します。
新築一戸建てのメリット
まずは、新築一戸建てのメリットから見ていきましょう。
性能の高い家に住める
新築一戸建ての最大の魅力は、最新設備を備えた性能の高い家に住めることです。現在の建築基準法に準拠した建物は、断熱性や気密性などの住宅性能が格段に向上しており、年間を通じて快適な室内環境を維持できます。また、耐震基準に基づいた構造設計により、地震などの自然災害に対する安全性も確保されています。
税制優遇を受けやすい
新築住宅は、中古住宅と比較して税制面での優遇措置が手厚いという特徴があります。住宅ローン控除では最大13年間、年末ローン残高の0.7%が控除、固定資産税も3~5年間は税額を2分の1に減額、住宅の取得に係る不動産取得税の軽減措置などがあります。これらの税制優遇により、初期費用や税負担の大幅な軽減が期待できます。
参考:国土交通省住宅局「令和6年度国土交通省税制改正事項(住宅局関係抜粋)」
新築一戸建てのデメリット
新築一戸建てのデメリットとしては、以下が挙げられます。
住宅価格が中古一戸建てよりも高額になりやすい
新築住宅は建築費や設備費用、土地取得費用などが発生するため、中古住宅と比較すると高額になりやすいです。令和6年度の平均購入資金を見ると、注文住宅では4,695万円、分譲戸建住宅では4,591万円、既存(中古)戸建住宅では2,917万円となっており、新築住宅と中古住宅で1,500万円以上の価格差が生じています。
参考:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
希望のエリアで見つからない場合がある
人気の住宅地や利便性の高いエリアには既に建物が建っているため、希望通りの土地を見つけることが困難な場合があります。仮に希望エリアで土地が見つかっても、価格高騰などの理由から間取りや面積に妥協せざるを得なくなり、結果的に理想のマイホームとは異なるケースも少なくありません。
中古一戸建てのメリット・デメリット
中古一戸建てにもメリット・デメリットがそれぞれ存在します。
中古一戸建て住宅のメリット
まずは、中古一戸建て住宅のメリットを見ていきましょう。
住宅価格を抑えられる
中古一戸建ての最大の利点は、新築と比較して住宅価格を抑えられることです。購入後に修繕・修理を行っても、多くの場合新築を購入するより総額を抑えることができます。リノベーション・リフォーム物件も同様に、内装などを新しくしながら比較的安く手に入れられる点で近年人気が高まっています。
希望のエリアで物件を見つけやすい
中古住宅市場は物件数が豊富で、希望エリアを絞り込んでも物件を見つけやすいという特徴があります。利便性の高い立地でも選択肢は多く、予算内で理想の物件を見つけられる可能性が高くなります。
中古一戸建て住宅のデメリット
中古一戸建て住宅のデメリットとしては、以下が挙げられます。
設備が古く、不具合が起きやすい
築年数が経過している中古住宅では、設備の劣化や不具合が起きやすく、購入後すぐに交換や修理が必要になる場合があります。建物の構造上の制約により希望する設備を後付けできなかったり、修繕内容によっては想定以上の費用がかかったりするケースもあります。
耐震基準や住宅の安全性に注意が必要
中古一戸建てを購入する際、1981年6月以前の旧耐震基準で建てられた住宅には注意が必要です。旧耐震基準の建物は、自然災害による倒壊や浸水の危険性が高いため、購入後すぐに補強工事を行うケースがあります。また、築年数の経過により劣化が進んでいる場合があり、住宅の耐震性や安全性を確認し、場合によっては見直さなければなりません。
【統計データ別】新築一戸建てと中古一戸建ての比較
ここからは、国土交通省の「令和6年度 住宅市場動向調査報告書」の統計データをもとに、住宅別の選択理由や資金調達の方法、世帯について比較していきましょう。
選択理由別の比較

参考:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
注文住宅取得世帯の住宅選択理由では、「信頼できる住宅メーカー・不動産業者だったから」がもっとも多く、次いで「新築住宅だから」「住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから」となっています。注文住宅購入者は、新築住宅であることや、自分の理想とする住まいを実現することを重視する傾向があります。

参考:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
次に、分譲戸建住宅取得世帯の住宅選択理由としては、「新築住宅だから」「一戸建てだから」「住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから」が上位に挙がっています。注文住宅購入者と同様に、新築住宅で理想の住まいを実現したいというニーズが高いことが分かります。

参考:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
一方で、既存(中古)戸建住宅取得世帯の住宅選択理由では、「価格が適切だったから」がもっとも多く、次いで「一戸建てだから」「立地環境が良かったから」が続いています。中古住宅は、価格の手頃さと立地の良さを重視する世帯に特に支持されています。
さらに注目すべきは、既存(中古)戸建住宅取得世帯のうち37.1%が分譲戸建住宅との比較検討を行っていることです。多くの購入者が新築と中古の両方を検討したうえで、最終的に中古住宅を選択していることが分かります。
新築住宅取得者が中古住宅を選択しなかった理由
新築住宅取得者が中古住宅を選択しなかった理由を見ると、「新築の方が気持ち良いから」がもっとも多く、次いで「耐震性や断熱性など品質が低そうだから」「リフォーム費用やメンテナンス費用で結局割高になると思ったから」が続いています。中古住宅の安全性や設備状態に対する懸念が、新築選択の大きな要因となっていることが分かります。
中古住宅取得者が中古住宅を選択した理由
中古住宅取得者が中古住宅を選択した理由を見ると、「予算的にみて既存(中古)住宅が手頃だったから」がもっとも多く、次いで「新築住宅にこだわらなかったから」となっています。
中古住宅取得者は、費用を抑えたいという経済的な理由を考慮して住宅選択を行っていることが読み取れます。
資金調達別の比較

参考:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
次に、資金調達別の比較を見てみましょう。令和6年度の住宅建築資金の全国平均は4,695万円で、うち自己資金が1,825万円、自己資金比率は38.9%でした。令和2年度から全体的に増加傾向にあり、自己資金比率は10%以上上昇しています。
なお、土地を購入した注文住宅取得世帯の資金総額は全国平均で6,188万円です。
注文住宅の場合、住宅ローンの年間返済額は平均144.8万円で、ローン返済期間は建築資金だけの場合33.9年、土地も含めた購入の場合は35.6年となっています。

参考:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
分譲戸建住宅の購入資金は平均4,591万円で、自己資金が1,256万円、自己資金比率は27.3%でした。住宅購入資金は5年間で増加傾向にありますが、自己資金比率は大きな変化がありません。
住宅ローンの年間返済額は平均132.2万円で、ローン返済期間は30.9年となっています。

参考:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
一方、既存(中古)戸建住宅の住宅購入資金は2,917万円で、分譲戸建とは1,500万円以上、土地取得した注文住宅とは倍以上の差が開いています。自己資金は1,069万円、借入金が36,6%という結果でした。
住宅ローンの年間返済額は平均109.3万円、ローン返済期間は25.5年となっており、新築住宅と比較して短期間での完済を計画している人が多いことが分かります。
世帯別(年齢・年収)の比較

参考:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
世帯主の年齢分布を見ると、注文住宅、分譲戸建住宅、既存(中古)戸建住宅のすべての世帯で30代がもっとも多い結果でした。また、子育て世代を含む40代の割合は分譲戸建、既存(中古)戸建で多くなっています。50代、60歳以上の割合は注文住宅・既存(中古)戸建住宅で多く、子どもが独立したために住み替えを検討している層が多いと想定できます。

参考:国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」
世帯年収について、新築住宅は600万円以上800万円未満がもっとも多くなっています。一方、既存(中古)戸建住宅の平均世帯年収は400万円以上600万円未満がもっとも多く、400万円未満の割合も多いことから、新築住宅購入者よりも年収水準が低い傾向にあることが分かります。
統計データから新築一戸建て・中古一戸建てそれぞれの特徴が見えてきました。しかし、数字だけでは判断できない重要なポイントもあります。実際の住まい選びで後悔しないために、以下の注意点も合わせて検討しましょう。
一戸建て住宅を検討する際の注意点
一戸建て住宅を購入する際は、建物の状態や周辺環境、治安状況、災害リスクなどを総合的に判断することが重要です。
住宅診断(ホームインスペクション)を受ける
一戸建て住宅を購入する際は、住宅診断(ホームインスペクション)を受けることが重要です。ホームインスペクションとは、住宅診断とも呼ばれるもので、専門の知識を持った調査員(インスペクター)が、中古住宅や新築住宅の劣化や欠陥の有無、修繕や改修が必要かどうか調査・診断するサービスを指します。
中古住宅の場合は2018年4月の宅地建物取引業法の改正により、不動産仲介業者は中古住宅の売主と買主に対し、建物状況調査(インスペクション)制度について説明することが義務付けられました。特に中古住宅は、購入後のトラブルを回避するためにも、劣化や欠陥の有無、修繕の必要性を調査すると良いでしょう。
新築一戸建ての場合でも、施工不良や手抜き工事がないかを確認するために住宅診断を受けることは有効です。
周辺環境や治安状況、ハザードマップを現地で確認する
住宅購入前には現地を訪れて、街灯の設置状況や人通り、騒音の有無など周辺環境を確認することが重要です。警察署の犯罪統計や地域の事件発生状況を調べ、治安状況についても把握する必要があります。
また、実際に現地を歩きながらハザードマップを確認し、災害リスクについても把握しておきましょう。内覧時に、売主や不動産業者から近隣の情報を集める方法も有効です。
一戸建て住宅を検討する際は防犯対策も欠かさず行おう

警察庁の統計によると、侵入窃盗は一戸建て住宅での発生がもっとも多く、全体の約4割を占めています。そのため、住宅購入時から防犯対策を講じることが重要です。
新築住宅では設計段階から防犯性を考慮した設備を導入でき、中古住宅でも後付けの対策により安全性を向上させることが可能です。
玄関・勝手口の防犯対策
玄関と勝手口は住宅における主要な侵入経路となります。そのため、ピッキングに強いディンプルキーやスマートロックを設置するなどして防犯性を高めることが重要です。主錠に加えて補助錠を設置する「ワンドアツーロック」は、侵入に要する時間を増大させて犯行をあきらめさせる効果が期待できます。
窓の防犯対策
窓も主要な侵入経路の一つであるため、防犯対策が欠かせません。防犯ガラスや防犯フィルム、補助錠を採用することで、ガラス破りを防ぎ、侵入にかかる時間を延ばすことができます。特に1階や人目につきにくい場所の窓には、雨戸や面格子の設置など重点的な対策が有効です。
庭・外構部分の防犯対策
庭や外構部分には、防犯カメラを設置することで侵入者の接近を記録し、犯罪の抑制効果を高めることができます。また、夜間の侵入を阻止するためにセンサーライトの設置も有効です。侵入者の隠れ場所とならないよう、植木などは定期的に剪定して死角をつくらないように心がけましょう。
新居での安全な生活を支えるALSOKのサービス
新居での安全で快適な生活を実現するために、ALSOKでは総合的なセキュリティサービスを提供しています。
ホームセキュリティ

ALSOKのホームセキュリティ「HOME ALSOK Connect」では、「オンラインセキュリティ」と「セルフセキュリティ」をご用意しており、ご希望にあわせてお選びいただけます。セルフセキュリティは、お手頃価格でホームセキュリティを導入でき、もしものときはALSOKへ駆けつけを依頼することができます。オンラインセキュリティは、異常発生時に自動でALSOKが駆けつけます。また、スマートフォンを持っているだけで警備を自動解除し、外出時はワンタッチで警備を開始できる便利な機能も活用いただけます。
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防犯カメラ
ALSOKでは、ご家庭向けの防犯カメラも数多く取り揃えており、侵入対策や車上荒らし、室内の見守りなどさまざまな場面での防犯に役立ちます。人感センサーが作動すると自動で録画を開始できるものや、夜間の撮影が可能なカメラなどをお選びいただけます。ご家庭に合わせた最適なプランをご提案いたします。
まとめ
一戸建て住宅の購入においては、新築と中古住宅それぞれの特徴を理解し、総合的な視点から最適な住まいを選ぶことをおすすめします。どちらを選択するにしても、一戸建て住宅特有の防犯リスクに対する適切な対策を講じることは欠かせません。
統計データや客観的な情報を参考にしながら、家族の将来設計や価値観にもっとも適した選択を行い、安全で快適な住まいづくりを実現させましょう。