要支援1で受けられるサービスは?支給限度額やケアプラン例もご紹介
介護認定は、どの程度介護が必要なのかを段階的に判断するための基準です。介護認定で「要支援1」と判定されると、さまざまな介護サービスを利用できるようになります。
しかし、初めて介護サービスを利用する場合、サービスの内容や費用など多くの疑問点が浮かぶでしょう。そこで今回は、要支援1で受けられる介護サービスの内容についてご紹介します。
両親や家族が要支援1と判定されたが、具体的にどのような状態が該当するのか分からないという方や、サービス内容の詳細を知りたいという方はぜひ参考にしてください。
目次
「要支援1」とは
要支援1とは、7段階ある要介護認定のなかでも、軽度な第1段階を指します。厚生労働省によると要支援1は、「要介護認定等基準時間(介護に必要とされる1日あたりの時間)が25分以上32分未満またはこれに相当する状態」と定義されています。要支援1は、日常生活の基本的な動作は自力で行えるものの、立ち座りなどの動作や買い物・掃除などの際に部分的な支援が必要となる状態です。
厚生労働省の報告によると、要支援1の認定者は全国で約98万人となっており、認定者全体の約14.2%にのぼりました(令和4年時点)。
要支援1と要支援2の違い
要支援2は、「要介護認定等基準時間が32分以上50分未満またはこれに相当する状態」です。要支援1と要支援2は、どちらも日常生活や身の回りの基本動作のほとんどを自分で行えます。しかし、要支援2の方は立っているときや歩行時に支えを必要とすることが多く、状態を悪化させないためのサポートが要支援1よりも必要です。
要支援1と自立の違い
要介護認定等基準時間が25分未満の場合は、自立と判定されます。要支援1と自立は、自力で行える日常動作の範囲に違いがあります。要支援1の場合、一部において見守りや手助けが必要です。一方で自立の場合は、日常生活を一人で支障なく送ることができ、サポートが不要だと判断された状態を指します。
要支援1で受けられる介護サービス
日常生活においてサポートが必要となった場合や常時介護を必要とする状態になった場合、状態に合わせた介護サービスを受けられるようになります。要支援1では、要介護状態へなることを予防するため、生活機能を維持・向上させる「介護予防サービス」を受けることが可能です。
ここからは、要支援1で受けられる介護サービスの内容について分かりやすく解説します。
自宅で受けられるサービス
要支援1で受けられる介護サービス | サービス内容 |
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訪問介護 | 自宅でホームヘルパーから食事・入浴・排せつなどの介護、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活支援を受ける ※介護予防サービスではなく地域支援事業(介護予防・日常支援総合事業)として利用ができる |
訪問入浴介護 | 自宅での入浴が困難な方が、看護師・介護職員の持参した専用の浴槽で入浴介護を受ける ※自宅に浴槽がない、またはその他の施設で浴室の利用ができないなど、特別な事情がある場合のみ |
訪問看護 | 自宅で看護師から健康状態の観察や医療ケアなどの看護サービスを受ける |
訪問リハビリテーション | 自宅で理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの訪問を受け、身体機能の維持・向上に向けたリハビリを行う |
居宅療養管理指導 | 医師や歯科医師、薬剤師、管理栄養士などが通院困難な利用者の自宅を訪問して心身の状況や環境などを確認し、療養上の管理または指導を行う |
自宅で受けられる介護サービスとして、ホームヘルパーや看護師による生活の援助や身体介助があります。要支援者が自宅で生活を続けるために欠かせないサービスです。
なお、訪問介護は、介護予防サービスとしてではなく、地域支援事業(介護予防・日常支援総合事業)として利用ができます。
施設に通うサービス
要支援1で受けられる介護サービス | サービス内容 |
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通所介護(デイサービス) | 利用者が施設に日帰りで通い、健康状態のチェックや食事・入浴・機能訓練、レクリエーションなどの提供を受ける ※介護予防サービスではなく地域支援事業(介護予防・日常支援総合事業)として利用ができる |
通所リハビリテーション(デイケア) | 利用者が施設や病院に通い、心身機能の維持回復のためのリハビリを受ける |
認知症対応型通所介護 | 認知症の方が施設に通い、食事・入浴・排せつなどの介護や心身機能の維持回復のためのリハビリを受ける |
施設に通うサービスでは、要支援者が介護老人保健施設やデイサービスセンターなどに通い、日帰りで入浴や食事、リハビリといった支援を受けることが可能です。要支援1の方で認知症の症状がある方は、認知症対応型通所介護も利用できます。
なお、通所介護(デイサービス)も訪問介護と同様に、介護予防サービスではなく地域支援事業(介護予防・日常支援総合事業)として利用ができます。
訪問・通い・宿泊サービス
要支援1で受けられる介護サービス | サービス内容 |
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小規模多機能型居宅介護 | 通所を中心に訪問・宿泊を組み合わせて介護や機能訓練を受ける |
要支援1の場合、利用者ができる限り自立した日常生活を送れるよう、施設への通いを中心に短期間の宿泊や、利用者の自宅訪問を組み合わせて、日常生活の支援や機能訓練を行う「小規模多機能型居宅介護」を利用できます。1つの事業者と契約するだけで、要支援者の希望や状態に合わせた複数のサービスを受けられるのが魅力です。
短期間の宿泊サービス
要支援1で受けられる介護サービス | サービス内容 |
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短期入所生活介護(ショートステイ) | 施設へ短期間宿泊をして介護や機能訓練を受ける |
短期入所療養介護 | 医療機関や介護施設等へ短期間宿泊をして身体介護、医療ケア、機能訓練などを受ける |
要支援1では、療養生活の質向上および家族の負担軽減のため、短期間だけ施設に宿泊するサービスも利用できます。短期入所生活介護(ショートステイ)と短期入所療養介護、どちらも連続で30日まで利用することが可能です。
施設等での生活サービス
要支援1で受けられる介護サービス | サービス内容 |
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特定施設入居者生活介護 | 有料老人ホーム、軽費老人ホーム等の特定施設で生活支援や機能訓練を受ける |
特定施設入居者生活介護は、有料老人ホームや軽費老人ホーム、養護老人ホームなどの特定施設に入居している要支援者に対して行われる支援サービスのことです。食事や入浴などの日常生活の介助に加えて、リハビリなどの機能訓練も受けることができ、利用者が可能な限り自立した生活を送れるようにサポートしてもらえます。
福祉用具の利用サービス
要支援1で受けられる介護サービス | サービス内容 |
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福祉用具のレンタル | 利用者の状態や生活環境等に合った福祉用具(手すり、スロープなど)を借りられる |
特定福祉用具の購入 | レンタルになじまない福祉用具(入浴・排せつに使用するものなど)を1割~3割負担で購入できる |
要支援1では、必要な福祉用具を介護保険でレンタル・購入するサービスも受けられます。手すりやスロープ、入浴・排せつに用いる用具などを利用できるため、自立した日常生活の実現や家族の介護負担の軽減につながります。
要支援1は日常生活における基本的動作は自力で行えるため、自宅で暮らしながらサービスを受ける方が多い傾向にあります。また、要支援1の方が受けられるのは介護予防サービスのため、日常生活において介護が必要な要介護と比較すると支援・見守りの側面が強いのも特徴です。
ご高齢の方は身体を動かしにくくなると外出する機会が減り、ご家族以外の方との関わりが少なくなりがちです。健康状態の管理や介護度の進行を防ぐことに加え、多くの人とコミュニケーションを取ることで気分も明るくなるので、介護サービスを受けるメリットは大きいといえます。
要支援1の支給限度額
介護保険サービスを利用する場合、要介護度によって介護保険から給付される支給限度額が決められています。
要支援1の場合、1カ月の支給限度額は【50,320円】で、単月に受けるサービスの合計が限度額以下である必要があります。
限度額以内でサービスを利用する際、利用者負担は1割(一定以上所得者の場合は2~3割負担)ですが、地域やサービス内容によって金額が変動します。支給限度額を超えてしまうと超過分に介護保険は適用されず全額自己負担となるので、事前に確認しておきましょう。
要支援1の介護予防サービスを利用する方法
介護保険サービスを利用するには、要支援・要介護認定の申請をして所定の手続きを行う必要があります。
まずは、お住まいの自治体の窓口で要支援・要介護認定の申請を行いましょう。申請が受理されると、担当者が自宅へ訪問し、要介護度を判定するための聞き取り調査が行われます。その後、要支援または要介護と判定されると、居宅介護支援事業所のケアマネジャーによって「ケアプラン」と呼ばれる計画書が作成され、ケアプランに応じた介護サービスを利用できるようになります。
ケアプランは介護サービスをどのように利用するかを決めるための重要な計画書です。ご本人の心身状態やご家庭の事情を踏まえて、希望通りのケアプランを作成できるよう担当のケアマネジャーとしっかり話し合うことが大切です。例えば、ご家族が仕事で日中ご不在になる日に合わせて訪問介護を取り入れる、自宅でリハビリがしにくい場合に通所リハビリテーションを利用するといった希望を伝えると良いでしょう。
要支援1の方のケアプラン例
次に、要支援1の方のケアプラン例を見ていきましょう。
【要支援1の判定を受けたAさんのプロフィール】
性別:女性
年齢:75歳
既往症:なし
身体状況:歩行や立ち上がりが不安定、入浴など一部介助が必要
自宅で生活する場合
サービス内容 | 月の利用回数 | 詳細 | 利用者負担 (1割負担) |
---|---|---|---|
訪問看護 | 4回 | 訪問看護ステーションからの訪問で20分未満の場合 | 1,252円 |
訪問入浴 | 4回 | 全身入浴 | 3,408円 |
訪問リハビリテーション | 8回 | 20分以上実施した場合 | 2,456円 |
自己負担額の合計 | 7,116円 |
施設に入居する場合
サービス内容 | 月の利用回数 | 詳細 | 利用者負担 (1割負担) |
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特定施設入居者生活介護 | 30回(30日) | - | 5,460円 |
自己負担額の合計 | 5,460円 |
ケアプランを立ててくれるケアマネジャーの選び方はこちらを参考にしてください。
要支援1の方が受けられる介護保険外のサービス
これまでご紹介した介護保険サービスは、利用者本人にのみ適用されるサービスです。同居人がいる場合でもご本人以外への支援はできません。
また、内容によっては提供できないサービスもあります。提供回数や時間に制限があるため、人によっては物足りなさを感じる場合もあるでしょう。しかし、介護保険サービスで受けられないサービスについては、介護保険外サービスで補うことが可能です。
介護保険を利用できないため全額実費になりますが、状況に合わせて利用を検討しても良いでしょう。介護保険外となるのは以下のようなサービスです。
- 散歩や外出の付き添い
- 施設までの送迎サービス
- 安否確認
- 散髪
- 同居人の家事代行
- 手間のかかる調理
- 大掃除
- ペットの世話 など
それぞれのニーズに応じて、制限なく自由度の高いサービスを受けられます。サービスの内容や費用は各自治体やサービス提供会社によって異なるので事前に確認しておきましょう。
要支援1の認定を受けても一人暮らしはできる?
要支援1は要介護認定のなかでも状態が軽度であると判定されており、日常生活でも一人でできることが多いため、一人暮らしが可能なケースも多くあります。しかし、身体機能の低下によって思わぬ事故につながる恐れもあるので、いつでもサポートを受けられるように、近くに家族が住んでいると安心です。ケアマネジャーなどの専門家に相談した上で決めると良いでしょう。また、健康状態の急変や火災などに備えて、見守りサービスを活用するのもおすすめです。
要支援1の方におすすめしたいALSOKの介護・見守りサービス
高齢になってくると自分で思うように動くことができず、次第に日常生活で支援や介護が必要となってくるでしょう。ALSOKでは、ご高齢の方をサポートするために幅広いサービスを行っています。初めて介護サービスを利用する場合でも、ALSOKの介護のプロが利用者様のニーズに合わせて最適なサービスをご提供します。要支援1の方が受けられるデイサービスや訪問介護、居宅介護支援なども行っておりますので、ぜひお問い合わせください。
一人暮らしの高齢者見守りサービスも活用する
高齢のご家族が遠方に住んでいたり一人暮らしをしたりしている場合、何かあったときに心配ではないでしょうか。その場合は、見守りサービスの活用をおすすめします。
ALSOKの「HOME ALSOKみまもりサポート」は、緊急通報と健康相談が1つになった高齢者向けの在宅見守りサービスです。緊急ボタンや火災警報センサーを備えており、異常があればすぐにガードマンが駆けつけます。さらに、体調が気になるときは相談ボタンでヘルスセンターへの健康相談も可能。離れて暮らすご家族に代わってALSOKが24時間365日見守る安全安心のサポートです。
まとめ
今回は、要支援1で受けられる介護サービスの内容についてご紹介しました。
ご家族が活発に日常生活を送れているとしても、要介護度を上げないための予防は必要となります。この先も長く健康であり続けるためには、ご本人とご家族でしっかりと話し合い、適切な介護サービスの利用を検討することが大切です。